令和3年度 政府要望(令和3年11月22日)
2021.12.11
最 重 点 要 望
<新型コロナウイルス感染症対策>
1.地方への十分な財源措置について(内閣府・財務省)
(1)新型コロナ感染症対策が広範囲かつ長丁場となることが想定されることから、継続的かつ安定的な財源の確保について、「新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金」の増額など全面的な財政措置を講ずるよう要望する。
(2)地方創生臨時交付金については、地域の実情に応じて様々な課題に対応できるよう、令和4年度への繰越や基金への積立を可能とするなど、柔軟な運用とすることを要望する。
2.医療提供体制の見直し・強化について(厚生労働省)
(1)新たな感染症が拡大した場合に、感染症対応を行いつつ、感染症以外の疾患にも対応できる医療提供体制を確保していく必要があることから、感染症への対応も見据え、医師確保対策を進めていただくよう要望する。
(2)感染症の対応には、看護師、薬剤師、臨床工学技士など、幅広い医療従事者が必要であることから、チーム医療を担う医療従事者の養成・確保に向けた取組を更に強化するよう要望する。
(3)地域の実情に応じた持続可能な医療機関等の経営に資するため、新型コロナウイルス感染症の患者診療に係る診療報酬の特例措置の継続、福祉医療機構による無利子・無担保貸付の貸付限度額・貸付対象の更なる拡大等、医療機関等への直接的かつ中長期的な財政支援を講じるよう要望する。
(4)新型コロナウイルス感染症以外の新たな感染症にも機動的に対応するため、今般検討が進められている、災害派遣医療チーム(DMAT)内への「感染症医療支援チーム(仮称)」創設に際し、感染症対策に係る医師や看護師等への教育訓練や活動に必要な資器材整備などの体制構築が円滑に行えるよう、国による必要な財政措置などの実施を要望する。
(5)感染症の拡大時に円滑に業務ができるよう、感染症対応業務に従事する保健師等の恒常的な人員体制を強化するため、引き続き十分な財政措置を確実に行うよう要望する。
(6)「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」については、地域の実情に応じて必要な医療提供が行えるよう、令和4年1月以降も、空床補償及び軽症者宿泊療養施設の確保や感染防止対策等、国による財政措置を継続するよう要望する。
(7)飲み薬等の特効薬の早期実用化に向けて関係省庁・関係機関と連携し、できるだけ早期に実用化し、国民に提供されるよう要望する。
(8)「新型コロナウイルス感染症のまん延期における検査方針」に示されている無症状者に対する網羅的な行政検査については、まん延期前の感染拡大の兆候がある場合に実施することとし、その対象者に県内でも複数のクラスターが確認されている教育・保育施設及び障がい者施設を追加するよう要望する。
3.ワクチン接種の円滑な実施について(厚生労働省)
(1)3回目接種を円滑に実施するに当たり、ワクチンの中長期的な供給量の目安や、今後交差接種を本格的に実施する際の対象者の考え方や接種の留意点等について速やかに自治体に示すとともに、1回目・2回目接種のような供給量の急激な減少が生じないよう、自治体が必要とするワクチンを確保し、安定的に供給するよう要望する。
(2)新たに 12 歳になる方をはじめ、ワクチン未接種の希望者に対する継続的な接種の実施も必要となるため、3回目接種に必要なワクチンと併せて確保するよう要望する。
(3)3回目接種の実施に係る接種会場の確保や医療従事者の確保などに要する経費のほか、送迎費用、通常診療を休止した場合の影響を踏まえた報酬など、継続的な接種体制の確保に係る費用について、必要な財政措置を継続するよう要望する。
(4)新型コロナウイルスワクチン接種に係る接種費用の単価の引上げ医療機関等への支援を拡充するよう要望する。
4.地域経済対策の充実について
(1)感染症の長期化によっては、更なる経営状況の悪化が懸念されることから、持続化給付金の再給付や家賃支援給付金の複数回の給付、融資制度の拡充など、中小企業などの事業継続に対する財政支援を講ずるよう要望する。
(2)需要の落ち込みが著しい観光、交通及び飲食関連の事業者に対し、事業継続や雇用維持のための支援を拡充するとともに、感染収束後においては消費喚起・需要拡大を積極的に講じるよう要望する。
(3)「GoToキャンペーン」の再開について、都道府県と十分な情報共有を行うとともに感染状況などの地域の実情を踏まえ効果的に実施するよう要望する。
(4)地域企業経営支援金について、全ての業種において感染対策の取組みが行われ、事業継続が図られるよう対象業種の要件を緩和すること
(5)緊急事態宣言やまん延防止等重点措置適用地域以外においても、地域経済の停滞は著しいことから、厳しい経営環境が続いている中小企業・個人事業者に対し、事業継続のための実効性のある支援策を全国的に講じるよう要望する。
(6)新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、コロナ前からの債務に加え、コロナ後に借入れした新たな債務による過剰債務の解消が大きな課題となることから、「東日本大震災事業者再生支援機構」と同様の支援機関の設立を要望する。
5.事業者等への税負担の軽減について(総務省)
・事業等に係る収入に大幅な減少があった個人や事業者に対して、地方税の負担軽減措置を講じるとともに、その減収額については全額国費により補塡するよう要望する。
6.雇用維持に対する支援について(厚生労働省)
(1)地域の事業者が事業を継続し雇用が維持されるよう十分な追加経済対策を実施するよう要望する。
(2)雇用調整助成金については、企業の雇用状況を見据え、地域・業種を限定せず、助成率及び上限額を4月までの措置内容へ再度拡充の上、期間を延長するよう要望する。
(3)雇用調整助成金等の特例措置の段階的な縮減を検討する際は、地域経済と雇用情勢を十分に把握・分析し、都道府県の意見を聞いた上で行うよう要望する。
<ILCの実現>
7.国際リニアコライダー(ILC)の誘致実現について(文部科学省)
(1)国際リニアコライダー(ILC)の日本誘致の方針を早期に決定するとともに、国際プロジェクトを主導とする立場として、各国との資金の分担や研究参加に関する国際調整などの早期合意を目指し、確実な実現を図ることを要望する。
(2)令和4年度中のILC準備研究所の設立に向けて積極的に対応するとともに、日本政府が主導し、国際的な議論を更に推進すること。
(3)ILC実現に向けた政産官学及び地域社会での様々な取組を海外政府に情報発信することを要望する。
(4)ILC計画を我が国の科学技術の進展、さらに地方をつなぐ産業・情報・技術のネットワークの形成、民間の力を伸ばす成長戦略、地方創生などの柱に位置付けることを要望する。
<東日本大震災津波からの復興完遂への支援>
8.復旧・復興のための財政支援の継続と財源の確保について(復興庁)
(1) 令和2年7月に決定された「令和3年度以降の復興の取組について」に基づき、復興の推進に必要な予算を確保するとともに、被災地のニーズに対応するための地方創生関係交付金の柔軟な運用を要望する。
(2)「第2期復興・創生期間」において復興事業の完遂を確実なものとするため、応援職員や任期付職員等への財源手当、復興支援員制度の継続など、人材確保対策支援を要望する。
(3)被災者が地域社会から孤立することを防ぎ、安全・安心な生活を送ることができるよう、令和4年度以降も、生活支援相談員事業について、所要の財源及び支援期間を確保し、被災者への個別支援やコミュニティの形成支援の継続を要望する。
9.移転跡地の利活用に向けた措置について(復興庁、国土交通省、経済産業省)
(1) 移転跡地の土地利用を推進するため、移転跡地の集約や整地に要する費用の支援等、新たな支援制度の創設や制度の柔軟な運用を一層強化することを要望する。
(2)企業誘致や新規創業等による移転元地への産業施設の整備について、復興特区における国税の特例措置や津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金等による設備投資や雇用等に対する支援の継続・拡充を要望する。
10.東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出について(経済産業省、環境省)
2年後を目途に海洋放出するとする基本方針の決定については、、国内外の理解が十分に得られていない中での決定であり、安全性や新たな風評が生じることを懸念する意見が数多く示されていることから、国が責任をもって処理水の安全性について、漁業協同組合や漁業関係者、国民に対し丁寧な説明と真摯な対話を継続し、不安を払拭し理解を得るよう慎重な対応を要望する。
11.東京電力福島第一原子力発電所事故による放射線影響対策について(農林水産省、経済産業省、文部科学省、環境省)
(1)原木しいたけ産地再生への支援
- 新規参入者と規模拡大意向者への震災前の原木価格水準に対する原木購入費の掛り増し賠償実現に向けた支援を要望する。
- 来年以降の植菌作業に向けての良質な原木の確保の継続と課題となっている植菌適期内の納入実現へ向けた実態に即した支援を要望する。
- 立木等に係る福島県と同様の財物賠償実現に向けた支援を要望する。
- 放射性物質の影響を低減させるために義務付けられている原木しいたけの栽培工程管理簡素化に向けた支援を要望する。
(2)農林業系汚染廃棄物の早期処理への支援
① 農林業系汚染廃棄物の早期最終処分に向けた技術的・財政的な支援を要望する。
②農林業系汚染廃棄物の保管の長期化に伴う一時保管施設の維持補修助成など、保管施設機能を保つための全面的な支援を要望する。
③ 事故当時に汚染され一時保管されている乾しいたけの適切な処分に対いする全面的な支援を要望する。
(3)山菜等の風評被害の防止と販売促進支援
・産地直売関係者や消費者との食品の安全に関する情報の共有による風評被害の防止及び積極的な販売促進の支援を要望する。
(4) 損害賠償の迅速化
- 風評被害を含めた損害賠償請求を産地直売関係者などが迅速かつ万全に行うための現地相談員の配置を要望する。
- 未払いとなっている行政請求分の早期支払いを要望する。
- 損害賠償請求に要した事務経費の賠償対象経費への追加を要望する。
(5)側溝土砂の処理基準の提示と新たな支援制度の創設
放射性物質に汚染された側溝土砂の処理基準の速やかな提示及び汚染土砂の処理に対する財政的な支援を要望する 。
(6)学校施設等の校庭に埋設保管している除染土の処理方針の提示
・学校施設等の校庭に埋設一時保管している除染土の処理基準の速やかな提示を要望する。
<農林業の振興>
12.農業政策の充実強化について(農林水産省)
(1) 米の需給対策について
・米の需給と価格の安定に資するため、国主導による実効的な過剰米への対策や消費喚起などの需要拡大対策を推進するよう要望する。
(2)農林水産物の消費拡大支援
・外食需要の減少等に伴う米や牛肉等の農林水産物の消費拡大に向けた取組に対し、引き続き十分な支援を講じるよう要望する。
(3)「新規就農者育成総合対策」における財政措置
・「新規就農者育成総合対策」における地方負担の導入について、今後の新規就農者等の確保・育成に支障が生じることのないよう、これまでの「農業人材力強化総合支援事業」と同様に、全額を国費により措置するよう要望します。
(4)新たな親元就農支援制度の創設について
・担い手の子弟が親元に就農する場合、現行の農業次世代人材投資資金(旧青年就農給付金)制度では、就農5年以内の事業継承が要件のため、同制度の活用が困難であるあることから、新たな親元就農支援制度の創設を要望する。
(5)凍霜害や降ひょう被害等への支援について
・凍霜害や降雹被害等に対する農業共済制度や収入保険制度に加入していない生産者が多く、今後の農業経営に支障をきたす状況にあることから、セーフティネット施策の弾力的な運用、拡充を講ずるよう要望する。
(6)畜産振興への支援について
・家畜医療費の負担を軽減するための制度の創設を求めるとともに、獣医療過疎地域における獣医療提供体制の整備を図ることを要望する。
(7)農業農村整備事業関係予算の確保について
・「総合的なTPP等関連政策大綱」及び「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づく予算を十分に確保するとともに、地方財政措置を充実するよう要望する。
13.有害鳥獣被害対策の継続・拡充について(農林水産省)
(1)ニホンジカやイノシシ、クマ等による鳥獣被害が深刻化・広域化していることから、実生息数を把握し、被害の防止にかかる抜本的な取組の強化と十分な予算を確保するよう要望する。
(2)市町村が十分な鳥獣被害防止対策を実施できるよう、狩猟免許取得に対する支援の強化や報酬等に対する財政措置など、鳥獣保護管理に携わる人材の確保、育成を支援すること。
(3)有害鳥獣として捕獲した個体や食肉加工残渣等の適正処理に対する支援措置を拡充すること。
14.森林整備の促進について(農林水産省)
(1)地球温暖化防止に貢献し、国土強靭化の実現に不可欠な「緑の社会資本」としての森林整備を促進するため、整備事業に必要な予算を十分に措置するよう要望する。
(2)伐採及び間伐、再造林、苗木の生産・供給を含めた総合的な再造林対策のため、伐採から植栽までの一貫作業を推進するよう要望する。
(3)林業労働力の確保を図るため、新規就業者や林業経営の担い手の育成に向けた取り組みを一層強化することを要望する。
(3)松くい虫やナラ枯れ被害から県木である南部アカマツや広葉樹資源を保全するため、被害地周辺での予防を目的とした伐採について、迅速な対応が可能となる制度の創設を要望する。
(4)外国産木材の輸入量減少と国産木材の価格高騰により、建築主への価格転嫁や引渡しの遅れなど、様々な悪影響が出ており、県内の地方森林組合、製材所、工務店等が必要とする県産木材を適正価格で提供できるシステムを構築するよう要望する。
(5)今後の地域の林業・木材産業を担う人材確保を図るため、就職説明会や相談会の定期的な開催など、林業・木材産業分野における就業促進の取組を強化するよう要望する。
(6)温室効果ガスの排出削減対策や吸収源対策を進めるため、「森林整備の推進と県産木材の利用促進」と「森林バイオマスの活用促進」を充実強化するよう要望する。
<水産資源の確保>
15.永続的で適切な水産資源の確保について(農林水産省)
(1)「水産政策の改革」が目指す水産資源の適切な管理の実現に向け、水産資源状況の的確な把握に努め、科学的で合理的な資源管理施策を一層促進するとともに、資源の有効活用による水産業の成長産業化を図ることを要望する。
(2)サケやサンマ、サバのような北太平洋を広く回遊する魚種の資源管理については、これまで以上に国家間及び広域的な取組の促進と連携の強化を図ることを要望する。
(3)太平洋クロマグロの漁獲可能量(TAC)配分枠の設定に当たっては、適切な漁獲配分となるよう十分な調整を図るとともに、安定的な漁業経営に資する補償制度などを拡充することを要望する。
(4)諸外国の三陸産水産物等の輸入規制に関し、輸出再開に向けた取組強化と関係する漁業者の救済を図ることを要望する。
(3)本県の秋サケ漁は、ピーク時には7万トン(平成8年)を超えるまでに発展したが、平成9年度以降、県内の漁獲量は減少傾向にあり、東日本大震災後は1万トン前後と低迷しており、特に昨年度は1,700トンと、これまでにない危機的状況となっている。ついては、引き続き調査・研究・指導に取り組まれ、秋サケ資源の回復と海面魚類養殖の生産技術確立が図られるよう要望する。
(4)全国有数の水揚げを誇る本県のウニやアワビは、震災後不漁が続いており深刻な状況となっている。各漁協では国県補助事業等を活用してアワビなどの種苗放流事業に取り組んでいるが、漁獲量の回復に至っていない現状である。ついては、引き続き調査・研究・指導に取り組まれ、地先磯資源及び藻場の回復が図られるよう要望する。
(5)ナマコは近年需要が増加しており、漁業者の所得向上に寄与する可能性が高いことから、ナマコ種苗の放流について支援策を講じるよう要望する。
(6)三陸沿岸におけるサケ、サンマ、スルメイカなどの主要魚種の漁獲量の減少に伴い、加工用原料の確保が困難になっていることから、魚種転換に係る加工設備などの整備支援や加工原魚調達に係る支援など施策の充実を図ることを要望する。
<国土強靭化、防災・減災対策>
16.国土強靭化、防災・減災対策の充実強化について(国土交通省)
(1)国土強靭化と防災・減災対策等を加速するための国の公共事業関係費の財源を十分確保することを要望する。また、「社会資本整備総合交付金」や「防災・安全交付金」等県内の公共事業に係る予算を確保するよう要望する。
(2)「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に必要な予算・財源の確保と計画的な事業の推進を要望する。
(3)緊急防災・減災事業債については、引き続き防災・減災対策を充実強化させることが必要なことから、対象事業を拡大する等の地方財政措置の拡充を要望する。
(4)災害発生時における広域的かつ機能的な危機管理を確保するため、被災地支援の強化に必要な地方整備局等の人員・資機材等を確保するなど、災害対応のための組織体制の充実及び機能の強化を図ることを要望する。
(5)「津波防災地域づくりに関する法律」に基づく最大クラスの津波及び最大規模の洪水想定に係る被害軽減対策への財政支援を要望する。
(6)道路・橋梁等の老朽化に伴う維持修繕、更新に対する補助及び地方債による財政支援の拡充を国に要望する。
(7)国土強靭化地域計画に基づき、消防体制の整備等防災・減災のための諸施策を推進することを要望する。
<道路ネットワークと地域交通の確保>
17.地域を支える道路ネットワーク等の整備について(国土交通省)
(1)計画的かつ着実に道路整備を進めるため、新たな財源を創設するなど、道路関係予算の総額を確保するよう要望する。
(2)迅速かつ円滑な物流や交流人口の拡大を実現し、安心・安全の確保を図るため、その基盤となる幹線道路網の一層の整備促進を要望する。
① 一般国道46号「盛岡西バイパス」の2車線供用区間の4車線化の整備促進について要望する。
② 一般国道4号「盛岡南道路」の事業化について要望する。
③ 一般国道4号渋民バイパスへの道の駅の整備について要望する。
④ 一般国道107号の早期復旧と抜本的改善を要望する。
⑤ 秋田自動車道の4車線化の促進を要望する。
⑥ 「北上金ヶ崎パシフィックルート」の整備促進を要望する。
⑦ 新笹ノ田トンネルの早期事業化を要望する。
⑧ 北岩手・北三陸横断道路「(仮称)久慈内陸道路」の整備促進について要望する。
⑨ 主要地方道大槌小国線土坂峠トンネルの早期着工を要望する。
⑩ 一般県道釜石住田線の未改良地区の整備促進を要望する。
⑪ 松尾八幡平IC~安代IC間へのスマートインターチェンジの整備を要望する。
⑫ 三陸沿岸道路のハーフインターチェンジのフル化整備を要望する。
⑬ 国道107号、397号の重要物流道路への指定と整備促進を要望する。
18.持続可能な地域公共交通の整備について(国土交通省)
(1)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を受け、輸送需要の大幅な減少に直面している鉄道、路線バス、タクシーの公共交通事業者が、安全かつ安定した運行を確保できるよう、経営上の財政支援を講じるよう要望する。
(2)路線バスの利便性の向上と路線再編による効率化など、持続可能な地域公共交通施策の推進に向けた規制緩和を早急に検討するとともに、「地域公共交通確保維持改善事業」の補助要件の緩和や補助率引上げなど財政支援の拡充を図ることを要望する。
(3)仮設住宅が整備された地区を通る路線バス及びコミュニティバス等を補助対象とする被災地特例が終了となったことから、新たに復興公営住宅が整備された地区を通る路線バス等を補助対象とする恒久的な財政支援を講じるよう要望する。
<災害に強い治水対策への支援>
19.災害に強い治水対策の推進について(国土交通省)
(1)気候変動の影響により頻発・激甚化する水災害リスクに備えるため、あらゆる関係者が協働する「流域治水」の取組みを強力に推進するため、ハード・ソフト対策を一体的・計画的に推進するための予算確保を要望する。
(2)洪水の発生時に大量に堆積した河道の土砂撤去や支障木伐採等、防災・減災対策の着実な推進を要望する。
(3)「四十四田ダムのかさ上げ」など治水機能の増強を行う「北上川上流ダム再生事業」の着実な実施と促進を要望する。
(4)一関遊水地事業及び一級河川改修事業の推進と堤防未築堤箇所(矢巾町ほか)の早期整備を要望する。
<地域医療・福祉の充実と資源確保>
20.地方における医師及び看護師等の医療人材確保について(厚生労働省)
(1)地方における医師確保、特に産科及び小児科の常勤医師の確保について要望するとともに、地域医療体制の抜本的な改善を図ることを要望する。
(2)医師の安定的確保、病院経営の健全化と病院機能の維持のため、自治医科大学養成医師の継続派遣等、医師の配置に対する支援について要望する。
(3)同時に地方においては看護師の不足も深刻な問題であり、全国的な看護師の地域偏在の解消を図る仕組みの創設を要望する。
(4)周産期医療体制構築のための助産師に対する支援や人材の確保を要望する。
21.介護福祉を支える人材確保対策について(厚生労働省)
・介護サービス基盤を整備するとともに、「介護現場の離職者ゼロ」達成と人材の定着のため、介護従事者の養成や処遇改善など、介護事業を支える人材確保の充実・強化を要望する。
<地方における教育の確保>
22.ICT機器を活用した教育活動の充実と環境整備について(文部科学省)
(1)児童生徒1人1台端末等のICT機器を効果的に活用した教育活動の充実に向け、情報通信技術支援員(ICT支援員)の配置等に係る国庫負担による支援、学習者用デジタル教科書の早期普及等の必要な予算措置を講じるよう要望する。
(2)学校における「新しい生活様式」も踏まえた児童生徒一人ひとりの学習・生活環境の整備を図るため、中学校を含めた少人数学級によるきめ細かな指導体制を計画的に整備するなど教職員体制の一層の充実を図るよう要望する。
23.過疎地域における県立高等学校の存続について(文部科学省)
(1)教育環境に著しい格差が生じないよう、過疎地域における教育の機会を確保するため、県立高等学校 における特例を認め、高校少人数学級の導入を実現し、教員定数削減の対象外とすることを要望する。
(2)それぞれの高等学校が、地域や行政と連携した地方創生に向けた活動を通じ、特色ある新たな高校の魅力化に取り組んでいる状況と、高等学校存続を切望する地域住民の総意に応え、新たな判断基準に基づく小規模高等学校を存続することを要望する。
<世界文化遺産の活用>
24.「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界文化遺産の活用について
- 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の広域的な観光ルートを確立するため、旅行商品の造成支援や国内外に向けたプロモーション活動・教育旅行の誘致に対する支援を要望する。
- 「道の駅」等の整備に対し、広域観光振興や地域振興の観点から、その拠点づくりに対する財政的支援を要望する。
<産業振興に資する港湾の整備推進>
25.港湾整備事業の促進及び港湾振興について
(1)地域の産業振興に資する港湾整備を着実に推進するための予算確保を要望する。
(2)重要港湾「釜石港」の国際貿易拠点化に向け、ふ頭用地造成及び岸壁新設の整備促進を要望する。
(3)宮古・室蘭フェリー定期航路の早期寄港再開のため、早急に港内の静穏化等、環境整備を行うことを要望する。併せて、港湾の災害対応力を十分に発揮するため、耐震強化岸壁の整備の事業化について要望する。
(4)大船渡港永浜・山口地区1バース(水深-10m、延長340m)の整備促進を図るとともに、耐震強化岸壁とガントリークレーンを早期に整備することを要望する。
(5)久慈港湾口防波堤の整備促進と完成後の静穏海域を活用した水産業及び観光開発等の産業の創出に対する支援について要望する。
(6)久慈市沖における洋上風力発電の実現に向け、促進区域指定及び地域における新産業誘発のため、再エネ海域利用法第8条第1項第3号の規定を満たす港湾整備を早期に行うよう要望する。
<東京一極集中の是正>
26.地方への移住・定住の推進について(内閣府、農林水産省、文部科学省)
(1) 令和元年度に創設された「地方創生移住支援事業」について、東京圏から地方への人の流れを加速するため、移住元に関する年数要件の廃止及び地理的要件の更なる緩和、支給対象者が在住する東京23区等での周知・広報の一層の充実及び必要な財源の確保を要望する。
(2)産業再配置や地方への産業拠点の移転、東京圏に本社を有する企業のサテライトオフィスの開設促進のほか、東京圏から遠隔にある地方や条件不利地への移住に対する支援を手厚くするなど、人の流れを創出する効果的な施策を展開するよう要望する。
(3)農山漁村に受け継がれてきた豊かな自然や伝統・文化など魅力ある地域資源を活用した都市農村交流や農村への移住・定住に向けた取組を推進するための「農山漁村振興交付金」等の予算を十分に措置するよう要望
(4)政府関係機関の地方移転や高等教育機関の地方分散等について、東京一極集中の抜本的な是正や地方創生の観点から、積極的に推進するよう要望する。
(5)空き家の有効活用は、移住・定住の環境整備をはじめ地方創生の観点からも重要な課題であることから、関係機関が一体となって取組みを強化するとともに、空き家の有効活用等が一層推進されるよう一層の支援を要望する。
<少子化社会対策>
27.子ども・子育て支援施策の充実について(厚生労働省)
(1)若い世代の結婚の希望を叶える取組支援のほか、不妊治療費助成の拡充や妊産婦に対する母子保健医療対策の充実など、結婚から妊娠・出産、子育ての希望を叶える総合的な支援策の充実を要望する。
(2)こども庁の創設により、実効性のある組織・人員・予算を確保し、子ども関連施策への重点的な財源確保を要望する。
(3)児童相談所等の体制強化を図るとともに、発生予防・早期発見に向けた社会づくりの推進等、児童虐待防止対策体制の強化を要望する。
(4)子育てを社会で支える気運の醸成と三世代同居・近居の推進に向けた制度の拡充等、子どもと子育てにやさしい社会づくりの一層の推進を要望する。
<地方財政基盤の充実強化>
28.地方一般財源総額の確保について(総務省・財務省)
(1)新型コロナウイルス感染症の影響による税収の減や、少子高齢化の進行に伴う社会保障関係費の増等による厳しい地方財政の状況を踏まえ、安定的で持続的な財政運営に必要な地方一般財源総額について、確実に確保・充実するよう要望します。
(2)地方財政計画の策定に当たっては、広大な県土を有する本県の本格的な地域デジタル化の進展に伴い増大する経費や、新型コロナウイルス感染症への対応を踏まえた新しい生活様式に必要な経費を適切に見込むほか、人口減少対策や地方創生の推進等、各団体が地域の実情に応じ、自主的・主体的に課題解決に取り組むために必要な地方単独事業の財政需要を適切に反映させるよう要望します。
