ホーム  >  県議会報告  > 平成28年9月定例会 決算特別委員会(総務部)(平成28年11月15日(火))

県議会報告

平成28年9月定例会 決算特別委員会(総務部)(平成28年11月15日(火))

2016.11.26

1 県の組織体制と財政健全化について

復興邁進と財政の健全化について

 行財政構造改革プログラムによる限られた人財の中、27年度決算は、復興邁進、国体対応、ふるさと振興に取り組むなど、様々な県政課題に対し事業の効率化や重点化に配慮しながら対応されていることに敬意を表する。一方、持続可能な県組織を構築する上でも、組織定数に対する欠員の状況を解消する必要がある。
140名程度の人員不足が生じているようだが、今後の人員確保対策の見通し、対応方針については、各委員が質問されたので、財政の健全化について伺う。
 県財政における経常収支比率は平成27年度決算でみると97.4%と、財政状況は極めて硬直化している。また、財政調整基金は283億円と年々減少傾向にあり、財政健全化は待ったなしの課題である。そこで、27年度決算における財政状況をどう総括し、財政課題をどのような方策で解決し、真の健全化を図ろうとしているのか伺う。
併せて、国の「集中復興期間」は27年度までだったが、震災から5年間の復興事業に係る県財政への影響をどう総括し、32年度までの国の「復興・創生期間」における県財政への影響をどう見込んでいるのか伺う。

【財政課総括課長答弁】
 平成23年度から平成27年度の国の「集中復興期間」における東日本大震災津波からの復旧・復興事業の本県の決算額は累計で2兆837億円に上るが、財源としては、復興交付金や震災復興特別交付税などの国の財源措置をはじめ、復興基金や「いわての学び希望基金」の有効活用、東京電力からの賠償金の確実な請求などにより、県財政への影響が最小限となるよう財政運営に努めてきた。
 平成28年度から平成32年度の「復興・創生期間」においても、復興交付金や震災復興特別交付税などの措置は継続されるものの、新たに導入された地方負担による本県財政への影響額を73億円程度の負担と見込んでいるところ。この負担については、資金手当債の発行等により、負担を平準化していく。

2 地域防災力の強化対策について

(1) 内発的避難意識を育てる防災教育について

 住民自らが主体的に判断し、行動できることが必要である。防災教育においては、知識偏重や恐怖心による教育ではなく、自ら逃げる内発的な避難意識を育てる必要があると考える。内発的避難意識を育てるための防災教育にどう取り組むのか、防災教育推進方策について伺う。

【総合防災室長答弁】
 内発的避難意識を育てる防災教育についてでございます。委員のお話のとおり、災害発生時におきましては、住民一人ひとりが自ら考え自ら避難を含め個々の状況に対応できるよう、防災に関する知識の習得、それから実際に行動するための訓練が必要であると考えてございます。
 このため、県内の児童・生徒に対する防災教育につきましては、教育委員会との連携のもと、平成25年、26年に作成しました防災教育教材を活用しながら子どもたちに防災についての基本的な知識を身につけさせるとともに、実践的な避難訓練などに取り組んでいるところでございます。
 また、地域住民につきましては、県政テレビや広報紙による啓発、それから地域における研修会への地域防災サポーターの派遣などによる防災知識の普及、更には自主防災組織の活性化を図りますとともに、住民参加型の総合防災訓練などを行っておりまして、今後においても、効果的な方策を検討して参りたいと考えてございます。

(2) 市町村区域を越えた広域的な防災体制について

 頻発する大雨・洪水災害の際、市町村によって情報共有等の体制に課題があると伺う。平常時における地域住民への広報、職員等の教育、広域的防災訓練、観光客など滞在者・通過者への対応、避難者の受入体制、住民等の安否情報の提供体制などについても、関係する地方公共団体が共同して対策を講じることが有効である。
このような観点から、行政区域を越えた広域的な避難対策を検討することが重要であると考えるが、今後の地域防災計画の見直しにどのように反映して参るのか伺う。

【総合防災室長答弁】
 市町村区域を越えました広域的な防災体制についてでございます。国におきましても、東日本大震災津波におきまして、市町村や都道府県の区域を越えて、大規模な住民の避難がなされたことを踏まえまして、平成24年度でございましたが災害対策基本法を改正しまして、広域避難(法律上は「広域一時滞在」)の手続きについて定めたところでございまして、本県におきましても、平成25年度にマニュアルを作成したところでございます。
 また、今般の台風第10号災害におきましても、岩泉町の避難者の皆様が田野畑村の避難所に現在避難しているところでございます。
 県といたしましては、来年度、盛岡市、紫波町それから矢巾町と共同で実施する県総合防災訓練におきまして、市町村の区域を越えた広域避難訓練、これを行いたいと考えてございます。また、この訓練結果を検証いたしまして、必要に応じまして地域防災計画を見直すなど、広域的な防災体制の強化に努めて参りたいと考えてございます。

