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県議会報告

令和5年度2月定例会 予算特別委員会(教育委員会)(令和6年3月8日(金))

2024.06.14

1 高校再編計画と学力向上策について

〇臼澤勉委員 私からも、高校再編計画と学力向上策についてお伺いさせていただきたいと思います。
 ある民間会社の調査によれば、令和5年の共通テスト、5教科総合得点ですけれども、本県は461.2点、全国の最下位。トップの東京都は629点ということで、約160点ぐらいの差があるわけでございます。全国最下位グループというか、そういった平均点を改善するために、教育委員会が実施している具体的な学力向上プログラムをまず教えていただきたい。
 そして、このプログラムがこれまでどのような効果をもたらしてきているのか、具体的な成果をお示しください。

〇中村首席指導主事兼高校教育課長 学力向上の具体策についてでございますが、県教育委員会では、大学等進学を希望する生徒を支援するため、いわて進学支援ネットワーク事業において、志望大学別に生徒を集め講座を実施する高校合同での授業や、医学部対策講座や芸術系における技術講習など、各学校の特色に合わせた進学指導を支援するコアプログラム事業などを実施してまいりました。
 今年度は、地域や学校規模による学習機会の格差解消を図り、より多くの生徒の進路希望達成の実現を図るために、講座配信授業を開始したところでございます。
 県全体の大学進学率につきましては、平成26年が42.4%、平成30年は44.6%、令和4年が46.7%と着実に高まってきており、今後、生徒の希望する進路を実現するための取り組みを一層充実させて、生徒の進路の目標達成に取り組んでまいりたいと考えております。

〇臼澤勉委員 ただいま大学進学率の成果みたいなことが数字で示されました。平成26年、42.4%が令和4年、46.7%という数字でして、高まっているという評価でしたが、ただ、これは全国順位を見ると、全国41位から44位に下がっているんですね。全体的に上がっているんです。そこをちゃんと正確に答弁してもらわないと、少しミスリードするのかなとまず思います。そこを1点御指摘させていただきたい。
 そして、知事のマニュフェストプラス39では、学びのデータを活用し、一人一人に応じた学習指導体制を構築していくというようなことも書かれております。知事のマニュフェストを踏まえて、改めて、今の現状の全国最下位の評価、県教育委員会としてどう受けとめているのかお伺いします。

〇中村首席指導主事兼高校教育課長 現状を捉えてということでございますけれども、先ほど話をいたしました、いわて進学支援ネットワーク事業につきまして、講座配信型授業を開始する、あるいは、来年度は、2年生で実施している講座配信事業を、さらに志望大学別に分けて実施するなど、現状の大学進学率を一層高めていくという形で計画を考えているところでございます。さらに、医学部志望の生徒に対するメディカルプログラム等、そういった志望別の対策講座も行いながら、しっかりとした進学支援をしてまいりたいと考えております。

〇臼澤勉委員 県教育委員会の皆様、先生方の取り組みには本当に敬意を表したいと思って質問させていただいております。
 そういった中で、進学支援策の具体的な成果と改善計画についてお伺いいたしますが、進学支援策が進学希望者の増加にどのような成果をもたらしているのか、具体的なデータや事例をもとに説明を求めたいと思います。
 また、これらの支援策の改善計画について、どんな点を見直して、どんなところを強化していく予定なのか、具体的に計画をお伺いしたいと思います。

〇中村首席指導主事兼高校教育課長 令和6年度のいわて進学支援ネットワーク事業では、今年度までに実施してきたさまざまな講座に加えて、先ほどもお話しした2年生での講座配信をさらに志望別に分ける、あるいは、新たに来年の大学入学共通テストから加わる教科、情報の支援事業などを行い、大学入試に向けた対応をしっかりとっていきたいと考えております。
 あとは、ウインターセッションという、大学における講義や研究のおもしろさに直接触れる機会を提供することで進学の意識を高めるといった取り組みも行っているところでございます。
 また、高校奨学事業費補助として、進学意欲がある高校生が経済的な理由から断念することがないように、大学等への進学に要する費用の支援も行っているところでございます。
 こういった支援策により、例えば、令和4年3月の卒業生について、入学当初の大学等への進学を希望する生徒の割合が36.8%だったのに対して、卒業時の大学等への進学率が46.7%と約10%ほど上昇するなど、進学希望者の増加につながっているのではないかと考えております。

〇臼澤勉委員 全国でも50%を超えている大学進学率の中での今の現状でございます。指標に基づく評価についてもお伺いいたしますが、学力向上とか進学支援の効果をはかるための指標を設定していると思います。この内容、指標に基づく評価結果、そして、今後の施策の改善にどう取り組んでいくのか、具体的な計画をお伺いいたします。