(3)地方の経済情勢を踏まえて税収を的確に見込むとともに、地方交付税について、その総額を確保するとともに、地方財源不足の解消に当たっては、地方財政の健全性を確保するため、臨時財政対策債の大量発行によることなく、地方交付税法第6条の3第2項の規定に基づき国税の法定率を引き上げるよう要望します。
29.地方財政措置の拡充について(総務省)
地方交付税が有する財源保障機能及び財源調整機能が適切に発揮され、安定的な財政運営に必要な一般財源が十分に確保されるよう、地方財政措置を拡充するよう要望する。
(1) 地域医療を担う公立病院を運営する病院事業会計への繰出金について、新型コロナウイルス感染症への対応に当たって公立病院の担う役割は増しており、広大な県土に多数の過疎地域を抱える中で、医師不足や不採算地区での経営などの条件不利地域においても必要な医療を安定的に提供できるよう、措置の拡充を要望する。
(2) 社会資本整備が遅れている地域の投資的経費が確保されるよう、措置の拡充を要望する。
(3) 他地域への通学が極端に困難で、修学機会確保の観点から統廃合が困難な小規模高等学校の維持・運営に係るかかり増し経費について、適切に措置されるよう要望する。
(4)不登校生徒数が増加傾向にある中、専修学校高等課程の大学入学資格付与校は、多様な学びの機会の受け皿となっている。一方、専修学校高等課程は、就学支援金と普通交付税の算定における取扱いが乖離していることから、「高等学校等就学支援金の支給に関する法律」の取扱いに準じ、高等学校と同程度の水準とするよう要望する。
<過疎地域に対する支援の継続>
30.過疎地域に対する支援の継続について(総務省)
(1)過疎地域において必要な事業を円滑に実施できるよう、過疎対策事業債及び各種支援制度の維持・拡充を図ることを要望する。
(2)過疎対策事業債の配分額の増額及びシフト分の限度額の引き上げを行うなど、十分な財源措置を講じることを要望する。
<デジタル社会の実現に向けた支援>
31.デジタル社会の実現に向けた支援について(デジタル庁、総務省)
(1)「デジタル田園都市国家構想」を地方で促進させるため、携帯電話事業者等に対する財政的支援、技術開発支援など支援制度の拡充や新たなデジタル社会交付金制度の創設を要望する。
(2)利用者中心のデジタル・ガバメントの構築に向けた、情報システムの標準化・共通化や行政手続のオンライン化等を推進するため、地方公共団体の実情を踏まえた技術的・財政的支援の充実・強化を要望する。
(3)デジタル技術を活用して地域課題解決を図ることができる人材の確保に係る総合的な調整と、デジタル人材の育成を含めた財政的支援の充実・強化を要望する。
(4)マイナンバー制度については、住民がカード取得によるメリットを実感しやすい仕組みを構築するとともに、システムが安定的に、カードの交付が円滑に進むよう要望する。
(5)デジタル技術と「ものづくり」を中心とした高度技術・産業集積を活かした新たなイノベーションの創出や研究開発支援に加え、デジタル技術の導入・活用の支援の充実強化を要望する。
(6)真の5G社会実現に向け、地方における5G基地局の整備や光ファイバ網未整備地域の実情に応じた整備支援制度の充実により、どこでも、誰でも、デジタル化の恩恵を享受するための情報通信インフラ整備を加速させるよう要望する。
<脱炭素社会の実現に向けた対策の推進>
32.省エネルギー対策に対する支援について(経済産業省、環境省)
(1) 中小事業者の省エネルギー活動を促進するため、省エネルギー設備の導入補助や融資制度など、省エネルギー対策に対する支援の継続及び充実を図るよう要望する。
(2) 電気自動車は、環境負荷低減のみならず、防災拠点などにおける非常用電源として活用可能であることから、充電インフラ整備の充実を図るよう要望する。
33.再生可能エネルギーの推進について(経済産業省、環境省)
(1)再生可能エネルギー由来の水素利活用の推進や水素ステーションを含む水素関連製品の導入促進を図るため、地域の実情に即した技術面、財政面の支援措置を継続・拡充するよう要望する。
(2)洋上風力発電を含めた再生可能エネルギーの連系可能量を拡大するため、施設整備の基盤となる送電網の強化や設備費用の地域間格差解消、工期の短縮など、送電網の積極的な増強策を進めることを要望する。
(3)一定の条件下で既存系統との連携を認める「日本版コネクト&マネージ」を早急に推進するよう要望する。
(4)地方におけるグリーンイノベーション基金事業の積極的な事業展開を促進させ、新たな技術開発の促進による産業振興に向けた支援を要望する。
新型コロナウイルス感染症への 知事要望(令和3年7月2日)
2021.07.10
最 重 点 要 望
<新型コロナウイルス感染症対策>
1.医療提供体制の拡充・強化
(医療政策全般)
(1) 診療報酬改定等【要望先:国】
① 来年度の診療報酬改定にあたっては、コロナ禍の厳しい医療環境を考慮し、地方の意見にも配慮した従来と異なる視点での報酬改定を望む。また、コロナ禍での診療報酬について、患者1人当たりのスタッフ配置やベッド確保も考慮しコストを見るよう要望する。
② 医師の働き方改革や地域医療構想の推進といった大規模な改革に対応し地域にお ける医療体制を維持していくためには、適切な診療報酬上の措置が不可欠である。病院の入院基本料を大幅に増点していただきたい。
③ 病棟における看護師、薬剤師、管理栄養士、介護福祉士、リハビリスタッフ等、多職種チームによる入院医療の提供は、働き方改革を進めるためにも重要である。病棟における多職種の協働が促進するよう診療報酬上、配置基準・加算等を検討するよう要望する。
④ 診療報酬(初診料・再診料も含め)の調整の方法は、日本の医療の在り方や長期ビジョンを以て設定していただきたい。介護に関しても、同様に長期ビジョンを以て介護計画を設定して頂きたい。コロナ禍にあっても受信回数減少に対する配慮を頂きたい。
(2) 医療の在り方の方針【要望先:国】
① 新型コロナの感染拡大により生じた医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、国として医療の在り方の方針を示して地域包括ケアの観点も含めた地域における病床の機能の分化及び連携の推進のあり方について検討し、必要な取組みを進めること。
(3) 地方私立医大の実態把握【要望先:国】
① 私立大学は、経営と教育が連動しており、経営基盤の強化は極めて重要であり、地方で高度医療を守ることは大変厳しい状況にある。このため、国と地方の相違点を理解して頂くために、地方私立医大の勤務実態や体制に関する状況調査をするよう要望する。
(4) 病院経営を支援する補助金【要望先:国】
① 新型コロナの感染拡大を踏まえた対応が求められるとともに、医療機関の経営状況を速やかに把握し、直接的かつ中長期的な財政支援を講じるよう要望する。病院経営を支援する補助金がない。現在大学病院ではICU20床、CCU20床、ハイケアユニット20床あるが仮にICUにコロナ患者1人が入院すると他の19床が使えない。今、東京では重症者が多いがこの様な場合でも1/20しか補助がないのと同じであり、病院全体の運営を見て補助をしてもらわないと効率的な対応ができない。
② 教育・医育機関という観点から文部科学省からの財政支援をお願いする。医科大学は医育機関であり、1人の医師を育てるのに1億円かかるが、私立大学には大学病院収入しかない。しかし、大学病院への補助金はすべて厚生労働省からだけで、文部科学省からの補助金はない。
③ コロナ禍により医療機能の役割分担と需要の急拡大への即応体制の重要性が認識された。また、東日本大震災等の災害の教訓を次代につなげなければならない。感染拡大や災害等の有事に対し、強靭な医療提供体制を構築するため、地域医療介護総合確保基金の拡充をはじめ補助事業等の支援策を創設することを要望する。
(5) ワクチン接種の円滑な実施【⇒国、県、市町村】
① ワクチン接種は通常の診療を行いながら接種活動も行うため、新患も減少する中2,070円/人ではなかなか対応できない。接種手当増も考慮して頂きたい。
② 国家的重要戦略として、国産ワクチン製造の速やかな認可、支援も含め、必要十分なワクチンの確保・供給を図るとともに、治療薬の研究・実用化を支援するよう要望する。併せて、医薬品・医療機器等の産業育成を戦略的に進めるよう要望する。
(歯科医療関係)
(1) 感染予防対策と県民への周知【要望先:国、県】
① 地域包括ケアの推進のために病院歯科の設置、歯科医師の配置の必要性を示してきたものの実効性のある進展がなく、今後のウイルス感染症の対応に向けても病院における歯科医療提供体制の充実は急務であることから、病院における歯科の設置、歯科医師の配置の更なる推進について要望する。
② 岩手県歯科医師会との連携のもと、歯科衛生用品の確保、感染予防対策について、万全な対策等を講じること。同時に受診控えが生じないように、歯科医療の重要性、定期健診等の歯科保健推進の重要性について県民への周知を図ることを要望する。
② 今後、宿泊施設や自宅で療養する軽度の感染者等への緊急の歯科治療が求められる場合を想定した、地域医療連携の整備を検討頂きたい。併せて、対応できる人材、必要な医療機器、感染防御具、電話や情報通信機器を用いた対応、診療報酬上の評価等を検討頂きたい。
(2) 超高齢化、人口減少、地域社会の課題への対応【要望先:県】
① 保健施策には歯・口腔の実態把握が不可欠であり、歯科健診がライフコース全体の中で途切れない歯科健診の一層の推進を要望する。
② 口腔の定期的な管理の延期が長期化することは、例えば高齢者等の誤嚥性肺炎の発症を引き起こす危険が高い。電話や情報通信機器を活用した診療について、現行の仕組みのさらなる柔軟な運用を要望する。
(3) 東日本大震災からの復興、 水害や台風等への防災の取組を推進【要望先:国・県】
① 被災地における継続的な支援を行うとともに、災害に備えた平時からの仕組みや人材 ·訓練の総合的な取り組みを充実するよう要望する。
(4) 障がい児 (者) の歯科保健·医療·福社の推進【要望先:国・県】
① 障がい児(者) が地域において安心安全な歯科医療が提供されるよう環境の整備を 行うこと。特に、県南地域の歯科医療体制において県·病院歯科との連携のもと体制整備を行うことを要望する。
② 障がい者(者)、 要介護者等に対し、 歯科保健医療に係るスクリーニング技術の習得のための研修会の開催や歯科治療の必要な実践的スキルを習得するため臨床研修を実施するなど、 歯科医師の資質向上対策を強化するよう要望する。
(薬局・薬剤関係)
(1) 新型コロナウイルス感染症への対応【要望先:国、県】
① 地域の医療提供体制確保のために薬局機能を維持するために必要な直接的かつ継続的な財政支援を要望する。
② 医療関係者等への慰労金の支給について、保険薬局の薬剤師は対象外であるが、重要な役割を担う薬局、 医薬品卸業者を特別給付金の支給対象にすることを要望する。
③ ゴーグルやマスク フェースガード、 ガウン等の防護具の無償提供と併せて、国から届いたマスクを県に協力して県内全薬局に送付する費用負担を支援することを要望する。
④ 医療従事者のワクチン接種に関して、県から依頼を受けて、希望調査や各種調整に係る事務負担の対価及び関連資料の送付に係る事務費用負担を要望する。
⑤ 今後の感染拡大や将来を見据えた必要な資機材の国や県として備蓄することを要望する。
(2) 薬局及び医療施設に従事する薬剤師の確保
① 薬剤師不足·地域偏在の解決につながる仕組の早急な検討·実施。【要望先:国、県】
〇 薬剤師不足·地域偏在の解決につながるように薬局薬剤師の具体的な確保対策の検 討・実施について要望する。
〇 医療提供確保の観点から、医療計画における医療事者の確保の項目において、病院に勤務する薬剤師の確保を明記するとともに対応策の検討·実施について要望する。
〇 県内薬局及び医療施設への就職を前提とした奨学金の支給·返済支援等の仕組みについて検討·実施することを要望する。
② かかりつけ薬剤師·薬局機能の充実強化【要望先:国、県】
〇 県民に対する「健康サポート薬局」の周知、及び健康サポート薬局を活用した健康維持·増進に向けた取組みの創出を要望する。
〇 県民に対する新たな認定薬局制度の周知、及び必要な研修の開催費用の補助や無菌調剤室設置に係る補助等、薬局の認定取得に向けた支援を要望する。
〇 電子処方箋に対応するための環境整備に対する支援について要望する。
③ 学校薬剤師の報酬の適切な支給【要望先:県】
〇 公立学校における学校薬剤師の報酬は、地域によって公立学校での支給額が大きく異なることから、適切な報酬の支給の検討・実施を要望する。
④ 大規模災害時における薬剤師を活用した医薬品の供給体制等の整備【要望先:県】
〇 市町村と地域薬剤師会の「災害時の医療救護活動に関する協定」の締結・見直し。
〇 災害時対応医薬品供給車両の配備と維持·運用のための予算措置。
(看護人材関係)
(1) コロナ禍の中での看護活動について【要望先:国、県】
① 看護職をはじめとする医療従事者の処遇改善がされるよう、医療機関等に対する経営支援の一層の充実を図られたい。
② 医療機関及び宿泊療養施設等における感染者対応や帰国者・接触者相談センター等での対応、施設等におけるクラスター発生時の専門家の派遣等、看護職員の応援派遣を含めた、医療提供体制の確保に継続して取り組んで頂くよう要望する。
③ 看護職や介護職は心身共に限界を超えつつあることから、メンタルヘルス相談窓口の開設やメンタルヘルスの専門家によるサポートなど、看護職員を含めた医療従事者の健康確保対策に万全を期すことを要望する。
④ 変異株が疑われる事例への積極的疫学調査の強化や幅広い関係者への検査を徹底するとともに、感染対策の普及啓発に徹底して取り組むことを要望する。
⑤ 地域母子保健の推進にあたり、助産師を保健師や病院で働く助産師と連携し、妊娠期から育児期まで地域全体で継続支援できる体制を構築するよう要望する。
⑥ 訪問看護の人材確保及び安定的なサービス提供を一体的に推進する体制整備について、県看護協会と訪問看護連絡協議会等と関係機関の調整を図りながら、部局横断的な視点にもとづき訪問看護総合支援センターの設置を要望する。
2.事業者等への支援及び雇用対策
(中小企業対策全般)
(1) 事業者が希望を持てる将来への道筋の明示
〇 コロナ編で疲弊する事業者に対し、感染拡大防止施策の拡充とともに、検査体制・医療提供体制の一層の強化を図ることでコロナを可能な限り制御し、全体の活動レベルを徐々に引き上げ、オリンピック・パラリンピック後の経済活動をより活発化させ得る、足元の経済回復に向けた道筋について力強い将来ビジョンを明示することを要望する。
(2) 人の移動や活動制限の影響を大きく受けている事業者への財政支援の強化
〇 長引く感染拡大により人の移動や活動制限の影響を大きく受けている宿泊、交通、イベント関連事業者、調理師など厳しい経営環境が続く事業者に対し、事業規模や影響の度合いに応じた補助制度拡充等の支援を強化することを要望する。
〇 今後の感染状況により、持続化給付金や家賃支援給付金について、支給要件の緩和や複数回の給付を講じるなど、直接的な財政支援を要望する。
(3) 緊急事態宣言地域以外の事業者支援の強化
〇 緊急事態宣言対象地域以外の事業者は、全国的な人の移動の制限や自粛ムードに伴う活動制約から危機的な状況に陥っており、地域に差異なく真に困窮する事業者支援を講じる必要があることから、宣言対象地域外の事業者向けの支援制度の創設や一時支援金の対象拡大などの支援策を講じることを要望する。
(4) 雇用調整助成金の特例措置の延長
〇 雇用調整助成金は、コロナ収束や売上回復への見通しが立たない中での雇用の維持・安定はもとより、感染拡大収束後の経済の力強い回復に向け、極めて大きな役割を担っており、現行の特例措置は経済情勢や雇用動向を十分に注視し、当面は延長するなど柔軟に対応することを要望する。
(アフターコロナを見据えた小規模事業者支援の充実)
(1)経済回復に向けたワクチン接種の加速と見える化の促進 【要望先:国・県】
〇 我が国は、経済の回復に不可欠なワクチン接種が世界的にも遅れている状況にあることから、より効率化を図り接種を加速することを要望する。
〇 現在の自治体別の接種状況を常時見える化するとともに、接種予約に係る接種予定数を事前に明らかにするよう自治体に義務付けることを要望する。
(2)コロナ禍における経済浮揚策の実施 【要望先:国】
〇 GoTo事業をはじめとする経済浮揚策の実施又は再開基準を明確にするとともに、低感染地域の自治体が行う経済対策に係る財政支援を柔軟に行うことを要望する。
〇 各市町村によって地域事情が大きく異なることから、交付金等の国の財政支援にあたっては、県単位だけではなく市町村単位でも実施することを要望する。
(3)小規模事業対策を含む中小企業対策費の大幅拡充【要望先:国・県】
〇 長期にわたり深刻な影響を受けている日本経済を回復し、雇用維持を図るためには、中小・小規模企業に対する支援を強力に推進することが必要不可欠であることから、中小企業対策費を大幅に拡充することを要望する。
(4)伴走型小規模事業者支援推進事業費の拡充【要望先:国・県】
〇 商工会が伴走型で小規模事業者に支援を行う経営発達支援計画の認定数が増加していることから、経営発達支援事業の遂行のための十分な予算措置を行うこと。
〇 経営支援業務の質的変化・量的拡大が進んでいる中で、支援を行う人材の育成も必要となっていることから、スーパーバイザー事業の増額を行うことを要望する。
(5)専門家派遣事業の拡充【要望先:国】
〇 働き方改革や生産性向上、税制度の変更等の度重なる制度改正による諸課題に円滑に対応できるよう窓口相談やセミナーの実施や専門家派遣を行う事業の重要性が増しており、加えて、減災・防災対策や事業継続計画(BCP)作成等の事業継続力強化を図ることも必要であることから、これまで以上にきめ細かい専門的支援を行うため専門家派遣事業の拡充を図ることを要望する。
(6)販路開拓支援の拡充【要望先:国・県】
〇 関連産業の裾野が広い地域資源を活用した地域産品をはじめとする販路開拓支援は、地域産業の振興や経営資源の乏しい中小・小規模事業者にとって非常に重要であることから、地域産品の需要喚起・購入を促すためECサイトを活用した割引事業や消費喚起事業、及びオンライン等を活用した販売・商談機会の創出や海外展開等の支援策を拡充することを要望する。
(7)伴走型で小規模事業者を支援する人員の増員【要望先:国・県】
〇 小規模事業者の持続的発展・成長と生産性向上に向けた規模拡大への支援が強く求められている一方で、軽減税率制度の導入、働き方改革への対応、DX・デジタル化への対応、事業承継の推進などの課題が山積している状況である。これらの課題を着実に解決していくには、小規模事業者に寄り添って商工指導団体がその役割を果たせるよう、課題解決に向けて伴走型で支援をする経営指導員等の人件費等に係る財政措置を拡充するよう要望する。
(8)商工会館の防災強化【要望先:国・県】
〇 災害時の小規模事業者の早期再建及び地域の復旧・復興を迅速に行うため、相談対応の早期整備が必要であることから、商工会館の防災強化(耐震化・浸水防止、移転等)にかかる費用を補助することを要望する。
(9)地方自治体の小規模企業対策の予算措置状況の見える化【要望先:国】
〇 地方交付税の算定基礎となる基準財政需要額(商工行政費単位費用)の増額が図られたが、地方自治体において着実に措置されているかどうかのモニタリングを行い、公表することを要望する。
<国土強靭化、防災・減災対策の推進>
1.国土強靭化、防災・減災対策の予算確保について【要望先:国・県】
〇 「防災·減災、 国土強靭化のための5か年加速化対策」の取組みが安定的·継続的に実施されるためには、当初予算による措置が必要であることから、令和4年度以降の予算については、 当初予算における別枠で安定的かつ十分な額を確保することを要望する。
2.公共事業の円滑な施工と公共事業予算の安定的な確保【要望先:国・県】
〇 公共事業を円滑に施工することが、 防災·減災、 国土強靭化の推進、コロナ禍からの経済回復に必要不可欠であり、加えて、来年度以降の公共事業予算の確保にもつながることから、国、県においては、今後、発注状況の推移や対策の措置状況などについて、タイムリーな情報提供と意見交換の場を設けながら、 両者が連携した円滑な施工を推進するよう要望する。
〇 近年の公共事業関係費は、補正予算や臨時·特別の措置を除く「通常分」の予算額は2015年度から6年間連続で横ばいが続いている。 国土強靭化や老朽化対策予算はあくまで、 緊急的·時限的な措置と考えられることから、 公共事業予算の「通常分」の安定的·持続的な確保を要望する。
3 働き改革の推進【要望先:国・県】
〇 適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進等の休日確保など、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進めるとともに、業界等の取組に対し支援措置を講じることを要望する。
〇 技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取組を行うとともに、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援等により生産性の向上を一層推進することを要望する。
4.公共工事設計労務単価の上昇【要望先:国・県】
〇 公共工事における設計労務単価は、東日本大震災への対応により、震災以前の水準に戻りつつあるが、製造業に比べ3.5%低い状況にあることから、製造業の生産労働者の賃金水準に追いつくよう引き上げを要望する。
〇 特に、2024年度から適用される建設業への時間外労働の上限規制を見据えた時、災害からの復旧·復興については適用しないとしているものの、将来的には一般則の適用を目指すとしている。しかし、道路除雪や維持工事については、対応時間が一定ではないことから、これらの対応への適用については厚生労働省と十分協議していただくとともに、賃金についても別枠で検討していただくよう要望する。
<農業政策の推進>
1.新型コロナウイルス感染症対策に係る農業政策の充実強化について
(1)影響の長期化をふまえた新型コロナウイルス関連対策の継続·強化【要望先:国・県】
〇 外食や旅行等が依然として低迷するなか、その影響を受け続けている農業者・地方が、影響を乗り越え、継続·発展できるよう、中小農業者等の省力化等を推進する経営継続補助金の継続措置、外国人実習生に代わる労働力確保に向けた支援の継続措置、厚生連病院等の経営対策の継続に加え、大きく需要を失った対策の拡充、困窮者対策を含む国産農畜産物の需要回復・拡大対策など万全な対策を講じること。
〇 今後の需給や価格、消費の動向等をふまえ、機動的な対策を講じること。
(2) 水田農業対策【要望先:国・県】
〇 需要減の要因を踏まえ、備蓄米買入枠を拡大するなどの特別対策や子ども食堂への無償提供など省庁を越えた米による食の支援拡充や効果的な需要拡大対策を強化することを要望する。
〇 コロナ禍の影響で小麦粉の価格が3~4倍程度高騰しているため、差額の補てんや国産(県産)米粉の利用促進を図るなど、原材料の安定供給対策を講じるよう要望する。
(3) 輸出拡大対策【要望先:国・県】
〇 現在、 県内JAにおいても鋭意取り組んでいるところであるが 輸出拡大に個々で取り組むには限界がある。したがって、新型コロナウイルス感染症の情勢を注視しつつ、県域として、生産者の農業所得増大のために物流システムの構築、輸出先の衛生基準などに対応した加工施設の整備、現地のバイヤー招聘や海外フェアなどプロモーションの展開による販路拡大といった一層の取り組み強化を要望する。
(4) 外国人技能実習生の入国制限緩和【要望先:国・県】
〇 コロナにより入国制限されているが、現地では入国する人が制限解除を待って、待機している状況となっている。技能実習生については計画的な受入継続が必要であり、それが崩れると現場での混乱をきたす可能性が大きい。ついては 実習生の入国制限の緩和を要望する。
(5) 全国和牛能力共進会上位入賞を目指した支援対策【要望先:県】
〇 全国和牛能力共進会で優秀な成績を収めることは、 本県の和牛能力の高さを全国に発信し、本県和牛市場における購買者増加、高価格取引の期待など有利販売が可能となり、生産者増頭意欲向上により県内生産盤対拡充ひいては生産者所得向上が期待されることから、引き続き支援対策を要望する。
2.ポストコロナ時代における持続可能な農業·農村づくり
(1)人口減少の本格化をふまえた多様な担い手の育成·確保【要望先:国・県】
〇 人口減少下において農地の持続的利用を確保するため、中小·家族経営や親元を含めた新規就農者、半農半X、サービス事業体、JAを含め、地域を支える多様な担い手の育成·確保の強化と人·農地プランの取り組み強化に向け、関連する法制度·補助事業·資金対策·税制を拡充すること。
〇 多様な担い手の生産·経営の向上をすすめるため、JA等が一体となった伴走機関の取り組みを強化する対策を講じるとともに、行政手続きの簡素化等に向けたDXの推進および伴走機関等への効率的な整備をすすめること。
〇 中小·家族経営を含む多様な担い手の経営安定に資するよう、ナラシ対策や野菜価格安定制度等を維持するとともに、野菜価格安定制度と収入保険との同時加入に関する特例措置の拡充·恒久化を行うなど、総合的なセーフティネット対策を実現すること。
(2)農地の維持、 集積·集約、 適正利用の推進【要望先:国・県】
〇 人口減少下において担い手の育成·確保を図りつつ、自給力確保に必要な農地面積の確保や、農業の持つ多面的機能を維持·発揮するため、優良農地の確保や農地の集積·集約、条件不利地における農地の維持等に向け、人·農地プランの法制化や農地中間管理機構の取り組みの抜本強化など、関連制度の見直し及び対策の拡充を行うこと。
〇 日本型直接支払をはじめ、粗放的な手法も含めた農地の維持·保全に向けた政策を充実・再構築すること。
(3)多様な人材や地域資源を活用した地方回帰·活性化の促進【要望先:国・県】
〇 コロナ禍を教訓とした地方回帰·活性化を加速化するため、半農半Xや関係人口の拡大に必要な経営多角化やサポート組織の支援拡充、農福連携·農泊の推進など、農村における所得と雇用の確保に向けた支援を強化·具体化するとともに、農村対策の総合化·ワンストップ化をすすめること。
〇 都市住民の農業の接点等として多面的機能を発揮している都市農業の推進を強化すること。
(4)グリーン (環境調和) 社会の実現に向けた環境整備【要望先:国・県】
〇 「みどりの食料システム戦略」 は、わが国がアジアモンスーンの立場から、国際的なルールメーキングに積極的に参画するとともに本戦略に掲げられた取り組みや目標の実効を確実なものとするため法制度の整備、税制、補助など、新たな施策を推進する仕組みを構築すること。
〇 気候条件や国士条件等のわが国の実情や国際的な動向をふまえ、関係者が大きく変わっていこうと意欲を持って取り組める全国的な数値目標等の設定に加え、関係者の十分な話し合いによる地域·品目に応じた目標設定や多様な取組モデルの提示など、地域の実態をふまえた取り組みを推進すること。
