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県議会報告

令和5年度9月定例会 決算特別委員会(政策企画部)(令和5年10月24日(火))

2023.12.09

1 令和4年度の政策企画部の取り組みの評価と課題

(1)組織としての評価と課題

それでは、私から、やはり最大の事業である人件費というか、令和4年度の政策企画部の取り組みの評価と課題についてお伺いしたいと思います。
 今定例会においても、人口減少対策で各委員からさまざまな御質問がありました。残念ながら、出生率の減少率も13.8%と全国ワースト1位、あるいは婚姻件数の減少率も10.5%と全国ワースト3位。社会減についても4,373人と全国ワースト11位ということで、決して思うような成果は出ていないのかなと。厳しい見方をすると我々はそう捉えているんですけれども、政策企画部の令和4年度の組織としての評価あるいは課題についてお伺いしたいと思います。

〇小野政策企画部長 政策企画部でございますが、令和2年度に組織再編によりスタートいたしました。本年度で4年目となります。私も後半の2年間、部長として担当しておりますが、令和元年度に策定いたしましたいわて県民計画(2019~2028)の第1期アクションプランの推進、そうした中での新型コロナウイルス感染症の発生、そして、やはり重要な人口減少対策の推進、昨年度でございますが、第2期アクションプランの策定、推進と取り組んでまいりました。
 新型コロナウイルス感染症対策や物価高騰への対策、また、何より人口減少対策に当たって重要なことは、部局連携、分野横断といった取り組みが不可欠となっております。例えば、社会減対策、自然減対策にしてもそうですけれども、個々の部局が行うもの、そこをうまくつなげて、全体としての人口減少対策を進めていくことが重要でございます。ここが課題でもあり、当政策企画部が担っている役割と考えております。
 こうしたことから、第2期アクションプランのもと、さまざまな環境変化を踏まえまして、幅広い御意見、県庁全体の政策推進エンジンたるべく、部局横断の取り組みをしっかり務めてまいりたいと考えております。

令和2年度に組織化されるその前の年の令和元年12月県議会で、我が会派は、政策企画部の新たな組織化に対して反対討論をさせていただきました。あのときは、まず、平成22年に総合政策部と地域振興部が再編されて、政策部門の実行部門を一体化したような組織で政策地域部がスタートしていたと。我々の受けとめ方は、その10年間の検証も不十分なままに、あえて知事直轄のところに政策部門を強化していくということで、政策部門と実行部門をまた分離したような形で政策企画部が設置されていったということで、多分、実効性が非常にうまく回らないのではないかという懸念をしておりまして、あのとき、我々会派では反対討論をさせていただきました。
 先ほども幾つかの指標の例を挙げさせていただきましたけれども、先ほど部長が答弁しましたとおり、まさに政策を立案して、それを実行させていくということ、それは、県のCFTとか、さまざまなクロスファンクショナルチームも設立しながら、さまざま兼務発令しながらやっていたりする御努力は認めます。
 一方で、市町村との連携であったり、あるいは現場の広域振興局との体制、ここが本当にどうなのかというようなことは、これまでの議会でもいろいろと議論させていただきました。
 令和4年度の決算ですから、改めて、政策企画部のそこら辺の反省というか、こうやればよかった、もっと成果が出たなというようなところがあれば、お聞かせいただければと思います。

〇小野政策企画部長 私も平成12年、当時の企画振興部におりまして、平成13年から総合政策部、また、平成22年、政策地域部と。そしてまた、今回、令和になりまして政策企画部ということで来ておりますけれども、やはり委員お話のように、それぞれの組織に課題、特徴、いいところもあると思っております。
 当政策企画部という形で、ある意味、知事の直轄といったところで、知事のさまざまな考えを踏まえまして、政策評価、分権など、あと、広聴広報もそうですけれども、そこで仕事をしていくのですが、やはり重要なのは、そこを各部局につないでいくといったことです。
 そういったこともございまして、当部は、私、副部長以下、フットワーク軽く、余り予算等もございませんので、とにかく足を使って各部局を回って歩いて、その連携をやっていくといったところが重要と考えております。
 先ほど委員からもお話がございましたけれども、人口問題対策本部を、いわてで働こう推進本部といわてで生み育てる支援本部をうまくつなげる形でやっております。
 ただ、まだ社会減、自然減対策のところは、頑張ってさまざまな取り組みはしているのですけれども、その効果があらわれていないといったところは認めざるを得ないといいますか、しっかりそこを踏まえて、さらに取り組みを進めてまいりたいと考えております。

(2)社会減ゼロの目標見直し

今まさに、今まで議会でも、そういう気持ちはわかります。ただ、やはりEBPMとか、そういったデータに基づきながら政策立案をし、そして仮説を立てながら事業化して、それを検証して、これは成果が上がるのか上がらないのか、まさに社会減ゼロという大きな目標、そして出生率も数値を具体的に持っております。
 私は、この前の組織再編においても、なぜ調査統計部門がこの政策企画部にインクルードされないのかなと。まさにそういうデータを活用し、その中で分析をしながら、具体的に政策を提案し、各部局と連動しながら進めていくという意味で、何か片手落ちのような気がしておりました。
 これから組織再編も次年度に向けての検討もいろいろ進められると思いますけれども、私は、まさに調査統計部門あるいは統計アナリストの活用というか養成も含めて、大学あるいは民間のシンクタンクとかとも連携しながら、他県の取り組みも倣いながら進めていっていただきたいと思います。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の2年先送りの話もありました。これは、本当に今定例会においてもいろいろ議論が出ておりますけれども、取り組み、達成状況とかを検証せずに2年先送りするのは、ここは本当に見直すというか踏みとどまりながら、国が持っている計画の東京圏と地方との均衡と岩手県の持つ社会減ゼロの目標は、私は似て非なるものだと思います。ぜひ、ここら辺の2年送るところの、踏みとどまるというか見直すのかどうか、改めてお聞きしたいと思います。

