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県議会報告

平成29年2月定例会 予算特別委員会(総括質疑)(平成29年3月7日(火))

2017.03.08

1 財政健全化とふるさと振興について

(1) 持続可能な行財政構造の構築について

 一般質問において、持続可能な財政構造の構築について伺った。高齢化に伴う社会保障関係費の自然増のほか、復興事業により整備した社会資本の維持管理費の増大など、今後も厳しい財政状況が見込まれる。
 県の平成27年度決算における経常収支比率は97.4%と東北平均95.6%を上回っており、財政状況は極めて硬直化している。また、公債費は26年度をピークに減少に転じたが、依然として高い水準にある。現在の状況が続けば基金の枯渇は避けられず、財政健全化は待ったなしの状況である。
 県は、事業効果や効率性を検証し、「選択と集中」による歳出の徹底した見直しを図るとともに、県税徴収の強化や収入未済金の回収強化、未利用資産の売却など、あらゆる手法で歳入確保を図るとしているが、財政需要の増高に対応するのは限界ではないだろうか。
 山積する行政課題に対応し、安定的な財政運営を行うため、新たな財源の確保について調査研究すべきと考えるが、所見を伺う。

【総務部長答弁】
 社会保障関係費の増等による厳しい地方財政の状況を踏まえ、偏在性が少なく税収が安定的な地方税体系の構築、安定的な財政運営に不可欠な地方税、地方交付税等の一般財源総額の確保について、国に求めるとともに、産業振興や雇用・労働環境の整備を進めることで、税源涵養を図り、安定的な税財源の確保を図っていくことが重要であります。
 また、計画的な県有未利用資産の売却やネーミングライツの導入などにより、平成29年度当初予算案においては2.5億円程度の税外収入を確保しているところであります。
 今後も様々な手法を検討しながら、安定的な財源の確保に努めます。

(2) ふるさと振興に必要な制度改正について

 次に、ふるさと振興について伺う。東京一極集中の是正と地方重視の経済財政政策を推進させるため、地方への人の流れをつくる制度や子どもが多いほど有利になる制度、さらには企業の地方移転の促進、地方への定住や三世代同居・近居の促進、空き家対策、田舎暮らしのための農村住宅環境整備など、これまでにない新たな仕組みが必要である。
 他の都道府県と連携を図り、ふるさと振興に必要な制度改正を国に提言すべきと考えるが、所見を伺う。

【政策地域部長答弁実績】
 ふるさと振興に必要な制度改正についてでありますが、北海道・東北地方出身者の東京圏在住の割合は、他地域と比べて極めて高い状況であり、北海道・東北地方と東京圏の人口動態は、東京一極集中問題の象徴と言えることから、この是正に向けて、北海道東北地方知事会と密接に連携している。
 具体的には、国に対して、首都圏から地方へ移住する際の費用に対する所得税の税額控除など税制優遇措置の創設や多子世帯に対する保育料軽減措置、地方への企業移転等を促す「地方拠点強化税制」の拡充、三世代同居や近居への支援、過疎・山村地域などの持続可能な地域づくりに対する継続的な支援策など委員御指摘の内容の趣旨に沿った制度改正の提言を行っているところ。

(3) 岩手の幸福に関する指標について

ア 取組状況について

 「幸福度」に関しては、今年度に「岩手の幸福に関する指標研究会」を設置し、研究されているが、これまでの進捗状況はどうなっているか。また、来年度はどのような取組を行う考えか。

【政策地域部長答弁実績】
 岩手の幸福に関する指標についての取組状況についてでありますが、検討状況については、昨年11月に「岩手の幸福に関する指標研究会」において、幸福に関する領域は、「仕事」、「健康」、「家族」などの12領域が考えられること、岩手が目指すゆたかさを表す指標として、「つながり」を表すことのできる指標が考えられること、指標が県民の実感を踏まえたものとなるよう、ワークショップ等の方法について検討することなどを内容とする中間報告が取りまとめられたところである。
 本年1月には、中間報告を踏まえ、県民の皆様から御意見を聴く手法を検討するため、学生を対象としたワークショップを実施したところである。
 また、来年度の取組としては、引き続き研究会で、現在実施している県民意識調査を踏まえた更なる分析、岩手が目指すゆたかさを表す「つながり」に関する指標の検討、岩手の強みや弱みを把握するための客観的指標の例示などについて御議論いただいた上で、夏頃を目途に最終報告を取りまとめていただく予定であることから、その内容を踏まえつつ、更に幸福に関する指標についての検討を進めてまいりたい。