〇 現状との乖離を埋め、目標達成に向けた取り組みを推進するため、スマート農業の社会実装の加速化·情報通信基盤の整備等を含め、革新的な技術·生産体系·品種の開発·普及および低コスト化を実現するとともに、国土·環境保全等に関する支援を拡充するなど農業者の所得が十分確保される万全な施策を確立しつつ、今後の具体的な道筋を提示すること。
〇 国消国産·地産地消をはじめ、わが国の食料·農業·農村の理解醸成に向けた国民運動の継続·強化に加え、環境への対応に関する生産者·流通業者·消費者等の意識転換に向けた取り組みを官民一体となって展開すること。
〇 政策手法のグリーン化にあたっては、関係者との十分な協議を行いつつ、事業転換·再構築に向けた支援を措置するとともに、新たな技術等の社会実業状況をふまえた段階的な要件化等を行うこと。
3.品目別対策等
(1)水田農業対策【要望先:国・県】
〇 コロナ禍のなかで、米の需給変動をふまえながら、予期せぬ需要減に対する必要かつ万全な対策を講じること。その上で、水田リノベーション事業を含め水田フル活用に関する予算を拡充するとともに、関係者が一体となった推進ができるよう体制づくりと支援を行うこと。
〇 米の需給動向に応じた計画的な生産の実効性を高めるため、需給や価格の動向·見通しが生産現場までより正確かつ迅速に伝わる仕組みの構築など、これまでの制度の検証と所要の見直しを行うこと。
また、農産物検査については不適正表示を防止し、消費者の利益や表示への信頼性を確保できるよう行政が監視できる仕組みづくりを行うこと。
〇 麦·大豆の需要に応じた生産と安定供給をはかり、国産への切替をすすめるため、 国産の利活用促進、保管体制の強化、地域実態に応じた生産性向上など、万全な対策を講じること。
(2)畜産·酪農対策【要望先:国・県】
〇 増頭奨励金や畜産クラスター事業等の生産基盤対策を継続·拡充し、中小·家族経営を含めた生産基盤の維持·拡大をはかるとともに、持続的な畜産物生産に向け、国内飼料生産の拡大や飼料流通の合理化等の実証支援、家畜排せつ物処理技術の開発·実装、 耕畜連携等の取り組みをすすめること。
〇 生乳取引や需給のー層の安定に向けた万全な対策を講じるとともに、契約遵守の必要性等について、引き続き関係者への周知·普及啓発を行うこと。
〇 家畜防疫にかかる水際対策の徹底·強化のほか、行政も含めた地域一体となった衛生管理強化の取り組みの活性化や、衛生管理強化に必要な資材·設備の導入、施設の整備等に対する支援を拡充すること。
(3)青果対策【要望先:国・県】
〇 生産基盤の維持·強化をはかるため、産地生産基盤パワーアップ事業や強い農業·担い手づくり総合支援交付金等の生産基盤強化対策を十分かつ継続的に講じるとともに、堆肥等を活用した土づくりや再生可能エネルギーの活用、省エネ等の取り組みをすすめること。
〇 気候変動等による需給の不安定化等がすすむなか、緊急需給調整対策の実効確保に向けた充実·強化をはかるとともに、食用利用の拡大等に向けた産地の取り組みへの支援を強化すること。
(4)甘味資源作物対策【要望先:国・県】
〇 生産の安定·拡大をはかるため、経営安定対策や生産振興対策を引き続き講じるとともに、病害虫対策、消費拡大対策等を拡充すること。
(5)鳥獣害対策【要望先:国・県】
〇 鳥獣被害を確実に減少させるため、都道府県による広域捕獲活動の実施強化、地域の実情に応じた捕獲活動の強化、処理·供給体制の整備等によるジビエ利活用、これらの取り組みを担う人材育成の推進に向けた支援を拡充すること。
(6)災害復旧·復興対策等【要望先:国・県】
〇 災害が頻発化するなか、施設等の改良など災害に強い農業づくり対策を継続的かつ十分に措置するとともに、被災状況に応じた継続的かつ柔軟な復旧対策の措置·拡充、 関係省庁等と連携した支援体制を構築すること。
〇 霜によるリンゴ・ナシ等の果樹被害に対する安定供給対策や深刻な病害虫被害に対する次期作に向けた支援など、有効な対応策の早期確立に向けた支援を継続的に講じること。
4.国際対策、 規制改革対策等
(1)輸出拡大対策【要望先:国・県】
〇 原発事故による規制をはじめ各国の輸入規制緩和に向けた交渉の加速化のほか、オールジャパンでの取り組みを促進するため、加工食品の国産原料への切替優遇措置や輸出先国での冷蔵施設等の共同設置等への支援を創設·拡充すること。
〇 生産基盤強化と農業者の所得増大に向けて、重点品目の生産基盤強化、輸出産地での設備機器の導入、海外での知的財産の保護など、輸出産地への重点的な支援を具体化すること。
(2)国際貿易交渉対策【要望先:国・県】
〇 国内生産基盤の強化や海外需要を獲得するための国際競争力の強化に向け、TPP等関連政策大綱に基づく対策を継続的に講じること。
〇 TPP 協定への新規加盟国の扱いは、生産振興等に追加的な影響が生じないよう対応すること。牛肉セーフガードは、米国産牛肉を含めてTPP11全体の発動基準数量となるよう関係国との協議を加速すること。
(3)JA自己改革【要望先:国・県】
〇 改正農協法の5年後見直しや、 准組合員の事業利用規制のあり方の扱いなどについては、組合員の意見·評価に基づく自主的な改革をさらに後押しすること。
<農業農村整備の推進>
1.農業農村整備事業の安定的かつ計画的な促進について
(1) 農業農村整備事業予算の十分な確保【要望先:国・県】
〇 農業農村整備事業が計画的に進むよう、令和4年度農業農村整備事業関係当初予算について、要望に見合った十分な予算を確保すること。特にも、新規箇所の事業採択に向け地域との十分な調整を図り円滑な事業推進に配慮すること。
(2) 新規採択に向けた着実な調査計画の推進【要望先:国・県】
〇 スマート農業の導入や高収益作物への転換等に向けた生産基盤の強化と農村地域における国土強靱化に向けた防災·減災対策を着実に進めていくため、新規地区が計画的に採択にされるよう、引き続き、調査計画を推進すること。
(3) 土地改良区の運営体制の強化【要望先:国・県】
〇 土地改良区の運営体制の強化を図るために、貸借対照表の作成·公表に必要な新たな会計制度の定着とともに、ドローンをはじめとするデジタル技術の導入などによる施設管理の省力化に向けた取組を強化すること。
<森林整備の推進>
1.森林整備の促進について
(1)森林整備予算の確保【要望先:国・県】
〇 地球温暖化防止に貢献し、国土強靭化の実現に不可欠な「緑の社会資本」としての森林整備を促進するため、整備事業に必要な予算を十分に措置すること。
〇 特にも、伐採跡地の確実な再造林の実行、植栽木の健全な生長を促すための下刈り等保育関連事業の適期·適正な実行を促進するための森林整備予算の安定的確保についても要望する。
(2)森林所有者の所得(立木価格)向上対策【要望先:国・県】
〇 国産材の需要拡大により木材生産は活発化しているものの、立木価格や丸太価格は平成2年対比でそれぞれ2割、5割と価格低迷が続いている。森林所有者の所得向上を図るために、木材生産コストの低減と併せて国産材の需要拡大、特にも、新たな製品開発等によるスギ大径材の利用促進対策を講じると共に、森林資源の循環利用を推進し林業の成長産業化を強化することを要望する。
(3)新規就業者や林業経営の担い手の育成【要望先:国・県】
〇 森林経営管理制度や「森林環境譲与税」、「いわての森林づくり県民税」等を活用し森林環境保全の取組みを推進するため、新規就業者や林業経営の担い手の育成等を一層強化することを要望する。
〇 市町村や森林組合等の中核となる林業人材の育成対策を早急に強化することを要望する。
<水産業者の所得向上>
1.永続的な水産資源の確保と水産業者の所得向上について
(1)海洋環境の変動等に伴う主要水産物の確保対策等の強化【要望先:国・県】
〇 安定的なサケ資源造成に向けた変動要因の調査及びふ化放流事業に係る取組み、ほたてがい等の養殖業における生産性の向上·安定化、磯根資源回復に向けた磯焼け対策、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う水産物の消費拡大に向けた対策の充実強化を要望する。
(2)漁業協同組合等の経営基盤強化施策の充実強化【要望先:国・県】
〇 主要水産物の不振から、 震災時に融資を受けた漁協経営再建緊急支援資金の返済に支障をきたす漁業協同組合があることから、同資金の償還延長、更には新たな支援策の充実強化を要望する。
(3)生産性・持続可能性の高い漁業構造構築に向けた改正漁業法の運用【要望先:国・県】
〇 漁業法改正に伴う制度の運用に当たっては丁寧な説明·指導を行うとともに、漁業収入の減少補填対策や安定的な漁業経営に資する補償制度の充実強化を要望する。
(4)外国人技能実習生等の従業員確保への支援【要望先:国・県】
〇 外国人技能実習生の出入国の制限や辞退等により、労働力不足等が懸念される状況となっていることから、従業員確保のための支援措置を要望する。
(5)福島第一原子力発電所におけるアルプス処理水海洋放出について【要望先:国・県】
〇 福島第一原子力発電所におけるアルプス処理水の海洋放出について、国民の理解が十分に進んでいるとは言えない。被害を受ける漁業関係者をはじめとする県民の思いを真摯に受け止め、海洋放出について十分な説明と慎重な対応をおこなうこと。併せて、より具体的な風評被害強化対策を示すことを要望する。
< 中小・小規模事業者の育成と雇用の創出>
1.小規模事業者の持続的発展に向けた環境整備
(1)各種施策の活用促進や負担軽減のための要件緩和【要望先:国】
〇 事業再構築補助金やコロナ関係の各種給付金等小規模事業者等に対する支援策は拡充されているが、要件のハードルが高くせっかくの施策が活用しにくい場合や、売上減少等の要件に届かず申請できないなど、施策の効果が減殺されていることから、要件緩和を図ること。
〇 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける事業者や、昨今頻発している災害によって被災した事業者にとっては、補助事業の自己負担部分が一層重くなっていることから、補助率の引き上げを図ること。
(2)事業承継・創業の推進【要望先:国】
〇 地域経済の持続的発展及び経営資源の集約化による小規模事業者の生産性向上を図るため、事業承継補助金やプッシュ型事業承継支援高度化事業をはじめとする事業承継支援策の継続及び更なる拡充を図ること。
〇 事業承継を機に経営革新等に取り組む小規模事業者を対象とした「事業承継マル経」を別枠(貸付限度額の引き上げ)で創設すること。
〇 地域における創業、第2創業を促進するため、地域創業支援補助金を創設するとともに、廃業予定者や空き店舗と事業承継者や移住・定住者とのマッチング支援のための施策を講じること。
(3)社会保障費負担の軽減【要望先:国】
〇 社会保障のための企業の年金、健康保険、介護保険、子ども・子育て拠出金等の負担は、年々重くなっている。さらに、年金の適用拡大や健康保険料の引上げ等が見込まれ、今後、ますます負担が重くなることから、社会保障制度全般について抜本的に見直し、中小・小規模事業者の負担を軽減すること。
(4)補助事業等の申請手続きの簡素化等【要望先:国】
① 申請手続きの簡素化
申請等の書類作成業務は慣れていない小規模事業者は多くいることから、申請等の手続きにあたっては、極力簡素化するよう十分に配慮を行うこと。
② 電子申請システムの改修
小規模事業者持続化補助金等で電子申請(J-grants)について、支援の現場である商工会等が携わることが出来ないシステムとなっているため、実務の流れに沿ったシステムに改修すること。
(5)最低賃金引上げの一時留保【要望先:国】
〇 現下のコロナ禍において、中小・小規模事業者の多くは雇用調整助成金等で何とか雇用を維持している状況であり、このような状況の中でこれ以上最低賃金を引き上げることは、事業継続や雇用維持に重大な影響を及ぼしかねないことから、コロナ禍が終息し経済の好循環が生み出されるなど最低賃金の引上げ環境が整うまでの間、引き上げを一時留保すること。
(6)ポストコロナにおける人手不足対策の実施【要望先:国】
〇 労働力不足対策として期待される外国人労働者が、コロナ禍により入国できなくなるなど現在でも人手不足の状態にあるが、ポストコロナ社会下では人手不足に一層拍車がかかることが想定されることから対策を講じること。
(7)東日本大震災被災地域経済牽引産業の創出【要望先:国・県】
〇 東日本大震災津波で被災した沿岸地区は、急激な人口減や主要魚種の不漁による水産加工業の低迷等経済の縮小が進んでいることから、交通インフラ整備を活用した流通事業者の誘致等被災地域経済を牽引する産業の創出対策を強化すること。
2.中小・小規模事業者に係る税制改正
(1)消費税制度の見直し【要望先:国】
① 軽減税率制度の抜本的見直し
中小・小規模事業者への事務等の負担が大きい消費税の軽減税率制度については、本来の導入の目的である低所得者対策の効果を検証しつつ、事務負担軽減のための抜本的な見直しを求める。
② インボイス制度の凍結
インボイス制度の導入については、免税事業者が取引から排除される可能性があること、フリーランス等の帳簿整備が不十分である実態を勘案し、当面の間の凍結を求める。
(2)中小企業・小規模事業者の活力向上のための税制改正【要望先:国】
① 中小企業における交際費等の全額損金算入特例の適用期限の延長
販売促進の手段が限られている中小企業にとって、交際費は営業基盤の強化や新規顧客の獲得に不可欠なものであることから、800万円以下の交際費等の全額損金算入特例については、適用期限を延長することを要望する。
② 中小企業者等の少額減価償却資産の全額損金算入特例の適用期限の延長
中小企業者等の30万円未満の少額減価償却資産の損金算入特例は、人的資源の乏しい中小企業の事務負担を軽減するものであり、中小企業にとって欠かせない制度として定着していることから、適用期限を延長することを要望する。
③ 産業競争力強化法の認定に基づく登録免許税の軽減措置の適用期限の延長
地域において新たな事業を生み出すことは、地域経済の活性化のためには不可欠であることから、産業競争力強化法の認定を受けた計画にしたがって会社設立や増資等を行う場合の登録免許税の軽減措置について、適用期限を延長することを要望する。
④ 外形標準課税の中小法人への適用拡大の反対
給与総額や資本金等を課税対象とする外形標準課税を中小企業にも新たに適用することは、地域の雇用や賃金引き上げを抑制するばかりでなく、担税力の低い中小企業の経営に多大な悪影響を与えることから、中小企業には適用しないよう要望する。
< 物流の効率化と生産性向上対策>
(1) 自動車関係諸税の負担軽減措置【要望先:国】
〇 国民生活と産業活動に必要不可欠なトラック運送事業の事業維持、継続のため、法人税、消費税、自動車関係諸税等国税・地方税の納付猶予及び中小事業者等に対する固定資産税等の減免措置の延長等負担軽減措置を講じられたい。
(2) 雇用調整助成金の特例措置の延長【要望先:国・県】
〇 ドライバーの雇用の継続のため、新型コロナウイルスによる問題が一段落するまでの間、雇用調整助成金の特例措置を延長すること等各種助成金による支援を強く要望する。
(3) 働き方改革実現のための諸対策の推進【要望先:国・県】
〇 中小トラック運送事業者における働き方改革の一層の推進を図るため、荷主と一体となった生産性の向上や労働力確保につながる労働環境の改善等、各事業者が働き方改革に取り組んで行くための支援策の充実・拡大を要望する。
(4) 高速料金の割引の拡充【要望先:国】
〇 高速道路の利用は、ドライバーの拘束時間短縮等働き方改革の実現、輸送時間の短縮及び定時制の確保等生産性の向上の実現に不可欠のものであることから、深夜割引の拡充、長距離逓減制の割引の拡充を要望する。
(5) 休憩・休息施設、中継物流拠点の整備・拡充【要望先:国・県】
〇 平常時・災害時を問わず安定的な輸送を確保できるよう、SA・PA、道の駅における大型車、特大車用駐車スペースの整備・拡充、シャワー施設の設置箇所拡大等休憩・休息施設の充実、中継物流拠点の設置箇所の拡充を要望する。
< 住宅ストックの推進>
(1) 賃貸マンション等の「大規模修繕積立金」を課税対象外とすること。【要望先:国】
〇 賃貸マンション等を単独所有している場合、計画修繕ができるように積立てた修繕積立金は必要経費に算入することは認められていない。分譲マンションと同様に「大規模修繕積立金」を必要経費に算入できることとし、課税対象外とすること。
(2) 生活保護受給者の住宅扶助費等は、原則、家主または不動産管理会社へ直接支払う代理納付とすること。【要望先:国・県】
〇 生活保護受給者の住宅扶助費等の代理納付の割合は、公営住宅は約6割となっているが、民間賃貸住宅は約2割と未だ低い状況にある。国、地方自治体が連携し、民間賃貸住宅についても少なくとも公営住宅の約6割の水準まで代理納付を推進すること。
(3) 外国人労働者の受入れ分野に、不動産業 (賃貸住宅管理業等) も加えること。
「簡易宿所」が対象から除外されているのでこれを加えること。【要望先:国・県】
〇 出入国管理法が改正され、2019年4月から新たな在留資格が創設され、外国人労働者の受入れが拡大された。現在、14業種が受入れ分野として挙げられているが、業務の内容、必要性からして不動産業 (賃貸住宅管理業等) も対象分野に加えること。
〇 「宿泊業」 は14分野の1つとして認められているが、旅館業法に規定されている 「簡易宿所」 については対象から除外されているのでこれを加えること。
(4) 家主が安心して住宅を賃貸できるよう、 簡便な方法で遺品並びに残置物を処分できる仕組みを構築すること。【要望先:国・県】
〇 入居者の遺品については、 相続人が故人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされ、処分には原則、全員の同意が必要となる。入居していた単身高齢者が亡くなられた場合、遺品を処分して退去するまでに、相当の時間、費用を要する場合もあることから、家主が安心して住宅を賃貸できるよう、簡便な方法で遺品を処分できる仕組みを構築すること。また、入居者が行方不明等により物件に残置物がある場合についても、同様に残置物を簡便に処分できる仕組みを構築すること。
<戦傷病者及び戦没者遺族への援護>
1 戦没者遺族の処遇改善【要望先:国・県】
(1) 戦没者遺族の今日までの歩みに配慮し、高齢化著しい事情等を考慮され、公務扶助料や次期特別弔慰金の受給要件の緩和、増額について要望する。
(2) 第11回特別弔慰金制度が令和7年3月31日で終了することから、次期特別弔慰金の制度創設について、要望する。
2 県内自治体からの支援・協力【要望先:県】
(1) 県内自治体援護担当部署に、遺族会担当窓口の設置を要望する。
(2) 県内遺族会における市町村からの補助金・活動助成金に大きな開きが生じていることから、格差是正に向けて特段の配慮をされるよう要望する。
3 英霊顕彰【要望先:国・県】
(1) 岩手県戦没者追悼式や岩手護国神社例大祭への市町村長、議員の参列について、ご配慮いただくとともに、参列者の対象範囲を戦没者の曾孫や甥、姪、児童生徒の参列を含め検討願う。
(2) 沖縄 「岩手の塔」 慰霊祭への継続助成について、要望するとともに、県内各地の建立されている戦没者慰霊碑の維持管理への支援について要望する。
第3弾新型コロナウイルス感染症への 政府要望(令和2年7月7日)
2020.08.24
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、5月14日に本県を含む39県で解除、さらに5月25日には全面解除となりました。
本県においては、全国で唯一感染者の確認がないものの、全国同様、飲食業を含む中小企業・小規模企業者、交通事業者、農林漁業者、観光関連事業者等が厳しい経済状況に置かれ、県内の経済活動や県民生活に甚大な影響をもたらしています。
また、全国で一部の地域を除き感染再拡大の兆候は見られないものの、第2波、第3波の発生も懸念され、警戒態勢の継続が求められる中、医療機関では、防護服・フェイスシールド・N95マスクなどの資材が未だに不足している状況にあります。
さらに、東日本大震災津波や相次ぐ台風災害からの復興と「なりわいの再生」に向け、観光需要の発掘や震災で失われた販路の確保、二重債務問題の解決に取組んできた矢先に、今般の新型コロナウイルス感染症により、地域経済への影響は極めて深刻であります。
このため、自由民主党岩手県連新型コロナウイルス感染症対策本部では、改めて県内各種団体から2度目のヒアリングを行い、さらに県内全市町村を訪問し、直面する課題と要望調査を実施したところであります。
つきましては、感染症対策は広範かつ長期化が予想されることから、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」、さらに「第2次補正予算」を踏まえつつ、政府においては、感染症対策の充実・強化とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じられるよう要望いたします。
1 医療提供体制の強化等
(1)地域の実情に応じた検査体制の強化
〇 感染者を早期発見し感染拡大を防ぐため、PCR検査件数の増加が図られるよう、地域の実情に応じた検査体制を構築するほか、保健所等の体制を充実させること。また、必要な外来診療が適切かつ速やかに受診できるよう医療提供体制に万全を期すこと。
〇 唾液での検査や抗体検査の併用など、医療資源が乏しい地域でも対応できる現実的な検査体制のあり方を検討し、早期に提示すること。
〇 PCR検査や疫学的調査等検査体制の一層の強化及び受検機会の拡大を図るとともに、ワクチンの早期実用化に向けて関係機関と連携し迅速に開発等を進め、早期実用化を図ること。
(2)感染症拡大防止及び医療体制の構築
〇 二次医療圏毎に外来を担当する医療機関や入院病床・集中治療室(ICU病床)等の準備を進めるとともに、軽症者が利用する宿泊施設等の準備を進めるなど、医療体制の構築を図ること。
〇 診療等に当たる医療従事者への危険手当と災害補償(保険)、慰労金の支給に対しての財政措置を講じること。
〇 災害補償としての保険制度について、国全体の制度になるよう検討すること。
〇 救急車や救急隊が感染すると一般救急搬送に重大な影響を及ぼすことから、予め自衛隊との連携も視野に入れ救急搬送体制の整備を図ること。
〇 特効薬及びワクチンの一刻も早い実用化を図るとともに、検査・医療提供体制を構築すること。
(3)軽度感染者や家族等への支援体制の構築
〇 二次医療圏毎に軽症者や家族、帰宅困難時の医療従事者のための宿泊施設の更なる確保並びに宿泊療養施設等への搬送支援の充実を図ること。
〇 感染症患者の家族に要介護者や障がい者、子ども等がいる場合、既存施設での受入れは、事実上、不可能であることから、ホテル等の受入施設や介護職員等の人材確保について万全を期すこと。
〇 医療や福祉施設、学校など特に事業継続が求められる業種の従事者(いわゆるエッセンシャルワーカー)の健康観察期間中に宿泊施設を利用する際、事業者や自治体、従業員本人の負担を前提としない特例的な措置を検討すること。
(4)医療機関等への運営支援
〇 一般外来が大幅に減少し、病院経営が厳しさを増してきていることから、医療提供体制を維持するためにも医療機関への財政支援を含めた大胆な支援策を検討すること。
〇 感染症病棟や軽症者受入施設、自宅療養者への適切な歯科医療を提供するため、災害時歯科保健医療提供体制整備事業を活用し、ポータブルユニット及びポータブルX線機器の整備を検討すること。
〇 薬局薬剤師が感染するなど、やむを得ない状況で閉局する場合の休業補償を検討すること。
〇 感染者発生時において地方自治体職員のマンパワー不足が懸念されることから、国において、専門業者への消毒業務の委託を視野に入れた仕組みを検討すること。
(5)感染予防資材等の確保と配布
〇 医療機関や薬局、クラスター発生リスクの高い施設などにおける医療用マスク、手指用消毒液及び防護服、フェイスシールド、N95マスクなどの必要物資の確保と配布を行うこと。
〇 介護・福祉施設、教育・保育施設、バスやタクシーの交通事業者等の現場ニーズに応えられるよう、マスク、アルコール消毒液といった感染予防資材の確保・供給体制に万全を期すこと。
〇 関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた感染予防資材の備蓄体制を強化すること。
(6)特段の配慮が必要な高齢者等への対策
〇 感染時に特段の配慮が必要とされる、一人暮らしの高齢者や医療的ケア児、ひとり親家庭、妊産婦等に対して、地域医療連携体制を強化し的確な支援策を講じること。
〇 要介護高齢者等を在宅介護している世帯において、主介護者が感染した場合、残された要介護者は濃厚接触者として介護サービスの利用が難しくなることから、要介護高齢者等が短期宿泊できる施設を確保すること。
〇 感染発生などによる介護サービスの休止や介護・看護職員などに不足が生じ、介護サービス事業の持続的な運営に支障が出ることが懸念されることから、経営が悪化した場合の介護サービス事業所に対する財政支援や人材確保支援などの運営支援を実施すること。
(7)避難所開設への支援
〇 災害時の避難所における感染防止を図るため、宿泊施設の借上げ費用及び施設使用後の消毒費用、防護服やパーテーション等の購入費用、移送費用など、災害時の避難所運営体制の充実に要する経費に対し、十分な財政措置を講じること。
〇 災害発生時において、避難所開設時における感染症対策は必須であることから、国、県における避難所への必要物資の支援体制を構築すること。また、避難所開設時における感染症防止対策費(施設借り上げ料など)については災害対策費として財政措置を講じること。
2 地域経済対策
(1)中小・小規模事業者等への支援
① 持続化給付金等の速やかな交付等
〇 持続化給付金の対象要件の拡充と継続的な給付を図るとともに、速やかに交付するため申請支援相談窓口の体制を充実させること。また、給付額の増額を図るとともに、地域事情を踏まえながら、複数回の給付についても早急に検討を進めること。
〇 複数の事業所がある場合であっても、法人単位での給付とされていることから、事業所単位での給付を可能とすること。
〇 地方自治体の制度融資を活用した民間金融機関の実質無利子・無担保融資、雇用調整助成金、家賃補助、持続化給付金等の拡充や複数回支給等について、長期的継続的な観点から支援すること。
〇 借地料の対象化や補助期間の拡大等、家賃補助制度を拡充し支援を強化すること。
〇 地域の事業者が事業を継続し雇用が維持されるよう、大規模な第2、第3の追加経済対策を行い、事業者の不安を解消すること。
〇 申請手続きに当たっては、可能な限り簡素な手続きにするとともに、速やかな給付が行われる体制を構築すること。
② 特別融資制度の無利子期間の延長等
〇 新型コロナウイルス感染症特別貸付について、無利子期間(現行3年)を5年から10年程度に延長すること。また、80%信用保証付きの既往債務の100%保証特別貸付への借換は禁止されていることから、特例措置として借換可能な制度とすること。
〇 2重ローン対策として、ローンの一本化に対する支援制度を構築するとともに、ローンの返済額も経費とみなすなど、新たな税制について検討を進めること。
③ 雇用調整助成金の拡充と迅速な交付
