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県議会報告

平成28年2月定例会 予算特別委員会(復興局) (平成28年3月15日(火))

2016.03.16

1 復興事業の進捗状況

【臼澤勉委員】
 私から3点ほどお伺いいたします。
まず、復興の進捗状況についてお伺いいたします。
 毎月、県では復興実施計画における主な取り組みの進捗状況を公表して丁寧に情報提供をいただいていることに対しまして感謝申し上げます。
 震災から5年を迎えて、地権者を初め、国、県、市町村、関係団体の多くの御努力により着実に復興事業が推進していると認識してございますが、県事業で、実施設計にも至っていない未着手の事業の有無についてお伺いいたします。そして、仮にあるのであれば、その原因は何なのかお知らせ願いま

【田村まちづくり再生課総括課長】
 復興事業の進捗状況でございます。
 県事業における実施設計の状況については詳細には把握しておりませんけれども、一部の災害公営住宅を除きまして、大部分の箇所では設計に着手しているものと認識しております。
 なお、県が公表しております社会資本の復旧・復興ロードマップにおける未着手の箇所の状況でございますけれども、平成27年12月末時点で、県事業310カ所のうち未着手の箇所は36カ所、12%となっております。
 工事が未着手になっている理由につきましては、主に道路関係では、まちづくり事業や関連機関、地元との調整、それから、主に災害公営住宅の分野においてですが、面整備事業の敷地造成を待っている状態という箇所が多くなってございます。

2 被災者の生活再建支援金

【臼澤勉委員】
 さまざまな現場の理由があると思います。そして、震災後、優先順位をつけられて、なりわいの再生といいますか住宅の再建から進められているということでは、私もそこはしっかり理解してございます。
ただ、一方で、ほかの、例えば教育委員会やさまざまな部署における県が行う事業についてもこれからといったところもありますので、ぜひそこら辺、連携といいますか、一緒に取り組みながら、着実な復興に向けて取り組みを進めていただければと思います。
それから、震災5年目の中間検証については先ほど来各委員からお尋ねがありましたので、ここについては省略いたします。
 二つ目でございますが、被災者の生活再建支援金の増額についてお尋ねいたします。
 私の問題認識は、やはり被災が大きな市町村ほどこれから住宅再建なりに取り組まれるということで、資材高騰とか労務費の高騰で、基礎支援金、加算支援金が当初のときに比べて十分ではないといいますか、そういう問題認識がございます。ここら辺につきましても、支援金の拡充について国に対する要望を強化する必要があろうかと思うのですけれども、その対応についてお伺いいたします。

【小笠原生活再建課総括課長】
 被災者生活再建支援金の増額についてでありますが、県ではこれまで、国に対し、繰り返し被災者生活再建支援金の増額を要望してきたところですが、国では、他の制度とのバランス、国や都道府県の財源負担などを勘案して、慎重に検討すべきとしているところでございます。
しかしながら、国では、資材高騰等の物価上昇に対しまして、災害公営住宅の建設費を含む公共事業費等につきましては引き上げておりますので、被災者の住宅再建につきましても同様に取り扱うべきものと考えられます。県としましては、引き続き、生活再建支援金の増額について強く要望してまいります。

3 移転跡地の土地利用

【臼澤勉委員】
 これから住宅再建というところもございますので、そこら辺の公平性といいますか、そういった確保が図られるよう、ぜひ国のほうにも要望を強化して継続的に行っていただければと思います。
 次に、最後のほうに移りますが、移転跡地の土地利用の関係でお伺いいたします。
 今議会にも公有地と民有地を交換する際の不動産取得税の減免措置が図られるということで、これは評価に値すると思って、本当に県当局の御努力に感謝申し上げます。
  防災集団移転事業によって市町村が買い取った被災宅地等は公有地と民有地が混在して、企業誘致等の面からも面的な整備と活用が課題に挙げられていると私も認識してございます。
そこで、市町村が買い取った被災宅地等の面積と、それから買い取り対象面積に占める割合はどの程度あるのかお示し願います。

