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県議会報告
令和7年度9月定例会 決算特別委員会(農林水産部)(令和7年10月22日(水))
2025.11.28
1 令和6年度の原木しいたけ の生産の状況について
具体的推進方策指標「原木しいたけ生産者1人当たりの生産量」実績値は測定できずだった。今分かれば実績値を示せ。併せて評価を示せ。
【答弁者:林業振興課総括課長】
令和6年次の原木乾しいたけの生産量は、主要施策の成果に関する説明書には、数値が間に合いませんでしたが、現時点で国から公表されたところであり、令和5年から5トン増加の60トンとなっています。 これを受けた原木乾しいたけ生産者1人当たりの生産量は、201キログラムとなっており、目標値の164キログラムを上回ったところであります。 この評価でありますが、令和5年において気象条件が悪く、令和4年から令和5年にかけて大幅な減収となりましたが、令和6年が平年並みの作柄となり、対前年比では増加したところです。 いずれにしましても、震災前と比較しますと約3割となっており、引き続き産地の再生の取組が必要と考えております。
指標の達成について
今回の県民計画でも、収益力の高い食料・木材の供給基地をつくることを掲げており、今回のこの指標が目標達成したとはいえ、生産者数は震災前の平成22年990人、これが令和6年299名となり、7割の減少。生産量は震災前の201tから60tと7割減少している。これで目指す姿を達成したといえるのか。
【答弁者:林業振興課総括課長】
委員御指摘のとおり、震災前と比較しまして、生産者数、それから生産量ともに、7割減となっており、やはり厳しい状況であることは変わらないと考えており、目標値の達成というところには未だ達していないと思っているので、引き続き産地再生に向けた取組が必要と考えております。
震災前から生産者数・生産量 が7割減少している理由につ いて
指標の設定に当たって、県としてどういう姿を目指していくのか、それに直結するような成果指標であるべきと思う。 生産者数・生産量が7割減少している理由を県としてどう分析しているのか。
【答弁者:林業振興課総括課長】
原木しいたけの生産者の人数につきましては、先ほど御指摘がありましたとおり、震災前が990名であったものが、令和6年が299名ということで、原発事故による出荷制限、生産者の高齢化に伴う廃業等により、令和7年に3割まで減少しているところと認識しております。 さらに、令和4年度までは市場価格の低迷ということもあり、植菌本数も大きく減少しており、生産量も減少してきたという経緯がありますので、これまでの生産者数、生産量ともに減少してきたと認識しております。
2 令和6年度の原木購入支援本数について
目標値29万本のところ、21万本の実績となった原因を示せ。 目標値と実績の隔たりがあるが、原因をどう考えているのか。また、今後の目標値設定をどうしていくのか。
【答弁者:林業振興課総括課長】
この目標値は、県内で原木購入を希望する全ての生産者を対象に要望調査を行い、報告のあった要望本数を事業計画として取りまとめたものです。
令和6年度は、29万本の要望となっていたものが、生産者が要望時点で見込んでいた植菌について、高齢化等や体調不良等により取りやめたため、実績が21万本に減少したものです。 今後も、原木購入を行う生産者の意向を丁寧に伺いながら、必要な事業計画の把握に努めてまいりたいと考えております。
原木の不足状況及び原木しいたけ単価上昇による生産意欲向上について 確認だが、支援本数が目標に達していないのは、仕入れができなかったのか、原木が足りなかったのかを聞きたかった。 乾しいたけの価格が令和6年に県平均で5,416円と震災前の4,564円を上回っている。生産意欲が上がるのではないか。
【答弁者:林業振興課総括課長】
原木が入手できないのではなく、生産者の体調不良や高齢化による生産規模の縮小によるものです。 委員御指摘のとおり、しいたけ価格は令和6年に震災前の価格を上回ったということでございますが、これまで低い価格で推移してきた生産者の意欲の減退がこれまで見られてきたところです。 植菌をしてもすぐに収穫できるものではないため、今後、この価格が継続するのであれば、生産意欲が回復してくるものと期待しているところです。
掛かり増し経費について
これまでの掛り増しの経費支援について、これまでの実績と、今後どのように取り組んでいくかお示し下さい。
【答弁者:林業振興課総括課長】
原発事故の影響により高騰したしいたけ原木については、震災前価格との価格差は東京電力の損害賠償の対象になっています。また、原木の震災前価格の半分は、国の補助事業で支援しています。
3 第3期復興・創生期間への対応について
(1) 生産者の要望と取組内 容について
第3期への移行に際して、生産者からどのような要望、あるいは不安の声が聞こえているか、それを受けて原木しいたけ産地再生に向けてどのように位置づけし、どのような取組を進めていくのか。(今後、5年間で産地再生に向けた道筋を示すことはできないのか。)
【答弁者:林業振興課総括課長】
