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県議会報告
令和5年度9月定例会 決算特別委員会(環境生活部)(令和5年10月26日(木))
2023.12.09
1 クマ対策
(1)捕獲上限数と捕獲数の評価
私からも熊被害の関係で、重複しないように簡潔に聞いてまいります。
先ほど工藤剛委員の御質問の中で、捕獲上限数に対しての捕獲のギャップのようなお話がありました。私もそこの問題認識を持っていたものですから、ちょっと確認いたします。
今回、捕獲上限数796という大きな目標を立てたというのは評価いたします。ただ、これまでのここ3年間を見ていくと、例えば、令和3年、捕獲上限数375に対して捕獲数が426、114%、令和2年、508に対して555、109%だったのが、令和3年で捕獲上限数546に対して461、84%、令和4年度、626に対して419頭、67%ということで、ここ数年、捕獲上限数に対して8割、あるいは7割を切るぐらいの捕獲実績になってきている。ここの現状、評価、どのように捉えているのか、改めてお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 捕獲上限数に対して実績との違いという部分でございますけれども、こちらにつきましては、我々のほうとしても捕獲上限数、目標ではないものの、この頭数までは獲っても大丈夫だということで管理はさせていただいている数字でございまして、市町村のほうにはこの範囲内での捕獲をお願いしているところではございますけれども、お話を聞きますと、許可の際に、通常、振興局のほうに申請をいただいて許可をしているんですけれども、許可の部分をもうちょっと簡便化ならないかといったような御意見とかも伺っているところもございまして、現在、岩手県の場合ですと、通常許可とは別に、あらかじめ市町村に枠配分する特例許可という制度で運用させていただいているところでございます。
こちらの特例許可につきましては、発生の都度、市町村が速やかに捕獲できる制度となってございましたので、これまでの捕獲が少ないという状況も考えまして、今年度につきましては、特例配分を追加で配分させていただいているところでございます。
あわせまして、配分する際にも、配分させていただいた枠については積極的に使ってほしいといったようなことであったりとか、本当に緊急な場合、今まさに熊が出没して、とらなければいけない場合などにつきましては、既に市町村に権限移譲しているところでございますので、こういった場合については、市町村の権限で速やかに捕獲していただけますといったような制度の周知を改めてさせていただきまして、捕獲を可能な限り進めていくように取り組んでいきたいと考えてございます。
ここ最近、毎日のように全国各地での熊被害、あるいは人身事故、あるいはお亡くなりになるような本当に痛ましい事故がふえているという状況にあって、今の答弁で確認いたしますが、このギャップが生まれている中で、そもそも申請がないからギャップが生まれているのか、あるいは、あったけれどもとれなかったからギャップが生まれているのか、どっちなのかなと思って問題意識を持って今、聞いていたんですけれども、今の答弁ですと、行政の許可のあり方とか手続いかんによっては、ここのギャップ間は縮小するんだという御認識でよろしいんでしょうか。お伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 まず、許可の制度面の関係につきましては、市町村の御要望なども踏まえまして、可能な限り柔軟化できるように対応させていただいておるところでございます。あわせまして、捕獲効率というところになりますと、通常の場合ですと、例えば、農業被害が出たといった後にわなを設置するということで、その場に熊がいない状況で後からわなを設置するという形が通常になってまいりますので、当然、空振りというケースも出てまいります。実際の現場での捕獲効率みたいなものに関しましては、有識者で組織している協議会の中でも課題とされているところでございますので、いかに効率よく捕獲できるかといったところにつきましても、あわせて研究を進めてまいりたいと考えてございます。
(2)ヘアトラップ生息調査手法の評価と課題認識
現場をいろいろ歩くと、捕獲効率、実効性を高める対策に対するニーズを非常に強く感じております。各委員からも市町村との連携の話とか、あるいは、現場、地域ぐるみの対策というようなお話もありましたし、国への新たな、環境省も支援策を準備していくというようなお話でありますので、ぜひそこら辺の実効性のある取り組みというものを進めていただきたいということで御要望しておきます。
