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県議会報告
平成29年9月定例会 決算特別委員会(農林水産部(農業関係)(平成29年10月19日(木))
2017.10.21
1 担い手育成について
(1) 認定農業者及び新規就農者の確保・育成対策について
認定農業者及び新規就農者の確保・育成対策は目標に対し順調に伸びているのか。現状と課題は如何に。
認定農業者及び新規就農者の確保・育成対策についてでありますが、平成28年度の新規就農者数は、前年度から25人増の233人となっており、毎年度200人を超える状況で推移しているが、年間の目標は260人としていることから、県内外における就農相談会の開催や、短期農業体験の実施に加え、農業法人と雇用就農希望者とのマッチングの充実を図るなど、さらなる確保に取り組んでいく。
また、認定農業者については、市町村基本構想に定める目指すべき所得の達成率を目標としており、平成28年度の達成率は、約7,000経営体のうち、32%と、目標の26%を上回っているが、今後とも、市町村等と連携し、認定農業者の所得目標が達成されるよう、経営計画の策定支援、農地の集積・集約化や、機械・施設の整備支援など、経営改善支援に取り組んでいく。
(2)認定農業者対策の成果について
農業専門の個人経営体として改革の先頭に立って取り組んでいる事例、認定農業者対策の成果は如何に。
認定農業者対策の成果についてでありますが、県では、認定農業者の経営改善に向け、経営力向上のための研修会を開催するとともに、農地集積や農業機械・施設の整備を支援している。また、経営の規模拡大や多角化を目指す農業者に対しては、岩手大学等と連携した「いわてアグリフロンティアスクール」によるマーケティングやビジネススキルの習得など、経営発展に向けた支援を行っている。
こうした支援により、水稲に加え、大規模に土地利用型野菜を導入し、野菜の加工品を産直や学校給食へ供給している経営体や、障がい者等の雇用により、大規模に施設野菜を導入し、量販店等の販売先を自ら確保して周年で安定供給する経営体など、県内各地において、経営感覚・企業家マインドを持った農業者が育成されている。また、販売額3千万円以上のリーディング経営体数が平成27年度は827と、この10年間で47経営体増加するなど、経営規模の拡大も着実に進んできている。
今後もこうした取組により、リーディング経営体などの若い農業者の目標となる力強い担い手を育成していく。
(3) 条件不利地の耕作放棄地対策について
中山間地域などの条件不利地域において、受け手となる担い手の確保が難しいことが課題。中間管理機構も引き受けない。行政に処分してほしいという声も聞かれる。簡易型の基盤整備などにより、借りやすいようにする対策も必要。中山間地の条件不利地の耕作放棄地対策にどのように取り組んでいるのか。
条件不利地の耕作放棄地対策についてでありますが、対策としては、発生防止、再生、さらには担い手に集積していくということになる。
発生防止対策については、中山間地域等直接支払交付金を活用した維持や生産活動への支援、具体的にある生産法人の方はそば畑に再生利用しながら維持をして、次の生産に向かう例もあり、そういった支援や農業委員会の農地パトロールなどにより、防止に取り組んできた。
再生については、国の交付金を使って、借り受ける方が、刈払い作業や土壌改良などを行い、栽培を行う取り組みもある。委員ご指摘の通り簡易な基盤整備も現場では求められており、担い手が借り受けしやすくなるような区画の拡大や、排水対策を行う簡易なほ場整備にも取り組んできた。
こうした取組の結果、荒廃農地の面積は、平成25年の5,981haから、27年は、5,758haと223ha減少している。
今後においては、これらの取組に加え、中山間地域は難しいところもあるが、農地中間管理機構の農地コーディネーターと市町村農業委員会の農地利用最適化推進委員が一体となったマッチング活動の強化や、集落の話し合いを進め、担い手への農地集積と耕作放棄地対策に取り組んでいく。
(4)親元就農者への支援制度について
新規就農者確保は、ハード・ソフト共に難しい問題が多く、むしろ『親元就農』を確実に確保していく政策が急務と考える。『親元就農する後継者』に対する支援制度の拡充が求められるが、対応は如何に。
親元就農する後継者への支援制度についてでありますが、先ほど農業次世代人材投資資金については、(柳村岩見委員の質問に対し)説明しましたので、それ以外の支援についてご説明する。県では、親元就農した方々が、早期に経営確立できるように、本年度から、農業大学校において、新規就農者研修の体制を大幅に見直し、農閑期に基礎的経営知識を学ぶ「冬期集中コース」や、更なる経営発展を目指す、より高度な経営知識を学ぶ「応用コース」などを設置し、新規就農者が早期に経営確立できるよう支援を行っている。さらに、長期研修について、各地域の農業改良普及センターでは、県外研修を含めて、先進農家の研修の受入の斡旋などを支援している。
今後も、農家後継者等も含めて、希望する研修先を紹介しながら、より早く技術が身につくよう支援を継続していく。
2 農林水産物輸出力強化戦略について
(1)輸出向けの県内施設の整備状況について
国では農林水産物・食品の年間輸出額を平成31年1兆円達成に向け、ハード・ソフト面のインフラ整備を促進することとしているが、本県における輸出先の食物検疫・食品規制・衛生基準に適合する生産・加工・集荷拠点の整備状況は如何に。
輸出向け県内施設の整備状況についてでありますが、牛肉の輸出について、岩手畜産流通センターでは、HACCPに対応した牛肉処理施設を平成20年度に整備し、現在9ヵ国及び2地域の輸出認定がなされている。米の輸出については、本年度アメリカへの米輸出の規制が強化されたことに伴い、純情米いわての精米施設がHACCP認証を東北で初めて取得した。
また、アメリカ向けの水産輸出については、水産のHACCPの認定が求められている。県内においては、認定を取得した水産加工場が10施設を数えている。りんごの輸出については、台湾、ベトナムへの輸出については、施設登録と現地査察が求められている。輸出登録の選果場は、県内で4箇所となっている。
(2)岩手畜産流通センターの豚処理施設整備について
現在、岩手畜産流通センターによる豚処理施設整備は、100億円の事業規模で建設中である一方、全農等関係団体や県及び全市町村に対し28億円の増資要望があると伺っているが、現在の取組状況は如何に。
岩手畜産流通センターの豚処理施設整備についてでありますが、昨年度末に国の交付金の導入支援を行ったところであり、その交付金をもって、現在、施設の実施設計を行っているところ。また、事業計画及び資金計画については、これまで、出資株主に対して説明を行ってきているところ。特に、市町村に対しては、昨年10月から3回の説明会を開催し、現在、個別に説明を行っているところ。
(3) HACCP等に対応した人材育成と輸出サポート体制について
HACCP等に対応した施設の管理運営する人材育成のほか、輸出サポート体制が重要となるが、課題認識と県の今後の取組みは如何に。
HACCP等に対応した人材育成と輸出サポート体制についてでありますが、岩手畜産流通センターのHACCP対応につきましては、HACCPの管理運営にあたっては、定期的な工程管理の見直しやHACCP責任者の知識の高度化が非常に重要であることから、隣接する岩手県食肉衛生検査所が定期的に研修会を開催するなど、人材育成などを支援しているところ。
また、輸出手続きの円滑化に向け、同じく食肉衛生検査所職員が輸出証明書の発行事務と衛生検査に対応するとともに、輸出先の確保が求められていることから、海外のバイヤー招聘や商談会等を通じ、輸出業者との連携を強化しながら、輸出の拡大を支援して行く。