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県議会報告

平成29年2月定例会 予算特別委員会(環境生活部)(平成29年3月9日(木))

2017.03.18

1 野生動物と共生推進事業費、指定管理鳥獣捕獲等事業費について

(1) 生息状況の把握と個体管理について

 生息状況の把握はどのように行われているのか。また、個体管理は適正か。

 シカの生息状況の把握の状況等についてですが、平成27年に環境省が公表したシカ資料によると、本県には約4万頭のシカが生息していると推定されているところであり、その個体数把握のため、県では環境保健研究センターにおいて、毎年、シカのモニタリング調査を実施しているところであります。
 また、ツキノワグマの生息状況の把握についてですが、県では、平成21年度から平成24年度にかけて、県内全域を対象とした大規模ヘアトラップ調査を実施し、県内に生息する個体数をおよそ3,400頭と推定したところであります。
 また、平成25年度からは地域を限定した小規模なヘアトラップ調査を毎年度実施し、個体数の変動についてモニタリング調査を実施しております。
 ツキノワグマにつきましては、いわてレッドデータブックにおいてDランクに位置づけられていることもありまして、生態系維持のために現在の適正な個体数管理に引き続き取り組んでまいります。
 また、シカにつきましては、県の捕獲事業等を実施し、平成35年までに半減させることを目標とし、毎年度1万頭以上の捕獲を目標とし、個体数管理に取り組んでいるところであります。

(2) 今年の予測・見通しについて

 今年の予測・見通しについて、特にツキノワグマは如何に。

 今年のツキノワグマの出没等については、平成28年度は数年に1度の頻度で発生する大量出没年であったことから、平成24年度から統計をとりはじめてから過去最高の出没件数となったところであります。
 また、大量出没の翌年である、今年、平成29年度においても、クマの出没が見込まれるとの学識経験者の意見があることから、本年においても、やや例年に比べて多くの出没が予想されているところです。

(3) 担い手の技術力向上について

 被害防止対策と共に担い手育成が課題。担い手の技術力向上に向けどのように取り組むのか伺う。

 捕獲の担い手の確保とともに新規に狩猟免許を取得した方の技術力向上も課題となっているところですが、県では、新規免許取得から3年以内の方を対象に捕獲技術の向上を目的としたスキルアップ研修会を県内各地で開催しているところです。
 平成28年度においては、矢巾町の矢巾総合射撃場において、射撃の技術向上研修及びベテラン狩猟者の方と交流を深める狩猟者交流会を開催し、1月には奥州市において、わなの設置や捕獲個体の解体方法等の研修会を実施し、担い手の向上に取り組んでいるところであります。

2 性犯罪性暴力ワンストップ支援体制整備事業

(1)現状と課題認識について

 県内の性犯罪・性暴力の現状と課題認識は如何に。

 性犯罪性暴力被害者ワンストップ支援体制整備事業についてであるが、県内の性犯罪・性暴力の現状については、性犯罪を刑法上の罪種として強姦、強制わいせつ等と捉えると、県警における強姦の認知件数は年間10件前後、強制わいせつは50件前後で推移している。
 性暴力は、性犯罪を除く女性の意に反する性的な言動の全てであると理解しており、警察署における性的虐待を含む配偶者暴力全体の相談件数は年間400件程度となっているが、そのほかの暴力については把握できていない。
 現状に対する課題としては、被害者は、精神的苦痛や羞恥心だけでなく、被害者に対する周囲の無理解等から被害申告を躊躇するなど被害が潜在化しやすいとともに、被害が長期化することが挙げられる。

(2)平成29年度当初予算の内訳について

 国の交付金が後押しとなって総合的支援体制のワンストップ化の体制がようやく本県でも整備されたと認識。相談体制や支援内容はどのようになっているか。

 平成29年度当初予算の内訳は、支援機関・団体が連携の在り方等について意思疎通を図る会議や支援相談員のための研修会の開催費として約12万円、支援の内容を説明するリーフレット・ポスターの作成や一般県民向けフォーラムを開催する普及啓発費として約42万円、産婦人科や精神科の医療費負担として約100万円となっている。

3 風力発電の整備見通し

(1) 風力発電の整備計画について

 県内各地で風力発電の建設計画があると認識。現在、どの程度整備計画が進められているのか。

 風力発電の整備計画についてでありますが、現在、県内で環境影響評価法の手続きが終了した計画が3件で約90メガワットとなっており、そのうち2件、約43メガワットが建設工事に着手しております。
 その他、環境影響評価法の手続きを進めている計画が18件あり、それらが計画通り導入されたと仮定すると、約2,000メガワットの規模となります。