それで、前提の中で、捕獲するに当たっても、今、どのくらい熊がいるのかという状況、北奥羽で1,700頭、北上山地で2,000頭というようなことで、3,700頭ということで今、岩手県では把握していると伺っております。その調査方法がヘアトラップ生息調査手法ということでずっとやってきておりますけれども、この手法の評価と課題認識についてお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 ヘアトラップ調査の評価と課題認識というところでございますけれども、ヘアトラップ調査といいますのは、熊の体毛を採取させていただきまして、そちらでDNAを調査するという形で生息数を推計する手法でございます。DNAを調査するという関係もございまして、個体識別の精度は高いとされているところでございますけれども、課題面といたしますと、どうしても分析コストが高くなってしまうといったようなところが課題と考えているところでございます。
(3)ヘアトラップ調査手法の見直し
今回の被害の状況においても、全国の中でも秋田と岩手が突出して被害が多いという中で、隣の秋田県の第4次の熊の管理計画の中で、平成29年度から今までやっていたヘアトラップ方式をカメラトラップ調査によって手法を変えたところによって、これまで県内の生息数というのは、御存じだと思いますけれども、1,000頭だったというものが、手法を変えた途端に約4倍にふえて、中間の値とすれば4,400頭ということで、ふえたわけですよね。
秋田県は手法の評価においても、この計画書を読み上げると、従来の推定が過小評価だったということをしっかりと明記しながら、これまでの手法を素直にというか、いろいろと見直しをして取り組みをしているというようなところであります。岩手県として、ここら辺の手法の見直しというのをする御予定はあるのでしょうか、お伺いします。
〇酒井自然保護課総括課長 今、秋田県のお話がございましたけれども、カメラトラップ調査のほうにつきましては、ツキノワグマの特徴でもあります胸の白い模様をカメラで撮影することによって生息数を推計する方法でございまして、ヘアトラップよりは費用的には安いとされているところなんですが、一方で、胸の模様がはっきり映らないと、なかなか推計に用いづらいというお話なども聞いているところでございます。
本県につきましては、ヘアトラップ調査につきまして、実績ですとか有識者の知見等もございますので、一方、カメラトラップと地形の条件であったりとか調査手法などについても違い等がございますので、こちらにつきましては、有識者の意見も聞きまして、どういったことができそうなのか、応用とかができそうなのか、そういったところは意見を聞いて考えていきたいと考えてございます。
全国の中でもヘアトラップ方式を取り上げている自治体というのも、岩手県のほかにも数県、今の第12次の計画でいけば6県ぐらいありますけれども、カメラトラップ方式を採用している自治体も急激にふえております。秋田県、福島県、富山県、長野県とか、あるいは山口県まで7県ですよね。調査手法の見直しを検討していく、コスト比較も考えてやっていく必要があろうと思いますし、さらに、階層ベイズ方式というのを新たに取り入れている県も7県ということで、北海道を初めそういったモニタリング手法を取り入れております。
私は、今の被害の状況、あるいは目撃件数がふえているという状況において、客観的なデータを今まで以上に、見直すか見直さないかも含め、専門家の御意見もいただきながらやっていく必要があるだろうなという問題認識を持っておりますし、ぜひ従来のやり方にとらわれず、全国でも階層ベイズ方式も、以前は兵庫県のみだったのが7県にふやして、さまざまなモニタリングの複数の調査を取り入れながら、因果関係を分析しながらやっているということでございますので、そこら辺の取り組みについてのお考えをお聞きします。
〇酒井自然保護課総括課長 いわゆる階層ベイズ方式というのは、推計していくに当たっての計算方法の手法ということでございますので、調査のベース自体は兵庫県ですとか北海道などにつきましても、ヘアトラップ調査をさせていただいているところでございます。
その方式につきましては、本県も参考とさせていただいているところでございますので、推計方法につきましても、今後もさまざまな手法についても研究は進んでいるところでございますので、できる限り、最新の手法で精度の高い推計ができるように取り組んでまいりたいと考えてございます。
2岩手県動物愛護センター
(1)岩手県鳥獣保護センターの整備検討状況
それでは、午前中に引き続き、通告していた2番目のほうに入っていきたいと思います。
午前中も熊対策、あるいは、イノシシも含めて鳥獣被害の対策の一方で、科学的、計画的な保護の観点から、しっかりと対策をとっていくのがまさに環境生活部であり、自然保護課の役割だと理解しておりますが、そういった意味から、鳥獣の保護、管理、総合的な拠点として、岩手県鳥獣保護センターの整備基本構想が平成30年、今から5年前につくられております。これの今の整備検討状況についてお伺いいたします。
〇酒井自然保護課総括課長 鳥獣保護センターの整備検討状況についてでございますけれども、平成30年度に策定いたしました基本構想におきましては、動物という共通項を持ちます動物愛護センターとの一体的整備を検討する方針とさせていただいたところでございます。
