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県議会報告

平成29年2月定例会 予算特別委員会(農林水産部・農業関係)(平成29年3月15日(木))

2017.03.18

1 農業経営者の育成目標と具体的対策について

(1) リーディング経営体の現状と平成30年度までの達成見通しについて

 平成27年現在では、1戸当たりの経営耕地面積が、平均で2.7ヘクタールとなり、この10年間で約1.4倍に拡大したほか、販売額3千万円以上の経営体数が827と、この10年間で47経営体増加するなど、農地利用集積による規模拡大が着実に進んだと伺っている。販売額3千万円以上または所得1千万円以上の「リーディング経営体」の現状と、平成30年度までに940経営体にする目標の達成見通しのご所見を伺う。

 リーディング経営体の現状と、平成30年度までの達成見通しについてでありますが、県では、第3期アクションプランにおいて、リーディング経営体を平成27年度から平成30年度までに60経営体を育成し、940経営体とする目標を定めている。
 このため、各市町村の農業再生協議会を中心に、リーディング経営体育成候補者の選定を進め、選定された候補者に対して、
① 農業改良普及センターによる重点指導をはじめ、
②「いわてリーディング経営体育成支援事業」による候補者への直接的な機械・施設の整備や、
③「農地中間管理事業」による効率的な農地の集積・集約化
を行っているところであり、こうした取組により、リーディング経営体育成の目標を達成していきたいと考えている。

リーディング経営体の営農類型はどうなっているか。

リーディング経営体の営農類型についてでありますが

1 県内の800を超える販売額3千万円以上の経営体の営農類型の状況は不明である。

2 リーディング経営体育成候補者となっている約50名の営農類型は、畜産が約20名、水稲が約20名、残る約10名が園芸等となっている。

2 農地中間管理事業について

(1) 現状の認識と課題、解決の具体策について

 農地中間管理事業の現状の認識と課題をどう捉えているか。また、具体的にどのようにして、担い手への農地集積・集約化を図るのか伺う。

 農地中間管理事業の現状の認識と課題及び課題解決の具体策についてでありますが、本事業による平成28年度の貸付実績は、3月3日現在、3,165ヘクタールで、目標の88%となっており、国からの機構集積協力金の減額などにより、新規の出し手が減ったことや、中山間地域などの条件不利地において、受け手となる担い手の確保が難しいことなどが課題としてあげられる。
 今後、機構集積協力金の十分な確保と合わせ、中山間地域などの条件不利地における簡易なほ場整備や、農地中間管理機構の農地コーディネーターと市町村農業委員会の農地利用最適化推進委員が一体となった農地のマッチング活動などにより、より一層、担い手への農地集積を進めていく。

(2) リーディング経営体となる経営規模と集積に向けた課題の把握と解決策について

 リーディング経営体になるには、どの程度の規模が必要になるのか。また、集積の実現に向けた課題をどう捉え、解決にどう取り組んでいくのか伺う。

 リーディング経営体となる経営規模と集積に向けた課題と解決策についてでありますが、本県では、水稲を主体とする経営の場合、リーディング経営体が目標とすべき営農類型は、水稲25ha、小麦10ha、計35haと試算している。
 こうした大規模な農地集積に対応するため、農地中間管理機構では、本年1月に担い手組織などとの連携協定を締結したところであり、今後、この協定に基づき、担い手の意向把握をきめ細かに行い、市町村農業委員会等と一丸となった農地集積を進めることとしている。
 県では、こうした取組を積極的に支援し、リーディング経営体への農地集積を進めて参る。

 地域を分かっている人が農地のマッチングをコーディネートした方が良いのではないか。

 農地のマッチングについてでありますが、農地のマッチングは、顔が見えることが必要であると考えており、農地中間管理機構には全市町村を対象とする農地コーディネーターが17名配置されている。
 また、各市町村には農地利用最適化推進員が配置されているので、現地での情報交換を密にしていきたい。
 来月から全市町村を回りながら説明していきたいと考えている。

 本事業の円滑な推進方策について伺う。

 農家の顔の見える農地マッチング活動を行うため、農地中間管理機構では、県下全域に農地コーディネーター17名を配置しているほか、全市町村の農業委員会に農地利用最適化推進委員を配置する予定であり、今後、双方の連携を密にしていくこととしている。
 具体的には、本年3月から、機構が全市町村を巡回し、農地利用最適化推進委員と意見交換することとしており、このような活動を通じて、農家の顔の見える農地マッチングに努めていく。

3 いわてアグリフロンティアスクールについて

(1) いわてアグリフロンティアスクールの現状と成果・課題について

 「いわてアグリフロンティアスクール」の開設による経営感覚・企業化マインドを持った農業者の育成状況について伺う。現状と成果、課題をどう捉えているのか。今後、どう展開するお考えか伺う。

 いわてアグリフロンティアスクールの現状と成果、課題についてでありますが、平成28年度までの過去10年間の修了生は、351名で、そのうち自らの戦略計画が評価を受け、岩手大学からアグリ管理士の資格を授与された者が222名となっている。
 修了生は、習得した知識・技術を生かし、経営規模の拡大や6次産業化等の経営発展に取り組んでいるほか、各種研修会の講師や集落営農組織の役員を努めるなど、本県農業をけん引する人材として多方面で活躍している。
 今後も、本スクールの運営を通じて、本県の先進的な農業経営体等の育成に努めていくとともに、修了生の戦略計画の実現に向けたフォローアップにも対応していく。

(2) リーディング経営体育成支援事業について

 「いわてリーディング経営体育成支援事業」による個別経営体への直接的な機械・施設の整備が必要となるが、現在の取組み状況と今後の取組み方向について伺う。

 リーディング経営体育成支援事業についてでありますが、本事業は、リーディング経営体育成候補者が、経営計画に基づき、目標とする販売額や農業所得を実現できるよう、必要な機械・施設のリース料を補助するもの。
 平成24年度から27年度までに、事業を活用した26名のうち、20名が経営目標を達成しており、本年度は新たに4名が活用したところ。
 今後は、機械・施設等の整備支援と合わせて、経営管理能力の向上に向け、農業経営アドバイザーなど専門家と連携した支援に取組み、地域農業をけん引する経営体を育成していく。