原木価格の高騰が続いていることから、生産者からは、第3期においても、「原木購入に対する補助を継続して欲しい」との要望を受けており、県としても、国に対して、原木購入経費の支援の継続について要望しているところです。 国では、「『第2期復興・創生期間』以降における東日本大震災からの復興の基本方針」におきまして、本県を含む原子力災害被災地域では、「地域の実情に応じた施策を実施していくことが重要」ということで、「良質な原木や原木しいたけ等の産地再生に向けた取組を進める」とされており、基本的には第2期と同様の記載となっております。 県におきましては、第2期復興・創生期間において、高騰している原木の購入支援、原木林の再生や消費拡大に向けた消費者への情報発信等に取り組んできたところであり、第3期においても、国の方針を踏まえ、こうした取組を継続するとともに、原木しいたけの産地再生に向けて生産量の拡大と新規参入者の確保に取り組んでいくことが必要と考えています。
放射性物質調査について
山の再生なくして産地の再生はないと思っている。そういった意味で宮城県では放射性物質濃度調査等を令和6年も行っている。県内で70箇所近くを調査しており、平均値が30㏃/kgに低減されているような数字も出ているが、岩手県ではどうなっているのか。 私が把握しているなかでは、昨年までに、県内35箇所で原木林のセシウム濃度調査をやっているということだが、状況、結果、評価を示せ。
【答弁者:林業振興課総括課長】
放射性物質濃度調査の結果ですが、出荷制限地域内の検査結果について、委員御指摘の35箇所に加え、通常実施している検査も付け加えたところで、延べ640箇所の検査を実施しており、放射性物質濃度がしいたけ原木として十分利用可能な値であったと確認しているところでございます。 出荷制限後の数年間の検査結果と、直近数年間の検査結果を比較しますと、放射性物質濃度が高いエリアが減少する傾向が見られたところでございますが、検査する場所により、スポット的に高いところ等、ばらつきがまだ見られているところでございますので、すべてが安全に活用可能とは言えないというところです。
(2) これまでの総生産量の 推移と今後の推計等につい て
原木乾しいたけのこれまでの生産量の推移と今後の推計、目指すべき生産量を伺う。 また、1人当たり生産量と生産者数の目指すべき値と、それに合わせた確保すべき新規生産者数を示せ。
【答弁者:林業振興課総括課長】
原木乾しいたけの生産量は、令和6年次は60トンと、震災前の約3割となっており、震災以降、減少傾向で推移しています。第3期復興創生期間における目指すべき生産量、1人あたり生産量、生産者数及び確保すべき新規生産者数は、お示しすることはできませんが、第2期アクションプランにおいては、原木乾しいたけ1人あたりの生産量の計画目標値として、令和8年次に170キログラム、また、しいたけ等特用林産振興対策事業の成果指標として、毎年2人の新規参入者数を目標としているところです。 指標や目標値については、今後、様々、現状を分析しながら、次期アクションプランに向けて検討を進めていきます。
今後5年間の再生計画につ いて
1人170kg、新規参入者2人でどうやって岩手県の原木しいたけの再生が図れるのか。そこの認識が甘いというか、緩いのではないか。ピーク時の平成4年933t目指せとは言わない。次の担い手をしっかりと育てていく対策、そして山の再生なくしては復活できなきと思う。5年間でしっかりと再生計画、目標値を立てて重点化、あるいは東電への働きかけ、様々な機関の協力を仰ぐという、強い覚悟をもって臨むべきと思うが、部長お聞かせ願いたい。
【答弁者:農林水産部長】
原木しいたけの生産量というところにつきまして、委員のほうから様々御指摘をいただいたところです。 現状としては減っているという傾向がありますけれども、今のまま減っていくということを良しとしているわけではありません。 なかなか厳しい状況はあると思いますけれども、減るというところをいかに少しでも回復させていくか、そういった取組をすることが必要だと考えております。 目標につきましては、先ほど総括課長からも答弁いたしておりますけれども、様々今いただいた御指摘も参考にしながら、次期アクションプランに向けまして、検討していきたいと思っております。 東電の賠償請求の話もございました。 私もこの賠償請求にはここ2年実際に参加させていただきまして、東電のほうに直接申し入れを行っています。 なかなか東電の回答は前向きな回答をいただいていないところで、賠償請求というのは価格差が出ないと賠償できないというのが今の東電の考え方ですので、そうであれば、産地再生の観点から何か支援ができないのか、と申し上げました。今のところこれについてのプラスの回答はいただいていないとところでありますが、引き続き東電側にも産地再生の取組、これは新規の就業者が入ってくるというのが非常に大事でありますので、繰り返し強く申し入れをしていきたいと思っています。 こういった担い手の部分と、販売力の向上と、合わせて取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。