イ 政策への反映について

 私は、「幸福度」を高める一つの視点として「家族」をキーワードに施策を進めてはどうかと考える。大学進学や就職等で東京に流れた人やお金を、ふるさと岩手に戻す仕組みとして、「家族」「絆」を切り口に、先に述べた地方への定住や三世代同居の促進などの制度を創設してはどうかと考える。
 「幸福度」については、研究にとどまらず、その成果を政策に反映させていくことが重要だが、今後どのように反映していくつもりか伺う。

【政策地域部長答弁実績】
 政策への反映についてでありますが、幸福に関する指標は、幸福をキーワードに岩手が持つ多様な豊かさやつながりの価値などにも着目して、県民みんなで新しい岩手の姿を描いていきたいと考え、次期総合計画における導入を検討しているものである。
 昨年11月に、総合計画審議会に研究会の中間報告について報告した際には、「幸福について、たくさんの人が議論に入り、関心を持ってもらう場をつくることが大事である」、「個人が他者の役に立つ、他者に寄り添う気持ちをもつといった、社会が豊かになるつながりを生み出す取組を施策に反映できればよい」などの御意見をいただいたところであり、引き続き、広く県民の皆様の御意見も伺いながら、検討を進めてまいりたい。
 なお、委員御指摘の「家族」については、研究会の中間報告において、平成28年県民意識調査の分析結果として、家族関係と幸福感の相関が第2位と高い傾向があることなどが示されており、今後の具体的な指標の検討に当たって、重要な視点と考えている。

2 共に生きるいわての実現(子育て環境整備・児童虐待)について

(1) 安心な子育て環境整備への想いについて

 地域の子どもや子育て支援について伺う。知事は、先の演述において、「復興を成し遂げ、人口減少に立ち向かっていくためには、若者・女性の活躍が重要」と述べていたが、その前提にあるものは、子どもたちが安心して育てられる環境の整備である。
 平成28年県の施策に関する県民意識調査によると、「安心して子どもを産み育てられ、子育てがしやすい環境であること」について、重要度は85.4%である一方、満足度は18.2%と不満の38.7%を大きく下回っている。
 また、延長保育の実施率は全国平均を上回っているものの、女性の社会進出や核家族化等により保育ニーズは多様化しており、保育体制の更なる充実が必要である。
 知事は、地域の子ども・子育て支援体制の充実に向け、どのような想いで取り組むのか伺う。

【知事答弁実績】
 岩手県においては、「いわての子どもを健やかに育む条例」というものがあり、県民が安心して子どもを生み、育てることができる環境の整備を図り、一人一人の子どもを健やかに育むことができる社会の実現に寄与するということを目的に、条例にしたがって、基本計画「いわて子どもプラン」を策定、そしてその中で、「若者が家庭や子育てに希望を持てる環境の整備」、「子育て家庭の支援」、「子どもの健全育成の支援」という3つを基本方向として掲げ、県民、企業、NPO、行政など、地域社会を構成するあらゆる主体の理解と参画を得て、推進に当たり、子育て支援に取り組んできたところである。
 そして、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく、「岩手県ふるさと振興総合戦略」においては、基本目標の一つに「社会全体で子育てを支援し、出生率の向上を目指す」ということを掲げ、その実現に向けては、例えば、“いきいき岩手”結婚サポートセンター「i-サポ」の設置、ワーク・ライフ・バランスの普及・啓発、多様な保育サービスの充実、放課後児童クラブの拡充などの施策に取り組んでいるところである。
 岩手県においては、過去からの蓄積、また今の喫緊の課題ということでの全県的な力の結集、これが合わさって、社会全体で、結婚、妊娠・出産、子育てを支えて、県民が安心して子どもを生み、育てることができる社会の実現を目指す体制ができてきているところであり、県としてもこの方向に沿って更に力を入れて参りたいと思う。

