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県議会報告
令和5年度9月議会代表質問(令和5年10月12日(木))
2023.12.09
1 県の行財政運営について
自由民主党の臼澤勉です。改選後初の定例県議会におきまして、代表質問の機会をいただき、同僚議員各位に対しまして衷心より感謝をいたします。
また、会派を代表いたしまして、5期目となる達増知事に対し、人口減少、少子化に大攻勢をかける4年間とはどのようなものなのかお尋ねしてまいります。
また、県議会の代表質問に当たり、批判ありきでなく、二元代表制の一翼を担うという自覚のもと、県民本位、現場主義、未来志向を基本とし、是々非々の姿勢で臨んでまいりますので、よろしくお願いいたします。
まず、県の行財政運営についてお伺いいたします。
県は先月、令和9年度までの中期財政見通しを公表いたしました。これによると、令和6年度以降102億円から153億円程度の財政収支ギャップが生じ、その全額を財政調整基金の取り崩しによって対応した場合、残高は4年後の令和9年度には枯渇すると見込まれるなど、本県の財政は一層厳しさを増す状況となっております。
急速に進む人口減少に伴い、今後、県の財政規模が縮小していくことは避けられず、既に、あれもこれもの時代は過ぎ去っております。これからは、真に県民に必要な事業を見定め、人、物、金の資源を集中的に投入して最大限の効果を発揮し、人口減少社会にあっても持続可能な行財政基盤を構築していくことが求められております。
一方、達増知事が今回知事選で掲げたマニフェスト+39では、ニーズが不明確で利益誘導ともとれるような内容が多く目につきます。
社会保障関係費や県立病院への繰出金について、今後、さらに負担がふえることが想定されるなど財政の構造的な問題がある中で、どのように経費を捻出していくのか疑問を感じざるを得ません。
知事選で戦った対立候補は、敗れはしたものの、人口減少社会に真正面から取り組むためには、限られた資源を最大限活用し、めり張りのある予算編成が必要であること、そして、国の財源の獲得の必要性を訴えておりました。
4期16年もの間、知事を務め、県政史上最長の5期目の県政運営を担う知事は、財政の構造的な問題を踏まえた上で、どのようにマニフェスト+39を実現させるための政策的経費を捻出していくお考えをお持ちでしょうか、お伺いします。
特に、事業の大胆な選択と集中が必要と思いますが、どのような方針、基準で選択と集中を行っていくおつもりかお伺いします。
以降の質問につきましては、質問席で行いますので、御了承をお願いいたします。
〇知事(達増拓也君) 臼澤勉議員の御質問にお答え申し上げます。
マニフェスト+39を実現するための財源についてでありますが、県財政は、実質的な一般財源総額が縮小傾向にある一方、人件費、公債費などの義務的経費や老朽化に伴う大規模施設の改修、更新経費が増加することに加え、本県の地域医療を守るため、今後も県立病院への繰出金が高い水準で推移することが見込まれるなど、厳しい状況にあります。
このような状況において、マニフェスト+39を進めていくためにも、県有資産や各種基金の有効活用、ふるさと納税や使用料の見直しなど、これまでの取り組みを一層強化しつつ、環境債の発行など、全国をリードする新たな財源確保手法についても積極的に導入を進め、政策に必要な財源を確保してまいります。
また、めり張りある予算編成のため、令和6年度当初予算で人口減少対策など、いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランで掲げる四つの重点事項の推進に捻出した財源の3倍まで要求を認めるなど、予算の重点化に向けた方針、基準を設定し、限られた財源の重点的かつ効果的な活用に努めてまいります。
2 人口減少対策について
(1) 人口減少対策のこれまでの成果と今後の取組について
ア これまでの成果について
本県は、全国平均の2倍の速さで人口減少が進んでおります。今後、県の財政規模が縮小する圧力は避けられず、あれもこれもの時代から、あれかこれかの時代になってまいります。
知事は、時には県民に我慢を強いる厳しい決断もしなければならない、そういう時代であります。大胆な選択と集中による財政健全化に加え、成果重視の政策立案、つまり、事業が効果的であることの妥当性を論理的、客観的なデータでお示しいただき、県民への説明責任をしっかりと果たしていただきたい、このように願うものであります。
それで、人口減少対策のこれまでの成果と今後の取り組みについてお伺いいたします。