【田村まちづくり再生課総括課長】
 被災宅地等の買い取り面積でございますが、平成27年12月31日時点で、防災集団移転促進事業による移転跡地の買い取り対象面積約376ヘクタールに対しまして買い取り済みの面積は約269ヘクタールとなっておりまして、全体の約7割が買い取り済みとなっております。

【臼澤勉委員】
 防災集団移転事業による買い取りは任意ですので、当然、被災された方で売りたくないという方はそのまま残されてお持ちになっているということは理解します。7割ということで、逆に言うと3割程度が民有地と公有地とが混在しているのかなと理解いたします。
そこで、この移転跡地の活用ということで、現地では、事業用地とか水産業の作業場、漁具置き場あるいは緑地公園等、さまざまな形での活用計画というのが議論されていると思いますが、この移転跡地の活用計画は現時点でどの程度決まっているのか、現状と今後の見通しについてお示し願います。

【田村まちづくり再生課総括課長】
 移転跡地の活用計画の現状と見通しについてでありますが、県が市町村に聞き取った結果によりますと、平成28年2月末時点で、移転跡地は大小合わせて72地区ございます。そのうち約4割の30地区で土地利用計画が策定済みとなっております。そのほかの42地区につきましても、跡地が小規模で整備の予定がない地区などを除きまして、今後、土地利用計画の策定が進んでいくものと考えてございます。
 跡地活用につきましてはいろいろな手法がございますけれども、交付金の活用は欠かせないことから、県としましては、引き続き市町村から丁寧な聞き取りにより課題を把握し、国に対して効果促進事業の柔軟な運用などを要望していくなど、積極的に市町村を支援してまいりたいと思っております。

【臼澤勉委員】
 私も、昨年9月の決算特別委員会総括でも、ここら辺の土地利用の課題、そして、現場でのそういった有効な事業、土地の集約化であったり、あるいは被災した宅地の中にもいろいろな配管であったり基礎とかもまだ残っていたりするという部分でさまざまな課題がまだありますので、ぜひ国のほうにそういった事業スキームを示していただけるよう取り組んでいただければと思います。 
 最後に、中村局長から一言コメントをいただきたいと思います。
 本当に岩手の復興はまだ道半ばでございます。市町村が被災したと同時に岩手県が被災したんだという思いで、今までも局長が先頭を切って取り組まれてきたと思います。これからの復興を進めていって、そして、岩手の未来への思いをぜひ中村局長からお聞きしたいと思います。そして、全国の自治体から多くの応援職員の方々も今来ておりますし、この3月に戻られる方もいます。ぜひ局長の発災からの思いも含めて、よろしくお願いいたします。

【中村復興局長】
 今、委員からお話ありましたが、我が復興局にも多くの応援の職員に来ていただいております。県には今、170名ほど全国の自治体から来ていただいており、沿岸市町村には約700名の職員の方々に来ていただいております。この復興、非常に長い道のりの取り組みがまだまだ必要であろうと考えておりますので、当然基本的には我々岩手の人間がしっかり進めていかなければならないことではあるんですが、それだけではやはりなかなか十分には進め切れないということで、全国のそういった多くの力を引き続きおかりしながら、何とか一日も早い復興を進めていく必要があると思います。
 沿岸地域は、被災前からそもそも人口減少でありますとか高齢化といったところでは課題も多く指摘されている地域でありまして、それに加えて今回の大震災でありますけれども、私は、三陸は、むしろこの逆境を逆手にとって、全国に誇れる地域になり得る十分いろいろな条件がそろっている地域ではないかと思っております。
そういった意味で、我々地元の人間プラスさまざまな全国の皆さんの応援の力をおかりしながら、何とか全国に誇り得る三陸、また、岩手そのものをつくり上げていっていただきたいと思います。私も引き続き、それに対しては、また一県民としてしっかり協力をしてまいりたいと考えております。