〇 雇用調整助成金の申請手続きの更なる簡素化を図るとともに、手続きの煩雑さが原因で事業主が休業手当の支払いに躊躇することがないように、申請支援体制を強化すること。
〇 東日本大震災の際に導入された「みなし失業」(休業者への直接給付)の制度化について、早急に検討し実現すること。
〇 6月までの緊急対応期間について、感染症拡大の情勢を鑑み、その期間延長について柔軟に対応すること。
〇 雇用調整助成金の特例措置(中小企業は休業手当10/10)は、緊急事態宣言を発出した県の要請により協力して休業等を行っている事業主が対象となっているが、活動自粛しているすべての事業主を対象として取り扱うこと。
〇 雇用調整助成金の自己申請が困難な中小企業者が、社会保険労務士に委託して申請する場合、その費用に対する支援制度を創設すること。
〇 個人事業主・フリーランス等の無手当休業者に対しても、雇用調整助成金等と同様に全国一律の支援を講じること。
④ 低所得世帯等への支援
〇 低所得世帯等を支援する緊急的施策に加えて、長期的な視野に立った生活資金の確保や子育て支援等の施策を講じること。
〇 感染症拡大の影響による離職者や廃業した事業者に対する新たな就労の場を創出するとともに、経営悪化を理由とした社会的弱者の失職時における経済的支援策を検討すること。
〇 国の支援策を受けて市町村独自で実施している支援策(子育て世帯臨時特別給付金など)に対して交付金等の財政措置を遡及して適用するよう対策を講じること。
〇 小学校等の臨時休業時における個人事業主・フリーランス等への支援は、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援制度と同様の支援を行うこと。
(2)観光産業等第三次産業に対する支援
〇 観光業やイベント自粛により経営を圧迫している事業者に対して経営安定対策を講じるほか、プレミアム付きの商品券や宿泊券発行など、自由度が高く地方負担を軽減する柔軟な交付金制度の創設など必要かつ十分な経済政策を図ること。
〇 プレミアム商品券の発行等を検討している市町村があることから、現在実施しているキャッシュレス決済によるポイント還元期間を延長するとともに、地域内の消費促進に資する更なる強化策を講じること。
〇 「Go Toキャンペーン」の効果が、一部地域のみの利用促進とならないよう配慮するとともに、第二、第三のキャンペーンを効果的に実施すること。
〇 新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに従った対策を講じる観光関連事業者に対する必要な費用の助成を行うこと。
(3)生産性革命推進事業の拡充
〇 ものづくり・商業・サービス補助金、持続化補助金、IT導入補助金を活用した生産性革命推進事業に取り組む場合、特別枠により採択できるよう予算措置を講じること。
〇 当該事業により取得した設備に対する固定資産税の軽減措置を講じるとともに、固定資産税の減収に伴う地方自治体への財政支援措置を講じること。
〇 生産性向上や新しい生活様式に即した事業展開に取組む事業者の設備投資を強力に支援するため、ものづくり補助金における賃金引上げ等の補助金の対象要件を一時的に撤廃すること。
〇 ドライバー不足など厳しい状況にある物流業者の輸送力を維持確保していくため、高速料金を無償化にする等事業者に対する支援を講じること。
(4)農林水産業への支援
① 消費拡大対策と相談体制
〇 牛肉や魚介類等農林水産物の収入減により農林漁業者の経営を圧迫していることから、収入減少に対応する経営安定対策や販路拡大等の取組みを強化するとともに、消費拡大対策を講じること。
〇 農林水産物の価格の下落や生産資材の調達が滞るなど、影響の長期化が見込まれることから、持続化給付金の支給要件の緩和など支援策を講じること。
〇 外国人技能実習生の代替要員に対する掛かり増し経費に活用する「農業労働力確保緊急対策事業」を拡充し、農業と異業種とのコラボレーションを進めるための経費の拡充を図ること。
〇 業務用米の販売数量が落ち込み、急激な米価下落が懸念されることから、米の政府買入れによる市場隔離の実施等、主食用米の価格安定に向けた対策を講じること。
② 畜産事業者への支援拡充
〇 肉用牛や花きなどの価格低下に伴う生産者の経営が悪化している状況を踏まえ、肉用牛経営安定交付金制度の交付金の補填割合の拡充や加工品を含めた消費喚起対策の実施など、事業継続可能な支援を講じること。
〇 枝肉価格の回復のため、「和牛肉等販売促進緊急対策事業」の強化と「肉用子牛流通円滑化等緊急対策事業」における家畜市場の対象期間の延長、併せて都道府県肉用子牛生産者補給金及び肉用牛肥育経営安定化交付金の早期交付すること。
③ 地域漁業の経営存続への支援
〇 水産物の価格下落などによる漁業者、水産流通加工業者に対する影響を注視し、持続化給付金や漁業共済の対象外となる減収への支援など、必要な対策を講じること。
〇 海産物価格の低迷で厳しい状況にある地域漁業の存続を支援するため、漁業収入安定対策事業の加入金の支援並びに加入の条件等を緩和すること。
④ 木材及び木材製品の需要の早期回復
〇 原木の受入制限により林業事業者の業績が悪化していることから、木材及び木材製品の需要の早期回復に向けて万全の対策を講じること。また、中国向けのパルプの輸出について早期再開への対策を講じること。
(5)公共交通の維持確保
〇 公共交通事業は、利用者の激減により収益が悪化していることから、輸送量要件の緩和など、既存制度の要件緩和を行うとともに新たな支援制度を構築すること。
〇 感染を防護するマスクや消毒液等の衛生機材の確保に向けた支援を強化すること。
〇 休車バス等に係る定期点検義務の実施の特例について、適用期間を延長すること。
〇 新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、地域公共交通確保維持改善事業及び地域バス交通支援事業について、補助要件の緩和及び補助率の引上げなど財政支援の拡充を図ること。
〇 地域交通の存続のため、緊急事態宣言期間における広域バス路線の減収補填について特例措置を講じること。
〇 タクシー事業者を含む交通事業者の事業継続を支援する恒久的な仕組みを構築すること。
3 新たな生活様式による県民への影響の対策等
(1)新しい生活様式導入による対策支援
〇 「新しい生活様式」を導入するにあたり、医療機関をはじめ理美容室、飲食店、交通事業者等の衛生環境整備に資する費用面と物資面の両面にわたる支援について、特段の配慮すること。
〇 対面接触を抑制するための改装やアクリル板等の購入、個室や仕切り板により新規設備導入等、新たな経営転換に取組む中小企業・個人事業者等への補助・助成制度の創設、既存制度の補助率や補助対象の拡充等、新たな生活様式に対応した事業所等への環境整備支援を講じること。
(2)テレワーク等のシステム導入支援
〇 地方自治体におけるテレワークやオンライン会議の導入に係るシステムの経費に対し、特別交付税措置や補助事業などによる十分な財政措置を講じること。
〇 テレワーク、オンライン会議等の導入に積極的に取り組む事業者に対し、パソコン、回線工事、システム導入などの初期導入費用の支援を講じること。
(3)公共施設管理運営等に関する支援
〇 公共施設を管理運営している指定管理者も収入が激減していることから、運営継続可能な支援を講じること。
〇 社会教育・文化施設における赤外線サーモグラフィー、非接触型体温計などの整備に係る助成制度を拡充すること。
(4)国民への影響対策等
〇 感染防止対策の状況を踏まえつつ、長期間にわたる過度なイベントや会合等の自粛要請とならないよう配慮すること。
〇 地域の事業者等が事業を継続し雇用が維持されるよう国として十分な追加経済対策を講じるとともに、感染症対策を含む地域中小企業のBCP策定に対する支援を充実させること。
4 教育機会の確保と相談体制等
(1)GIGAスクール構想実現に向けた財政支援
〇 児童生徒への1人1台端末整備、学校ネットワーク環境整備及び緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備等を早急に実現し、学びの補償・支援を確実に実施するため、国からの補助率の引上げ及び定額補助額の増額を実施すること。
〇 国による財政支援の拡充とともに、資材不足による整備の遅れが予想されることから、翌年度への繰越や次年度以降の整備に対しても財政措置を継続するなど、柔軟な対応を講じること。
〇 整備に関して国庫補助や起債が認められているが、教師用の端末は補助対象外であるなど。多額の地方負担が生じる制度となっていることから、補助率の引上げや、補助対象の拡大等の措置を講ずること。
〇 遠隔授業に対応するため、LTE回線に係る通信費用を支援すること。
(2)就学援助費の拡充
〇 就学が困難となった児童生徒の保護者に対し、就学援助に係る費用を東日本大震災の際と同様に全額国庫負担とすること。
〇 アルバイト収入が減った学生への学費や生活支援制度の創設を早急に検討すること。
〇 地方自治体が独自で修学継続が困難な大学生等を支援する事業を実施する場合、必要な財源措置を講じること。
(3)相談体制の充実強化
〇 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを配置できるよう、国や県の財政支援を講じること。
5 東日本大震災被災事業所等への支援
(1)産業再生特区制度の特例措置
〇 産業再生特区制度の対象期間を新型コロナウイルス感染症の経済への影響が終息するまでの間、対象期間を延長するなど、特例措置を講じること。
(2)グループ補助金等の延長
〇 「中小企業等復旧・復興支援事業(グループ補助金)」及び「中小企業被災資産復旧事業費補助金」について、令和2年度までの事業・清算完了が困難な案件が出てくる恐れがあることから、翌年度への繰越を認めるなど、特例措置を講じること。
(3)被災事業者の二重ローン・三重ローンに対する支援
〇 東日本大震災等からの復興に伴う被災事業者の二重ローン対策を講じること。既存借入金の返済猶予などの柔軟な取り扱いについて、国や県から金融機関に対しこれまで以上に強力に要請すること。
(4)被災地でのサテライトオフィス整備に対する支援
〇 現在の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、空き家をリノベーションしてサテライトオフィスを整備するようなハード整備に活用できないため、被災地におけるポスト・コロナ時代に対応する新たなビジネス環境の整備について、特段の配慮を講じること。
6 地方自治体の負担に対する適切な財源措置等
(1)地方創生臨時交付金の大幅な増額と柔軟な活用
〇 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額など更なる財政措置を講じること。また、感染未確認地域においても感染予防対策や経済対策が必要な状況を考慮した算定方法にするとともに、市町村の自由裁量で地域の実情に応じた様々な課題に柔軟に活用できるような制度とすること。
(2)地方自治体独自の事業者支援策実施に係る財政措置
〇 感染症に関する緊急対応策の実施に際して、地方自治体の財政運営に支障が生じることのないよう適切な財政措置を講じること。また、地方自治体が実施する事業者支援策に要する経費に対して、地域経済の回復が長期間を要する可能性も踏まえ、継続的、かつ、十分な財政支援を実施すること。
(3)地方交付税の配分前倒しと減収補てん債の対象税目拡充
〇 地方税の徴収猶予については、全ての税目にわたることにより多額の未収が想定されることから、地方交付税の配分前倒しや減収補てん債の対象税目の拡充など、地方自治体の財政運営に支障が生ずることのないよう万全の対策を講じること。
(4)基金の創設
〇 緊急時の迅速な対応や市町村の実情に応じた事業を柔軟に実施するための基金創設と基金造成資金を支援すること。
(5)国、県と市町村の連携強化
〇 国または県と市町村との間で、迅速かつ総合的な情報共有と意見交換の機会を増やし、連携の強化を一層図ること。
第3弾新型コロナウイルス感染症への 知事要望(令和2年6月11日)
2020.08.24
新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言は、5月14日に本県を含む39県で解除、さらに5月25日には全面解除となりました。
本県においては、全国で唯一感染者の確認がないものの、全国同様、飲食業を含む中小企業・小規模企業者、交通事業者、農林漁業者、観光関連事業者等が厳しい経済状況に置かれ、県内の経済活動や県民生活に甚大な影響をもたらしています。
また、全国で一部の地域を除き感染再拡大の兆候は見られないものの、第2波、第3波の発生も懸念され、警戒態勢の継続が求められる中、医療機関では、防護服・フェイスシールド・N95マスクなどの資材が未だに不足している状況にあります。
さらに、東日本大震災津波や相次ぐ台風災害からの復興と「なりわいの再生」に向け、観光需要の発掘や震災で失われた販路の確保、二重債務問題の解決に取組んできた矢先に、今般の新型コロナウイルス感染症により、地域経済への影響は極めて深刻であります。
このため、自由民主党岩手県連新型コロナウイルス感染症対策本部では、改めて県内各種団体から2度目のヒアリングを行い、さらに県内全市町村を訪問し、直面する課題と要望調査を実施したところであります。
つきましては、感染症対策は広範かつ長期化が予想されることから、「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」、さらに審議中の「第2次補正予算」を踏まえつつ、県においては、感染症対策の充実・強化とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じられるよう要望いたします。
1 医療提供体制の強化等
(1)地域の実情に応じた検査体制の強化
〇 感染者を早期発見し感染拡大を防ぐため、PCR検査件数の増加が図られるよう、地域の実情に応じた検査体制を構築するほか、保健所等の体制を充実させること。また、必要な外来診療が適切かつ速やかに受診できるよう医療提供体制に万全を期すこと。
〇 唾液での検査や抗体検査の併用など、医療資源が乏しい地域でも対応できる現実的な検査体制のあり方を検討し、早期に提示すること。
〇 2次医療圏ごとに設置する発熱外来・地域外来検査センターの協議がまとまらない地域があることから、県の責任において圏域ごとの設置・運営に係る調整を行うこと。
〇 地域外来・検査センターで検体採取に協力する歯科医師等への事前研修を早期に実施するとともに、研修に要する十分な予算措置を講じること。
〇 PCR検査や疫学的調査等検査体制の一層の強化及び受検機会の拡大を図るとともに、ワクチンの早期実用化に向けて関係機関と連携し迅速に開発等を進め、早期実用化を図ること。
(2)感染症拡大防止及び医療体制の構築
〇 二次医療圏毎に外来を担当する医療機関や入院病床・集中治療室(ICU病床)等の準備を進めるとともに、軽症者が利用する宿泊施設等の準備を進めるなど、医療体制の構築を図ること。
〇 二次医療圏毎に感染症病床数や軽症者等宿泊部屋数、空き病床数の情報を地域住民に開示すること。
〇 診療等に当たる医療従事者への危険手当と災害補償(保険)、慰労金の支給に対しての財政措置を講じること。
〇 災害補償としての保険制度について、国全体としての制度になるよう政府へ働きかけること。
〇 救急車や救急隊が感染すると一般救急搬送に重大な影響を及ぼすことから、予め自衛隊との連携も視野に入れ救急搬送体制の整備を図ること。
〇 特効薬及びワクチンの一刻も早い実用化を国に働きかけるとともに、検査・医療提供体制を構築すること。
(3)軽度感染者や家族等への支援体制の構築
〇 二次医療圏毎に軽症者や家族、帰宅困難時の医療従事者のための宿泊施設の更なる確保並びに宿泊療養施設等への搬送支援の充実を図ること。
〇 感染症患者の家族に要介護者や障がい者、子ども等がいる場合、既存施設での受入れは、事実上、不可能であることから、ホテル等の受入施設や介護職員等の人材確保について万全を期すこと。
〇 医療や福祉施設、学校など特に事業継続が求められる業種の従事者(いわゆるエッセンシャルワーカー)の健康観察期間中に宿泊施設を利用する際、事業者や自治体、従業員本人の負担を前提としない特例的な措置を検討すること。
(4)医療機関等への運営支援
〇 一般外来が大幅に減少し、病院経営が厳しさを増してきていることから、医療提供体制を維持するためにも医療機関への財政支援を含めた大胆な支援策を検討すること。
〇 感染症病棟や軽症者受入施設、自宅療養者への適切な歯科医療を提供するため、災害時歯科保健医療提供体制整備事業を活用し、ポータブルユニット及びポータブルX線機器の整備を検討すること。
〇 薬局薬剤師が感染するなど、やむを得ない状況で閉局する場合の休業補償を検討すること。
〇 感染者発生時において市町村職員のマンパワー不足が懸念されることから、県において、専門業者への消毒業務の委託を視野に入れた仕組みを検討すること。
(5)感染予防資材等の確保と配布
〇 医療機関や薬局、クラスター発生リスクの高い施設などにおける医療用マスク、手指用消毒液及び防護服、フェイスシールド、N95マスクなどの必要物資の確保と配布を行うこと。
〇 介護・福祉施設、教育・保育施設、バスやタクシーの交通事業者等の現場ニーズに応えられるよう、マスク、アルコール消毒液といった感染予防資材の確保・供給体制に万全を期すこと。
〇 関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた感染予防資材の備蓄体制を強化すること。
(6)特段の配慮が必要な高齢者等への対策
〇 感染時に特段の配慮が必要とされる、一人暮らしの高齢者や医療的ケア児やひとり親家庭、妊産婦等に対して、地域医療連携体制を強化し的確な支援策を講じること。
〇 要介護高齢者等を在宅介護している世帯において、主介護者が感染した場合、残された要介護者は濃厚接触者として介護サービスの利用が難しくなることから、要介護高齢者等が短期宿泊できる施設を確保すること。
〇 感染発生などによる介護サービスの休止や介護・看護職員などに不足が生じ、介護サービス事業の持続的な運営に支障が出ることが懸念されることから、経営が悪化した場合の介護サービス事業所に対する財政支援や人材確保支援などの運営支援を実施すること。
(7)避難所開設への支援
〇 災害時の避難所における感染症の感染防止を図るため、宿泊施設の借上げ費用及び施設使用後の消毒費用、防護服やパーテーション等の購入費用、移送費用など、災害時の避難所運営体制の充実に要する経費に対し、十分な財政措置を講じること。
〇 災害発生時において、避難所開設時における感染症対策は必須であることから、国、県における避難所への必要物資の支援体制を構築すること。また、避難所開設時における感染症防止対策費(施設借り上げ料など)については災害対策費として財政措置を講じること。
2 地域経済対策
(1)中小・小規模事業者等への支援
① 持続化給付金等の速やかな交付等
〇 持続化給付金の対象要件の拡充と継続的な給付を図るとともに、速やかに交付するため申請支援相談窓口の体制を充実させること。また、給付額の増額を図るとともに、地域事情を踏まえながら、複数回の給付についても早急に検討を進めること。
〇 複数の事業所がある場合であっても、法人単位での給付とされていることから、事業所単位での給付を可能とすること。
〇 県の制度融資を活用した民間金融機関の実質無利子・無担保融資、雇用調整助成金、家賃補助、持続化給付金等の拡充や複数回支給等について、長期的継続的な観点から支援すること。
〇 借地料の対象化や補助期間の拡大等、家賃補助制度を拡充し支援を強化すること。
〇 地域の事業者が事業を継続し雇用が維持されるよう、大規模な第2、第3の追加経済対策を行い、事業者の不安を解消すること。
〇 申請手続きに当たっては、可能な限り簡素な手続きにするとともに、速やかな給付が行われる体制を県としても構築すること。
② 特別融資制度の無利子期間の延長等
〇 新型コロナウイルス感染症特別貸付について、無利子期間(現行3年)を5年から10年程度に延長すること。また、80%信用保証付きの既往債務の100%保証特別貸付への借換は禁止されていることから、特例措置として借換可能な制度とすること。
〇 市町村独自の制度資金を活用している場合、県の新たな制度資金の借入れを躊躇するなど、円滑な資金繰りに支障をきたす事例もあることから、民間金融機関における実質無利子・無担保融資の対象として市町村の制度資金も活用できるようにすること。
〇 2重ローン対策として、ローンの一本化に対する支援制度を構築するとともに、ローンの返済額も経費とみなすなど、新たな税制について検討を進めること。
③ 雇用調整助成金の拡充と迅速な交付
〇 雇用調整助成金の申請手続きの更なる簡素化を図るとともに、手続きの煩雑さが原因で事業主が休業手当の支払いに躊躇することがないように、申請支援体制を強化すること。
〇 東日本大震災の際に導入された「みなし失業」(休業者への直接給付)の制度化について、早急に検討し実現すること。
〇 6月までの緊急対応期間について、感染症拡大の情勢を鑑み、その期間延長について柔軟に対応すること。
〇 雇用調整助成金の特例措置(中小企業は休業手当10/10)は、緊急事態宣言を発出した県の要請により協力して休業等を行っている事業主が対象となっているが、活動自粛しているすべての事業主を対象として取り扱うこと。
〇 雇用調整助成金の自己申請が困難な中小企業者が、社会保険労務士に委託して申請する場合、その費用に対する支援制度を創設すること。
〇 個人事業主・フリーランス等の無手当休業者に対しても、雇用調整助成金等と同様に全国一律の支援を講じること。
④ 低所得世帯等への支援
〇 低所得世帯等を支援する緊急的施策に加えて、長期的な視野に立った生活資金の確保や子育て支援等の施策を講じること。
〇 感染症拡大の影響による離職者や廃業した事業者に対する新たな就労の場を創出するとともに、経営悪化を理由とした社会的弱者の失職時における経済的支援策を検討すること。
〇 国の支援策を受けて市町村独自で実施している支援策(子育て世帯臨時特別給付金など)に対して交付金等の財政措置を遡及して適用するよう対策を講じること。
〇 小学校等の臨時休業時における個人事業主・フリーランス等への支援は、小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援制度と同様の支援を行うこと。
(2)観光産業等第三次産業に対する支援
〇 観光業やイベント自粛により経営を圧迫している事業者に対して経営安定対策を講じるほか、プレミアム付きの商品券や宿泊券発行など、自由度が高く地方負担を軽減する柔軟な交付金制度の創設など必要かつ十分な経済政策を図ること。
〇 プレミアム商品券の発行等を検討している市町村があることから、現在実施しているキャッシュレス決済によるポイント還元期間を延長するとともに、地域内の消費促進に資する更なる強化策を講じること。
〇 県の「地元の宿応援割事業」の補助対象を市町村住民に限定しているが、県民に拡大すること。
〇 「Go Toキャンペーン」の効果が、一部地域のみの利用促進とならないよう配慮するとともに、第二、第三のキャンペーンを効果的に実施すること。
〇 新型コロナウイルス感染予防ガイドラインに従った対策を講じる観光関連事業者に対する必要な費用の助成を行うこと。
〇 未感染地域「岩手」は感染症学的にも検証の価値があり、国内外の注目が高まっていることから、岩手県の気候風土衣食住などを改めて分析し、その魅力を発信することで地方移住を推進する施策を県として積極的に展開すること。
(3)生産性革命推進事業の拡充
〇 ものづくり・商業・サービス補助金、持続化補助金、IT導入補助金を活用した生産性革命推進事業に取り組む場合、特別枠により採択できるよう予算措置を講じること。
〇 当該事業により取得した設備に対する固定資産税の軽減措置を講じるとともに、固定資産税の減収に伴う地方自治体への財政支援措置を講じること。
〇 生産性向上や新しい生活様式に即した事業展開に取組む事業者の設備投資を強力に支援するため、ものづくり補助金における賃金引上げ等の補助金の対象要件を一時的に撤廃すること。
〇 ドライバー不足など厳しい状況にある物流業者の輸送力を維持確保していくため、高速料金を無償化にする等事業者に対する支援を講じること。
(4)農林水産業への支援
① 消費拡大対策と相談体制
〇 牛肉や魚介類等農林水産物の収入減により農林漁業者の経営を圧迫していることから、収入減少に対応する経営安定対策や販路拡大等の取組みを強化するとともに、消費拡大対策を講じること。
〇 農林水産物の価格の下落や生産資材の調達が滞るなど、影響の長期化が見込まれることから、持続化給付金の支給要件の緩和など支援策を講じること。
〇 JAグループとして、持続化給付金の支給事務に係る支援体制を構築することを検討しており、申請支援窓口設置に係る経費支援を行うとともに県や市町村にも相談窓口を設置すること。
〇 外国人技能実習生の代替要員に対する掛かり増し経費に活用する「農業労働力確保緊急対策事業」を拡充し、農業と異業種とのコラボレーションを進めるための経費の拡充を図ること。
〇 業務用米の販売数量が落ち込み、急激な米価下落が懸念されることから、米の政府買入れによる市場隔離の実施等、主食用米の価格安定に向けた対策を講じること。
② 畜産事業者への支援拡充
〇 肉用牛や花きなどの価格低下に伴う生産者の経営が悪化している状況を踏まえ、肉用牛経営安定交付金制度の交付金の補填割合の拡充や加工品を含めた消費喚起対策の実施など、事業継続可能な支援を講じること。
〇 枝肉価格の回復のため、「和牛肉等販売促進緊急対策事業」の強化と「肉用子牛流通円滑化等緊急対策事業」における家畜市場の対象期間の延長、併せて都道府県肉用子牛生産者補給金及び肉用牛肥育経営安定化交付金の早期交付すること。
③ 地域漁業の経営存続への支援
〇 水産物の価格下落などによる漁業者、水産流通加工業者に対する影響を注視し、持続化給付金や漁業共済の対象外となる減収への支援など、必要な対策を講じること。
〇 海産物価格の低迷で厳しい状況にある地域漁業の存続を支援するため、漁業収入安定対策事業の加入金の支援並びに加入の条件等を緩和すること。
④ 木材及び木材製品の需要の早期回復
〇 原木の受入制限により林業事業者の業績が悪化していることから、木材及び木材製品の需要の早期回復に向けて万全の対策を講じること。また、中国向けのパルプの輸出について早期再開への対策を講じること。
(5)公共交通の維持確保
〇 公共交通事業は、利用者の激減により収益が悪化していることから、輸送量要件の緩和など、既存制度の要件緩和を行うとともに新たな支援制度を構築すること。
〇 感染を防護するマスクや消毒液等の衛生機材の確保に向けた支援を強化すること。
〇 休車バス等に係る定期点検義務の実施の特例について、適用期間を延長すること。
〇 新型コロナウイルス感染症の影響を考慮し、地域公共交通確保維持改善事業及び地域バス交通支援事業について、補助要件の緩和及び補助率の引上げなど財政支援の拡充を図ること。
〇 地域交通の存続のため、緊急事態宣言期間における広域バス路線の減収補填について特例措置を講じること。