知事は、これまでの県政16年の成果として、1人当たり県民所得が平成23年の約241万円から令和元年には278万円と15.4%の増、医師数は、平成18年の2,569人から令和2年には2,700人に増加した。県内有効求人倍率は、平成22年の0.46から令和3年には1.26に増。大学進学率は、平成26年の42.4%から令和4年には46.7%に増加したと指標を紹介し、いかにも成果が上がっているように見せておりますが、これらは、全国あるいは東北と比較すると、胸を張って成果と言える内容なのでしょうか。人口減少と少子化対策の成果とした理由を、まずお示し願います。
〇知事(達増拓也君) 私が知事に就任した平成19年、2007年以前、人口の社会減の拡大や国民所得に対する県民所得の水準の乖離、厳しい雇用環境、医師不足などの状況にあり、岩手が直面する危機を希望に変えていくため、いわて希望創造プラン、いわて県民計画、そして、いわて県民計画(2019~2028)などの計画に基づいて取り組んでまいりました。
1人当たり県民所得については、ものづくり産業の集積などの総合的な産業振興を進めて、平成19年度には国民所得の77.3%、全国39位でしたが、令和2年度には国民所得の89.2%、全国32位までの上昇がありました。
有効求人倍率については、平成19年度の0.70倍から令和4年度は1.32倍となっております。
医師確保につきましては、医学部定員や奨学金養成医師の拡大などの施策を講じ、人口10万人当たりの医師数が、全国順位は低位でありますが、平成18年度の186人から令和2年度は223人に増加しております。
大学進学率については、平成19年度37.5%、全国46位が、令和4年度、全国順位44位、割合が46.7%と進学率は高くなっているところであります。
全国との比較におきましては低位にとどまるものもございますが、本県が抱えてきた課題の解決に向け成果が上がっており、県民意識調査における生活満足度も上昇基調にあるなど、県の施策の成果が一定程度、県民に実感されているものと認識しております。
イ 今後の取組について
私は、知事が人口減少、少子化対策の成果とした内容については十分なものとは思いません。人口減少率は全国の約2倍のスピードで減少、そして、合計特殊出生率は全国平均を下回っております。しかも、若者、女性を中心とした社会減、婚姻率や合計特殊出生率も大幅な下落を示す中、全国あるいは東北の傾向や順位を示さずに、都合よく数字を並べ、成果を示すのはいかがなものかと思います。
1人当たりの県民所得は、震災需要で持ち直すも依然として全国水準以下。そして、医師数は、総数はふえているものの、平成18年は35位、令和2年は38位。岩手県より人口が少ない大分県3,370人、石川県3,486人と、慢性的な医師不足が続いております。有効求人倍率も全国的に上昇しておりまして、東北6県の中でも5位の水準であります。大学進学率も全国平均は上昇しておりまして、平成26年の41位から令和4年は44位と最下位グループに位置しており、決して誇れるような状況にはないということは指摘しております。
さらに言えば、出生数の減少率、全国ワースト1位、自殺率もワースト2位、最低賃金893円と全国最下位など、各種指標はワーストクラスに悪化しております。
政策は反省の上に成り立つと私は考えます。成果が十分でなかったこれまでの4期16年をどう反省し、これからの4年間、課題解決の実効性を上げるためのやり方をどう見直し、取り組んでいくおつもりか、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 今後の取り組みということでありますが、人口減少対策に関し、本県の社会減が東京圏との相対的な経済状況の差などにより歯どめがかかっていない状況にあり、また、女性人口の減少や近年のコロナ禍によって出生数が過去最低となるなど、問題と受けとめております。
今任期の4年間は、子供子育て支援の充実に早くから取り組んできた小規模町村を初め、現場の状況や意見をこれまで以上に丁寧に酌み取り、少子化の要因と考えられる世代、構造、地域の分析を進めながら、県民一人一人に寄り添った施策を展開し、市町村や関係機関、団体等とオール岩手で人口減少問題に取り組んでまいります。
人口減少対策のこれまで取り組みの反省について、残念ながら一切お答えがいただけなかったのであります。
しかし、今の最後のほうの答弁で、実効性を高めるためのやり方として、世代とか、地域のそういった分析を進めながら、いわゆるデータ分析ですね、EBPMのような取り組みをされていくんだというような趣旨の御発言だったかと受けとめます。これは、我々が4年前の2019年からエビデンスに基づく解析をするように提言してきておりまして、我々の主張を取り入れていただいたことなのかなと、まず率直に感謝申し上げたいと思います。