(2) 児童虐待の発生予防について

 児童虐待相談対応件数の推移をみると、全国では一貫して増加傾向にあり、本県においても過去10年間は増加傾向にある。一方、本県の児童福祉司の配置状況は、人口10万人当たり2.34人と全国平均2.38人を下回っている状況にある。
 子どもたちの健やかな成長を支えるため、児童虐待の発生予防、早期発見・早期対応を行う必要があると考えるが、「児童虐待防止アクションプラン」に基づき、県はどのように取り組む考えか伺う。

【副知事答弁実績】
 児童虐待の発生予防等についてでありますが、児童虐待を防止するためには、発生予防、早期発見、早期対応が重要でありますことから、本県では、これまで、「児童虐待防止アクションプラン」に基づき、児童虐待防止推進月間を中心といたしますオレンジリボン街頭キャンペーンなどの普及啓発や、医療従事者、保育所職員等を対象とした研修会を実施してきましたほか、今年度から、新たに、市町村職員を対象とした、児童虐待への対応手法や要保護児童対策地域協議会の運営方法等についての実務研修などを実施するなど、市町村の対応力向上にも取り組んでいるところでございます。
 これに加え、来年度は、児童相談所の体制強化に向けて、現在3児童相談所に30名配置している児童福祉司を2名増員しますとともに、児童相談所や市町村の専門職員を対象とした研修に要する経費を当初予算案に盛り込んだところでございまして、市町村や関係機関等との連携をより一層図りながら、児童虐待の早期発見や早期対応等の取組を推進して参ります。

3 文化スポーツの推進(スポーツ施設老朽化対策・指導者育成等)について

(1)スポーツ施設の老朽化対策について

 平成29年度から平成33年度までの5年間、公共施設等適正管理推進事業債による地方財政措置が講じられることとなった。今後、各地方公共団体において、施設の集約化・複合化による維持管理コスト削減の取組みや、PPP手法等による公民連携事業の動きが増えると考えられる。
 本県においても、公共施設の老朽化対策は大きな問題であるが、特に、スポーツ文化のレガシーを後世に伝え、競技力向上を図るためにも、老朽化が進む県営体育館、県営運動公園、県営野球場等のスポーツ施設について、地方財政措置等を活用した老朽化対策の検討を進めるべきと思うが、所見を伺う。

【副知事答弁実績】
 スポーツ施設の老朽化対策についてでありますが、県営体育施設の今後のあり方については、本年1月に教育委員会におきまして外部有識者による懇談会を設置し、具体的な検討を始めたところでございまして、専門的な立場からの御意見等をも踏まえつつ、本県のスポーツ振興に寄与する体育施設のあり方を総合的に検討しているところでございます。
 委員御案内の公共施設等適正管理推進事業債につきましては、長期的な視点をもって、長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減・平準化するとともに、公共施設等の最適な配置をすることを目的に策定される公共施設等総合管理計画に基づいた個別施設計画に位置付けられた事業が対象となるところであります。
 本県におきましても、平成28年3月に策定いたしました岩手県公共施設等総合管理計画の基本方針である3つの柱、すなわち、コスト縮減・財政負担の平準化、施設規模・配置・機能等の適正化及び安全・安心の確保の柱に沿って、今後個別施設計画を策定することとしていますが、県営体育施設は老朽化した施設が多いことから、委員御提言の趣旨をも参考にしながら、財政負担の軽減や平準化に努めていきたいと考えています。

(2)トップアスリートと指導者の育成について

 菊池雄星選手や大谷翔平選手をはじめ、ボルダリングの伊藤ふたばさんや競歩の高橋英輝さんといった全国世界レベルで活躍する選手が岩手から出てきていることは喜ばしいこと。
 2020年東京オリンピックから逆算すると、再来年の選考会で選ばれるには、今年から来年にかけて選手育成の重要な年になる。優秀な選手を育成するには、優秀な指導者が必要である。
 選手の流出を防ぐためにも、指導者の招へいや育成がポイントになる。トップアスリートの育成に向け、指導者育成等にどう取り組んでいくのか。
 また、優秀な指導者による、心技体の総合的な選手への指導が早い段階から求められるが、取組方針や具体的な内容について伺う。

