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県議会報告

令和5年度9月定例会 決算特別委員会(総務部)(令和5年10月24日(火))

2023.12.09

(1)公共施設等の耐震化の現状認識

それでは、私から、まず、令和4年度までの公共施設等の耐震化の現状認識について、あわせて市町村の耐震化の状況についてもお伺いいたします。

〇和田参事兼管財課総括課長 公共施設等の耐震化の現状認識でございますけれども、これは、地震発生時に避難場所や防災活動の拠点となる一定規模以上の公共建築物の耐震化の状況となりますが、岩手県耐震改修促進計画において毎年度末の耐震化の状況を公表しているところであります。直近の令和3年度末時点では、建築物数2,195棟のうち2,152棟、98%が耐震化されている状況でございます。このうち県分については、506棟中504棟、99.6%が耐震化を完了しているところです。
 計画の内訳を用途区分ごとに御説明しますと、公営住宅は、542棟が平成26年度末に100%を達成、学校は、1,436棟が令和7年度末目標99.7%に対し99.2%、病院は、95棟が平成7年度末目標92%に対し78.9%、庁舎は、122棟が平成7年度末目標95%に対し91%となっております。
 引き続き、市町村の耐震化の現状についてでございますけれども、こちらも同じく公共建築物の耐震化の状況ということになりますが、令和3年度末現在の状況では、全体では1,486棟中1,474棟、99.1%が耐震化を完了しており、用途区分ごとの内訳は、公営住宅は、対象となっている298棟が100%を達成、学校は、1,103棟が、令和7年度末目標100%に対して99.7%、庁舎は、85棟が平成7年度末目標95%に対し89.4%ということになってございます。

(2)県庁舎及び議会棟の耐震化の評価

いろいろ進んでいるところ、あるいは、病院等においては、民間も含めて目標に対してちょっとおくれが生じているというような状況を確認させていただいております。代表質問でも確認いたしましたが、我が本庁あるいはこの議会棟の耐震状況といいますか耐震化に向けた取り組みは、本当に私は待ったなしの取り組みなんだろうと認識しております。
 さまざまな難しい要因はあると思います。合同庁舎を先行して令和2年度までには完了、耐震化が進んできた。やりやすいところから手を着けてきたのはわかるんですけれども、ただ、結果として、全国47都道府県で、我が県庁の災害対策本部が設置される本庁、県庁舎のみが耐震化されていないような状況になっております。
 改めて確認しますが、震度7の地震は想定されていないというお話もありましたけれども、震度6強の地震で倒壊するおそれはないということでしたが、ただ、局所的に顕著な損傷等が生じるというお話もありました。1回だけじゃなくて、2度、3度と来るわけでございますけれども、そういった場合も倒壊する危険はないと言えるのかどうか、改めて確認させてください。

〇和田参事兼管財課総括課長 今回の耐震診断結果で、震度6強程度の地震で倒壊の危険性は低いということでございました。委員御指摘のように、震度7以上の確率は、平成10年の時点、そして直近の千島海溝沖の地震の関係でも、今のところ岩手県の中では想定されていないということでございます。
 しかしながら、これまで東日本大震災とか、大きな地震を何度か県庁舎も経験しておりますので、今回、改めて2度、3度あった地震に対しての影響を見たところ、震度6強程度の地震では一部局所的な損傷は生じるけれども、倒壊する危険性はないということが出たところでございます。
 いずれにしましても、それ以上の地震があった場合は、全く危険性がないということではないので、できる限り早期に改修、建てかえの判断をしていかなければならないと考えてございます。

危険性はあるということですね。2度、3度余震が起きたときに、やはり倒壊するおそれがあるということだと思います。
 私は、なぜこれを取り上げているかというと、内丸開発の話とは別に、そもそも岩手県の危機管理の本部である県庁舎に、2,000人を超える職員の方々が日常勤務されております。要は、地震による倒壊のおそれがある建物に勤務しなければならない状況をいつまで続けているのかという問題意識で、私は代表質問の場でも聞いたわけでございます。
 ましてや、災害対策本部の設置時の初期対応とか東日本大震災津波を経験した我々として、やはり危機管理として、職員の安全性を確保するんだという思い、そういった意味から、速やかに対応してこなければいけなかった問題だと捉えていますが、改めて御認識をお伺いします。

〇和田参事兼管財課総括課長 少し繰り返しになりますけれども、県庁舎については、平成9年の耐震診断において、まず、倒壊の危険性は低いと。今回の耐震診断においても、議会棟は、少し特殊な構造とか、国の耐震基準が東日本大震災とか阪神・淡路大震災、熊本地震の影響等からだんだん厳しい基準になってまいりまして、そういった影響で議会棟は耐震性能が少し低くなっておりますけれども、おおむね平成9年度と同様の結果であったと認識してございます。
 こうしたことから、私どもも、そういう認識のもと、倒壊とか崩壊を未然に防ぐために、定期的な点検とか必要な維持修繕をしっかり行いながら、通常の使用が可能であるということでこれまで使用してきましたし、現在も使用しているところでございます。
 委員御指摘のように、今回の耐震診断結果を踏まえて、できるだけ早期に改修、建てかえの判断をしてまいりたいと思います。