しかし、迅速に対応しないで、この4年間放置した結果、先ほど言いましたとおり、出生率あるいは女性の社会減に歯どめがかからない状況になっているという岩手県の置かれている状況、そして、2015年から2020年にかけて、有配偶出生率も大きく低下して、総出生率の低下に拍車がかかってきたことは、本当に指摘せざるを得ない。
この2020年以降、達増知事、本県の少子化の状況をどのように把握していますか。出生数減少率13.8%、全国ワースト1位、婚姻件数減少率も10.5%、全国ワースト3位、昨年の本県の転出超過、いわゆる社会減は4,373人、全国ワースト11位。これは、恐らく人口10万人当たりで計算すると、さらに順位は下がるのではないかと思います。
改めて知事にお伺いします。どうしたらもっと人口減少に歯どめをかけることができたのか、どんな対策が足りなかったのか、実効性を上げるためにどうすればよかったと、このように反省すべき点が私はあると思うんですけれども、お伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) さまざまな論点を示されていますけれども、思い出しながら答弁をさせていただきます。
まず、この4年間につきましては、新型コロナウイルスの流行がありまして、これが経済的、また、社会的に岩手に及ぼした影響が非常に大きかったと思っております。
若い人たちも、収入の低下でありますとか、さまざまな社会活動が低下している。これは岩手だけではなく、全国共通であり、また、日本全体としても婚姻数や出生数が今までにない規模で低下している。岩手県はその中でも特に低下している。
自殺率についても、このコロナ禍の間に、全国のいわゆるワーストのレベルから急に全国平均以上の自殺率の少なさになった年がありましたが、そこからまたもとの水準に戻るということがありましたけれども、まだこういう理由を明言はできないんですが、やはりコロナ禍でのさまざまな行動制限や経済、社会的な影響に対して、岩手県民の皆さんが、他県に比べても非常に敏感に反応されていることかなと考えております。
そのような数字を分析しながら、結婚するかしないかという県民一人一人の選択、判断、結婚、さらに出産、子育てに進んでいく判断、また、仕事を岩手県内で選ぶのか、それとも県外に出るのかという判断、そして、県外に出るという判断の背景には、地方創生、まち・ひと・しごと創生法に基づき、国を挙げて東京一極集中を是正し、地方への人の流れをつくる取り組みを行ってきたわけでありますが、一方では、東京オリンピック・パラリンピックのための投資が著しくふえるなど、東京の就業条件、労働環境などが大きく改善し、伸び、東京の求心力が強くなって、むしろ全国から人をより多く吸い上げているということが、コロナ前まで続いたということもございます。
そういったことを分析していくことが重要であり、いわば自分の子供のことを真剣に考えて、自分の子供が今何をしているのか、何をしようとしているのか、そういう目で県民、特に若い世代の皆さんの行動の理解に努めながら、必要とされているニーズに対応して、産業振興、そして働き方改革プラス子育て支援を進めていくことが必要と考えております。
(2) 本県独自の社会減対策について
るる答弁をいただきましたが、改めて、先ほども軽石議員の答弁で、東京一極集中を理由に挙げられておりました。迅速に対応しないで有効な対策を講じず16年放置した結果、先ほどのような状況になっている。私は、他力本願の姿勢では何も解決しないと思っております。過去と他人は変えられない、しかし、自分と未来は変えることができる、私はそのように信じています。
宮城県の村井知事は、令和4年、このコロナ禍の中でも、7年ぶりに転出超過から転入超過、962人の社会増を果たしたんですよ。お隣の宮城県。しかも、女性が6割強の618人。宮城県でできて岩手県でできない理由を教えてください。
〇知事(達増拓也君) 仙台市の人口吸収力、特に大学や専門学校もたくさんあり、その分、出生率が低いということはあるんですけれども、学生が多い、その学生は、なかなか出産までしないケースが多いので。そういったことが仙台市や宮城県をめぐる統計から見てとれるわけでありまして、そこはなかなか、宮城県、仙台市のやり方を岩手県にそのまま当てはめるのは難しいかと思っております。
そんな答弁ではちょっとがっかりなんですけれども、時間もあれなので先に進めていきます。
