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県議会報告
平成28年2月定例会 予算特別委員会(保健福祉部) (平成28年3月14日(月))
2016.03.15
1 介護離職者数と、介護職離職者数の現状
【臼澤勉委員】
私のほうからは、重複しないように気をつけながら短時間で行いたいと思います。
まず、介護離職ゼロに向けての取り組みについてお伺いします。
現在の介護離職者数と、介護職離職者数の現状をどう把握し、増加している要因はどのようにお考えかお伺いいたします。
【中居参事兼長寿社会課総括課長】
国が毎年実施しております雇用動向調査によりますと、平成26年中に離職いたしました常用労働者は全国で約713万4、000人、うち介護、看護を離職理由とする者は1.2%となっております。
同調査における本県の離職者は約8万6、000人であり、離職理由が全国と同様の傾向だとすれば、介護、看護を理由とする本県の離職者は約1、000人になると推計されます。介護、看護を理由とする離職者が増加している傾向とすれば、親の介護で離職を余儀なくされるケースが多いものと推察しております。
次に、いわゆる介護従事者の離職についてでございますけれども、公益財団法人介護労働安定センターが実施いたしました平成26年度介護労働実態調査によりますと、介護従事者の離職率は、全国平均が約16.5%であるのに対しまして、本県の離職率は10.8%となっております。
この調査によりますと、介護職員の離職率は、全国、本県ともにこの数年横ばい傾向にございます。直前の介護の仕事をやめた理由といたしましては、職場の人間関係に問題があったためというのが最も多く、続きまして、法人、事業所の理念や運営のあり方に不満があった、ほかによい職場、よい仕事があったためというものが続いております。
【臼澤勉委員】
岩手県のほうでも非常に多い実態だなということを確認いたしました。
先ほど来、介護人材の育成、確保、処遇改善というお話もございました。私はこの介護職の離職に歯どめをかけなければならない一方で、離職した介護職員の再就職の支援というのも、大変重要と思っておりました。先ほど、職場の人間関係に不満があったりといった組織的なところでやめざるを得ないという実態があるとお伺いしました。離職された方が、再度就職するような支援というものも重要になってくると思いますが、そこら辺も含めまして、今後の取り組みをどのようにお考えか、お伺いします。
【中居参事兼長寿社会課総括課長】
現段階ですと、今、介護現場を離職された方の把握につきましてはなかなかやりづらいところもございまして、いろいろ情報等を得ながら、先ほど来申しておりますキャリア支援のほうで行っていろいろ発掘しているところでございます。来年度には、国におきまして、介護人材の離職時登録システムを構築するということが予定されておりますので、このシステムを活用することにより、一旦離職した方々が登録制となりますので、介護分野のほうにまた再就職していただけるように働きかけがしやすくなるものと思っております。
2 子どもの貧困対策
【臼澤勉委員】
次に、子供の貧困対策について、先ほど来各委員からお話がありました。特にも先ほど菅野委員から県内の実態のお話がありました。本県の特徴として、ひとり親世帯の割合は圧倒的に母子世帯が多い。8対2の割合で母子世帯が多いと思います。
それで、注目すべき点は、この母子世帯の失業割合が、特に沿岸地域が高い傾向にあるということ、先だってNPOのセミナー等でも理事長からお話をお伺いしておりました。沿岸のほうで、母子世帯の失業割合が高い傾向にある。特に小学校の高学年の11歳から2桁台に上がってくるということで、子供がこれから小学校の高学年、中学校に入るという過程において、特に沿岸地域で多いという特徴があるということで、まさに貧困対策と復興が、これから正念場を迎える時期にあると思っております。この辺の現状を踏まえて、来年度、県のほうでも各種対策に取り組まれるということで予算計上されております。また、あわせて、中期的な対策も含めて、今後どう取り組んでいくのか、お伺いいたします。
【南子ども子育て支援課総括課長】
来年度の具体的な取り組みについてでありますが、ひとり親家庭の親の就職に有利となる資格取得を支援する高等職業訓練促進給付金の給付期間を2年から3年に延長するとともに、給付対象となる方に対しては、5年間の就業を継続した場合に返還を免除する就職準備金等の貸付事業を新たに行うほか、自立支援教育訓練給付金の助成割合を2割から6割に引き上げることといたしております。
また、ひとり親家庭の親や子供の学び直しを支援するために、高卒認定試験合格のための講座受講費用の助成を新たに行うことといたしております。また、さらに、平成28年8月から、児童扶養手当の第2子加算、第3子以降加算額の増額を予定しているところです。
今年度は、いわての子どもの貧困対策推進計画を策定することとしておりまして、今後も、この計画に基づき、そして、特に沿岸部における母子世帯が多いとの御指摘を賜りましたが、この計画の中におきましても、国の貧困対策大綱に定める四つの柱に加えて、本県独自の柱といたしまして、被災地における子供への支援という項目を立てて取り組むこととしておりますので、こうした取り組みも含め、関係部局と連携を図りながら、ひとり親家庭の支援も含めて、貧困対策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
3 脳卒中の予防緊急対策事業費
【臼澤勉委員】
しっかりと対策を打っていただきたいと思います。 次に、脳卒中の予防緊急対策事業費についてお伺いいたします。
脳卒中予防は、私も頭では減塩への取り組みということはわかってはいるのですけれども、なかなか生活習慣を変えることは難しい。そういった中で、現在私が住んでいる地元の矢巾町で、ナト・カリ食品をキーワードにした高血圧、脳卒中予防に取り組んでおります。