〇中村首席指導主事兼高校教育課長 指標に基づく評価についてでございますが、いわて県民計画(2019~2028)の第2期アクションプランでは、社会のニーズに対応した学習内容の充実などにより、生徒一人一人の進路実現を推進していくこととしており、生徒の進路実現に向け、自校で設定した進路目標を達成できた高校の割合を指標としております。
 この指標は第1期アクションプランでも設けておりまして、令和元年度は54%、令和2年度が63%、令和3年度が66%、令和4年度は74%と上昇してきているところではございますが、目標値には到達していないという状況がございます。
 そういった本指標の結果や多様化する大学入学者選抜の状況、理系人材やデータを収集、分析、利活用できる人材が社会的に求められている状況を踏まえて、令和5年度からは探求・STEAM教育推進事業を実施し、県内各地域の9校を推進校として指定して、各高校における探求的な学びを文理横断的な視点から深める取り組みを行っているところでございます。
 さらに、先ほど申し上げました、情報の対応とか講座配信型の充実、そういったことを実施する予定でございます。

〇臼澤勉委員 冒頭、高校再編と学力向上の絡みでお伺いすると申し上げました。高校再編も魅力化のために統廃合を進めていくということで、いろいろ計画を進めていると理解しております。高校魅力化のために実施している具体的な施策とその成果、そして、どのように評価しているのか、評価方法とその結果について、詳細にお伺いしたいと思います。
 また、この結果を踏まえて、今後の魅力化計画について、どのように県教育委員会として取り組んでいくのかお伺いいたします。

〇安齊特命参事兼高校改革課長 高校魅力化のための具体的な施策とその評価等についてでございます。
 取り組みについてですが、令和4年度から国の交付金を活用した、いわて高校魅力化・ふるさと創生事業により、全県立高校の魅力化、特色化に取り組んでいるところでございます。
 具体的な取り組みについては、県高校魅力化プロデューサーによる訪問指導、助言、また、地域連携コーディネーターによる地域との連携、高校魅力化評価システムの導入、ウェブサイトnoteを活用した情報発信、こういったものに取り組んでいるところでございますし、また、各学校における探求活動の実施やコンソーシアムの運営経費などの措置もしているところでございます。
 こういった事業の成果、評価でございますが、各学校における探求活動が充実、深化しているところでございまして、評価システムにおける調査結果において、生徒の資質、能力に関し、主体性や協働性に関する数値の上昇が見られているほか、また、noteを活用した情報発信において、令和4年度2,900件であったものが、令和5年度2月末現在で5,400件と約2倍に増加していることが挙げられます。
 今後につきましても、こうした取り組みの深化をするとともに、各学校の自走に向けた取り組みを支援してまいりたいと考えております。

〇臼澤勉委員 学力向上の最後の質問にいたしますが、マニュフェストプラス39でも、県立高校の理数科の一部を医系進学コースに再編するということも盛り込まれておりました。具体的な今時点での想定される学校、あるいはスケジュール、実現のめどについてお聞かせください。

〇中村首席指導主事兼高校教育課長 医系進学コースの創設につきましてでございますが、現在、県立高校教育のあり方検討会議を開催し、今後の本県高校教育のあり方について、外部有識者から御意見を伺っております。当該検討会議における意見や、教育委員会におきましても、先行他県の取り組みの調査等も進めておるところでございます。
 そういったことの検討や取り組み等を参考にしながら、具体的な設置校、あるいは設置年度については、検討を進めてまいりたいと考えております。

〇臼澤勉委員 検討会議での取りまとめ、いつごろ検討会議でまとめる予定なのかお伺いします。

〇安齊特命参事兼高校改革課長 県立高等学校教育の在り方検討会議による取りまとめでございますが、高校教育全般に関する計画、ビジョンでございまして、来年度末までの取りまとめとして考えてございます。
 ただ、今、高校教育課長が答弁申し上げました医系進学コースの創設等については、こういったところの議論の一つとなってございますが、意見を聞きながら検討していくものと捉えてございます。

2 不登校対策について

〇臼澤勉委員 いろいろ聞いても難しいかもしれませんので、規模感とか、どういった人材を想定しているのか、そこについては、今後、いろいろとまた教えていただければと思います。
 次に、不登校対策に移ります。
 不登校は県内、増加傾向にあると認識しております。この不登校対策について、これは通告していませんが、県教育委員会としてどうかかわるのか。役割分担というか、要は、県教育委員会としては、公立高校のみ、あるいは公立小中学校も含めて対象なんだという考え方なのか、私立も含めてというか、岩手の子供たちが学びにつまづいたり、そうしたときに支援をしていくという立場なのか、どちらなのか、教育長にお伺いしたいと思います。