〇 タクシー事業者を含む交通事業者の事業継続を支援する恒久的な仕組みを構築すること。
3 新たな生活様式による県民への影響の対策等
(1)新しい生活様式導入による対策支援
〇 「新しい生活様式」を導入するにあたり、医療機関をはじめ理美容室、飲食店、交通事業者等の衛生環境整備に資する費用面と物資面の両面にわたる支援について、特段の配慮すること。
〇 対面接触を抑制するための改装やアクリル板等の購入、個室や仕切り板により新規設備導入等、新たな経営転換に取組む中小企業・個人事業者等への補助・助成制度の創設、既存制度の補助率や補助対象の拡充等、新たな生活様式に対応した事業所等への環境整備支援を講じること。
(2)テレワーク等のシステム導入支援
〇 地方自治体におけるテレワークやオンライン会議の導入に係るシステムの経費に対し、特別交付税措置や補助事業などによる十分な財政措置を講じること。
〇 テレワーク、オンライン会議等の導入に積極的に取り組む事業者に対し、パソコン、回線工事、システム導入などの初期導入費用の支援を講じること。
(3)公共施設管理運営等に関する支援
〇 公共施設を管理運営している指定管理者も収入が激減していることから、運営継続可能な支援を講じること。
〇 社会教育・文化施設における赤外線サーモグラフィー、非接触型体温計などの整備に係る助成制度を拡充すること。
(4)県民への影響対策等
〇 感染防止対策の状況を踏まえつつ、長期間にわたる過度なイベントや会合等の自粛要請とならないよう配慮すること。
〇 地域の事業者等が事業を継続し雇用が維持されるよう県として十分な追加経済対策を講じるとともに、感染症対策を含む地域中小企業のBCP策定に対する支援を充実させること。
〇 具体的なガイドラインが分かりにくく混乱が生じることが懸念されるため、県において、市街地や中山間地等を例にした、岩手県版の「わかりやすい行動指針」を示すこと。
4 教育機会の確保と相談体制等
(1)GIGAスクール構想実現に向けた財政支援
〇 児童生徒への1人1台端末整備、学校ネットワーク環境整備及び緊急時における家庭でのオンライン学習環境の整備等を早急に実現し、学びの補償・支援を確実に実施するため、国からの補助率の引上げ及び定額補助額の増額を実施すること。
〇 国による財政支援の拡充とともに、資材不足による整備の遅れが予想されることから、翌年度への繰越や次年度以降の整備に対しても財政措置を継続するなど、柔軟な対応を講じること。
〇 整備に関して国庫補助や起債が認められているが、教師用の端末は補助対象外であるなど。多額の地方負担が生じる制度となっていることから、補助率の引上げや、補助対象の拡大等の措置を講ずること。
〇 遠隔授業に対応するため、LTE回線に係る通信費用を支援すること。
(2)就学援助費の拡充
〇 就学が困難となった児童生徒の保護者に対し、就学援助に係る費用を東日本大震災の際と同様に全額国庫負担とすること。
〇 アルバイト収入が減った学生への学費や生活支援制度の創設を早急に検討すること。
〇 市町村が独自で修学継続が困難な大学生等を支援する事業を実施する場合、必要な財源措置を講じること。
(3)相談体制の充実強化
〇 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーを配置できるよう、国や県の財政支援を講じること。
5 東日本大震災被災事業所等への支援
(1)産業再生特区制度の特例措置
〇 産業再生特区制度の対象期間を新型コロナウイルス感染症の経済への影響が終息するまでの間、対象期間を延長するなど、特例措置を講じること。
(2)グループ補助金等の延長
〇 「中小企業等復旧・復興支援事業(グループ補助金)」及び「中小企業被災資産復旧事業費補助金」について、令和2年度までの事業・清算完了が困難な案件が出てくる恐れがあることから、翌年度への繰越を認めるなど、特例措置を講じること。
(3)被災事業者の二重ローン・三重ローンに対する支援
〇 東日本大震災等からの復興に伴う被災事業者の二重ローン対策を講じること。既存借入金の返済猶予などの柔軟な取り扱いについて、国や県から金融機関に対しこれまで以上に強力に要請すること。
(4)被災地でのサテライトオフィス整備に対する支援
〇 現在の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金は、空き家をリノベーションしてサテライトオフィスを整備するようなハード整備に活用できないため、被災地におけるポスト・コロナ時代に対応する新たなビジネス環境の整備について、特段の配慮を講じること。
6 地方自治体の負担に対する適切な財源措置等
(1)地方創生臨時交付金の大幅な増額と柔軟な活用
〇 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の増額など更なる財政措置を講じること。また、感染未確認地域においても感染予防対策や経済対策が必要な状況を考慮した算定方法にするとともに、市町村の自由裁量で地域の実情に応じた様々な課題に柔軟に活用できるような制度とすること。
(2)地方自治体独自の事業者支援策実施に係る財政措置
〇 感染症に関する緊急対応策の実施に際して、地方自治体の財政運営に支障が生じることのないよう適切な財政措置を講じること。また、地方自治体が実施する事業者支援策に要する経費に対して、地域経済の回復が長期間を要する可能性も踏まえ、継続的、かつ、十分な財政支援を実施すること。
(3)地方交付税の配分前倒しと減収補てん債の対象税目拡充
〇 地方税の徴収猶予については、全ての税目にわたることにより多額の未収が想定されることから、地方交付税の配分前倒しや減収補てん債の対象税目の拡充など、地方自治体の財政運営に支障が生ずることのないよう万全の対策を講じること。
(4)基金の創設
〇 緊急時の迅速な対応や市町村の実情に応じた事業を柔軟に実施するための基金創設と基金造成資金を支援すること。
(5)国、県と市町村の連携強化
〇 国または県と市町村長との間で、迅速かつ総合的な情報共有と意見交換の機会を増やし、連携の強化を一層図ること。
〇 県からの照会元の一元化を図り、事務の効率化を図ること。
第2弾新型コロナウイルス感染症対策に係る政府要望(令和2年5月12日)
2020.08.24
令和2年5月4日、政府は、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言について、基本的対処方針を一部見直した上で、全ての都道府県を対象として、5月31日まで延長することに決定した。
本県においては、県民・事業者の不要不急の外出自粛や医療従事者の感染対策等により「感染未確認地域」を継続しているところ。
一方、全国同様、様々な活動の自粛に伴い、人や物の動きが停滞し、地域経済への影響は深刻なものとなっており、今後新たに発生する可能性のある危機を想定し、東日本大震災津波、平成30年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害の復興への影響を含めた万全の対策を講ずる必要がある。
ついては、政府において、適切な財政措置を講ずるとともに、更なる感染症対策や医療提供体制の構築、中小・小規模事業者等への総合的な支援の一層の充実を図り、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じられるよう、要望する。
1 臨時交付金の追加配分を含めた地方財政措置の充実
(1)感染未確認地域においても、全国同様、万全の感染症対策及び経済対策を講じており、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の追加配分など早急に次なる財政支援を講ずること。
(2)新たな地方負担や地方独自の取組に対し財政運営上支障が生じることのないよう、適切な地方財政措置を講ずること。
(3)配分にあたっては東日本大震災津波、平成30年台風第10号災害、令和元年台風第19号災害の被災地であることを十分に配慮すること。
2 緊急経済対策の速やかな実施
(1)雇用調整助成金の上限額の引上げや手続の簡素化を行うなど支援を充実させるとともに、特例措置期間を延長すること。また、説明会を開催するなど、事業者が活用しやすい環境整備を図ること。
(2)売上の減少している事業者の家賃等の固定費負担を軽減する法的措置や国の支援制度の創設を早急に実施すること。
(3)持続化給付金の対象について、ひと月の売上が前年同月比で25%以上減少している事業者も加えるなど段階的な支援策を講じること。また、給付額の増額を図るとともに、地域事情を踏まえながら、複数回の給付についても早急に検討を進めること。
(4)2重ローン対策として、ローンの一本化に対する支援制度を構築するとともに、ローンの返済額も経費とみなすなど、新たな税制について検討を進めること。
(5)アルバイト収入が減った学生への生活支援制度の創設を早急に検討すること。
3 検査と医療体制の強化
(1)PCR検査基準の緩和と検査業務員等への支援を充実させること。
(2)軽症者や無症状者等を受け入れる宿泊療養施設と医療従事者の確保並びに宿泊療養施設等への搬送支援の充実を図ること。
(3)医療従事者が業務に専念できるよう危険手当や保険費用、宿泊施設の無償提供を含めた措置を講ずること。
(4)発熱外来や地域外来検査センターの設置等、効率的な診療・検査体制の確保に係る国の財政的、人的な支援を図ること。
(5)治療薬及びワクチンの一刻も早い実用化に向け取り組むこと。
以上
第2弾新型コロナウイルス感染症への 知事要望(令和2年4月16日)
2020.08.24
新型コロナウイルスによる感染症は世界的に猛威を振るい、国内においては、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されるなど、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼす深刻な状況にあります。
本県は「感染未確認地域」でありますが、全国同様、観光宿泊客等のキャンセルやスポーツ・文化イベント等の中止・延期、物品の納品等の遅れによる生産活動や工事進捗に影響が出ているほか、人や物の動きが停滞し、県内の経済活動や県民生活に甚大な影響をもたらしています。
また、東日本大震災津波や台風10号、台風19号災害からの復興と「なりわいの再生」に向け、観光需要の発掘や震災で失われた販路の確保、二重債務問題の解決に取組んできた矢先に、今般の新型コロナウイルス感染症により、地域経済への深刻な影響が懸念される状況にあります。
このため、自由民主党岩手県連新型コロナウイルス感染症対策本部では、県内事業者等への影響や団体からの要望を把握するため、郡市医師会をはじめ県内各団体から感染症対策要望調査を実施し、要望等を取りまとめました。
つきましては、令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を踏まえつつ、県においては、感染症対策の充実・強化とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、地域経済の持続的発展と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり早急に対策を講じられるよう、要望いたします。
1 感染症対策の充実・強化
(1) 感染症対策
① 帰国者・接触者外来の基準が高く、一般病院・診療所の外来に感染者が紛れる可能性があることから、当該基準を見直すとともに、発熱者外来機能を有する専門施設(ドライブスルー含む)を設置し、感染のまん延を防止する体制に万全を期すこと。
② 無症状者・軽症者を自宅で経過観察を行う場合、家族内感染の恐れが極めて高いほか、独居老人の自宅待機は極めて困難であることから、ホテル等の受入施設の確保について早急に検討すること。
その際、市町村や関係機関と連携し保健師、看護師等を配置すること。
③ 今後発生し得る感染拡大規模を想定し、二次医療圏毎に外来を担当する医療機関や入院病床・ICU病床等の準備を進めるなど、医療機関の役割分担を行い、連携体制の構築を図ること。
④ 県内唯一の特定機能病院である岩手医科大学附属病院をはじめ地域の基幹病院内で感染拡大が起きると本県医療の崩壊につながることから、隔離病室を確保するなど感染管理体制の構築に万全を期すこと。
⑤ 国との連携によりクラスター対策の「専門人材」を確保し、必要な地域に派遣可能な広域応援体制(医療版TEC-Force)を構築すること。
(2) 検査体制
① 全国的に感染者の追跡調査が不可能な状況にあり、二次感染の未然防止の観点から、PCR検査基準を見直し、医師が必要と認めた場合は速やかに検査できるように体制を強化すること。
② 大学や民間検査機関の活用を含め、早急な検査体制の拡充を図るとともに、簡易検査キットの開発を促進すること。
(3) 必要物資の確保対策
① 感染防護に必要な資材や人工呼吸器等の医療機器を確保するなど、地域医療提供体制の構築に向け、医師会や歯科医師会、薬剤師会と事前に調整し、万全の対策を図ること。
② また、介護施設や障がい福祉施設、教育・保育施設、バスやタクシーの交通事業者等へマスク、消毒液などの感染防止に必要な資材が確実に調達されるよう感染防止対策に万全を期すこと。
③ 併せて、関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた備蓄体制を強化し、マスク等の必要物資を確保すること。
(4) 高齢者等の重症化予防対策等
① 高齢者や障がい者、妊産婦等は重症化しやすい傾向にあるため、各施設等に対し予防対策と検査指導体制を一層徹底すること。
② 介護サービス事業所等に休業を要請する際は、市町村や関係事業所等と連携し、訪問サービス等の適切な代替えサービスを確保すること。
③ 高齢者や障がい者福祉施設、保育所等の事業継続に向けて、人員確保のための支援や人員基準等の柔軟な取扱いなどの対策を講じること。
2 地域経済対策
(1) 中小・小規模事業者等への支援
① 地域経済への影響を最小限に留めるため、資金繰りや所得補償等、雇用の維持と事業の継続に向け、東日本大震災津波の復興支援対策に準じた総合的な施策を講じること。
② 中小・小規模事業者やフリーランスを含む個人事業主の事業継続支援を図るため、国の持続化給付金(仮称)に加え、県独自の加算給付金を創設し地域経済を支える対策を強化すること。
③ テナント賃料が小売や飲食業の経営を圧迫していることから、不動産オーナーがテナント賃料の減免する場合の支援措置を検討すること。
④ 売上げの落込みが大きい観光関連産業等を念頭に、将来の売上げを前倒しする視点で、旅行券・商品券・食事券の発行や販売を支援するなど、地域内の経済循環が図られる大胆な経済対策を講じること。
⑤ 感染防止対策の状況を踏まえつつ、長期間にわたる過度なイベントや会合等の自粛要請とならないよう配慮すること。
(2) 資金繰り支援
① 中小・小規模事業者の経営危機は地域経済に極めて深刻な影響を与えることから、早急に実質無利子・無担保の融資が受けられる制度の創設や信用保証制度枠の拡充など手厚い措置を講じること。
② 手続きの簡素化と与信基準の特例等により実効的な活用を講ずるとともに、倒産防止対策を強化すること。
③ 東日本大震災津波や台風10号等、復興に係る既往貸付金について、感染症が終息し売り上げの回復が見込めるまでの間、返済猶予や金利の減免など特別措置を講じること。
(3) 税の減免等と生活支援
① 中小企業者等の負担を軽減し、感染症終息後の積極的な事業展開を促すため、一定の期間、法人税や自動車税等の減免または支払猶予措置を講ずるなど、固定費分を補う支援策を検討すること。
② 生活支援臨時給付金(仮称)などの審査を柔軟かつ適切に実施し、速やかな交付が実行されるよう支援すること。
(4) 雇用支援
① 雇用調整助成金の特例措置等の活用を速やかに進められるよう申請書類の簡便化に配慮するとともに、市町村と連携し更なる雇用支援対策の充実強化を図ること。
② 外国人技能実習生が、感染症対策により試験が延期された場合、帰国せざるを得なくなる等の不利益が生じないよう措置を講じること。
③ 合同就職説明会や人材確保関連のイベント中止が相次いだことから、採用計画に影響がでないよう新卒採用支援を一層強化すること。
④ 失業者や生活困窮者への生活支援対策として、失業給付金支払い条件の一時的緩和(求職活動免除、保険加入期間の制限撤廃)や緊急小口貸付の対象者への現金給付を終息宣言まで毎月継続すること。
(5) 農林水産業への支援
① 和牛や高級魚等の価格が大幅に下落していることから、マルキンの増額や当面の資金繰り対策など多面的な経営支援措置を講じること。
② 特にも、グループ補助金で再建し既往借入の加工業者等については、返済猶予や金利の減免など手厚い特別措置を講じること。
③ 和牛や花き、海産物などの需要減が顕著な農林水産物に対して大胆な消費拡大対策を講じること。
④ 外国人技能実習生の受入れに支障が生じており、労働力不足から生産販売の減少が生じないよう代替者の確保支援策を講じること。
⑤ 中国産原料の農業資材や農薬散布用マスク、消毒液等の入手の目途が立たない状況にあることから、輸入品(肥料原料、農薬、飼料、花粉など)の確保や安定供給体制の構築に向けた支援策を講じること。
⑥ 木材供給量の減少による素材生産事業の減退や木材価格の下落がはじまっていることから、原木価格の安定化(差額保障や遠距離納材の運賃助成)や林業事業体の資金繰り対策を講じること。
⑦ 林産事業から森林整備事業にシフトした場合、森林整備事業の予算を十分に確保すること。
(6) 公共事業等
① 景気の悪化により民間発注の急減が予想されることから、国土強靭化や交通ネットワーク整備等、公共事業費の増額により一定程度の建設事業量を確保すること。
② 建設資材の調達難や感染者が現場から発生した場合、標準契約約款に基づく不可抗力として工期延長を認めるとともに、この場合の費用増を補填するなど、受注者の立場を尊重し適切に対応すること。
3 教育機会の確保と相談体制等
(1) 学校休業・再開等の基準
① 学校の設置者が休業や再開等を適切に判断できるよう、科学的知見を踏まえた具体的な基準を提示すること。
② 大規模イベント等の開催にあたり、従来からの「密閉・密集・近距離」の3条件を避けることに加え、「地域の感染状況等に応じた開催の判断基準(ガイドライン)」を提示すること。
(2) 相談体制の充実強化
① 経営者や求職者のストレスや心の不調に適切に対応するため、相談体制を含めた総合的な支援体制に万全を期すこと。
② 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーなど専門家の配置等に必要な措置を要する費用負担を行うこと。
③ 医療従事者を含む感染者やその家族、医療機関等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう関係機関と連携し対応すること。
4 積極的な広報と情報発信の強化充実
① 知事は中小・小規模事業者等に対し「中長期の視点で経済と雇用、暮らしを維持していく」旨のメッセージをより一層強力に発信し、県民の不安の払しょくに努めること。
② 新型コロナウイルス感染ルートや予防策等について、不正確な情報による混乱を避けるため、引き続き迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに、国民や企業等に対し冷静な対応を呼びかけること。
③ 国内外の流行状況等の把握に努めながら、今後新たに発生する可能性のある危機を想定し予知・予測に努め、万全の対策を図ること。
新型コロナウイルス感染症対策に関する政府要望をとりまとめる(令和2年3月30日)
2020.03.31
新型コロナウイルスによる感染症は世界的に猛威を振るい、国内においても大都市圏を中心に感染拡大傾向が続いており、今後爆発的な患者増が懸念される深刻な状況にあります。
本県においては「感染状況が確認されていない地域」でありますが、全国同様、観光宿泊客等のキャンセルやスポーツ・文化イベント等の中止・延期、物品の納品等の遅れによる生産活動や工事進捗に影響が出ているほか、学校における一斉休校等により、県内の経済活動や県民生活への影響が深刻化な状況にあります。
また、東日本大震災津波や平成28年台風10号、令和元年台風19号災害からの復興と「なりわいの再生」に向け、観光需要の発掘や震災で失われた販路の確保、二重債務問題の解決に取組んできた矢先に、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、事業再開と経営の安定化に深刻なダメージを受けました。
このため、自由民主党岩手県支部連合会において、新型コロナウイルス感染症対策本部を3月1日に立上げ、県内状況調査を行い、先の2月県議会において、国の新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾を踏まえ、感染防止や学校の臨時休業に伴う課題への対応や経済対策として緊急に必要な補正予算を成立させたところであります。
一方、改めて県内事業者等への影響や団体からの要望を把握するため、4班体制で県内24団体から感染症対策要望調査を実施し、要望等を取りまとめました。
今週末4月3日に、政府及び自民党本部に対し、「感染症対策の充実・強化とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、中小・小規模事業者や農林水産業者等への総合的な支援により、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じる」よう、要望いたします。
1 感染症対策の充実・強化
(1) 感染症対策
① 新型コロナウイルス感染症の疑いがある方を診療体制の整った医療機関に確実につなぎ、感染のまん延を防止する体制に万全を期すこと。
② 国民の不安解消に向け、治療薬及びワクチンの開発を早急に進め、現場が必要とする医療提供体制の整備に全力で取り組むこと。
③ クラスター対策の「専門人材」を確保し、必要な地域に派遣を可能とする広域応援体制(医療版TEC-Force)を構築すること。
④ 今後発生し得る感染拡大規模を想定した地域医療提供体制の構築に向け、県と医師会が事前に調整し、万全の対策を図るよう指導すること。
(2) 検査体制
① ウイルスの保有状況の確認検査は、発症後に行うものとされているが、 健康状態の把握と二次感染の未然防止の観点から、患者との濃厚接触者については、無症状でも検査を行えるよう統一的な指針に基づき、検査体制整備に万全を期すこと。
② 感染拡大に的確に対応するため、PCR検査体制を強化するとともに、民間検査機関でも検査が可能な十分な体制を構築すること。また、ウイルス保有の確認検査を医療機関でも行えるよう、簡易検査キットの開発を促進すること。
(3) 必要物資の確保対策
① マスクやアルコール消毒薬等、国民の感染予防に資する衛生資材が不足することのないよう、メーカーや卸売業者等に適切な生産・供給を働きかけ、必要な資材の安定的な流通に万全を期すこと。
② 特にも、医療用マスクや消毒液等については、人工透析等、免疫力の低下している方々をケアしている施設や感染症患者を受け入れている施設、手術を実施している施設、歯科医療機関、薬局等に安定的かつ優先的に供給すること。
③ また、介護施設や障がい福祉施設、教育・保育施設、バスやタクシーの交通事業者等へマスク、消毒液などの感染防止に係る備品が確実に調達されるとともに、感染防止対策に万全を期すこと。
④ 併せて、関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた備蓄体制を強化し、マスク等の必要物資を確保すること。
(4) 高齢者等の重症化予防対策等
① 高齢者や障がい者、妊産婦等は重症化しやすい傾向にあるため、各施設等に対し予防対策を徹底するとともに、重症化防止のための検査指導体制を徹底すること。
② 医療機関、高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、保育所等の事業継続に向けて、一時的に必要な職員を確保できない場合は、人員確保のための支援や人員基準等の柔軟な取扱いなどサービスが継続的に提供されるための対策を執ること。
(5) 学校歯科検診
① 学校歯科定期健診の実施期限(6月30日)について、感染症の影響によるやむを得ない事由等の場合は実施期限の延長を認めるとともに、グローブやマスク等の健診時の感染防御用品の確保を支援すること。
② 感染が判明した患者に対する後方支援等、必要な歯科治療体制を構築すること。
2 地域経済対策
(1) 中小・小規模事業者等への支援
① 観光産業や飲食業・サービス業等では観光客の減少やキャンセルが相次ぎ 大幅な減収が見込まれるほか、製造業や建設業では部品や建築資材の調達が困難となり、生産活動や工事進捗に影響が生じている。地域経済への影響を最小限に留めるため、資金繰りや所得補償等、雇用の維持と事業の継続に向け総合的な施策を講じること。
② 特にも、影響の大きい観光関連産業(旅客・交通、宿泊、飲食、レジャー)等を念頭に、将来の売上げを前倒しする視点で、旅行券・商品券・食事券の発行や販売を支援するほか、高速道路の無料化等、大胆な消費喚起に結びつく経済対策を講じること。
③ なお、仮に現金給付を行うに当たっては、市町村に過度な負担が生じることのないよう十分協議し実施すること。
(2) 資金繰り支援
① 観光をはじめ外出制限により資金繰りが悪化し運転資金を必要とする小規模事業者の経営危機は地域経済に極めて深刻な影響を与えることに鑑み、緊急融資制度(運転資金・無担保・無保証・利子補給等)や信用保証制度枠を拡充するなど手厚い措置を講じること。
② より実効的な活用を促すため、手続きの簡素化と与信基準の特例等を講ずるとともに倒産防止対策を強化すること
③ 平成23年の東日本大震災津波、平成28年台風10号、令和元年台風19号等、過去の災害からの復興に係る既往貸付金について、感染症が終息し売り上げの回復が見込めるまでの間、返済猶予や金利の減免など特別措置を講じること。
(3) 税の納付
① 中小企業者等の負担を軽減し、感染症終息後の積極的な事業展開を促すため、一定の期間、法人税や固定資産税、自動車税、社会保険料等の減免または支払猶予措置を講ずるなど、固定費分を補う支援策を検討すること。
(4) 雇用支援
① 雇用調整助成金等については、様々な事業や就業形態等に柔軟に対応するとともに、利用者の不安を払しょくするよう明確でわかりやすい制度とすること。
② 東日本大震災津波や台風10号災害等の復興途上の地域においては、緊急事態宣言が発出された地域と同様に雇用調整助成金の助成率を5分の4に拡充すること。また、教育訓練費について、リーマンショック時に措置された水準に拡充すること。
③ 外国人技能実習生が、感染症対策により試験が延期された場合、帰国せざるを得なくなる等の不利益が生じることのないよう措置を講じること。
④ 官民の合同就職説明会や人材確保関連のイベント中止が相次いだことから、中小企業の採用計画に影響を及ぼさないよう新卒採用支援を一層強化すること。
