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県議会報告
平成29年2月定例会 予算特別委員会(政策地域部)(平成29年3月8日(水))
2017.03.18
1 ILCの実現について
(1) ILC実現の見通しを県はどう捉えているか。
昨年12月に開催されたILC国際会議を踏まえ、いよいよ今年が勝負の年。ILC実現の見通しを県はどう捉えているか伺う。
ILC実現の見通しについてですが、国では平成26年5月に「ILCに関する有識者会議」を設置しまして、平成27年6月には中間の取りまとめ、平成28年7月には「人材の確保・育成方策の検証に関する報告書」を取りまとめ、そして、現在は四つ目となる「体制及びマネジメントの在り方検証作業部会」を設置するなど着実に議論が進んでいるところでございます。
また、超党派の国会議員で構成される議員連盟では、平成28年2月に米国において「日米先端科学技術フォーラム」を初めて開催し、国会議員間の交流の場が設けられたところでございます。
本フォーラムを契機といたしまして、文部科学省と米国エネルギー省は、行政的事項について意見交換を行うため、昨年5月にディスカッショングループを設置しまして、これまで3回議論を行っているところでございます。
また、昨年12月のリニアコライダーワークショップにおきましては、国会議連の河村会長がILCに対する日本の役割を「サイエンス・ファースト」というメッセージで呼び掛けたところでございます。研究者におきましては、ILC建設に効果が高いとされるステージング、段階付けの提案がございまして、現在、世界中でその方向で検討を進めているところでございます。
このように、ILCに関係するそれぞれの立場で着実に検討が進められていることを踏まえまして、県といたしましては、引き続き、有識者会議や国会議員連盟、研究者の動向等に注視しながら、関係機関と連携した国への要望活動や、地元としての受入環境の整備、広域的な地域づくり等の準備を進めていきたいと考えております。
(2) プロジェクト研究調査事業費について
プロジェクト研究調査事業費が拡充されたが、立地環境などに関する調査研究をどのように進めるのか具体的な内容と今後の取組み方針について伺う。
調査研究の具体的な内容と今後の取組方針についてですが、県ではこれまで、建設候補地としての基礎的な自然環境調査や地質、地下水等の調査をはじめ、国際化への対応、加速器関連産業への参入の可能性などの調査を行ってきたところでございます。
平成29年度は、ILCの設計サイドから、地質調査がまだ行われていないエリアの調査の要請がございまして、東北大学などと共同して対応を進める考えでございます。
今後は、外国人の受入れについて、直接、海外の研究者からのヒアリングや意見交換など、研究環境や生活環境の整備に向けた具体の方策の検討を行っていきたいと考えております。
(3) 自主アセスについて
自主アセスメントを行うことになると思うが、現在の準備状況と実施主体及び今後の予定はどうなっているのか伺う。
県では、建設候補地として自然環境の保全を図るため、これまで鳥類や植生などの基礎的な自然環境調査を行っております。
アセスメントの主体は、事業実施者であり、まだ何も決まっておりませんが、現段階では、国際組織と考えられております。アセスメントの取扱いについては、事業計画や実施者、施工主体が明らかとなった段階で必要な対応を検討していきたいと考えております。
2 携帯電話不感地域解消と情報通信基盤整備について
(1) 携帯電話不感地域解消について
県内の不感地域は18市町村188地区あると伺っている。震災などを背景に携帯電話不感地域解消を要望する地域はどの程度あるか。また、解消に向けた課題をどう捉え、平成29年度以降どのように対応する考えか。
携帯電話不感地域の解消についてでありますが、 平成28年3月時点で、県内の携帯電話不感地域188地区のうち、その解消を要望する地域は14市町の102地域で、その内、市町村が国の補助制度を活用した公設による基地局整備を要望する地域は8市町の50地域と把握している。
不感地域の解消に向けた課題認識であるが、市町村が解消を要望する地区はいずれも、人口が少ない地区で、携帯電話事業者にとっては採算面の課題等から、自社努力によるエリア拡充や、国庫補助を活用した市町村の基地局整備の事業実施に必要な携帯電話事業者の参画を得ることが難しいという点が課題と認識している。