【副知事答弁実績】
 トップアスリートと指導者の育成についてでありますが、委員御案内のとおり、近年特に、岩手から全国トップレベルの選手や世界の舞台で活躍する選手を輩出してきていることは、本県指導者の全体的な指導力の向上によるものが極めて大きく、今後においても、全国の舞台やオリンピック等の世界大会で活躍する選手を輩出していくためには、優秀な指導者の育成は極めて重要であると考えております。
 このような考えの下に、県におきましては、これまで県内指導者を対象に全国トップレベルの優秀指導者による指導や心理サポート、トレーニング方法などの講習会を実施してきたところでありまして、これらに加え、新たな取組として、本県トップ指導者の一層のレベルアップを図るため、中央研修や海外研修等への派遣に要する経費を当初予算案に盛り込んだところであります。
 また、ジュニア期からの優秀な指導者による適切な指導が重要と考えており、具体的には、今申し上げた様々な取組の中から、スポーツ医・科学などの専門的知見を兼ね備えたトップコーチを育成し、「いわてスーパーキッズ」や各競技団体のジュニア選手の総合的な選手強化に取り組み、この岩手の地からオリンピック等で活躍するトップアスリートの輩出を目指して参ります。

4 復興事業について

 平成29年度は第3期復興実施計画の初年度であり、復興事業の総仕上げとともに、復興の先も見据えた地域振興に取り組む重要な時期である。
 「未来につなげる復興」に取り組むためには、被災者の「暮らし」と「なりわい」の再建が成し遂げられていることが前提である。被災した県立3病院のうち、残る高田病院は平成29年度に開院予定であり、学校校舎も大部分が復旧するなど、生活基盤の復旧は着実に進んでいるが、平成29年1月31日時点で13,283名の方が応急仮設住宅等での暮らしを余儀なくされており、また商業分野では平成28年12月31日時点で544事業者が仮設店舗で営業している。
 「仮設」から「本設」への移行を早急に進める必要があると考えるが、被災者の住宅再建と商店本設再開について、進捗状況と今後の取組について伺う。

【復興局長答弁】
 被災者の住宅再建と商店本設の再開についてでございますが、まず、住宅再建についてでございますが、平成29年1月末現在で被災者生活再建支援金の基礎支援金の支給を受けたのは23,076世帯でございます。そのうち住宅を再建した際に支給される加算支援金を11,882世帯が受給しているほか、災害公営住宅が4,320戸完成していることから、合わせて16,202世帯、全体の約70%が再建に着手したと試算しております。
 一方で、住宅再建の意向を決めかねている世帯が、平成29年1月末時点で186世帯、約3%いらっしゃいます。沿岸4地区の被災者相談支援センターにおきまして、生活再建の相談を行っているほか、「いわて内陸避難者支援センター」においても住宅再建の相談支援を行っているところでございまして、応急仮設住宅にお住まいの方が一日も早く恒久住宅に移行できるよう、引き続き被災者一人ひとりに寄り添った支援を行ってまいります。
 次に本設店舗再開についてでありますが、県では、グループ補助金などによりまして被災事業者の早期事業再開を支援してきているところでございます。商業者については、今年度までに25のグループの約500事業者に対しグループ補助金の交付決定を行い、うち約300事業者が復旧済み、残りの事業者につきましても、現在、建設を進めているなど、復旧に向け取り組んでいるところでございます。
 これまで、大規模なかさ上げ工事を行ってきた沿岸南部でも、工事の進捗状況に合わせ、共同店舗や戸建店舗の整備が進んでおりまして、例えば、山田町の共同店舗が営業を開始し、大船渡市と陸前高田市では、新たな商業施設がこの春に開業を予定しているなど商店街や商業機能の再生が本格化しているという状況でございます。
 県としては、今後交付申請を予定している事業者からの相談にきめ細かな対応を行うなどするとともに、市町村や商工団体などと連携し、一日も早い本設店舗への移行が図られますよう引き続き支援してまいります。