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県議会報告

平成28年2月定例会 予算特別委員会(教育委員会) (平成28年3月16日(水))

2016.03.17

1 岩手県立高田松原野外活動センターの復旧

【臼澤勉委員】
 私も手短に数点お伺いいたします。
まず初めに、県立社会教育施設であります岩手県立高田松原野外活動センターの復旧についてお伺いいたします。
来年度予算といたしまして用地設計等の予算が計上されておりますが、現在の検討状況についてお伺いいたします。
また、復興事業の進捗状況や旧センターの利用状況などを踏まえ、導入施設や概略規模の設定の評価などを

【八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長】
 現在の検討状況と今後の対応についてでございますけれども、県立高田松原野外活動センターの移転復旧につきましては、コンサルタントと基本構想計画策定のため委託契約を締結しており、現在、県教育委員会内でコンサルタントを交えながら検討委員会を開催し、基本方針や導入施設などを検討しているところでございます。
なお、検討に当たりましては、被災前の県立高田松原野外活動センターの利用状況、陸前高田市の体育施設を含む復興状況、また、将来の施設利用の見込みなどを踏まえながら、平成28年6月を目途に基本構想計画を策定することとしております。
その中では、利用者数や需要圏域等の検討を行い、各施設の概略規模や施設配置等の具体的な計画を策定することとしており、それを踏まえ、今後、用地造成に伴う予備設計を行うことにしております。

【臼澤勉委員】
 私もスポーツ少年団の監督をやっていた時代、大変お世話になった思い出の施設でございます。15ヘクタールに及ぶ敷地に充実した宿泊棟や施設がありました。
 私が陸前高田市を訪れながら聞いている話では、今、大体5ヘクタールぐらいの規模に縮小してきているような検討状況のお話も聞いているのですけれども、陸前高田市のほうから県に対して要望書が出ていたと思います。その内容は、広田海水浴場に隣接した地域へ一日も早く移転、再建が図られるよう、特段の御配慮をお願いするというものでございます。
ホームページを見ますと、県教委からの回答では、用地造成を含む再建等の規模など、陸前高田市と協議しながら進めてまいるということで回答がありましたので、現在の地元との協議状況についてお伺いいたします。

【八木首席指導主事兼スポーツ健康課総括課長】
 地元陸前高田市との協議状況と今後の対応についてでございますけれども、陸前高田市とは、移転予定地である広田地区の土地利用に係る十分な調整が必要となりますので、これまで、用地の確保や用地のかさ上げに伴う土砂の仮置き場の確保、また、県立高田高校広田校舎跡地のグラウンドに仮設住宅が設置されておりますので、その移転スケジュール等について協議を行ってきたところでございます。
 現在、検討委員会において、基本構想計画を検討しておりますが、その検討内容を陸前高田市に情報提供の上、十分に協議しながら策定をしていきたいと考えております。

【臼澤勉委員】
 ぜひ地元陸前高田市のほうとも協議していただきながら、文部科学省と協議だとか、大変苦労されていたという状況は私も把握してございます。一方で、地元のほうからも、今後どうなるのかということで、すごく不安といいますか関心を持たれております。そういった意味で、ぜひ、そこの規模も含めて、検討をしっかり地元のほうと協議していただきたい。
そして、何よりも、震災から5年がたつわけでございますが、周辺は県のほかの事業も行われております。土の確保だとかそういった部分についてもうまく連携すれば、コストも下げて事業が進められると思いますので、連携を図りながらしっかりと取り組んでいただきたい。そして、職員とかがもし必要であれば、ある程度、県土整備部のほうでも恐らく用地のスタッフも若干余力が出てきている可能性もございますので、そこら辺も連携しながら、ぜひ取り組みを進めていただければと思います。

2 インクルーシブ教育の推進

【臼澤勉委員】
 次に、インクルーシブ教育の推進についてお伺いいたします。
 教育委員長の演述で、交流籍を活用した小中学校の児童生徒との交流及び共同学習を進め、インクルーシブ教育を推進するとお話がございました。現在の交流籍を活用した交流の実施状況と分教室の設置状況、現状と課題についてお伺いいたします。そして、推進上の課題、今後どのように取り組んでいくのか、あわせてお伺いいたします。