⑤ 失業者や生活困窮者への生活支援対策として、失業給付金支払い条件の一時的緩和(求職活動免除、保険加入期間の制限撤廃)や生活困窮者(緊急小口貸付の対象者)への現金給付を終息宣言まで毎月継続すること。
(5) 農林水産業への支援
① 外食需要等の減衰により、和牛や高級魚等の価格が大幅に下落していることから、マルキンの増額や当面の資金繰り対策など多面的な経営支援措置を講じること。特にも、グループ補助金で再建し既往借入の加工業者等については、返済猶予や金利の減免など手厚い特別措置を講じること。
② 和牛や花き、海産物などの需要減が顕著な農林水産物に対して大胆な消費拡大対策を講じること。
③ 東南アジア等からの外国人技能実習生の受入れに支障が生じた場合や従業員が感染した場合、労働力不足から生産販売の減少が生じないよう代替者の確保支援策を講じること。
④ 中国産原料の農業資材や農薬散布用マスク、消毒液等の入手の目途が立たない状況にあることから、輸入品(肥料原料、農薬、飼料、花粉など)の確保や安定供給体制の構築に向けた支援策を講じること。
⑤ 景況感の悪化や先行き不透明感から、木材供給量の減少による素材生産事業の減退や木材価格の下落がはじまっていることから、原木価格の安定化(差額保障や遠距離納材の運賃助成)や林業事業体の資金繰り対策を講じること。
⑥ 林産事業から森林整備事業にシフトした場合、森林整備事業の予算を十分に確保すること。
(6) 公共事業等
① 景気の悪化により民間発注の急減が予想されることから、国土強靭化や交通ネットワーク整備等、公共事業費の増額により一定程度の建設事業量を確保すること。
② 建設資材の調達難、感染者の発生等により工期が間に合わなかった場合、標準契約約款に基づく不可抗力として工期延長を認めるとともに、この場合の費用増を補填するなど、受注者の立場を尊重し適切に対応するよう関係機関を指導願う。
3 学校の一斉休業等への対応
(1) 学校再開等の基準
① 国においては、速やかに、学校の設置者が再開に向け適切に判断できるよう、科学的知見を踏まえた具体的な基準を提示すること。
② 大規模イベント等の開催にあたり、従来からの「密閉・密集・近距離」の3条件を避けることに加え、「地域の感染状況等に応じた開催の判断基準(ガイドライン)」を提示すること。
(2) 保護者等への支援
① 共働きやひとり親世帯、障害のある子どもの保護者が、学校の休業期間中や自宅療養中の幼児・児童生徒に対応できるよう、有給休暇の措置などの企業経済団体に対する働きかけや保護者への休業補償等に関する支援体制を整備すること。
② 保護者等の要望に十分配慮するとともに、学童保育所、放課後子ども教室等と連携し、児童生徒の受入れも検討するなど、柔軟な対応を呼びかけること。
(2) 教育機関等への支援
① 学童保育や放課後子ども教室等、地域の実情に応じて子供を預かる取組みに対して、運営に係る新たな負担増が生じることのないよう支援措置を講じること。
② 教育機関及び社会教育施設等に対し、体温計などの医療機器、マスクやアルコール消毒液、薬剤などの衛生品、防護服を安定的に供給すること。
(3) 働き方対応
① テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方や従業員が休みやすい環境整備の取組に対する支援についても更なる対応を実施すること。
(4) 差別・偏見等への対策
① 感染者やその家族等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう、関係機関と連携し県全体で対応すること。
② 学校の臨時休業期間中における学習用教材や、感染症に対する正しい知識を身に着け偏見や誹謗中傷を防止するための学習資料等を児童生徒に配布すること。
③ 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーなど専門家の配置等に必要な措置を要する費用負担を行うこと。
4 積極的な広報と情報発信の強化充実
① 政府は中小・小規模事業者等に対し「中長期の視点で雇用・賃金を維持していく」旨のメッセージをより一層強力に発信し、国民の不安の払しょくに努めること。
② 新型コロナウイルス感染ルートや予防策等について、不正確な情報による混乱 を避けるため、引き続き迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに、国民や企業等に対し冷静な対応を呼びかけること。
③ 国内外の流行状況等の把握に努めながら、今後新たに発生する可能性のある危 機を想定し予知・予測に努め、万全の対策を図ること。
新型コロナウイルス感染症への 対応に関する知事要望(令和2年3月10日)
2020.03.30
3月10日、達増知事に自民党岩手県連のメンバーで新型コロナウイルス感染症対策に関する要望を提出。
今年度あるいは新年度の補正予算に対策が反映されるよう議会で審議していく。
要望内容は次のとおりです。
新型コロナウイルスによる感染症対策については、現在、国において、フェーズの移行に対応しながら感染拡大防止に努めていますが、感染経路が不明な患者が散発的に発生し、無症状の陽性者も増加するなど感染拡大の局面が変わってきています。
一方、本県においては未だ感染者の報告はありませんが、観光宿泊客等のキャンセルやスポーツ・文化イベント等の中止・延期、物品の納品等の遅れによる生産活動や工事進捗に影響が出ているほか、学校における一斉休校等により、県内の経済活動や県民生活への影響が深刻化しています。
このため、自由民主党岩手県支部連合会においては、新型コロナウイルス感染症対策本部を3月1日に立上げ、県内状況調査に務めてきたところであります。
つきましては、県においては、県民の不安解消に向けた情報発信等に積極的に取組むとともに、検査体制や治療・相談体制の充実など感染拡大の抑制とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じられるよう、要望いたします。
1 積極的な広報と情報発信の強化充実
① 知事は、県民の不安を払拭するために先頭に立ち、県政番組や記者会見等、あらゆる機会をとらえ、より積極的な情報発信に取り組むこと。また、東北各県と連携した広域的な情報発信等に努めること。
② 新型コロナウイルスや基本的な感染症予防策に係る正しい知識や帰国者・接触者相談センター等の相談に関する情報等について広く県民に周知し、冷静な対応を呼びかけるとともに、不正確な情報による混乱を避けるため、県民、企業等へ、迅速かつ正確な情報提供を行うこと。
③ 東北地域や国内の流行状況等の把握に努めながら、今後新たに発生する可能性のある危機を想定し予知・予測に努め、万全の対策を図ること。
2 感染症対策の充実・強化
(感染症対策)
① 新型コロナウイルス感染症の疑いがある方を診療体制の整った医療機関に確実につなぎ、感染のまん延を防止する体制に万全を期すこと。
(検査体制)
② ウイルスの保有状況の確認検査は、発症後に行うものとされているが、 健康状態の把握と二次感染の未然防止の観点から、患者との濃厚接触者については、無症状でも検査を行えるよう統一的な指針に基づき、検査に当たっての体制整備に万全を期すこと。
③ 感染拡大にも的確に対応するため、PCR検査体制を強化するとともに、民間検査機関でも検査が可能な体制を構築すること。また、ウイルス保有の確認検査を医療機関でも行えるよう、迅速診断キットの活用も含め体制を構築すること。
(相談体制)
④ 県は相談体制を強化するとともに、国との連携を強化し、万全な体制で取り組むこと。
(必要物資の確保対策)
⑤ マスクやアルコール消毒薬等、国民の感染予防に資する衛生資材が不足することのないよう、メーカーや卸売業者等に適切な生産・供給を働きかけ、必要な資材の安定的な流通に万全を期すこと。
⑥ 特にも、医療用マスク等については、人工透析等、免疫力の低下している方々をケアしている施設や感染症患者を受け入れている施設、手術を実施している施設等に安定的かつ優先的に供給すること。
⑦ 併せて、市町村や関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた備蓄体制を強化し、マスク等の必要物資を確保すること。
(高齢者等の重症化予防対策等)
⑧ 高齢者や障がい者、妊産婦等は重症化しやすい傾向にあるため、予防対策を徹底するとともに、重症化を防止するため、各施設等に対し検査指導体制を徹底すること。
⑨ 医療機関、高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、保育所等の事業継続が必要な施設・事業所において、一時的に必要な職員を確保できない場合においても、人員確保のための支援や人員基準等の柔軟な取扱いなどサービスが継続的に提供されるための対応を行うこと。
3 県内経済への影響を踏まえた対策
① 観光関連産業や飲食業・サービス業等では観光客の減少やキャンセルが相次ぎ大幅な減収が見込まれるほか、製造業や建設業では部品や建築資材の調達が困難となり、生産活動や工事進捗に影響が生じている。地域経済への影響を最小限に留めるため、雇用の維持と事業の継続に向け総合的な施策を講じること。
② 中小企業・小規模企業者、農林漁業者については、パート従業員など人材の確保が一層困難となり、長期に休業を余儀なくされる事態や、学校給食の納品休止により減収が生じる事態も発生していることから、中小・小規模企業者等への資金繰りを支援するなど事業所に対する手厚い措置を実施すること。
③ 感染が一定程度終息した段階において、広範かつ大胆な観光振興対策を含む大規模な経済対策を実施すること。
4 学校の一斉休業等への対応
(保護者等への支援)
① 共働きやひとり親世帯、障害のある子どもの保護者が、学校の臨時休業期間中や自宅療養中の幼児・児童生徒に対応できるよう、有給休暇の措置などの企業経済団体に対する働きかけや保護者への休業補償等に関する支援体制を早急に整備すること。
② 保護者等の要望に十分配慮するとともに、学童保育所、放課後子ども教室等と連携し、児童生徒の受入れも検討するなど、柔軟な対応を呼びかけること。
(教育機関等への支援)
③ 学童保育や放課後子ども教室など、地域の実情に応じて子供を預かる取組みに対して、運営に係る新たな負担増が生じることのないよう支援措置を講じること。
④ 教育機関及び社会教育施設等に対し、体温計などの医療機器、マスクやアルコール消毒液、薬剤などの衛生品、防護服を安定的に供給すること。
(働き方対応)
⑤ テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方や従業員が休みやすい環境整備の取組に対する支援についても更なる対応を実施すること。
(差別・偏見等への対策)
⑥ 感染者やその家族等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう、関係機関と連携し県全体で対応すること。
⑦ 学校の臨時休業期間中における学習用教材や、感染症に対する正しい知識を身に着け偏見や誹謗中傷を防止するための学習資料等の提供と児童生徒一人ひとりに配布すること。
⑧ 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーなど専門家の配置等に必要な措置を要する費用負担を行うこと。
令和元年度地域課題懇談会(令和元年5月30日)
2019.06.26
(臼澤勉議員) 新しい時代が始まって盛岡振興局の岩手県における役割を考えますと、リーダシ ップを発揮していただく、あるいは注目されるエリアだと思います。今後の人口減少や高齢化、イ ンバウンドなどモデル的・先駆的な取組を率先して、あるいは市町村・民間に働きかけていく責務 があると思います。その上で、地域資源を活用した地方創生の観点から伺いますが、今、国の方で 国家戦略特区としてスーパーシティー構想というものを立ち上げながら様々な検討を進めている と伺っています。端的にはAIなどを活用して自動運転や遠隔診療、あるいは教育など様々な分野 において実装技術みたいなものを取り入れて全国に先駆けて取り組もうという自治体もあるわけ でして、私はこの岩手の中で、新しい時代を進むにあたり、ぜひ盛岡広域で特区制度についても色々 情報収集をして市町村にも働きかけをしながらぜひ取り組んでもらいたいと思います。スマート農 業の話も出ていましたが、これらも引っくるめて、交通も農業も教育も医療もありますし、ラオッ クスが中心になって誘致している安比のインターナショナルスクールの話もありましたが、単なる インターナショナルスクールではなく、地域資源を活用して地方創生の観点から交流人口を増やし ていくとか必ず盛岡局の施策に絶対からんできますし、そういった意味で情報収集等、前向きに 色々やっていただきたいと思います。これは感想ですので、何かあったらご所見を伺います。 安全・安心社会基盤の話ですが、岩手医科大学の移転に伴って、盛岡南道路の延伸が進んできま す。それに絡めて、県・市町村の管理道路など様々な道路ネットワークが変わってきますので、地 元のまちづくり計画と連携しながら、国から意見を求められた際には、まちづくりの意向と絡めな がら進めていただきたいと思います。現地では環境アセスメントの業者が入って、動植物のポイン トなどを調査していますので、その辺りの情報を含めて収集を進めてほしいと思います。また、道 路整備と含めて二次交通の部分、IGRの乗り入れなど、バスを含めた取組を行っていただきたい と思います。 次に産業の話ですが、園芸産地の話で、盛岡局として、どういう方向に園芸を持っていこうとし ているのか、改めて伺いたいと思っております。 また、矢巾総合射撃場の施設更新については、県の努力にも感謝していますが、引き続きサポー トをお願いします。 最後に、家族・子育て支援の関係で、県営住宅の再配置について、県営アパートの耐用年数が青 山・松園あたりは老朽化が進んできています。リニューアルという考えもあると思いますが、全体 の県営住宅の配置が盛岡の北側、西側に偏っている状況で、盛岡広域の南には県営アパートがない 状況です。今後、県営住宅の再配置についても考えていただきたいと思います。
(石田局長) 私の方からスーパーシティー構想についてお話をさせていただきます。この構想に ついては私も伺っておりましたが、市町村から様々な取組をしたいという話を聞いておりましたの で、勉強会や研修会に職員を積極的に参加させて、アンテナを高くして取り組んでいきたいと考え ていました。
(前田技監兼農政部長) 園芸振興についてですが、盛岡地域の園芸については規模の大きい、し っかりした経営体が多くあり、体質の強い産地の方向に一番進んでいるのが盛岡広域だと考えてい ます。あえて盛岡がどういう方向を目指すのかと言えば、大規模化、あるいはスマート農業技術を 使った環境制御装置なども入れながら、今まで岩手が夏秋産地として低コスト重視で進めてきたところをこれからは攻めの経営で、産地を引っ張る経営体を強化していく、それに若い方々、やる気 のある方々に続いていただく、そのような流れの中で県全体の園芸産地を引っ張っていく、これが 基本的な考えではないかと思っております。
(佐々木土木部長) 盛岡南バイパスの関係ですが、盛岡広域にとってはかなり重要なルートにな ると思います。特に岩手医大が9月には開院しますので、その意味でも拠点間を結ぶ重要路線と考 えておりまして、先生から色々情報提供はいただいていますが、まだ国の方では決定していないと 考えています。ある程度、表に出てきた段階で、国・県・矢巾町・紫波町を含めて、広域の道路を 核として、どのような形でネットワークを組んでいくのかは大きな課題と考えています。いずれ 色々情報収集しながら、矢巾町と連携しつつ、盛岡広域のネットワークについては考えていきたい と思います。 県営アパートの関係ですが、盛岡管内では新築ではなくリフレッシュの工事を行っております。 これは県営アパートの長寿命化計画に基づくもので、県全体の配置等は建築住宅課の所管となりま すが、人口減少を踏まえ、県庁では集約の方向で考えていると聞いています。そうではあるものの、 矢巾町でも一定の需要があると聞いていますので、県として新たな投資をするかについては県庁と 情報交換しながら考えていかなければならないと考えています。
(渡辺保健福祉環境部長) 矢巾町の射撃場の関係ですが、ハード整備につきましては、農政の資 金を活用しまして、局では農政部が中心となって御支援させていただきましたが、環境保全の面で は、イノシシやシカを駆除する際に必要な狩猟者はハンターとなります。県内では10を超える射撃 場がありますが、ハンターの技能維持のために活用できる射撃場として矢巾町は有数の射撃場でご ざいまして、我々としましてもハンターの確保のためには矢巾の射撃場を有効活用することが必要 と考えており、猟友会と一緒になって取組を進めていきたいと考えています。
(臼澤勉議員) 県営住宅の本質は建物を建てるということではなくて、生活保護世帯など低所得 層に住まいを提供する福祉的施策という点にあります。私が言いたいのは、盛岡の南側には一定数 の低所得層がいらっしゃるという事実です。それに対して、県として配置の検討を進めていく必要 があるのではないかと思います。 それから、県の消防学校が広域防災拠点として、昨年度末に研究会の報告書がとりまとまってい るかと思いますが、今回の施策推進方針には全く触れられていません。いずれにしましても、防災 対策にはしっかり取り組んでいただきたいと思いますし、併せて北上川無築堤箇所の解消について も働きかけていただきたいと思います。
以上
平成30年度県土整備委員会会議記録
2019.03.21
県土整備委員会
平成30年7月3日(火曜日)
○小野共委員 聞き間違いかもしれませんが、行政の場合は、建設リサイクル法の事前通知義務違反の罰則規定がなくて、民間の場合はあるということなのですか。
○沖野技術企画指導課長 建設リサイクル法では、民間には罰則規定があり、国あるいは自治体については罰則規定がないということです。
○小野共委員 参考までに、民間の罰則規定はどうなっているのですか。
○沖野技術企画指導課長 民間工事の場合は着手の7日前までに届け出をすることになっておりまして、これに違反した場合は最高で20万円以下の罰金になっております。
○臼澤勉委員 いまの質疑に関連いたしまして、確認させていただきますが、建設リサイクル法は、分別解体をして、再生資源として利用するべきもの、コンクリート殻とかは、それはそれで利用していきましょう、届け出や通知を公共工事では事前にしましょうという趣旨だと私も理解しております。震災後、さまざまな公共工事が県内で行われているということで、今回は建設リサイクル法の通知に失念があったのですけれども、いろんな法令があり手続の失念はやはりあってはならないことだと思うわけでございまして、それを防ぐために市町村だとか、県として事業主体を指導されていたと思うのです。工事に着手するときは、こういう法律があるからこの手続は忘れずにやってくださいねという、審査表みたいなものもやって、円滑に事業が行われていると思うのですが、今どのような形で指導されているのか確認させてください。
○沖野技術企画指導課長 先ほど申しましたとおり、件数も非常にふえていることもございまして、県では、広域振興局土木部、あるいは各土木センターが受理の窓口となっております。その機関を通じまして、管内市町村や管内業者に対して周知徹底を大体1年に1度行うようにしておりますし、またチラシを作成、配布するなど、その啓発に努めているところであります。
○臼澤勉委員 私が心配しているのは、過去の公共工事で、手続を忘れてしまったために、例えば環境に重大な影響を及ぼすような非常に大きな事案が発生したこともあったということです。法の趣旨からすれば、それはちゃんとやらなければいけないことながら、今回の建設リサイクル法については本当に軽微ですが、今回の事業主体側のちょっとした失念が、先ほども言ったような過去の大きな事件、事故につながりかねないということで、建設リサイクル法だけではなく、さまざまな法律とかの手続を皆さん注意して、指導してきた経緯を踏まえて、改めて施工主体に指導や確認をすることが今回の教訓になるのではないかなと思うのですが、そこら辺の所感、お考えをお聞かせください。
○沖野技術企画指導課長 ただいま委員から御指摘がありましたとおり、過去においてもいろいろな問題があった経緯がございます。そういった経緯を踏まえ、発注に当たりましてはさまざまな法律を網羅したチェックリストを工事箇所ごとに、しかもその地域に係る法律あるいは条例をもらさずチェックするシステムをつくっておりまして、必ずそのチェックシステムを使って、複数の者が確認をした上で工事を発注することとなっております。着手前にも、業者を指導いたしまして、再度確認した上で着手する手続を踏んでおります。今回のような事例がありますと、これまで見落としていた観点もシステムの中に加え、バージョンアップしながら、不祥事は繰り返さない方針で対応しております。
○臼澤勉委員 県の技術職員以外にも、今現場には他県からの応援職員とか、さまざまな民間の方とかが来ていると理解しています。岩手県の今までのやり方を応援職員の方々が十分に理解していないかもしれない。あるいはそういうチェックリストがあることをわからずにやってしまうかもしれないので、ぜひそこら辺を改めて確認していただければと思います。
最後に1点だけ、もう一度県内業者の資格者数の話に戻りますけれども、平成15年の県内資格者数2,225社から、平成29年1,312社ということで、約4割の資格者が減ってきている状況を県としてどのように受けとめているのかをお聞かせいただきたいと思います。
○大久保建設技術振興課総括課長 今委員から御説明があったとおり、また、私どもの資料で示したとおり、県内の資格者数は減少しております。地域懇談会などでさまざまな意見交換をした中の意見では、平成8年ごろをピークとして事業費がどんどん下がってきている、また、今後も上昇が見込めないという観測から、新たな許可を得る方が減っている。そして、震災があってもふえてこなかったのですけれども、そういう危機感、今後の見通しは変わっていないものと思います。
また、先ほども申しましたけれども、後継者もなかなかいないといった時代背景を踏まえて、今後その業の展開を諦める方もいるのかと思っております。これは、岩手県の地域づくり、地域の守り手が減るという意味で、我々としては喫緊の課題だと思って、そこを何とかしたいと取り組んでいるのですけれども、資格者が減っているのはそういう観点からだと思います。
○臼澤勉委員 先ほども各委員からもお話がありましたように、まさに地域の守り手、担い手、支え手であり、県内の総合産業である建設業が有事のときにやっぱり最後の守り手、本当に期待される役割を果たしていると思います。私もいろいろ地域の皆様方ともお話しする中でも、この1,312社がどうなのか、あえて議論は差し控えますが、やっぱりある一定の数は必要になってくると思うので、例えば工業系の技術者の就職先についてもしっかりとやり、また、工事発注金額1,000億円ベースで、今4割も減っているところで、いい面と悪い面があると思いますので、総括課長がお話しされた担い手対策で高校卒業者や技術者の方々が、ほかに行かないように、県内で就業する仕組みを県教育委員会も含めて強力にやって、資格者の評価点のあり方についても何かいい知恵をさらに研究していただきたいと思います。最後に部長に聞いて終わりたいと思います。
○八重樫県土整備部長 臼澤委員からも非常に的を射た御指摘をいただいたと思います。登録業者数の減少は、それまでの推進プラン等で経営の改善という意味から、統合ですとか、改廃も含めた、あるいは多角経営とか、業種転換といったことを含めていろいろ過去には県でも支援を行っていた経緯もございまして、そういった前向きな統廃合とかがなされれば、若干数も減ってくることがあるのですが、実際、先ほど総括課長が言ったように、この減少は廃業、代が続かないといったこと、あるいは本当に小さな会社の数の減少が大きく反映されてきている数字と私も承知しておりました。
働き方改革とか、建設業界への若年労働者の入職についても本当に大きな課題と思っております。岩手県建設業協会を初め、各関係団体と毎年意見交換をやっておりまして、現在、来年度から進めていきますいわて建設業推進中期プラン、新しい推進プランを検討しておりますが、これについても意見交換をしながらやっており、国では、若手を活用したり、工事でも若手の技術者を使ったりすると評価点を与えて、受注の機会がふえるといったインセンティブを与えたりしておりまして、そういったことも勉強させていただきながら取り組みたいと思います。
次期総合計画の中でも、当初いろいろな政策部門が8部門あって、我々が担う社会資本整備が8部門全てを底支えするという、プラスワン部門に分類されておりましたが、今は、9番目の政策で位置づけられています。その中でも、先ほど来指摘がありますいろいろな社会資本整備について、安全・安心を支える社会資本を整備します、産業や観光振興の基盤となる社会資本を整備します、それと同時に生活を支える社会資本を良好に維持管理し次世代へ引き継ぎます、さらに若者・女性が働きやすい労働環境の整備、技術力、生産性の向上、経営基盤強化の支援などによる地域の建設業の持続的、安定的な確保を図っていきますことを今の段階で書き込んでおります。
これから具体的にこれをアクションプランという形で、今申し上げたようなことを10年間の計画で実現してまいりたいと思います。いろいろとお力、御知恵を拝借して進めてまいりたいと思います。
平成30年8月1日
○臼澤勉委員 私からは、西日本の豪雨災害への岩手県の県土整備部としての対応状況を教えていただきたいと思います。建築住宅のほうでも仮設住宅の立ち上げの支援に行って、向こうの被災地から非常に感謝されているという声も聞いてはおります。その辺の状況等を教えていただければと思います。
○小原副部長兼県土整備企画室長 今般の西日本豪雨災害に対しまして、要請に応じまして、本県では住宅関係の業務について支援をしたところでございます。詳しく申し上げますと、応急仮設住宅整備支援といたしまして、職員を派遣したところでございます。7月16日からの予定で派遣したところでございまして、16日の16時に職員2名が愛媛県庁に到着し、打ち合わせを行いました。その後17日から西予市、大洲市、宇和島市、今治市等で現地調査及び現場立会検査、図面の確認作業などを実施しまして、その業務を終えまして、7月28日に終了し、帰還したところでございます。
今後も全国自治体などでは短期的な被災地支援のための情報収集や調整を継続するなどしておりますし、中長期的な支援について情報収集、調整を行うとしてございます。
今後県といたしましても、国や市町村とも連携をいたしまして適切に対応、積極的に対応していきたいと考えてございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。ぜひ我々も本当に東日本でもそのとおり、全国からあるいは世界からも応援いただきました。
災害が起きたときの立ち上がりの支援というのはすごく重要になってくるのだと思いますので、実際各自治体等々でもノウハウというところがあるかといえば、正直なところ、頭ではわかっていてもなかなかそれを実際指示したり、具体に動かしていくという、そこの立ち上がり支援というのはやはり重要になってくるのかなと思ってございます。