そうした中で、平成29年度の国庫補助制度を活用した基地局整備は、紫波町など4町5地域に対して事業者の参画が得られたところであり、県としては引き続き、市町村の要望を把握した上で、災害時の通信手段としての重要性なども強く訴えながら、市町村事業への参画を要請するとともに、事業者自らによる不感地域対策の実施も要望していく。
(2) 中山間地域などの情報通信基盤整備について
医療福祉の地域課題解決に向け今後、情報通信基盤の整備が必要不可欠になる。中山間地域などの地理的条件不利地の解消に向け、どう取り組むのか伺う。
中山間地域などの情報通信基盤の整備についてでありますが、県内では、光ファイバの整備や携帯電話回線の高速化により、超高速ブロードバンドを利用できる地域は拡大しているが、いわゆる条件不利地域においては、採算面等から通信事業者による整備が進まない地域もあり、そうした地域においては、携帯電話基地局と同様に、国の補助制度を活用して市町村が光ファイバ網等の整備を進めてきたところ。
県としては、市町村事業への国庫補助の導入に向けた国との調整など、市町村による情報通信基盤整備の取組みを支援するとともに、これまで、国に対して条件不利地域における通信事業者の設備投資を促進する支援制度の拡充等を要望しているところ。
今後も引き続き、市町村の要望を踏まえながら、補助制度の活用に向けた国との調整や通信事業者による整備促進に向けた要望活動を行っていく。
3 地域公共交通再編活性化等について
(1) 地域公共交通ネットワークの構築と再編について
高齢者の免許返納が増える中、人口減少高齢社会に対応した地域公共交通ネットワークの構築と再編が必要。国土形成計画においてもコンパクトなまちづくりのポイントとして拠点を「つなぐ」視点が示されている。広域的なネットワークの構築に向けどう取り組むか伺う。
広域的な地域公共交通ネットワークの構築についてでありますが、人口減少や高齢化の進展を背景に、幹線バス路線では、利用者の減少が続き、また、地域では公共交通空白地も拡がりを見せており、本県の公共交通の持続性への懸念が大きくなっててきている。
このことから、県が中心となって、本県公共交通の再編、活性化、持続性の確保に関し、総合的、戦略的に検討するため、市町村や交通事業者、有識者などによる検討会議を設置することとし、所要の経費を平成29年度当初予算案に盛り込んだところ。
この検討会議では、広域的な幹線交通と地域内交通の適切な接続等について、全県的な交通骨格や結節拠点などを明らかにしながら、県全体のあるべき交通ネットワークを検討する予定である。
また、環境にやさしく持続的なまちづくりの視点として、いわゆる「コンパクトシティ」が提唱されており、国においても、居住や都市機能の拠点を集約しつつ、公共交通で結ぶ「コンパクト プラス ネットワーク」による生活圏づくりを施策として進めている。
来年度の検討会議では、このような「まちづくり」の視点や、免許返納の動きなども踏まえ、高齢者の移動を確保するための観点などを交え、全県の公共交通ネットワークの再編に向け、そのマスタープランとなる「地域公共交通網形成計画」の策定なども検討点の一つとしながら、議論を進めたい。
(2) 地域公共交通活性化推進事業について
平成28年度に矢巾町や滝沢市等で地域公共交通網形成計画を策定し、29年度も予算提案されているが、これまでの成果をどう捉え、今後どのように展開していくのか伺う。
滝沢市、矢巾町の地域公共交通網形成計画の策定を支援しているのが、地域公共交通活性化推進事業であり、来年度予算にもこの事業予算を提案しているところ。
平成28年度においては、5事業に対し支援しており、釜石市、滝沢市、矢巾町においては、「地域公共交通網形成計画」の策定を、また、一関市のデマンドタクシーや二戸市の市内循環バスの実証運行を支援している。
先ほどお話しした「地域公共交通網形成計画」は県内で八幡平市1市のみが策定している。
今回この事業で3市の計画策定を支援しているが、地域の公共交通のマスタープランとなるものであり、来年度実施予定の公共交通再編・活性化のための検討会で検討していく全県的なマスタープランと合わせた形で、お互いに連動しながら、つないでいければと考えている。
来年度においても、この地域公共交通活性化推進事業で市町村を支援して参りたい。