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県議会報告

令和5年度9月定例会 決算特別委員会(ふるさと振興部)(令和5年10月25日(水))

2023.12.09

1 高等専修学校における不登校対策

(1)私立学校における不登校の現状と課題

それでは、私からも、先ほど佐々木努委員から質問がありましたが、重複しない範囲でちょっと確認してまいります。
 県では、今年度から私立高等専修学校への運営費を増額するなどの支援の充実が図られているところについては、評価したいと思います。生徒一人一人のニーズに応じて教育支援を行っている高等専修学校の果たす役割、今後、ますます重要になってくると考えておりますが、まず初めに、今の私立学校における不登校の現状と課題についてお伺いいたします。

〇本多学事振興課総括課長 私立学校における不登校の現状と課題についてでございますが、文部科学省が取りまとめた、令和元年度から令和4年度分の児童生徒の問題行動、不登校等、生徒指導上の諸課題に関する調査結果も先日公表されたところですが、それらを分析しますと、県内私立高等学校の不登校生徒数もやや増加傾向にあるというところでございます。
 また、同調査において、令和4年度の全国の私立高等学校生徒の不登校要因を見ますと、多い順に、無気力、不安が37.5%、いじめを除く友人関係をめぐる問題が12.3%、また、生活リズムの乱れ、遊び、非行が11.1%の順となっており、この要因は全国的な傾向であると認識しているところでございます。

(2)私立高等専修学校の実績

公立、私立でなかなか分けていないということで、公表していないということですけれども、多分、実態は把握されていると思います。いずれ、県内の不登校の割合、平成24年からこの令和4年を比較してみると、御案内のとおり、小学校についても、この約10年間で4倍、あるいは、中学生ではもう2倍にふえておりまして、本当に過去最高といいますか、そういう実態になっていると。私立についても同じような傾向なのかなと捉えております。
 そういった中で、高等専修学校の生徒数の推移、これも先ほども今年度募集生徒数72名ということで、1年生は32名でありました。39名の応募があった中で、7人の方々は残念ながら入学できなかったという実態がございますが、子供たちが減っている中において、こういった高等専修学校の生徒数は一方で増加傾向にふえているという、これはますます県民のニーズといいますか、そういった果たす役割が非常に高まってきている、まず数字としてのあらわれだということは、ここはしっかりと押さえておかなければいけないと、このように捉えております。
 ただ一方で、今年度入学した生徒の中で、既に家庭の事情で2名の方々が退学されていると。これは、先ほどもちょっと授業料のお話もありましたけれども、この授業料の高さも影響して、家庭の事情によって、なかなか通学できないという実態もあらわれているという、ここはしっかりとまず把握していただきたいと、このように思っております。
 そこで次の質問に伺いますけれども、私立高等専修学校の実績、評価、課題ということで投げておりますが、一つ一つ、まず実績についてちょっとお伺いしたいと思います。

〇本多学事振興課総括課長 別々にというところでございますが、私立専修学校であります星北学園につきましては、義務教育課程の学校教育において、何らかの理由で普通教育の機会を十分に得られなかった子供たちを積極的に受け入れており、委員御指摘のとおり、その生徒数は、令和4年度の57名から、令和5年度には72名と増加しているところでございます。
 不登校対策の実績というところ、こちらで把握はしていないのですが、今年度新たに入学した生徒は32名いるということですが、そのうち28名については、勉強や運動が苦手だったり、または、対人関係だったり、コミュニケーションが苦手などの理由により不登校を経験した生徒であると伺っているところでございます。

(3)星北高等専修学校の評価

それでは、県として、この星北高等専修学校の評価ですね、どのように捉えているのか、ちょっとお伺いしたいと思います。

〇本多学事振興課総括課長 先ほど、一番最初に御答弁申し上げましたとおり、不登校の児童生徒が増加している中、星北学園におきましては、さまざまな理由により、不登校を経験した生徒の受け皿となっているところであり、また、そうした生徒たちに対して、例えば少人数クラスとか、あとは、余裕のある時間割りとか、開始時間をずらしながら、生徒一人一人の状況に応じた学びの機会の提供を行っていると評価しているところでございます。

(4)高等専修学校の運営課題

こちらの高等専修学校は、小中学校時代に不登校であった生徒が約76%通われています。あるいは発達障がいを持つような生徒、71%も在籍しているような学校でございます。さまざま、本当に先生方の寄り添った指導によって、ここの学校では不登校の改善傾向率76.4%、発達特性の改善傾向率66.7%と、非常に高い値を示して実績を出しております。
 私は、先生方の、もう本当に懸命な、献身的な御努力、そして、子供たちに本当にこの多様な学びを提供しながら、進学、あるいは就職につなげていく、そういう人材を育成している。本当に県内の就職あるいは進学にも大きく貢献しているこの成果についても、しっかりと評価をしなければいけないのかなと思って取り上げているところであります。
 改めて、この課題を県としてどのように捉えているのかお伺いします。

〇本多学事振興課総括課長 課題についてでございますが、春にこの星北学園の先生方とちょっと意見交換をさせていただく機会があったのですけれども、その伺った際には、私立専修学校として、教育環境の維持向上を図るためには、先ほど佐々木努委員からも御指摘ありましたが、やはり教員の新たな確保といったものが課題であると、学校側からは伺っているところでございます。