〇佐藤教育長 不登校につきましては、校種を超えて、小学校も中学校でも高等学校でも、大きな課題となっております。確かに、設置者としては我々は高等学校を直接見ておりますが、さまざま市町村教育委員会との連携の中では、小学校、中学校の不登校児童を減らすということも岩手としても大事なことなので、そこは一緒に意見交換もしますし、市町村における教育支援センターの設置に補助を出すという形で進めていただきたいということを申し上げていますので、そこは一緒になって取り組むべきものと。いずれ小中学校の子供たちは高等学校に入ってくるわけですので、引き続き一緒に取り組みたいと思っております。

〇臼澤勉委員 私立学校との関連もお伺いいたします。

〇佐藤教育長 私立の学校になりますと、学校法人のそれぞれの考えもありますので、どこまで県教育委員会なり市町村教育委員会がお話ができるのかというのは、難しいところはあろうかと思いますが、公立小学校、中学校にいた子供が私学、専修学校に入学されるとか、そういうこともありますので、フリースクールも含めて、我々はいろんな資源、資源と言ったら失礼かもしれませんけれども、そういうところとはしっかり情報共有とか連携は図って取り組んでいく必要があろうと思っています。

〇臼澤勉委員 岩手に生まれて、岩手で育つ子供たちが、それこそ誰一人取り残さないような形での学びの環境づくりというのが私は県教育委員会の使命でもあるのかなと思いますし、結果として、受け皿が公立なのか私立かというのは、それはまた結果のところで、本当は公立高校でそのまま学びたいと思っている子供たちが何らかの形で学校に行けなくなっているという問題も多々見られますので、そこは余り縦割りにということではないと思っております。
 次の質問にしますが、多様な支援策の展開についてお伺いします。要は、学校以外での学びを提供するフリースクール、あるいは民間団体との連携について、具体的な取り組みや成果について教えていただきたいと思います。
 また、これらの支援機関との連携を強化するために、教育委員会が計画している新たな施策、あるいは予算とかあれば教えてください。

〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 多様な支援策の展開についてでございますが、不登校児童生徒の多様な居場所の確保や教育支援センターやフリースクール等民間団体との連携を図るため、不登校児童生徒支援連絡会議を開催しており、令和5年度の連絡会議では、学校と連携した保護者への支援や保護者向けの情報提供について話題にしたところであり、各市町村教育委員会や各教育事務所の関係者と情報共有したところでございます。
 新たな施策といたしましては、県教育委員会として令和6年度の不登校児童生徒支援連絡会議では、新たに保護者等を対象とする学習会を開催するなど、不登校児童生徒やその保護者に対する支援の充実が図られるよう、関係団体との一層の連携に取り組んでまいります。

〇臼澤勉委員 さまざま新規事業も聞いております。図書館での受け入れとか、そういった答弁はなかったですけれども。
 最後、不登校生徒のニーズ把握と支援内容のマッチングというもの、私はすごく大事だろうと思っていました。要は、子供たちがどういったニーズを、皆さんにヘルプを求めているのか、あるいは、こういった環境で学びたいとか、支援内容の把握をまずすること。そして、どういうふうにそれを形にしていくのか。この具体的なプロセスと成果というものを県教育委員会としてどう考えているのか、最後に御所見を聞いて終わりたいと思います。
〇千田首席指導主事兼生徒指導課長 不登校生徒のニーズ把握と支援内容のマッチングについてでございますが、支援ニーズや本人としてはどうありたいのかという希望や願い、本人が持っている強みや興味、関心も含めて、不登校児童生徒の気持ちを理解し、思いに寄り添うことが重要であり、教育支援センター等の支援の場やICTを活用して把握、アセスメントを行い、個に応じた具体的な支援を行っているところでございます。
 成果といたしましては、多くの不登校児童生徒が必要な相談、指導等を受け、さまざまな支援につながっていることが挙げられますが、一方、相談、指導等を受けていない児童生徒が一定数いることが課題として挙げられます。このため、令和6年度、ふれあいルームの利便性を図るため、県立図書館内に分室を設置し、不登校児童生徒やその保護者に対する教育相談体制の充実を図るとともに、多様な学びの場や居場所の確保に取り組んでまいります。