(2)環境影響対策について

 供用開始された場合、県内再生エネルギーの供給に占める割合が平成27年9%から平成32年32%と大幅に拡大すると伺っている。環境影響で最も危惧されるのがイヌワシのバードストライクであるが、対策はどのようになっているのか。他の開発事業との複合影響は問題ないか。さらに景観の視点も合わせ伺う。

 大きく3つの質問があったと思う。
 まず、1点目のイヌワシへの対応についてであるが、イヌワシへの対応は、大変重要であると認識している。環境影響評価においては、周辺に生息するイヌワシの飛翔状況について繁殖期・非繁殖期を通じて十分に調査し、その結果に基づきイヌワシに与える影響を予測・評価したうえで、影響が回避又は極力低減されるような環境保全措置の実施を事業者に求めているところである。
 対策の1つとなるバードストライク対策としては、例えば、風車の視認性を高めるためのブレード塗装やシールの貼付等の対策を事業者に求めているところである。先ほど答弁したように、もちろん設置の取りやめも一つの方法ではある。
 次に2点目の事業実施区域が近接している風力発電事業については、複数の事業が同時に実施される場合の周辺環境への複合影響について、技術審査会において審査会委員からも意見が出されているが、予測及び評価を実施し、その結果を踏まえて事業計画の検討を進めるよう事業者に求めているところである。
 最後に3点目の景観に係る影響については、事業実施区域の近隣に住居が存在する場合は、風車の配置の検討に当たり、不特定多数の人々が集まる公共の場所と併せて、住居等の日常生活の場からの景観にも十分に配慮するとともに、地元住民への十分な説明を行い、理解を得るよう事業者に求めているところである。
 県としては、今後も環境の保全と再生可能エネルギーの推進の両立が図られるよう適切に取り組んでいく。

4 災害廃棄物の広域処理の推進について

(1)県の災害廃棄物、有事における広域処理の課題、今後の対応方針等について

 東日本大震災の時、岩手県の災害廃棄物は隣県や東京都、大阪府などに広域処理をしてもらった。もともと法律上は、災害廃棄物は一般廃棄物扱いであり、市町村で処理を行うのが基本だが、昨今の台風や地震などの災害が多発している 状況では、各市町村が自力で処理を行うことは困難な状況である。また、自県内(自圏内)での処理も広域組合との兼ね合いで自由度がなく、かなり困難になってきている。そのため、コスト問題はあるものの、隣県や他県に搬出して処理を行う広域処理は、今後重要な手法になると思われます。
 実際、一昨年の熊本地震の災害廃棄物は、昨年11月から大船渡の太平洋セメントで受入開始しており、こうした広域処理の取組みは非常に重要であり、岩手も今後は新たな被災地を支援し協力できるよう、受入れを進めていく必要があると考える。
 県として、有事における災害廃棄物の広域処理に対する課題をどう捉え、今後、どのように対策を検討されるのか、対応方針について伺う。

 東日本大震災津波により、岩手県沿岸12市町村において、618万トンの災害廃棄物が発生し、これは、岩手県全体で発生する一般廃棄物の約14年分に相当する莫大な量。これを処理するため、県では、沿岸市町村と連携し、県内はもとより、全国の自治体等に協力をいただいて、3年で何とか処理を完了した。
 ただ、この3年間においては、市町村との調整に非常に労力を要したところ。
 岩手県議会の議員の皆様方におかれては、全国の自治体・議会を回って理解をいただいたことが思い出されるところ。
 国では、東日本大震災の経験を踏まえ、また首都直下型地震や南海トラフ地震に備えて、災害廃棄物処理指針を作成し、全国自治体に、有事に備えるよう通知をしているところ。
 岩手県では、平成28年3月に、広域処理を含めて、岩手県災害廃棄物対応方針を策定しており、それに基づいて昨年発生した台風第10号も調整し、処理を進めたところ。
 今後も、県、市町村、全国自治体と連携して、有事に備えていく必要がある。今後ともこの連携を深めていきたい。

(2)市町村相互の連携について

 災害時の受入れを行うには、出す側と受け入れる側の双方の市町村の協議が必要であり、しかし、被災して疲弊している市町村 をどう支援するのか、どう受け入れを進めるのか、受け入れる側にもよりやりやすくするため、複数の課題があると思われる。県の課題認識と今後の対応方針について伺う。

 支援を受ける側も含めて、市町村相互の連携が最も重要。この点、国の指針に基づいて全国で計画を作っているところなので、そういった機運が一層盛り上がっていけばよいと考えている。