ただ、その後の検討の中で、感染症対策への懸念を理由として、一体的な整備というのは困難ではないかという有識者からの意見が示されてきておりまして、検討を続けてきておりましたけれども、現時点では、この感染症対策への懸念というのを払拭できていない状況でございます。
その一方、現状の施設につきましては、小規模ではございますけれども、設備改修を進めながら施設の長寿命化を図っておりますし、また、現在の場所が野生鳥獣の保護飼養に関しては保護管理に適している場所でございますことから、現状でいきますと、機能維持を図りながら、当面は運営をしていきたいと考えているところでございます。
(2)犬や猫の保護・譲渡の現状と課題
いろいろ感染症の問題を専門家から指摘を受けたということの御説明でありましたけれども、しからば、この整備基本構想というのはそもそも何だったのかなというか、基本構想を取りまとめる上では、さまざまな県民からの意見、あるいは専門家の意見なども取り聞きながら、通常であれば進められていくものと私は認識しております。
平成30年8月のころには、今、御説明のありましたとおり、動物愛護センターとの一体的な整備計画に合わせて2021年ごろをめどに整備することを目指すということで取りまとめられたというものでございます。
そこで、ちょっとお伺いいたしますが、動物愛護センターのほうにも移るんですけれども、まず、今の県内の犬猫の保護、あるいは譲渡の実績を踏まえて、課題認識をどのように捉えているのか、改めてお伺いします。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護管理実績の傾向と課題認識についてでございます。
令和4年度の実績でございますが、奥州市の緊急保護事案も含めまして、犬の場合は、保護した数が253頭であり、このうち、元の飼い主へ返還できたのが107頭、新しい飼い主へ譲渡したのが137頭、自然死が5頭、譲渡適性がないなどの理由により、やむを得ず殺処分した数が12頭でございました。
猫の場合は、保護した数は808頭、このうち、元の飼い主へ返還できたのが5頭、新しい飼い主へ譲渡したのが563頭、自然死が138頭、犬と同様に、やむを得ず殺処分した数が81頭となってございます。
過去5年間の実績を見ますと、犬猫ともに保護数と殺処分数は下げどまり、譲渡数は頭打ちの傾向にあると考えてございます。
現在、譲渡適性がある犬猫はほぼ全て譲渡できておりますが、これまで譲渡適性がないと判断していた犬猫の譲渡適性を高めたり、幼弱などの理由による自然死を減らす必要があり、ここが課題だと認識しているところでございます。
(3)岩手県動物愛護センターの検討状況
この動物愛護センターについても、平成30年4月に基本構想をまとめて、これについては4月に策定しております。平成33年ごろをめどにということで頑張ると言っておりましたが、もう既に基本構想ができてから6年以上たっております。こちらについては、盛岡市との一体的な整備を進めるということですが、今の検討状況、設置場所の設置状況、検討状況も含めてお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 動物愛護センターの設置場所の検討状況でございます。今年度においても、県と市の打ち合わせを継続的に開催し、候補地のほか、施設の運営方法などについて検討を進めてございます。候補地につきましては、盛岡市内の県及び市の未利用地を中心に絞り込み、現在、最終調整を行っている段階であり、可能な限り早期に候補地を決定し、今年度内には基本計画の策定作業に着手したいと考えているところでございます。
常任委員会のほうでもいろいろ議論されましたけれども、部長も昨年度の答弁で、年度内をめどに候補地選定にこぎつけるということで意気込みを語られておりました。まさに盛岡市、あるいは県の公有地の中で絞り込むということだと思っておりますが、本当にこれは決断をすべき時期だと思うんですけれども、改めて今の候補地選定の状況について、いつまでに、今年度中に決着をつけ、そして、基本構想、基本計画に移るのか、改めてお伺いいたします。
〇福田環境生活部長 御指摘のとおり、昨年、可能であれば年度内を目途に候補地の選定にこぎつけられるよう努力したいと発言させていただいたところでございます。現在、盛岡市とも直接協議させていただくなどしておりますが、現時点で候補地の選定までこぎつけることができていないというのが現状でございます。
既にこの構想についても、平成30年4月に動物愛護センターの基本構想、8月に鳥獣保護センターの基本構想をつくっております。知事は了解している事案だと思うんですけれども、知事決裁はとっているのか、そして、これについての構想についても、知事は今の現状を了としているのかお伺いいたします。
〇千葉食の安全安心課長 機会を捉えまして、知事等まで御説明して進めているところでございます。