ぜひそこの仮設住宅、今愛媛等々への派遣というところもありますけれども、今回はやはり広域的な甚大な被害もございましたし、そういう要請、全国知事会等の要請等々連携しながらやっていくのだと思いますけれども、ぜひそこら辺のノウハウをしっかり伝えていただきたいと思いますし、東日本大震災での教訓をどのように伝えているのかというか、ちょっとそこら辺、県土整備部としての今の御見解を、どういったところを教訓と押さえながら、捉えながら、被災地の支援をしていくのか、そこら辺をちょっとお伺いしたいと思います。
○小原副部長兼県土整備企画室長 やはり今回応急仮設住宅という業務で、本県に声がかかったということは、やはりそれは東日本大震災での仮設住宅の業務のノウハウというのが全国的にも・・・・ということで求められているのだろうと思います。
現地でさまざまなやりとりをしながら、東日本大震災の教訓なども伝えながら作業をしておられると思います。別の業務での例えば保健師を派遣したり、警察や、これからは農林水産部なども派遣になっておりますけれども、それぞれの持っている教訓などもございますが、これまで我々アーカイブなどで持っていたその知識や経験がしみついていると思います。そういったことをしっかりとお伝えをして、業務に協力してまいりたいというふうに考えております。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。例えば仮設住宅、それぞれのステージングが復旧・復興の段階、ステージングであって、地元にあると思うのです。まさに住宅再建、仮設住宅、生活もそういった立ち上げというところもありますし、次はまちづくりの部分というのも出てきます。
例えばがけ近であって、防災集団移転事業のああいった部分でのうまくいったところ、うまくいかなかったこととか、あるいは区画整理の部分というのもあるのかどうか、今回どうかあれですけれども、そういったノウハウとかいろいろなそういった現場現場で当然それぞれ違うと思うのですけれども、そういったところの特に防集なら防集の円滑に住民意向をまとめる、あるいはこういったところで苦労した、あるいは土地の1個1個の権利の設定だとか、抵当権外しだとか、土地に根づいた部分だとか、いろんな部分が課題として出てきますし、住民意向の変化の対応というのもやはり出てくると思いますので、ぜひそこら辺機会を捉えてつないでいくような、あるいは現場に行きながら伝えていただけるようにちょっとお願いしたいと思います。
平成30年9月27日
○臼澤勉委員 議案第36号和解の申立てに関し議決を求めることについて、お尋ねいたします。この相手方15名の大体の家賃の水準というのは、どのくらいの家賃にお住まいの方々が多いのか参考までに教えてください。
○小野寺住宅課長 家賃につきましては、今回和解を行おうとしている対象者の家賃につきましては、多い者で月に3万5,000円ぐらいという形になっております。
○臼澤勉委員 毎月3万5.000円程度の家賃を何らかの理由で払えない、あるいは払っていないという方々だという答弁なのですけれども、過去にこういう例えば滞納していた方、
強制的に、こちらの和解内容に書いているとおり、最終的には明け渡しを求めるということなのですけれども、実際そういう事例というのはあるのでしょうか。最後まで払わずに、そして明け渡し、退去を求めるという事例というのはどんなような実態なのでしょうか、教えてください。
○小野寺住宅課長 平成15年から29年度までに、議決に基づきまして起訴前の和解を締結した滞納者につきましては277名という形になっております。これまで和解条項に違反した者のうち、38名につきまして強制執行のほうを申し立てているという状況になっております。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。約1割強の方々が明け渡し、退去していると。この方々の行き先までのフォローはしていないのでしょうけれども、私はこの公営住宅というのは、そもそも福祉政策の一環という意味合いが強いと思っています。そういった意味では保健福祉部との連携みたいなところ、県土整備部的には払わないなら出て行けという、それは理解できるのですけれども、やはり岩手県全体として、あるいは公共的な政策を進めていくといったときには、保健福祉部との連携というのも必要になってくると思います。仮にこういった38名の方々が明け渡した後のフォローみたいなのというのは、県土整備部としてはどのようなフォローというのをやっているものなのか、あるいはやっていないというものなのか、ちょっとそこら辺教えてください。
○小野寺住宅課長 議案説明資料の29ページをお開き願います。和解の申立てに関し議決を求めることについて、フローで御説明しております。こちらの中で、今回右側のフローに沿って即決和解のほうを行おうとするものですけれども、こちらの中段の四角い箱にありますとおり、支払い督促ですとか個別指導の実施という欄がございます。この個別指導の中で、収入が低いですとか、変な話、逆に収入が高いといったような方については、それぞれその世帯の事情に応じ、例えば生活保護ですとか、民間の住宅を紹介するとか、そういう手続をやっておるというところでございます。
なお、退去された方につきましては、特段フォローという形はしておりませんけれども、滞納をそのまま残して退去されているという形ですので、定期的に督促を行うなりの県営住宅として家賃を回収するというような取組は行うという状況でございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。そういった形で引き続き、退去された後も債権の回収に県としては、あるいは県土整備部としてはやっていかなければいけないということだと思うのですけれども、その回収というのはうまくいっているものでしょうか。最後にちょっと教えてください。
○小野寺住宅課長 これまで行った即決和解の状況についてでございますけれども、平成16年から平成29年まで277件行っておるという状況でございますけれども、その際に和解対象の滞納額、16年から29年までですけれども、1億3,000万円ほどございました。和解を行うことによって回収できた額といたしましては、約4,600万円ほど回収できているという形で、状況にもよりますけれども、徐々には少なくなっておるというような状況でございます。
○臼澤勉委員 最後にいたしますが、回収には、やはり職員もかわって、引き継ぎしながらやっているというのは想像しますが、どのくらいまで引っ張るものでしょうかというか、そして最後の決着というか、取れるか取れないかというところはどういうものなのか、最後にちょっと教えていただいて終わりたいと思います。
○小野寺住宅課長 滞納者につきましては、和解を行った後も引き続き個別に対応させていただくという形で指導させていただいております。その中で、滞納額の解消が図られない方につきましては、当然訴訟に移って退去という形になります。退去した後の取組といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、さらに引き続き督促等を行うという形で、入居している方につきましては年5回、各公署の職員、それから私どものほうで委託しております指定管理者の納入指導員のほうが回っておりますけれども、退去した後につきましては手紙、それから民間の債権回収会社を通じて債権の回収に努めておるというような取組を行っているところでございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。いずれにしましてもそういった債権を回収するというのは、当然県としてしっかりやっていただきたいと思いますが、一方で経済的にも厳しい方々、いろんな事情もあると思いますので、悪質な方々は当然あれですけれども、さまざまな事情もあろうかと思いますので、他部との連携も図りながら、そこら辺を丁寧にやっていただきたいなと思います。終わります。
(この際発言)
○臼澤勉委員 それでは、私からも先ほど御報告いただきました「重要物流道路制度を契機とした『新広域道路交通ビジョン』、『新広域道路交通計画』の策定」に関し、まず重要物流道路についてお伺いいたします。直轄等の高規格幹線道路等は対象になるというのは想像できるのですけれども、県管理の地方道路といいますか、3桁国道とか、あるいは主要地方道とか、そういったところ、どのくらいのところが想定というか、対象になっていくと思われるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
○田中道路建設課総括課長 まず、広域道路ネットワーク計画は、8ページの3番の図にあるとおり、頂点を高規格幹線道路といたしまして直轄国道、プラス地方管理道路といったところで、物流上重要な路線区間というのが指定されています。これから災害時にとって代替・補完路としての機能を有するところが選定されていくというふうに考えておりますが、現在その規模感というのは、どういったところが防災の拠点あるいは物流の拠点になるかというところを国と調整している段階でありまして、したがってどれくらいのアウトプット、延長になるかというのまだわかっていないという状況になっております。
○臼澤勉委員 東日本大震災も含めて、花巻空港等に例えば物資が来たり、あるいは滝沢のほうのアピオとか、トラック協会とかとも連携しながら、さまざまな物資、物流が動いたわけでございますが、ここは広域的な道路ネットワークでしょうから、あとは流通センター、流通団地だとか、そこら辺のさまざまな拠点というのも出てくるでしょうし、秋田の港のほうからも国際港としての物が、私も朝、道路に立ったりして車の動きとかを見ていると、意外と縦軸、横軸とか、いろいろな動きがありますので、そこら辺は実態に即してまたいろいろ見ていただければと思います。ここはこのくらいにしますが。
それから、いわて花巻空港の収支をお伺いいたしますが、地方空港はなかなか厳しい状況で、花巻空港に限らず赤字といいますか、そういった部分なのかなと思うのですけれども、今回の維持運営分のみでそちらのほうを見るわけですけれども、全国的にはこの地方空港、花巻空港と同じぐらいのレベルの空港で、黒字になっている空港というのは幾つぐらいあるものでしょうか。
○佐々木空港管理課長 今手元にありますのが、国管理空港の状況でありますが、26空港ありますが、そのうち赤字になっておりますのが21空港で、平均の赤字が13億円ほどになっております。先ほど花巻空港は17億円と・・・させていただきました。黒字の空港を挙げますと、新千歳空港、宮崎空港、鹿児島空港、小松空港、徳島空港は黒字となっております。空港の規模によりまして収支はさまざまのようでありますが、以上のような状況になっております。
○臼澤勉委員 ありがとうございます。今年度から空港の管理部門のみが県土整備部におりたといったところで、私は以前から、管理と運用というか、ここは一体的にやっていくべきではないのかということで再三言っていたところでございます。つまり何を言いたいかというと、だからこの赤字を改善しようということで県土整備部として取り組もうといったときに、台湾チャーターは順調だというようなことで聞いてはおりますけれども、まさに利用促進のてこ入れをやらずして、この赤字の解消というのはないだろうというのが単純に言えばそういうことだと思うのですけれども、まずこの赤字の要因、なぜこうなっているのか、どのように分析されているのか教えてください。
○佐々木空港管理課長 17億円の赤字という御報告をいたしましたが、平成20年度から収支を公表しておりますけれども、平均的に16億円、17億円前後、年度によって若干差はありますけれども、その程度の赤字が出ております。また、維持運営分につきましては、今年度程度の赤字ということで推移しております。ある意味、空港につきましては社会インフラでもありまして、固定的にどうしても持ち出しが出てくる部分があるというふうには認識しております。ただ、そうはいいましても、いわゆる赤字の部分が県の一般財源の持ち出しとなりますので、経費の節減等に努めたり、あとはユーザー目線でさまざまな取組をしていきたいと思っております。
また、お話のありました、今年度組織が変わりまして、利用促進を中心にした交通政策室と私たち空港管理とは常日ごろといいますか、ほぼ毎日のように行ったり来たりしまして、それぞれの持ち分を精いっぱい努めながら、相乗効果といいますか、補いながら、あるいは役割をきちっと果たしながら鋭意努めているところであります。よろしくお願いします。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。17億円の赤字ということで、維持運営のほうだけ見れば7億円というようなことで、私はここの数字を見て、28年、29年のそういった推移も見れば、当局の御努力は評価できるのですけれども、ただ一方で、ここの赤字の解消といったところ、先ほどの21空港以外の空港のそういったところ、限度があるのだろうと思いますが、まあ、わかりました。では、どのように改善を図って、赤字解消に向けてやろうとしているのか、お伺いいたします。
○佐々木空港管理課長 かかる経費のほうの節減につきましては、頑張ってはまいりますけれども、ある程度限度はあるかなと思っています。そこで、収入のほうでは着陸料等がありますが、空港の利用促進、あるいは国際定期便の誘致等々を重ねてまいりまして、さらなる花巻空港の航空の利用を促進しまして、いわゆる着陸料をふやす努力、あるいは着陸料につきましては減免とか行っておりますけれども、空港の利用が活性化すれば、その減免のほうを見直しして、収入をふやすということも一考だろうなというふうに理解しております。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。着陸料の減免だとか、国際チャーターだとか、定期便化に向けて、まさにいろいろな御努力をされているというのは私も承知しております。台湾に次いで、次の香港を含めて、まさにいろいろな交渉事をやられているというふうに思いますし、今回の歳出の変化、国際チャーター誘致の利用促進による拡充の歳出のこの数字の変化というのは、まさにこういったことなのだろうなと思っております。
そういう意味では、最初の投資の部分というのはかかってくるのだろうなと思いますが、中長期的な視点で、ぜひ収支の改善に向けて御努力していただきたいと思いますし、国なり何らかの財源、あるいは民間からも含めて、そういった引っ張ってくるような御努力を引き続きよろしくお願いしたいなと思います。
それから、この際ということでちょっとお伺いいたしますが、いよいよ来年9月に、このお隣の岩手医科大学の附属病院が移転するということで、県内唯一の特定機能病院ということで移転するわけです。日量2,000人ぐらいの患者さんが今の病院のほうに通われていることですし、1,000床ほどの病院機能が移転するわけでございますけれども、まずお伺いしますが、この移転に向けて、県土整備部としてどのようなかかわりをされる予定なのか。いろいろな協議を医大さんともやられていると思うのですけれども、まず県土整備部としての支援策といいますか、お伺いいたします。
○八重樫県土整備部長 ただいま岩手医大の移転に関して、県土整備部としてという、県土整備部の看板で具体的に医大さんと直接、いろいろなネゴシエーションというか、そういったものは特にはございません。移転先の矢巾町長さんですとか、そういった方々、具体的な道路とか、まちづくり、こういったことについての構想、課題、そういったものの相談を承っているというような状況でございます。
あと、具体的に医大さんの立地に当たっていろいろ、景観上の屋外広告物等の規制だとか、そういった相談とか、それぞれ事情に応じた相談等はございますが、部としてというよりは、それぞれ所管している法令に従ったセパレートな相談内容になっているというふうに承知してございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。ちょっと聞き方を変えますが、入院患者さん600名、重症の方も含めて移転されるわけですから、やはり円滑な移送が重要になってくると思いますが、そういった意味では段差とか道路の、例えば県管理、3ルートで移動されるというふうに新聞報道等で伺ってございますけれども、医大のすぐ隣まで行くには当然県道路を通らないと行けないといったところもございますが、そこら辺の対応をどのようにお考えになっているのかお伺いします。
○白旗道路環境課総括課長 医大移転に伴いまして、入院患者さんの移送のことということで答弁させていただきます。県の担当部局のほうからの情報でございますと、委員御指摘のとおり、搬送ルートを今検討しているというふうに聞いておりまして、その中で道路管理者としての岩手県も対応が必要な場合は、現地の状況に応じた段差解消とか、そういった修繕について、適切に対応していきたいというふうに考えてございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。ぜひ患者さんに余り負荷がかからないように、国道、県道、市町村道、連携しながら取り組んでいただきたいと思います。
御案内のとおり、予定されている病院の前の町道1号線ですか、今4車線化に向けて拡幅をしてございます。これは何かというと、渋滞の緩和対策みたいなところが予想されるということで、地元のほうでも取り組んでいるわけですけれども、県管理道路の駅前停車場線だとか、徳田橋から来る道路、そこにつきましても、私も朝見ていますけれども、朝はそこまでの渋滞ではないかもしれませんが、夕方とか、ある特定の時間帯によっては渋滞とか、今既に発生しているような状況になっています。移転に伴って渋滞も想定されますので、聞くところによるとシミュレーションとか、今いろいろとそういったシミュレーションによって、利用状況とか渋滞状況も事前に把握できるというようなことも聞いておりますが、そこら辺の対応、行ってから、事業者が張りついてから補償したりしながら、右折レーンだとか、あるいは少し幅をとって救急車が通れるような道路確保だとかするよりは、先、先をある程度見込んでやる必要があろうかと思いますが、御所見をお伺いいたします。
○田中道路建設課総括課長 医大の移転に伴います交通量予測といったところの御質問かと思います。この交通量予測につきましては、平成23年度に県で実施しているものがありまして、これの前提条件は医大の・・・・交通量、つまりは一般の利用者とか、教職員とか、学生さんといったような方を含んだ交通量と、それから矢巾のスマートインターチェンジができた前提でのシミュレーションを行ってございます。これは前提条件になっております。
その結果によりますと、4号から医大に向かう矢巾停車場線の交通量が約1万4,200台、それから大ケ生徳田線、徳田橋があるところの交通量は1日当たり約8,000台ということでありまして、この結果から見ますと緊急的な渋滞対策の必要性というのは今は認識してはございませんが、今後実際の移転に伴って、あとは周辺の開発とかもあると思いますので、そういった状況を見ながら、必要に応じて矢巾町さん等と相談するとか、検討するといったことを考える必要はあるというふうに考えております。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。ぜひそこら辺の渋滞対策、県内唯一の特定機能病院でございますので、1分1秒、そこら辺の周辺環境をぜひ取り組んでいただきたい。
それにも関連するのですが、西バイパスの南進の関係、国道4号の南バイパス計画、ここについてもいろいろ、地元市町村が国交省の大臣のほうとかにも要望されたりしています。今現在国のほうでもルート選定の調査が入っていると思うのですけれども、そこら辺の状況はどのようになっているのかお伺いします。
○田中道路建設課総括課長 国道4号の盛岡南道路のお尋ねだと思いますが、これにつきましては、今年度、平成30年度の国土交通省東北地方整備局の調査の事業概要というものの中に公表されていまして、現在計画段階評価というのを進めるための調査ということで、概略ルートの検討とか、構造の検討といったところを行うということで示されております。これに基づきまして、先般東北地方整備局のほうで有識者に参画いただきまして、盛岡南道路の検討を行うために、まず前提となる国道4号の混雑の状況とか、必要性等といった課題について、整理が始まったというふうに聞いております。今後また委員会が開催されると思いますので、その進度に応じて、大体の想定されるルート案、何案出るのかわかりませんが、そういったものが出てくるものというふうに考えております。
○臼澤勉委員 国道4号の南バイパスにつきましては、盛岡広域の大きなまちづくりの広域的な幹線道路になりますので、それは地元のまちづくりも大きな影響を受けてくるということでございます。ましてや都市計画区域の中を走ったりしますので、そこら辺の今後のまちづくりにつきましても、ぜひ御指導、御指導といいますか、一緒に国、県、地元自治体とも連携を図りながら、適切なルートをやっていただきたいと思いますし、先ほどのルートの選定の中でぜひお願いしたいのは、県としての広域的な視点を持っていただきたいということでございます。B/Cのみで走ると、すぐちょいと、そういう視点も当然あるとは思いますけれども、今後の未来のまちづくりを見据えて、どうあるべきかというか、あり方を、B/Cのならず、県として大所高所の視点から見ていただいて、御指導をお願いしたいと思います。
○佐々木茂光委員長 臼澤委員の質疑の途中でありますが、この際、昼食のため午後1時まで休憩いたします。臼澤委員、御了承願います。
○田中道路建設課総括課長 午前中の臼澤委員の御質問は、盛岡南道路のルート検討に当たって広域的な観点からという趣旨の御質問かと思いますが、今岩手河川国道事務所が主体となって調査を進めていただいております。その中で、国のほうとしても盛岡と矢巾、広域的なエリアの中で、どういうルートがいいのかというところは当然検討されていると思いますし、その中で早期の、4号の渋滞が激しいものですから、早期に事業効果を上げるためにといったような観点、それから周辺の開発動向といったような、矢巾町さんが構想されている計画等も加味しながら、いろんな観点で検討が進められていると思います。県としても、そういった広域的なネットワークの観点から、どういったルートがいいのかといったところで、矢巾町さんなり盛岡市さんと一体となって考えていきたいというふうに考えております。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。盛岡、矢巾、あるいは紫波、そして国道396号だとか、陸前高田、遠野から来るようなそういったネットワークだとか、さまざまなネットワークが4号の南バイパス化に伴って、どこにタッチするかによって大きく、そこの広域的なネットワークというのができてくると思いますので、ぜひ大きな視点で、タカの目で見て、御指導いただければと思います。
そして、国道になると環境アセスの対象にも、4車線化のバイパスになれば、環境影響評価、環境アセス、県でいうところの第2種アセスだとか、1種になるのかどうなのか、そこはあれですけれども、そういったところについては環境部のほうで御指導する部分ではあろうかと思いますけれども、よろしくお願いしたいと思います。
それから、大きくネットワークができることに伴って、市街化といいますか。今も現実さまざまな事業者さんからの土地の照会とか、開発に向けてのお話も来ています。ただ、御案内のとおり、医大周辺は市街化区域と市街化調整区域ございますけれども、盛岡、滝沢、矢巾という大きな都市計画の中で土地利用が行われております。そういった意味から、市街化調整区域の検討状況、県としてどのように御指導、かかわっているのか・・・・御質問いたします。
○山田都市計画課総括課長 矢巾町の市街化調整区域の見直し等、現在の状況ということでの御質問でございますが、盛岡の広域都市計画、先ほど委員おっしゃいましたように、盛岡、滝沢、矢巾の3市町の区域にまたがっておりますけれども、おおむね5年毎の定期見直しというのがございまして、現在その作業に入っておりまして、来年度、2019年度末を目途に検討を進めているという状況でございます。今後各市町から見直し案というものについて、それぞれ意見をいただきまして、関係機関との調整を進めながら・・・・進めてまいるということになっております。
○臼澤勉委員 市街化区域の拡大につきましても、地元のほうでもさまざまな方々からのニーズ、対応、そして未来型のまちづくりに向けて、今検討を進めておりますので、県当局からも大所高所の視点から御指導を賜りたいなというふうに思っております。
それから、防災対策というか、医大周辺、大雨、豪雨のときはやはり治水の対策、これも求められてこようかと思います。おかげさまで岩崎川の改修も進めていただいておりまして、高まっておりますけれども、芋沢川、あるいはちょっと南側の太田川といったところもまだまだ、医大が移転するとそこの治水水準というか、少し高めなければいけないというふうに思ってございます。そこら辺の対応についてお伺いをします。
○杣技術参事兼河川課総括課長 ただいま岩崎川の河川改修、芋沢川、太田川の整備の状況ということの御質問でございました。
岩崎川の河川改修につきましては、従前は10分の1確率規模の河川でありましたけれども、平成25年の豪雨を受けまして、現在は30分の1規模の河川改修をして治水対策を進めております。現在平成31年度の完成を目指して整備しております。
また、そのほか芋沢川、太田川につきましても、現在調査等を進めて、治水対策を進めているところでございます。
○臼澤勉委員 有事のときに、あそこの医大に各地から、まさに災害があれば搬送されてきたり、あるいはまさに地元で何か災害が起きれば、あそこに人が集まってくるわけですので、そこら辺の河川の整備につきましてもしっかりと対応をお願いしたいなと思います。
そして最後に、昨日一般質問で土砂災害危険区域の質問が出ておりましたけれども、整備率といいますか、指定の状況は全国に比べて4割程度に、4割でしたか、全国水準よりは低いというようなことでの答弁でございましたけれども、一番大事なのは、指定することが目的というよりは、そこに住んでいる方々がここは危険な区域なのだということをしっかり把握すること。指定したり、ハザードマップとかしたことでその目的が達成されるとは思っておりませんので、時間も経費も結構かかると思いますので、そこは着実に進めながらも、今やるべきことは住民合意形成をしっかりと取り組んでいただきたいと思っておりますけれども、そこの取組に対するお考えと今後の指定の状況を改めてお伺いします。