【民部田首席指導主事兼特別支援教育課長】
 インクルーシブ教育の推進についてでございますが、まず、交流籍を活用しました交流及び共同学習の実施状況につきましては、全県的に制度を導入しました平成24年度と比べ、今年度は2月末現在で、85名増の325名と交流者数は順調にふえ、小中学部全児童生徒の約4割の児童生徒が交流していることになります。
 課題といたしましては、交流籍を持たない児童生徒についても、将来の地域社会への参画等を踏まえ、交流を推進する必要があるため、文化祭などを通じた学校間交流の機会を積極的に設けるなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。
 次に、分教室の設置状況についてでございますが、県教委では、地元の学校で学ばせたいという保護者等の思いに応え、多様な学びの場として、平成19年4月に遠野市、一関市千厩町の小学校に小学部分教室を設置以来、現在、二戸市を加えた3地区において、地元の小中学校に小中学部分教室を設置しているところでございます。
 分教室では、特別支援学校と地元の学校の児童生徒との交流が日常的に行われているところであります。しかしながら、共同学習、授業交流という共同授業という形での交流は一部の分教室では行われておりますが、さらに相互理解を深めるために、こうした交流の機会を積極的に設けることが必要と認識しております。
 県教委では、設置先の小中学校の理解を得ながら、共同学習の機会を設け、授業を通じた交流も深めるなど、地域におけるインクルーシブ教育をさらに推進してまいりたいと考えております。

3 いじめ対策

【臼澤勉委員】
 ともに学びともに育つ教育、多様な人材の交流というか、そういった部分が本当に必要だと思いますので、ここら辺も積極的に推進していただければと思います。
 次に、私からもいじめの話を少し取り上げたいと思います。
 高田委員、千田委員あるいは城内委員からもお話がありました。先ほどいじめの件数がありましたけれども、私は何よりも、重大事案に至る前の困難事案への対応が非常に重要かなと思ってございます。いわゆる困難事案、長期にわたって改善されないような事案があれば、これを解決していくという取り組みが必要になろうかと思います。現在の困難事案と言われる件数がどの程度あるのか、県教委としての把握の状況、それから今後の対応について基本的なお考えをお伺いします。

【大林首席指導主事兼生徒指導課長】
 いじめ問題の困難事案についてでありますけれども、重大事態に至る前の段階にあるいわゆる困難事案については、今年度は、県立学校並びに各市町村教育委員会から数件の報告を受けております。
 困難事案への対応については、市町村立学校の場合は、一義的にはその設置者である市町村教委が対応するものと捉えておりますけれども、県教委といたしましても、我々のさまざまなノウハウがございますので、市町村等の要請を受けまして、有識者や指導主事が専門的な知見から助言等を行ういじめ問題解決支援チームを派遣する体制をとっており、来年度もこの体制については継続することとしております。

【臼澤勉委員】
 数件あるということでございます。いじめ問題解決支援チームの派遣であったり、あるいはいじめ問題対策委員会が設置されておりますので、しっかりと対応していただきたい。
そして、私は今度別な視点からちょっとお話をさせていただきますが、先生の視点から、今、複雑化、多様化した問題、課題解決を考えた場合に、教師に対する支援体制をしっかりと充実させていくということがまた大事かと思います。教師は国家の建設者だという言葉もございます。まさに現場が萎縮しないようにしっかりと支援体制、環境整備を整える必要があると思います。
 県教育委員会として、複雑化、多様化する課題解決のためにどのように取り組むお考えか、そして、教員以外の専門スタッフの参画などから、チームとしての支援体制を強化すべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

【今野教職員課総括課長】
 複雑化、多様化する課題解決のための体制ということでございます。
 御指摘のいじめ問題を初めといたしまして、不登校ですとか、特別支援教育への対応など、学校や教員だけでは十分な対応が困難な課題がふえているところでございます。
それから、新しい時代の子供たちに必要な資質、能力を育む、いわゆるアクティブラーニングなど、教育活動のさらなる充実が必要と認識しているところでございます。そういった観点から、教員定数の戦略的な充実ということも大切ですが、あわせて、委員御指摘の心理、福祉等の専門スタッフとの連携、分担体制の整備ですとか、事務部門の体制強化など、チームとしての学校の体制を構築いたしまして、学校の機能を強化するということが重要だと認識をしているところでございます。
そういったことを踏まえまして、先ほども答弁がありましたが、平成28年度につきましては、スクールカウンセラー及びスクールソーシャルワーカーの増員による体制の強化を図り、今後についても、臨床心理士等の有資格者の確保、学校心理士の養成等、幅広い人材の確保に努めていくこととしているところでございます。
また、事務部門につきましては、これも来年度からということですが、小中学校に新たに事務長という職を新設することとしており、段階的に配置を拡大することにより、教員をサポートする体制の強化を図っていくこととしているところでございます。