(3) 岩手県消防学校の役割と整備方針について

 台風10号災害の時、被災地からの防災ヘリにより透析患者等の内陸病院や施設への搬送拠点となった。広域防災拠点の観点から県立消防学校の位置づけと果たす役割をどう位置付けているのか伺う。
 併せて、岩手医科大学が隣接地に移転してくるほか、矢巾スマートインターチェンジも整備され、広域的な医療機関との連携拠点の役割も期待されるが、今後の施設整備の強化等について、どのように対応して参るのか伺う。

【防災消防課長答弁】
 岩手県消防学校の広域防災拠点としての位置づけについてでありますが、 「広域防災拠点」は、東日本大震災津波にかかる災害対応検証を踏まえて、平成25年度に「岩手県広域防災拠点配置計画」において、県央部に配置する「広域支援拠点」12施設と、県内複数地区に配置する「後方支援拠点」22施設が定められたところ。
 この中で消防学校は、隣接する「岩手医科大学 災害時地域医療支援教育センター」とともに、県央部における「広域支援拠点」の一つに位置付けられており、先の台風第10号災害の際に、岩泉町内の入院患者を内陸部の病院に搬送する際のヘリの拠点として、機能を発揮したところ。
 また、備蓄庫としての役割も担っており、台風第10号災害においても、保管している毛布を岩泉町へ運んだほか、ヘリの搬送拠点として使用するに当たり、初任科の学生も協力し、生きた授業ができたと消防学校から報告を受けている。
 岩手県消防学校の今後の整備方針については、消防学校は昭和49年の建設以来、42年が経過しているところであるが、施設の状況や消防学校に求められている機能等について、現状を把握して参りたい。

3 県立大学について

(1) 中期目標期間の業務実績評価結果の改善に向けた取組について

 27年度県立大学の業務の実績に関する評価結果によると、各事業の取組みが概ね計画通り進められており、特にも県内就職率及び公務員等就職者数は昨年度より増となっていることは評価する。一方、28年1月に公表された暫定版の「県立大学に係る中期目標期間の業務実績評価結果」によると、改善を要する事項として、基盤教育改革の検証と語学教育の充実、総合政策学部の取り組み、大学院の定員充足が上げられていたが、改善に向けた取組みについて伺う。

 中期目標期間の業務実績評価結果の改善に向けた取組についてでございますが、基盤教育改革については、平成26年度に教養科目、平成27年度に英語科目及び情報処理科目について大幅なカリキュラム改正を行ったところでございます。現在、「授業に関する学生アンケート調査」等の各種アンケート調査によりその成果検証を行っているところであり、今後、検証結果に応じて必要な改善策の検討を行っていくと聞いております。
 総合政策学部については、課題解決能力を育成するための具体的な改善策を講じる必要があるとの指摘を受けたところであり、これにつきましてはグループワークによって、地域企業の課題分析等を行い、その課題解決方法を考察する「地場産業・企業研究」(キャリア教育科目)などの、アクティブラーニングを取り入れた主体的学修を行っているところでございます。
 また、大学院の定員充足については、看護学研究科が県内各地に出向き看護職や養護教諭を対象とした説明会を開催するなど各研究科で志願者確保の取組を進めるほか、進学相談会の開催や大学院入学料免除制度の活用により学内進学者を増やす取組も進めているところでございます。
 県では、現在、県立大学の第3期中期目標の策定を進めており、こうした課題の解決の方向性を盛り込むなど、県立大学と連携しながら、改善に向けて取り組んで参ります。

(2) 高大接続システム改革への検討状況について

 先般、東北大学に行って高大接続システム改革への取組み状況について話を伺ったが、県立大学における高校と大学の入学者選抜改革の一体的な在り方について、現在どのような検討が進められているのか伺う。
 特に、学力の3要素を多面的、総合的に評価する上での課題をどう捉えているのか。併せて、県内からの大学入学者選抜等における評価の在り方をどう捉え、どのような選抜方法を検討されているのか伺う。

 高大接続システム改革への検討状況についてでございますが、県立大学においては、平成26年9月に高校教員と大学教員からなる高大接続委員会を設置しまして、双方が共有すべき課題について検討を行い、これまで出願書類の見直しや出身高校との情報共有、推薦入試合格者等に対する入学前教育等の充実等の取組を行って参りました。
 現在、文部科学省が進める高大接続システム改革は、学力の3要素を基盤とする一貫した理念の下、高等学校教育、大学教育及び大学入学者選抜をシステムとして、一体的に行う改革でございますが、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」の導入が柱の一つになっているところであるが、この学力評価テストについては、まだ、詳細が示されていないところでございます。
 県立大学におきましては、18歳人口の減少や高校生の進路選択の多様化など、大学入試を取り巻く環境は大きく変化していることから、県立大学で学ぶに相応しい資質と能力を備えた多様な入学者を確保するため、今年度、各学部の教員等で構成するワーキンググループを設置しております。新たな入試についての課題ですが、文部科学省の高大接続システム改革の動向や高大接続委員会の意見も踏まえながら、現行入試制度の課題、今後の取組等について検討を進めているところでございます。