日本高血圧学会では、食品ナトリウム20%以上減少した食品を減塩食品として認定しておりますけれども、これをカリウムに置きかえて、味は変えない、おいしく20%の減塩をするという取り組みがまさにみそでございます。しかも、事業効果として脳卒中、高血圧関連の医療費5%を減少すると、国内でも2、000億円もの削減効果があらわれるという試算もございます。
それで、現在、矢巾町では、大学あるいは生活習慣病予防研究センターを加えて、町内外の企業が参加してプロジェクトに取り組んでおりまして、まさにそういった減塩食品を企業と開発して、企業育成、雇用創出、農業の6次化、これを強力に推進しております。
脳卒中死亡率ワーストワンからの脱却の切り札として、まさに新たに重要な取り組みかと思いますけれども、脳卒中予防緊急対策を所管する保健福祉部の御所見、今後の取り組みについてお伺いいたします。
【五日市健康国保課総括課長】
脳卒中予防のためには、高血圧の予防と対策が必要でありますが、その一つとして、塩分の過剰摂取を控えることが必要とされており、平成27年7月から、毎月28日をいわて減塩・適塩の日とする取り組みなど、県民に対する減塩を含めた食生活改善を働きかけているところです。
矢巾町で進めている塩彩プロジェクトにつきましては、減塩とカリウム摂取の増を図るという、血圧への二重の効果を期待する点から、非常に有望な取り組みと認識しているところです。
また、各圏域におきましても、減塩を初めとする食生活改善が行われていることから、今後は、脳卒中予防県民会議やいわて減塩・適塩の日などとの連携についても、検討してまいりたいと考えております。
また、平成28年度の脳卒中予防緊急対策事業においては、保健所による減塩・野菜たっぷりヘルシーメニュー推進事業や、管理栄養士等を対象とした減塩リーダー養成講習会等の食生活改善のほか、健康運動出前講座等の健康運動、検診機関などによる禁煙サポート推進事業等の禁煙支援、沿岸広域振興局による脳卒中発症要因等調査などの事業について、引き続き取り組むこととしております。
4 地域包括ケアシステム
【臼澤勉委員】 ここのポイントが、なれ親しんだ味を変えずに減塩対策というか高血圧対策に取り組むということで、一方で、商工労働観光部にも関係してくるのですけれども、企業の育成といった部分が出て経済効果も高いと見ておりますので、ぜひこの辺を脳卒中予防対策の取り組みとして広げていただきたいし、一緒に支援していただければと思います。
次に、認知症の話で、先ほど来、地域包括ケアシステムとかいろいろと御指摘がございました。
私のほうからは1点、先日、東京で認知症の私と輝く大賞2016という表彰がありまして、実は全国で5団体受賞したうちに、わんわんパトロールということで矢巾町の取り組みがございました。私の愛犬も、このわんわんパトロール隊員として登録されていますけれども、地域住民が余り負担感を持たずに、日常の散歩をしながら見守り、支援を行うというところがポイントでございまして、あまり背伸びをせずに、地域の方々を巻き込んで行う見守りという取り組みが重要と思っています。実績として、地域包括支援センターや警察に連絡して保護できた例があると伺ってございます。まさにみずからできることを試みる、他人事から自分事、そして地域事につなげていく取り組み、これが重要かと思いますけれども、県の御所見をお伺いいたします。
【中居参事兼長寿社会課総括課長】
地域包括ケアシステムを構築していく上で、高齢者の見守りですとか生活支援といったようものを地域の方々に担っていただくということ、これは非常に大きいところだと思っております。
このわんわんパトロールにつきましては、認知症高齢者を支える、地域の特徴を生かした先進的な取り組みであると、私どもも捉えているところです。
県では、そういった地域の事例といったものを広く紹介することとしており、このわんわんパトロールの取り組みにつきましても、地域包括ケア情報紙ちいきで包むというのを発行しておりますが、平成26年8月に、各市町村等にこの情報紙を通じまして紹介しているところです。
各地域におきまして、地域の特徴を生かしたさまざまな取り組みがなされていると思いますが、引き続きこうした取り組みの事例の把握に努めまして、研修の場ですとか情報紙などを通じて、幅広く情報提供していきたいと思っております。
5 発達障がいの早期発見への取組み
【臼澤勉委員】
最後にいたしますが、発達障がいへの取り組みや対応について、先ほど小西委員からも御質問がありましたので課題認識等は省略いたしますが、ペアレントトレーニングが非常に有効ということで、私も、今、その団体と一緒になって取り組みをやっています。県からも委託を受けてこういった研修事業を行っていますけれども、その中で発達障がいを早期に発見する、ここが非常に重要なポイントになると見ております。
例えば、現在就学前に行っている就学前健診を前倒しすることも一つの有効な手段なのかと思います。要は、そこで保護者にとって早期に発見されることで若干の時間的余裕、あるいは福祉や教育機関へ相談する時間ができてきて、関係者との結びつきの時間的な余裕が出てくると思いますけれども、この辺の御所見を最後に伺って終わります。
【伊藤障がい保健福祉課総括課長】
発達障がいの早期発見の取り組みについてでございますが、発達障がいの早期発見が重要でありますことから、市町村が実施する乳幼児健診の場におきまして活用いたします発達障がいチェックリストの配布ですとか、巡回相談、保育所等において活用できます支援マニュアルの作成などを行ってきたところです。
お尋ねのございました5歳児を対象とした健診につきましては、早期に発達障がいに気づくことを目的に、県内では5市町村で実施されております。早期の親の気づきや3歳児健診では評価できないなど、社会性の評価、幼児教室などへの支援につなぐことなどの効果があると伺っております。
県といたしましては、市町村担当者等を対象といたしました地域障がい児支援情報交換会等を通じまして、こうした先駆的な取り組みにつきまして、引き続き情報提供を行ってまいりたいと考えてございます。