4 児童生徒の学力向上と豊かな心を育む教育の推進

【臼澤勉委員】
 ぜひしっかり、そこら辺の体制づくりもよろしくお願いしたいと思います。
 最後に、児童生徒の学力向上と豊かな心を育む教育の推進に関しましてお伺いします。
まず、教員需要の見通しについてお伺いいたします。
この教員需要を決定する主な要因として二つあるかと思います。まず一つは、児童生徒数の増減、それから教員の退職者数のこの二つがありますが、現在、戦後3回目の大量採用期の真っ最中ということで、1980年代に大量に採用された教員が定年退職をこれから迎えられると。本県の場合、現在50歳代の教員が第一線で今活躍されていて、今後10年間で定年退職のピークを迎えると伺ってございます。
それでお伺いしたいのは、人口減少、少子化社会を迎えて、県教育委員会として、今後の10年間の中期的な小中学校の教員数の需要推計をどのよう見ているのか、教員の退職者数の見通しを含めてお伺いしたいと思います。
あわせて、義務教育標準法の改正によって、今後、基礎定数、加配定数のカウントの仕方を見直すなど、戦略的に教職員の定数の改善を図るべきとも考えますが、御所見をお伺いいたします。

【佐藤首席経営指導主事兼小中学校人事課長】
 中期的な小中学校教員数の需要と退職者数の見通しについてでございますが、教員の必要数は、児童生徒数及び学級数により確定するものであり、今後5年間について算出しておりますので、平成28年度から平成32年度までの推計についてお答え申し上げます。
まず、退職者数については、毎年300人から350人前後で推移するものと見込んでおり、それを踏まえた小中学校教員数の需要については、平成28年度については、小中合わせて6、473人、平成29年度は6、273人、平成30年度は6、225人、平成31年度は6、157人、平成32年度は6、117人。ただ、これに学校統合等が絡むと、この数も変化してくるものと思います。
 次に、戦略的な教職員定数の改善についてでございますが、平成23年4月に義務教育標準法の一部改正が行われ、小学校1年生の学級編制の基準が40人から35人に引き下げられたことを受け、県としては、平成24年度に中学校1年生、平成25年度に小学校3年生、平成26年度に小学校4年生と、教職員定数の活用を工夫しながら、35人以下学級の拡充を進めてきたところでございます。学校課題が多様化、複雑化する中にあって、学校支援体制の強化が求められており、加配のさらなる拡充やその活用方法について、一層工夫する必要があると考えております。
 一方で、本県においては、今後、定年退職者数が、ただいま御指摘のとおり増加していくこともありますので、定数の量的確保に加えまして、教員の質的保障という視点において、ベテラン教員の知識や技能を若手に継承する体制づくりが必要となることから、大学との連携強化も含め、養成、採用、研修の流れの中で、一体的な育成についても検討してまいりたいと考えます。

【臼澤勉委員】
 私が心配しているというか危惧しているところは、ベテランの先生方が、今後10年間で一斉に第一線から抜けていく。その際、今度は若い先生方が入ってくるということで、先ほどのいじめの話もありますけれども、現場のほうでは複雑化、多様化した課題を持っている。そういったときに、頭数は大体バランスはとれるかもしれませんけれども、教える側の先生方が一斉にというか、大分若い方も多くなってくるといったときの質の向上とか環境整備、ここら辺にしっかりと取り組んでいく必要があろうかということでちょっとお伺いしました。
これは非常に難しい問題だと思いますので、そこら辺、しっかりと取り組んでいただきたいということで、御要望で終わります。
 最後に、総括質疑で教育委員長の演述において、国語、数学、英語を中心とした取り組みが学校組織全体に広がるよう取り組むとございました。私も数学も英語も大好きですし、国語は少し苦手なのですけれども、理科教育の視点、特に小学校において重要かなと考えているものでございます。子供が自然から学ぶことによって、人格教育の根幹が育つ、そして理科で子供たちは真実を学び、しかも実感を伴うことによって子供の人格は謙虚になるのかなと考えてございます。この理科教育による人格形成、人格教育について、私は岩手県が先導して取り組むべきと考えますが、教育委員長に御所見をお伺いして終わります。

【八重樫教員委員会委員長】
 私は文系なので理科が不得意ですけれども、ただ、例えば高齢者になりますと、春になると植物が出てくるのを楽しみにしている、あるいは高齢者になると野菜づくりを楽しむ。要は、植物を育てたり花を観賞したりするというのは、人間の本質として大事な要素だと思います。
 同じように、例えば、子供たちが美しい花を見て美しいと感じる、あるいはメダカを捕らえてかわいいと思う、ヤギを捕らえてなでてかわいいと思う。言うなれば、理科的な教材に接することによって、子供たちの人格が完成されるというのは私も同感であります。ですから、理科の勉強が得て不得手ではなくて、そういうことを学ぶことによって、心の豊かさとか人格形成につながると思いますので、委員長演述ではさまざま予算の関係があって、国語、数学、英語と言いましたけれども、本音で言えば、社会科も、理科も、図工も、音楽もちゃんとやってやりたいというのが本音でありますが、委員おっしゃるとおり、そういうことにも力を入れて子供たちを健全に育てていきたいと思います。(拍手)

【臼澤勉委員】
 ぜひ、知、徳、体のうちで、特に知、徳、結ぶところの取り組みとして、理科教育をぜひ進めていただければと思います。