ホーム  >  県議会報告  > 平成29年2月定例会 予算特別委員会(商工労働観光部)(平成29年3月13日(月))

県議会報告

平成29年2月定例会 予算特別委員会(商工労働観光部)(平成29年3月13日(月))

2017.03.18

1 被災中小企業重層的支援事業について

(1) 事業再開後のフォローアップ支援等について

 今年度までに25グループ約500事業者に対しグループ補助金の交付決定を行っていて、約300事業者が復旧済み、残りの事業者は現在本設再開に向け建設を進めている。事業再開後のフォローアップ支援の取組み実績と成果、課題をどう捉え、来年度どう取り組むのか伺う。
 

 事業再開後のフォローアップ支援等についてでありますが、被災事業者復興状況調査によると、「顧客・取引先数の減少」、「業績の悪化」等が事業再開後の課題とされており、施設・設備等の復旧とともに、経営を軌道に乗せるための支援が必要と認識している。
 今年度は、県、商工団体等の支援機関、債権買取機構で連携し、事業を再開した700者以上の事業者に対して、巡回相談や専門家派遣等を行っている。
 来年度についても、こうした取組をさらに進め、事業者へのフォローアップを強化し、引き続き、事業者の再開支援に取り組んでいく。

(2)  本設再開による経済効果について

本設再開にょりどの程度の経済効果が生まれると試算しているのか伺う。
 

 本設再開した場合の経済効果としては、店舗を建設するといったような工事費ですとか、あるいは従業員を採用し増やすといった雇用に伴う経費ですとか、非常に幅広い用途がある訳ですけれど、県ではそこまで幅広く経済効果についての試算は実施しておりません。
 直接的な効果としては、再開した店舗による販売額というものが考えられます。例えば、陸前高田市の場合になる訳ですけれど、陸前高田市の「まちなか再生計画」では、中心市街地に約100事業者が出店するという計画になっております。この再生計画上の売り場面積当たりの計画販売額といったものと、これら事業者の出店状況に基づいて販売額を試算しますと約102億6,000万円余となっております。
これは陸前高田市の場合ですけれども、それぞれの各地区でそういった形で直接的な効果としては販売額が考えられるということです。

(3)  沿岸被災地における創業支援について

中小企業の創業支援について、沿岸被災地では、どのような支援を行っているか伺う。

 沿岸被災地における創業支援についてでありますが、県では、創業に必要なスキルの習得等を目的として、商工団体と連携し、県内各地で創業スクール等を実施しており、平成28年度は延べ222人の参加があったところ。
 また、「いわて起業家育成資金」等により創業資金の手当てを行うなど、成長ステージに応じた支援策を展開しているところ。
 さらに、若者や女性などが創業体験できるよう、市町村等と連携してチャレンジショップ設置などの事業を実施してきており、平成29年度は沿岸被災地においても実施できるよう検討しているところ。
 なお、復興局においては、被災地で事業計画策定等の支援や、創業時の費用に対する補助を行っており、来年度は、特に、中心市街地で創業する場合の補助を拡充することとしている。

2 岩手県知的財産活用促進プランについて

(1)取組み実績と成果、課題について

 本県では、平成24年3月に「知的財産活用促進プラン」を策定し、産学官金が連携して産業の高度化や新産業の創出を図る“知的財産立県”を目指した取組が進められていると認識。これまでの取組実績と成果、課題をどう捉え、来年度以降どう取り組むのか伺う。

 岩手県知的財産活用促進プランについてでありますが、県では、「岩手県知的財産活用促進プラン」を策定しまして、これに基づきまして、まず、体制として、岩手県発明協会、岩手県工業技術センター、いわて産業振興センターの3者による「知財総合支援窓口」を設置いたしまして、県内企業への周知と利用促進を図るとともに、いわゆる知的創造サイクル、知的財産の「創出」「保護」「活用」の活動、これらのサイクルをきちんと循環させていくための環境や基盤の整備に産学官金が一体となって取り組んできているところでございます。
 主な成果といたしましては、「知財総合支援窓口」の相談件数が、平成24年度の1,096件から平成27年度には1,428件に増加、30%くらい増加をしておりますし、そういう意味では、知財総合支援窓口が普及してきたこと、また、企業の商標出願件数が平成24年度の269件から平成27年度には329件に増加をしているということで、企業の知財経営の取組も進展してきていると考えております。
 課題としましては、企業おける知財関係の専門的な人材やノウハウが不足していること、大学や公設試においても優れた研究成果の権利化や知財の事業化に係る専門人材が不足していること、このためまだまだ知財の活用が、いまだ十分とは言えないと考えているところです。
 今後におきましては、弁理士や弁護士等の専門家や日本弁理士会などの関係機関との連携を強化しながら、人材やノウハウの不足に対応していくほか、商工団体や金融機関の協力も得ながら、企業における知財意識の醸成と知財活用の促進に取り組みまして、企業の競争力強化につなげていきたいと考えております。

(2)知的財産立県への決意

 山形県等と比較すると、本県の特許出願数等は低い状況にあるが、今後、“知的財産立県”を目指し、新たな産業振興にも取り組んでいくものと理解している。県の意気込みを伺う。

 知財関係の出願件数については、ご指摘のとおり、少ない状況にございます。ただし、知財の保護や活用については、非常に重要と考えております。
 このように岩手県において、出願件数が少ない要因の一つには、知財のマネジメント部門が首都圏等にある本社の方に置かれているということもあろうかと思っておりますし、地場の中小企業においては、これはアンケート調査によるデータになりますが、自社には権利化できる技術がないとか、そもそも知財は関係ないと感じている企業も多く、企業への意識啓発が重要と考えているところです。
 また、商標については、増加傾向にあると先ほど申し上げたところですが、伝統工芸品や農林水産物などのブランドの確立や模倣品への保護対策などの意識の高まりなどが徐々に出てきているのかなと考えているところです。
 地域産業の競争力や成長力を高めていくためには、生み出された商品やサービス、さらにはその核となる技術やデザインなどのアイデアとか、地域の農林水産資源などの強みを権利として適切に保護し、その活用により事業者の利益を確保していくことが非常に重要であると考えております。そのためにも、今後も、知財総合支援窓口を中心にいたしまして、知財セミナーや相談会を開催いたしまして、県内企業への啓発、普及や活用促進に取り組んでいきたいと考えております。

3 観光振興とDMOの取組について

 県内の観光振興に向けたDMOの取組実績と成果、また、今後どう取組を進めていくのか伺う。

 観光振興とDMOの取組についてでありますが、県では、昨年4月に沿岸市町村と連携して、「三陸DMOセンター」を開所した。
 このDMOセンターにおいて、三陸を中心とした観光の動態調査を行うとともに、教育旅行を担う人材を育成するための「三陸教育旅行プランナー養成研修」の実施に取り組んできたところ。
 また、県内各地域においてもDMO整備を促進するため、市町村や観光関係団体などを対象に、DMOの目的、必要性などの理解を広めるとともに、具体的なDMOの登録手続きなどに関するセミナーを開催し、DMOの設立に向けた支援を行ってきたところ。
 このことにより、三陸DMOにおいては、今月中にまとめる調査・分析により、戦略的な誘客策等、基礎固めが進むとともに、研修の受講者が自ら旅行プログラムを造成するなど、着地型観光の構築に向けた取組が進んでおり、また、県内のDMO整備については、今年1月には「宮古観光文化交流協会」が本県2つ目の日本版DMO法人として登録されたほか、一関市・平泉町、葛巻町においてDMO登録を目指した取組が進められるなど、成果が上がっていると捉えている。