(3)整備手法と財政面の検討状況

いずれ、結果的にまだ職員の安全の確保といった部分は保たれない。平成9年のところから、もう既にわかっているところであります。
 先般、建てかえと改修の複数パターンの試算が示されましたが、いつまでにこの整備手法とか財政面の検討を進めるお考えなのかお伺いします。

〇和田参事兼管財課総括課長 今般、総務委員会等でも御報告したように、技術的対応が可能な耐震補強案も提示されたことから、いよいよもって具体的に改修や建てかえの判断に向けた検討が進められると考えてございます。
 改修と建てかえの判断に当たっては、いずれにしましても、少し中長期的な視点での県庁舎のあるべき姿を整理した上で、専門家の知見とかを取り入れたいと思います。それから、やはり議会棟そのものも、そういう形で結果が出ておりますので、議会棟のあり方も、議会の皆様からも御意見を頂戴しながら検討を進めていかなければならないと考えてございます。
 判断の具体的な時期については、そういったこともございまして、現時点でいつまでということをお示しすることは難しいのですけれども、速やかに検討を進め、できるだけ早期に判断してまいりたいと考えてございます。

議会棟については、もう倒壊の危険性があるということもありますので、いつまでということについては、現時点ではなかなか答えにくいのだろうとは思います。
 それで、概算事業費が121億円から581億円ということでそれぞれ示されておりましたけれども、改修工事とか建てかえに対する国の支援はあるのかどうか確認させてください。

〇和田参事兼管財課総括課長 改修と建てかえと二つのパターンがあるんですけれども、県庁舎の耐震化を行う場合、現時点の国の制度の前提に立つと、改修の場合は、交付税措置のある地方債で緊急防災・減災事業債を耐震改修に充てることができます。これは令和7年度までの時限措置で、災害対策の拠点となる公用施設の耐震化などが対象になってございます。
 建てかえの場合は、国の交付税措置のない一般的な地方債と一般財源を併用して使っていくことになります。

今、緊急防災・減災事業債のお話がありました。これは平成29年から始まっています。それで、令和7年度までということで、あともう再来年でこの事業は終わるんですね。終わるんですよ。そういった意味で、要は、ほかの自治体においても、岐阜県の庁舎も、ことしですか、もう既に耐震化が終わったりですね。
 そういった意味で、有効な国のこの制度、事業を活用すべきだと思いますし、そういった検討をもっと前段階から、多分検討されていたと思うんですけれども、なぜ進んでこなかったのかと思います。
 国からの消防庁の通知の資料によれば、令和3年8月からは、本庁舎の建てかえにあわせて災害対策本部等を整備する場合にも、この費用に同事業債の充当が可能になったということで、令和3年8月からそういう運用にもなっているということでございます。
 私は、本当に早急かつ計画的に取り組む必要があると思っております。職員の安全性の話もそのとおりでございますので、ぜひ進めていっていただきたい。
 そして、最後に、公共施設の適正管理を推進するための新たな基金を積み立てていると思いますけれども、現在どの程度積んでいるのか、そして、この県庁舎はたしか含まれていないと認識しておりますけれども、この建設費のどの程度を今後基金として積み立てていくお考えなのかお伺いいたします。

〇和田参事兼管財課総括課長 公共施設等適正管理推進基金でございますけれども、昨年度、創設時に120億円積んでございます。以降については、毎年度の決算剰余金みたいなものを充てながら積み立てていくことを想定しておりますけれども、現在のところ120億円積んである状況でございます。
 それから、県庁舎のための基金ということでございますけれども、他県の例などを見ますと、やはり建てかえのような場合は、地方債を充てるにしても、一般財源を持ち出す部分もありますし、改修にしても、ある程度、一般財源を持ち出す部分があると。そういうものに充てるために、県庁舎建てかえのための基金を独自に立てていたりする例が多うございます。一般的には、建てかえの場合には、事業費の半分程度を積み立てているというのが例でございます。
 公共施設等適正管理推進基金については、昨年、公共施設等総合管理計画を改定しまして、2040年度までに、ある程度、人口減少に応じた公共施設の数にしようということで、それに対応するために積み立てた基金でございますので、現在のところ、この基金については、県庁舎とは別に、そちらのほうに使うということで考えてございます。

さまざま難しい要素はあると思いますけれども、やはり岩手県の災害、防災の拠点であるこの庁舎の機能をしっかりと確保して、前に前に進めていっていただきたいと思います。
 内丸開発もにらみながらということは一方でわかるんですけれども、ただ、今後10年、あるいは、もしかしたらそれ以上かかるかもしれない、そういった状況の中に職員を働かせていくことは、私は危機管理として少し問題があると思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一つ通告していましたけれども、そちらは時間の関係で省略します。