そのとおりですけれども、課題として、学校運営費も、生徒もどんどんふえて、それに対応して、職員数も、今、常勤10名、非常勤9名ということで、まず、教職員の数もしっかりとふやして対応していると。
 先ほど部長の答弁で、今回、2倍に増額したことによって、先生の教員の給与、そこはしっかりと対応しているという答弁がございました。ただ、今のこの教員確保の難しさが課題ということで言わせていただきますけれども、常勤教職員、今10名とスクールカウンセラー3名含む非常勤9名いるのですけれども、平均年齢49.2歳のこの常勤教職員の平均給与、幾らか御存じですか。私が調べている中では、手取りで月約18万円という、かなり少額であります。人事委員会からも参考までに取り寄せましたが、県内の初任給、教員職の給料表、高校教諭大卒、初任給20万9,200円、2級、159ですね。小中教諭大卒、これも同じく初任給20万9,200円という、本当に初任給並みの給与で、平均して、49.2歳の先生方が、先ほど十分な、2倍にしたから、倍増したから、そこの給与のところはまず対応できているという言い方をしておりましたが、献身的に、本当に先生方はここの学校こそ真の教育があるという、そういった高い志で生徒お一人一人に寄り添いながら、頑張ってやられていると。そして、私が聞いている中では、来年度も、1クラス増予定して、常勤教諭の募集を予定しているという中で、この月手取りで18万円という中で、新規の教員の確保は正直難しい、厳しいと、このように私は思います。そこら辺の改めて課題認識をお伺いいたします。

〇本多学事振興課総括課長 私立専修学校の高等課程、星北学園に対する運営費の補助について、先ほど来、答弁しておりますとおり、令和5年度において、昨年度までの倍額となる7万1,920円としたと。その考え方としては、星北学園高校は不登校だったり、発達障がいであったり、そういったさまざまな事情を抱えた生徒を受け入れながらも、一方で、大学入学資格を付与すると。その先をしっかりとつなぐことができるというところもありまして、大学入学の資格付与校として、卒業に必要な総授業時間数は2,590時間といったものがありまして、それに伴う教員が確保できるように、そうした倍額としたところでございます。
 委員から、経費の支援の増額といったところだと思うのですけれども、一つは、専修学校は、委員御存じのとおり、職業または実生活に必要な知識、技術を教えると。それに対して、高等学校は普通教育を行う学校であるというものがありまして、その高等学校と専修学校の間にも、最低限必要とされる修業年限だったり、教員数だったり、備えるべき施設等といったものの水準がありまして、国から措置される地方交付税にも違いがあると。そういったところが、支援をふやしていく中では課題になるのではないかなと考えてございます。
 県といたしましては、先ほど春に意見交換を行ったというところでございますけれども、星北学園が果たしている役割を踏まえつつ、また、引き続き学園のほうと意見交換をしながら、その中でも必要な支援を行ってまいりたいと考えているところでございます。

(5)不登校対策への取組

この高等専修学校については、もう本当に高等学校と同等の教育機会を、私、この岩手県でしっかりと提供しているという、そして、そういう成果をあらわしているということをお話しさせていただきました。
 最初の実態も、県内の不登校児童が本当に急激にどんどん、過去最高を記録している。特に小中学校、中学生もどんどん伸びてきている。どうやって次の子供たちの学びの機会を県として確保、セーフティネット対策の充実を図っていくのかというのが問われているのだと思うのです。確かに国の制度との狭間で落ちているところだと思いますよ。ただ、制度の実態の部分と、現実問題、起きているところ、ここはやはり全国トップクラスの子育て支援ということもお話ししておりますけれども、子育て支援の目線と、あと、子供ファーストの視点、これは、私はもっと取り組んでいただきたいと思いますし、既に全国、先ほど長崎県とか宮城県、宮崎県とか、あるいは東京都は財源も潤沢だからというのもあるのかもしれませんけれども、そういった子供たちに寄り添って、生きにくさと言うなら、そこを岩手県として踏み込んで対策をとるべきというか、とっていただきたいなと思っております。運営費の補助の見直しを含めて、前向きに考えていただきたい。
 そして、県民アンケートの中でも、いじめ、不登校に関して、重要度7位、そして満足度は48位ですよ。県民の満足度が低い中で、県民ニーズにしっかりと応える対策、対応を、今生きている(私たちが)、この議会を含めて、我々が今そういう宿題をぶつけられていると私は捉えているのですけれども、県当局の御所見をお伺いいたします。

〇本多学事振興課総括課長 不登校対策につきましては、今定例会でもさまざま議論が交わされているところと承知しております。そうした中で、不登校の原因として、学校側の問題だったり、あとは、本人だったり、家庭の問題だったり、そこは多種多様で一様でないというところが、その対応の難しさであると考えております。
 そうした中で、国のほうで定めた、いわゆる不登校対策のCOCOLOプランの中では、行政だったり、学校だったり、フリースクールとか地域社会、各家庭、NPO関係者等、相互に理解や連携を深めながら、子供たちのそれぞれの場で取り組みを進めることの必要性を示しているというところでございます。
 県といたしましても、今、教育委員会で開催している不登校児童生徒連絡会議がございまして、そこにフリースクールの皆さんだったり、市町村教育支援センターの皆さんも参加しているのですけれども、そこに今年度から我々私学振興担当も参加して、支援のあり方等について情報交換や共有を図ったというところでございます。
 不登校生徒を積極的に受け入れている星北学園とか、あとは、その受け皿になっている通信制課程を持っているような高校もありまして、そうした学校への支援を行うとともに、引き続き、教育委員会とも連携しながら、児童生徒一人一人に寄り添った、居場所が確保できるような取り組みを進めてまいりたいと考えてございます。

この程度にいたしますけれども、いずれ、岩手県内の高等学校と専修学校に対する財政的支援の格差が著しくないような形、それは子供、そして、通わせている親御さんにとっても、そこに格差のないように、まず県として、私は踏み込んだ対策、そして、子供たちが次の進学あるいは就職に向けて新たな道を切り拓けるようにサポートをしていくべきだと思っておりますので、ぜひ、また現場のほうに行って、いろいろと実態把握に努めていただきたいと思います。よろしくお願いします。