〇加藤政策企画課総括課長 社会減ゼロの目標についてでございますが、先ほど委員から、国の地方と東京圏との転入・転出を均衡と本県の社会減ゼロは少し違うのではないかというお話がございました。実は、令和元年の人口ビジョンの改定時に、本県から東京圏への転出状況を見ますと7割でございまして、かつ、本県が社会減ゼロが最低でありました平成7年、329人のときは、東京圏への社会減はプラスとなっておりました。
 そういったところも踏まえまして、本県では平成27年、一番最初に第1期ふるさと振興総合戦略を掲げたときから、国の目標に呼応してというところを基本的な考え方としているところでございます。

(3)人口ビジョンの達成見通し

いずれ、東京一極集中とよく知事も答弁されますけれども、皆様がそういう答弁を書かれますが、我々が訴えているのは、岩手県の社会減は、東京にだけ行っていないよねと。今7割と言いますけれども、関東圏なり東京圏は約半分ですよ。そして、東北、北海道が3割、残りがその他の地域ということで、特にも4広域で見ればということで、隣の宮城県であったり、あるいは青森県というところで、まさに東北への集中、あるいは、この前も代表質問で言いましたけれども、宮城県は、7年ぶりだったですか、社会減ゼロということで。あるいは、あの社会減ゼロも、岩手県からの人が流れて社会減ゼロを達成している要素もあるわけでございます。
 そういった意味でも、そして、国の人口減のスピードより我が県のスピードの減少幅はもう2倍の速度で行くという危機感の問題意識の捉え方、これは、国と全く同じレベルで持ったら手おくれになる、そこは多分共通認識だと思いますので、ぜひ、ここの部分についてしっかりと問題認識を共有したいと。
 そして、この人口減少ビジョンの達成、2040年に100万人程度の人口を確保するということで2015年に人口ビジョンを策定しておりました。これは実態ともう大分乖離しているのではないかと思いますが、県の御認識、あの4パターンのどのパターンに今近づいているのかお伺いします。

〇加藤政策企画課総括課長 人口ビジョンにおける2040年に100万人程度の人口の確保についてでございますが、現行の人口ビジョンでは、2024年に社会減ゼロ、2040年に合計特殊出生率2.07の前提を踏まえまして、平成27年国勢調査の人口を起点に県全体の将来人口を推計しているものでございます。
 この推計につきましては、近年、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る中で、新型コロナウイルス感染症あるいは物価高騰などがございまして、合計特殊出生率が低下している、あるいは東京一極集中が再加速しているところもありまして、なかなか当初の見込みより厳しいものと見ております。
 実際、人口ビジョンのグラフを眺めましても、2020年、この間の国勢調査でありますが、そこは120万人を少し上回るグラフになっておりまして、そこは、2020年国勢調査を見ましても121万人ということでございますが、これから先を見ますと、2025年には120万人を大分割り込むような見通しとなっております。今の厳しい見通しもありますのに加えて、一番上のよいパターンで行っても、2025年は少し厳しい見通しになるかと見ているところでございます。

(4)EBPMに基づく人口減対策

出生率についても、2021年、1.21と過去最低、そして、社会減もなかなか歯どめがかからない状況。本当に、多分今の時点で推定できると思うんですけれども、押さえているとは思いますが、一番最悪なというか、2040年、96万人程度まで減少するといったペースに傾向としてあるのかなと思います。ですから、ここ数年の間の取り組みが非常に重要になってくるということであります。
 それで、時間もあれですので、いずれ若者、女性の社会減対策あるいは合計特殊出生率の効果的な取り組みについて、先ほど来言いましたEBPMの取り組みをしっかりとやるべきだと。
 今回の対策本部でも、丁寧に分析はされていると思うのですけれども、分析で終わってはだめだと私は思うんです。ある他県の例では、自然減の対策で、女性の婚姻年齢を1歳引き下げると希望出生率が0.14人増加するといった分析結果に基づいて、早期結婚するような支援制度を立ち上げたとか、あるいは既に取り組んでいるさまざまな子育て支援対策の認知度が上がると希望子供数がプラス0.1から0.7上がるとか、こういう分析、仮説を立てて、そういった認知度向上対策とかといった取り組みまでやることが、実際のEBPMだと捉えております。
 ぜひ、そういった取り組みをさらに踏み込んで取り組んでいただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。

〇小野政策企画部長 今、委員からお話しいただきましたEBPMに基づいて人口減少対策をしっかり組んでいくようにということで、私どもとしても考えを同じにするものでございます。
 今年度、新たに有識者、大学の先生ですけれども、政策分析アドバイザーという形でお願いしておりまして、その方はまさにデータサイエンスのプロでございます。そういった方に分析の手法、解釈の仕方を含めてさまざま御指導いただきながら、人口減少対策、分析等を進めているところでございます。そういった力もさらにおかりしながら、しっかり取り組んでまいりたいと思います。

国でも、EBPMの取り組みに対する自治体へのさまざまな支援も行っていますし、あるいは我が県立大学の活用といった部分をしっかりと、これまでできなかったところをどうやるかというところを踏まえて、前に取り組んでいっていただきたいと思います。