○佐野砂防災害課総括課長 今私どもでは、土砂災害の危険箇所につきまして、委員おっしゃるとおり、基礎調査をして指定を進めているところです。それは、住民の方々が住んでいる場所にどういうリスクがあるのか、委員がおっしゃるように、土砂災害だったり、崖だったり、どういうリスクがあって、避難の行動につなげる、それが最終的な目標と考えてございます。したがいまして、基礎調査が終わる都度に公表するとともに、区域指定の際には、まず住民の方々に説明会を開いて、この区域はこういう土砂災害の危険箇所である、ここまでが警戒区域になるであろうということを示す。また、土砂災害とは、また崖崩れとは、そういうもので説明して、住民の方々に御理解をいただきながら進めていくというのが私どもの考えでございます。したがいまして、今後とも調査を順次進め、なおかつ区域指定に向けて住民説明会等を開き、住民の理解をいただきながら頑張って進めていきたいと考えています。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。以前、増田知事の時代に、つくらない公共事業ということで、崖地をコンクリートで守るよりは、そこから集団で移転していただく政策を県土整備部のほうでも県単事業等々でつくられたというふうに認識してございます。その活用状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
○佐野砂防災害課総括課長 私ども県土整備部では、がけ崩れ危険住宅移転促進事業、これを平成18年度に県単事業、崩壊対策事業の代替事業として行ってきているところでございます。これにつきましては、条件が土砂災害警戒区域及び特別区域に5戸以上あるところで、かつ特別区域、俗にレッドゾーンと言われる方々が移転する際に、そのレッドゾーンにある方々が全員合意した後、市町村で行うがけ地近接等危険住宅移転事業もございますので、それに上乗せ補助をすると、上乗せ補助をして安全なところに住んでいただくという制度がございます。
これまでの実績でございますけれども、9地区13戸になってございます。これは、補助はしますけれども、どうしても移転する方々の持ち出しが出てくるということもございますので、たくさんの件数が出てこないのはそのせいかなと考えてございます。
○佐々木茂光委員長 委員の皆様に申し上げます。他の委員の発言の機会を確保するためにも御発言はまとめて、かつ簡潔にされるようお願いいたします。
○臼澤勉委員 ありがとうございます。私は、最近の北海道胆振東部地震、あるいは全国さまざまな災害が起きているこの現状を見て、恐らく住民の皆様、以前なかなか集団移転といいますか、がけ近の5戸の合意形成が難しかった地域、それでも最近のこの災害の発生状況によっては、やっぱり移ったほうがいい、移らなければいけないのではないかというような心理的な変化が、意識の変化が現れているのではないかというふうに考えております。そういった意味から、改めて何らかの機会で、何らかの機会というか、導入しようと思ったけれども、うまくそういった形成がされなかった地域に対しても、PRではないですけれども、お話を聞く機会とかをしながら、そういったがけ近の導入事業についてもお知らせしながら、地域の安全確保、そしてまさに国土形成計画なり国土計画で言っているコンパクト・プラス・ネットワーク化に向けたそういった対策が、10年以上前のああいった政策が実は今の時代にようやくはまってきているのかなというふうにも思いますので、そういったニーズに対してもしっかり取り組んでいただきたいと思います。最後に部長からの御所見を聞いて終わります。
○八重樫県土整備部長 今年、九州から西日本、北海道まで、いろいろな自然災害が頻発いたしております。地震とか、こういう気象状況というのは予測ができない。毎年こういった激特な状況になるかどうか、来年もそうなのか、これはわからないところでありますが、国、県、市町村がいずれいろいろな予算を駆使しまして、予防防災とか、近年災害への対策を一生懸命取り組んでいるところでありますが、なかなかその予算規模というのも限られた財源の中でやっていることでありまして、一朝一夕に全てが整っていくというような状況にないところは、委員の皆様も御案内のところかと思います。
そういう中で、今臼澤委員から御指摘もありました、ハードだけに頼らない施策の一つとしてがけ地移転事業等、ソフト対策として過去に立案したものではございますが、こういった制度は岩手県独特の制度でございまして、これまで携わった方々の御努力によって事業化しておりますが、こういったものを極力PRしながら、全国的にも問い合わせが来ていた時期もございますので、委員のおっしゃるとおり、改めて全国的な自然災害が頻発という時期を捉まえて、また一つ見方をしっかりと見直しながらこれから進めてまいりたいと存じます。
平成30年12月7日(金曜日)
○臼澤勉委員 議案第16号一般県道大ケ生徳田線(仮称)徳田橋(下部工)(第2工区)工事の変更請負契約の締結に関し議決を求めることについて、確認を含めてお尋ねいたします。来年9月には岩手医科大学附属病院が矢巾町に移転します。一般県道大ケ生徳田線はまさに命の道路という役割を果たすところですが、全体の供用開始見通し時期は、現時点ではどのように見ておりますでしょうか。
○田中道路建設課総括課長 徳田橋の供用見通しでございますが、徳田橋については平成29年度から橋脚工事を行っております。5基のうち、これまで2基が完成し、残る3基については現在工事を行っており、2019年8月の完成を予定しております。橋脚工事に引き続きまして、河川管理者である国へ委託いたしまして橋台工事を来年度から着手する予定としておりまして、左岸側の橋台から着手することになっております。それで、橋台につきましては、同時期の施工はできないので年度がずれてきますが、下部工の完成後、上部工の橋梁前後の道路の改良舗装等を含めまして、供用の見通しにつきましては、おおむね4年から5年後といったところを河川管理者との協議により見込んでおります。
○臼澤勉委員 国の直轄事業もかかわってくる工事かと思うのですけれども、直轄工事の見通しというか、影響というか、調整状況も含めて、もう一度確認させてください。
○田中道路建設課総括課長 国との調整につきましては、橋台の施工時期、施工年度といいますか、順番といった調整をまず行って、そこについて国の了解をいただいております。来年度から国道396号方面から着手するといったことを了解いただいていまして、その後、細かい打ち合わせ等もあると思うのですが、そこについても引き続きしっかり調整を行って、滞りなく工事を進めるようにしていきたいと考えております。
○臼澤勉委員 こちらの徳田橋は、隣には企業団地もございますし、盛岡市側からは県立聴覚支援学校の方々が橋を越えて矢幅駅に向かったり、送迎バスや自転車で子供たちが通っていったり、そういう多面的な役割を果たしている橋でございます。一日も早く供用開始となるよう、関係者との調整を円滑に行いながら、よろしくお願いしたいと思います。
(中略)
○臼澤勉委員 議案第22号小本川筋卒郡地区ほか河川激甚災害対策特別緊急(築堤工)工事の請負契約の締結に関し議決を求めることについて、今の伊藤勢至委員の質問にも関連しますが、確認です。今回のこの工事がそれぞれの流域で行われていますが、この工事が完成すると治水水準はどの程度上がるのでしょうか。前回の台風災害のときも流木などが橋にひっかかったりして、さまざまな被害が拡大したというふうに認識しております。災害復旧工事ですから基本的には原形復旧なのでしょうけれども、今回のこの工事が行われることによって、その治水水準はどのように確保されるとお考えでしょうか。
○杣技術参事兼河川課総括課長 小本川、安家川の災害復旧は、原形復旧のみならず、改良復旧を行うことで、治水の安全度を高めて、事業を進めることとしております。治水安全度といたしましては、まさに平成28年台風第10号の降雨の流量をのめるくらいの断面を確保するよう整備を進めることとしております。
○臼澤勉委員 例えばここの流域で工事をしても、100年とかのスパンの中では、大雨が降ったときに住民を守れないこともあるかもしれないとの想定で、治水ダムの建設とかを含めた検討はあるものでしょうか。あえて確認させてください。
○杣技術参事兼河川課総括課長 現時点では当面の計画として、この河川においての治水ダム計画はなく、河川改修でもって治水安全度の向上を図ることを考えております。
(中略)
○臼澤勉委員 議案第30号の高田松原津波復興祈念公園整備工事について図面では、今回の施工範囲が赤色でくくられておりますが、緑色のところ、気仙川対岸の気仙中学校のある公園と、端にある定住促進住宅のあるところは、今回、施工範囲対象から外れております。その理由と、今後の整備予定についてどのようにお考えになっているのかをお伺いいたします。
○山田都市計画課総括課長 図面でいうと左側に気仙中学校、右側、東側には下宿定住促進住宅となっておりますが、これらは震災遺構としての活用について現在陸前高田市と協議を進めており、周辺工事につきまして全体の中で後に回ってくるので、今回の整備工事の範囲には含まれておりません。
(中略)
○臼澤勉委員 先ほど御説明いただきました住宅マスタープランについて確認させていただきます。公営住宅の供給目標量を定めておりますが、要支援世帯を1万9,000世帯と設定しております。前回の計画の2万8,000世帯から1万9,000世帯へ減少した理由として災害公営住宅の入居分などと書いてありますが、この1万9,000世帯はどう捉えたらよろしいでしょうか。今後10年間で、このくらいあればまず十分だという数字なのかを確認させてください。
○伊藤建築住宅課総括課長 資料2の下に小さい字で書いていて申しわけございませんが、要支援世帯が約1万9,000世帯という根拠は、5年に1度調査が行われている住宅土地統計調査の中から算出された数値でございます。先ほど言いましたように、高齢者ですとか、子育て支援世帯とかを推計いたしまして、次期総合計画の案として約1万9,000世帯と算出しております。
○臼澤勉委員 推計値とのことですが、公営住宅の位置づけとして、低所得者であるとか、生活に困窮している方々が入りやすいように、ある意味、福祉政策的な要素を持っていると理解しています。生活保護を受けている方々はふえてきていると思うのですけれども、その方々について、現在、あるいはこれから10年先、安定的に公営住宅を供給できるかという見通しについてどう捉えているか確認させてください。
○伊藤建築住宅課総括課長 生活保護を受けている世帯も、公営住宅の入居対象となっている、いわゆる低所得者層に含まれるかと思います。そういった対象の方も含めまして、要支援世帯の推計を行っております。
公営住宅供給目標量につきましては、推計しました低所得者層の世帯数などを推計し、公営住宅等で発生する空き戸数、いわゆる募集をする戸数と新たに建設されます災害公営住宅と建てかえ等を行う公営住宅等でそれらの対象世帯数をカバーしていけるようにとの考えで計算しております。
全体的に今後どうなるかですが、高齢化が進む中で、傾向としては対象世帯がふえるという状況はあると思いますけれども、人口減少も含めて推移を見ていくことになると思います。それで、現計画と新しい改訂案の中では、全体数としては、供給目標が約1万5,000世帯から1万2,000世帯に減っている状況でございます。
○臼澤勉委員 これからの時代、県が直接公営住宅を整備して管理していく手法から、シェアリングなど民間の空き室も有効活用しながらやっていくような住宅政策を進めていくのではないかと思っています。いずれにしろこのような数字が出てくると、財政当局との絡みや縛りが出てくると思いますし、この10年、経済対策をやってはいますけれども、子育て世代だとか高齢者世帯、あるいは若年層の所得の低い方々など、まだまだ厳しい状況にありますので、住宅確保をしっかりと進めていく上で重要な数字と思い確認させていただきました。
次に、これから冬を迎えますが、冬期間の歩道のバリアフリー対策という視点でお伺いいたします。盛岡市の中央通は歩道に融雪装置が入っていて、非常に歩きやすい環境になっておりますけれども、この融雪装置を設置するに当たって何か基準はあるものでしょうか。
○白旗道路環境課総括課長 道路歩道等の消融雪施設は、特に数値的な整備の基準はございません。県内ではこれまで、車道であれば急勾配のところとか、歩道では市街地、そういったところの整備を進めているところであります。
○臼澤勉委員 歩道のあるところ、市街地のある程度の交通量とか歩行者数が多いところは整備されていくと聞いたのですけれども、一方で選択と集中も必要かと思います。コストの関係もありますので、どこもかしこも消融雪施設を設置するのは現実的ではないと思うのですが、要望があり、今後、整備する予定の場所は県内にどの程度あるものでしょうか。
○白旗道路環境課総括課長 特にこういうところをやってほしいという要望は承っておりませんけれども、体に障がいがある方々の団体から、冬場の安全な通行のために検討していただきたいという要望はいただいているところです。
○臼澤勉委員 今度、岩手医科大学附属病院が矢巾町に移転します。また、周辺には県立療育センターなどもあり、体にハンディキャップを持った方々や弱者の方々も岩手医科大学附属病院を非常に多く利用されると思います。私も通勤で県道停車場線をよく歩きますが、冬期間は歩道が凍ってかなりつるつるで、私も含め健常者でも転ぶ人が多いです。さらに車椅子の方々は冬期間なかなか移動できないこともございますので、岩手医科大学附属病院が移転する周辺の県道停車場線の歩道について、冬期間のバリアフリー対策を行ってほしいといった声をいただいておりまして、消融雪施設の設置をぜひ検討していく必要があろうかと思いますが、御所見があればお伺いいたします。
○白旗道路環境課総括課長 冬季バリアフリーという考えのもとで、私どももさまざまな方法で道路の除雪を行っているところですが、歩道の除雪につきましては、通学路や、公共交通拠点、それからバス停留所、医療機関や公共施設等へ通じるものについて、優先的に実施しております。委員御指摘の区間につきましても、県ではこれまでも重要路線に位置づけて優先的に取り組んでおります。来年予定されている岩手医科大学附属病院の開業後、さらに道路の混雑が考えられますから、現地の状況をしっかり踏まえながら必要な対応を行っていきたいと考えております。
○臼澤勉委員 国やほかの自治体では、消融雪施設設置後に、温度を少し下げて管理するというような社会実験を行い、維持管理のコスト削減についてもいろいろと工夫しているようですので、そういった視点も含めて取り組みを進めていただければと思います。
平成31年1月9日(水曜日)
○臼澤勉委員 (土砂災害対策の取組について、)13ページで土砂災害危険箇所が約1万4,300カ所ある中で、土砂災害対策施設概成の箇所数は500カ所を切る498カ所との状況でありますが、今後何年ぐらいかけて整備していく見通しなのか、お伺いいたします。
○佐野砂防災害課総括課長 実際には要整備対象箇所として4,000カ所弱ございます。ただ、先ほど説明したように、概成したのはまだ約500カ所、これまで長い年月をかけて約500カ所で、年間2カ所とか3カ所しか概成しておりません。予算の関係もありますので、通常事業であれば毎年2カ所か3カ所が整備の限界かと思っております。ですので、いつまでに全部の整備ができるのかについては、まだ見通しが立たない状況でございます。
○臼澤勉委員 やるべき箇所が1万四千何がしと、本当に膨大な箇所数がある中で、この要整備対象箇所は、ある程度、緊急性とか重要性を選択して整備を進めていこうとの方針と理解しております。ここにも米印で書いていますけれども、要整備対象箇所は保全人家が5戸以上または公共施設整備がある場所とのことです。そのような箇所を年に二、三カ所だけ整備するのであれば、なかなか進まないのではと思いますが、その予算措置も含めて、どのように考えているのか確認します。
○佐野砂防災害課総括課長 要整備対象箇所として3,994カ所あり、その中で公共施設がある箇所は何カ所か実は私どもも押さえきれておりません。公共施設があるとか、保全人家が5戸以上あって公共性もあるとかの基準があり、3,994カ所がハード整備の対象箇所になります。では、公共施設があればすぐに優先されるかというと、集落が多いところもありますし、公共施設の中でも避難所とか病院もあります。それで、いろいろ見比べながら、早期の整備に努めていくこととしています。完了としては年に二、三カ所になっていますが、実際の事業箇所としては20カ所ぐらい整備しております、例えば砂防堰堤ですと全部終わらなければなりませんが、急傾斜地の場合は擁壁が毎年だんだんと延びていき、保全対象の人家を守ることになります。そのように全部終わったのが年間二、三カ所ということであります。
ただ、写真で見ていただくように、コンクリートの構造物などは、どうしても予算的にきついものですから、重要な公共施設があるからどんどん整備できるとは当然いかないものと考えています。ハード整備とあわせて、命を守ることが一番大事なことですので、まずは住民の皆さんに逃げていただくことが大前提と考えております。そのために土砂災害の土砂法に基づく基礎調査の公表や、警戒区域の指定をあわせて進めていく考えでございます。
○臼澤勉委員 国が示している、ある程度かちっとした基準で完璧に整備していくとなれば、年に二、三カ所ずつで、まさに100年、200年以上かけて整備していくようなボリュームになるわけです。東日本大震災においても我々はハードによる減災の限界を教訓として学びました。また、ある程度のハード対策も重要な部分ではあり、例えば、以前に、地域の実情に応じた整備を進めることを岩手県として取り組んできているわけでございますので、土砂災害についても、岩手型の一定レベルの基準でハード整備を進めていく動きもやっていかないと、なかなか進んでいかないのではと危惧します。そのようなことも調査研究を進めていただく必要があるのではないかと思います。
次に、農林水産部の事業とのすみ分けを確認させていただきたいのですが、土砂災害については国土交通省や県の県土整備部が所管していますが、一方で治山事業とか、農林水産部で行っている山を守る対策とのすみ分けは、どのように整理されていて、地域の安全を確保しようとしているのかお伺いします。
○佐野砂防災害課総括課長 土石流が山で起こった場合は、国土交通省の所管でもありますし、また、林野庁の所管でもあります。当然、保安林指定など、いろいろな指定がなされている場所については林野庁の所管になります。このあたりは各省庁のすみ分けがあり、林野庁の場合は事業の対象が山でありますが、最終的に住民を守ることについては同じですので、例えば、砂防や治山の計画があることなどを、毎年一回、県土整備部と農林水産部のほか、国土交通省東北地方整備局や林野庁の関係部署と合同で出し合い、効果的な形で整備を進めようと動いております。
○臼澤勉委員 お話がありましたとおり、守られるべき住民目線から見れば、所管が国土交通省であろうが、農林水産省であろうがどうでもよく、余り関係ないことであります。地元を歩いていると、治山事業としてやるべきところと砂防事業でやるべきところのすみ分けは、まだまだ調整すべきところが結構あると思って見ております。少しでも住民の安全確保が図られるように、要整備箇所の解消を加速させるように、研究をお願いしたいと思います。
そして最後に、山から河川に土砂が流入してきて、毎年毎年、河川が土砂で埋まるような場合、県が管理している河川であれば県が土砂を取り除きますが、市町村でも毎年対応に苦慮しているところが結構あります。原因は山にあるわけですが、河川への流入を抑えるために、抜本的な対策が必要と思いますが、そのことについてどのようにお考えなのかお伺いします。
○佐野砂防災害課総括課長 平成30年7月豪雨におきましても、山から土砂がどんどん流出して河川へ流れた結果、市街地に相当の被害を及ぼしたことから、私どもも河川や渓流の上流端で土砂を抑えることが重要だと考えております。今国の検討委員会でもいろいろと考えているところですが、土砂災害対策は下流の住民の生活や生命を守ることが第一ですので、委員がおっしゃったように、もっと簡易的に対策ができないのか、実質的に解決できないのかも含めて、国の動きにあわせていろいろ考えていきたいと思っております。
○臼澤勉委員 毎年予算をとって土砂を撤去することに苦慮している市町村もあると聞いております。毎年多額の費用をかけて土砂を取る河川の維持管理も必要ですが、山を抑える、原因となっている部分を抑えるといった対策について、農林水産部と連携しながら県土整備部で抜本的な対策を考えていただきたいと思います。
(中略)
○臼澤勉委員 (仮称)いわて建設業振興中期プラン骨子(案)について、今回の中期戦略プランの狙い、目的は、多分、復興事業が今後減っていくことを踏まえて、何らかの警鐘を鳴らそうということかと思っております。増田知事のときには、建設業界に公共事業依存体質から民間事業依存にある程度シフトしていかなければいけないことを示す狙いもあって、アクションプランを策定した経緯があると認識しておりますが、今回のプランの狙いを改めて確認したいと思います。また、今後4年間のプランということで、先ほども伊藤委員や柳村委員からいろいろ御意見がありましたけれども、一定規模の事業量の必要性をどのレベルで認識されているのか確認させていただきたいと思います。具体的に言えば、2ページに平成2年からの公共投資、民間投資も含めた建設投資額の推移が記載されていますが、どの水準を確保しようという思いをお持ちになっているのかお伺いいたします。
○大久保建設技術振興課総括課長 委員からのお話のありました一定規模の事業費を確保するというイメージですけれども、東日本大震災津波の際、災害時には建設業者が物すごく力になることを県民もわかったと思いますが、今回の目標に掲げている災害対応空白地域の発生防止は、最近頻発しています自然災害に対応できる業者が身近にいる、そういった頼れる建設企業がいつもそばにいる状況を想定しています。そのためには、対応する人も抱えないといけませんし、重機もなければいけない。さらにその先には、それを維持するために、民間事業費でもいいのですけれども、一定規模の公共事業で、安定的な経営を確保するための事業費が必要だとイメージしております。
そして、平成30年度以降、どれぐらいの規模を想定しているかとの御質問でしたが、建設業振興の考えから、東日本大震災津波以前の規模までは確保していきたいと考えております。地域懇談会で建設業界と意見交換を行った中でも、復興事業が終わって、東日本大震災津波以前よりも公共事業費が下がるのは少しきついとの話も言われておりますので、東日本大震災津波以前の規模を目指せればと考えています。
○八重樫県土整備部長 建設業の推進について、執行部として明確にお示しする数字はございませんが、大久保建設振興課総括課長が申し上げましたとおり、資料2の2ページのグラフ、平成23年度の青い棒グラフが東日本大震災津波の発生直前直後であります。その前、平成22年度と平成21年度の青い棒グラフが平成23年度よりも少し高い。平成24年度からは復興事業が入ってきて、青い棒グラフが伸びている状況となります。平成23年度はあくまで特異的に落ちている時期で、平成22年度以前の水準が一つの目のつけどころで、一つ考える対象にはなるかと思いますが、具体的な目標値については、これからいろいろと検討させていただきたいと思います。
○臼澤勉委員 確認ですが、この一定規模とは公共投資のみを言っているのか、民間投資を含めた、棒グラフの青と赤を含めたことを言っているのかをお聞きします。
東日本大震災津波災前の水準は、大分ギアをチェンジして、要は、公共事業費を半分までどんどん落としてきた状況でした。資料の青い棒グラフですね。平成2年ころは、民間投資も多くて、県内の建設投資額の約半分とか、あるいは4割は民間投資で支えていたわけです。私の認識では、比率的には6対4ぐらいのところで、公共投資と民間投資でバランスをとって県内の仕事が回っていたと思います。不景気もあるのでしょうが、建設業を支えるボリュームとして、民間投資額が非常に下がって2割ぐらいまで落ちました。
現在の復興事業も含む資料の棒グラフの中でも、民間投資のシェアが7割ちょっとで、公共投資が支えているという事実に対し、今後、復興事業がある程度収れんしてきたときに、民間投資、それこそILC誘致とか、県土整備委員会ですから、ある程度公共投資の話に集約すると思いますが、大きな民間プロジェクトも含めた誘致も必要になってくるということです。建設業対策として、部局横断でやっている部分もあるでしょうから、関係部局も交えて、県内のボリューム感をどのように確保していくのか、これをまずしっかりと考えていっていただきたいのが一つです。
そして、建設業者数は減りません。それはなぜかといえば、従業員がリストラされて会社を離れたときに、自分で生きていくためのすべは何かといえば、やはり技術を持っているから、自分自身が建設業者として登録して仕事を確保しようとするためです。建設業者の頭数は減りませんので、競争も非常に激化することで、工事の品質が落ちることとか、いろんな弊害も出てくる心配があります。その対策を考えていただきたいのですが、御認識をお伺いしたいと思います。
○大久保建設技術振興課総括課長 建設業振興の観点から事業費といった場合は、公共、民間合わせた規模だと考えております。
岩手県の場合は、公共依存体質がちょっと強いという地域特性を持っていることも認識しております。そのような状況も踏まえてプランを策定しております。
また、工事品質の低下についてですが、競争が激化してきますと、低入札等が発生して、少ない予算で発注者から求められる目的物をつくるときに品質の低下が考えられます。今回のプランの中では、建設業者の役割のところに示しておりますが、ものづくりに当たる建設企業がちゃんと品質確保についても求められている役割なのだとの認識を持った上で取り組んでほしいといった内容を盛り込んでおります。
○臼澤勉委員 ぜひ県土整備部から強いメッセージを発信していっていただきたいとの趣旨で、私はあえて質問させていただいております。公共投資も含めて建設投資額が下がっていくだろうと見込まれる中で、平成22年度の水準が本当に望ましい水準なのかといったことを、県庁内やいろいろな産業界の人たちとも大いに議論していただきたいと思います。平成が終わり、未来に向けた投資、社会インフラを整備していくというさまざまな時代のニーズがあるわけですから、何のために県土整備部があって、何をやらなければいけないのかといった、未来のインフラ整備に向けてのメッセージの発信なり、ディスカッションをしていっていただきたいとで思っております。
○八重樫県土整備部長 社会資本のこれから整備すべき箇所については、委員の皆様や住民からも、要望としていろいろ案件をいただいておりますことから、岩手県の社会資本整備がここで終わったという認識は全くございません。さらに、でき上がっているインフラストックの健全な維持管理を行っていかなければ、県民の皆様の社会経済活動や、安全・安心な生活が保てないという命題のもとに持って仕事を進めていく覚悟でございます。
実際に現場で仕事をしていただくためには地域の建設業の力が必要であり、その認識で、このプランを今検討しているところでありますが、肝心の予算確保の意味で、適正水準、あるいは目標水準はいかにあるべきかについては、平成2年度以降、バブルの崩壊やリーマンショックなどいろいろな経済情勢の変化があり、そういった時事の事象によりまして国や県の予算自体が影響を受けていることもあります。県土整備部として財布を確保しているわけではなくて、財源は県民の皆様の税金であり、経済情勢に左右されるものであることを覚悟しながら、目指すべき県土の整備の姿と、その都度、県で措置できる財政の調整を鋭意図りながら進めていきたいと考えております。
○臼澤勉委員 生産性向上に向けた仕組みづくりに向けて、公共だけでなく民間も含めて、取り組みを進めていっていただきたいと思います。