選挙のときにも、泉元明石市長が応援演説でもいらしていました。明石市長の取り組みなどは、先ほどの選択と集中、本当に改革を行って、人口減少社会の子育て政策を中心に取り組んできた。しかも、財源なども、例えば市営住宅計画を中止したり、下水道整備計画を600億円から150億円に縮小するとか、職員手当をカットして財源を生み出す。その財源を使いながら新たに子育て政策をやっていく、そして効果を出しているという、非常に参考になる取り組みかと思います。
次に、人口ビジョンの目標達成についてお伺いしていきます。
現在掲げている2024年社会減ゼロ、2040年合計特殊出生率2.07は、達成できるとお考えかお伺いします。
また、今回の第2期岩手県ふるさと振興総合戦略の改定素案では、社会減ゼロの目標を2年先送りするということですが、これは達成できるとお考えかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 先ほど、人口減少対策で国を頼りにしてはならないというような御趣旨のことを述べられましたが、まち・ひと・しごと創生法のもとで、いわゆる地方創生、今はデジタル田園都市国家構想総合戦略という形になっておりますけれども、国の法律に基づいて、国と都道府県と市町村が同じプラットホームで、それぞれがビジョンを持ち、戦略をつくり、その戦略もお互いに参考にし合いながら、ビジョンについては、国の総合戦略を踏まえて地方自治体はつくることにもなっております。
そのようなまち・ひと・しごと創生法のもとでの、いわゆる地方創生に県としても取り組んでいく中、社会減ゼロという目標を立て、そして、合計特殊出生率については、国の長期ビジョンの2030年に1.8、2040年に2.07という展望を勘案して、岩手の目標値を設定したところであります。
全国的に合計特殊出生率が低下する中で、2040年に2.07を達成することは、高い数値設定ではありますが、国もまた、異次元のこども未来戦略方針を具体化していくということでありますし、県といたしましては、まずは、第2期アクションプランにおける令和8年度に合計特殊出生率1.58を達成するというところに向けて、全国トップクラスの子供子育て支援策等によって、産み育てやすい環境の整備に取り組んでいくものであります。
そして、社会減ゼロについては、これは国の総合戦略で、東京の毎年の人口流入をゼロにするということとあわせて設定している目標でありますが、国がその達成時期を令和6年度から令和9年度に変更したのに合わせ、岩手県としては、令和8年度に社会減ゼロの目標を変更しようとしているところでございます。
岩手県の社会減は、平成7年、1995年に329人とほぼゼロになった年もあるわけでありまして、東京一極集中の是正と地方重視の経済財政政策を国と地方自治体が一体となって取り組めば、岩手県の社会減ゼロも可能であると考えております。
知事はマニフェストで、人口減少、少子化に立ち向かい、大攻勢をかける次の4年間と県民と約束されたわけでございますが、当選後から1カ月しかたたない中で、この社会減対策の目標を2年先送りするということは、知事、心が痛まないですか。後ろめたさはないのかと思うのであります。
東京圏との均衡というお話がございますが、国の目標と人口減少課題先進県である、国の減少のスピードより急激に下がっている岩手県の人口減少の危機感、これは全く違うと思うんですよ。私は逆に、今聞いていて、知事の課題認識はその程度のものだったのかなと思ったところでございます。
逆に聞きますが、国から言われたから目標を立てたのか、あるいはみずからの強い意志で岩手県の人口減少を食いとめるんだ、そして、次の持続的な明るい豊かな岩手のために、こういったさまざまな環境整備を整えていく。どのように考えているのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 岩手県は、私の前の知事の皆さん方のころから、全国よりも早く少子高齢化が進み、人口減少問題に直面してきたわけで、長きにわたって対策をさまざま講じてきたわけであります。それは市町村、特に人口の少ない町村もそうでありまして、ある種、涙ぐましい努力が行われてきたと思っております。
それを国はまち・ひと・しごと創生法を設立するときに初めて、それまで日本国政府は、人の移動は自由であって、過疎になったら過疎対策はするけれども、ただ過疎を防ぐ、人口の移動を制限する、特に東京への人口流入について数値目標を定めて、しかも、法律に基づいて地方創生という名のもとで地方の社会減対策をやるというのは、日本で初めてのことでした。
そして、今回、岸田内閣においては、異次元の子育て支援とあわせて、東京の人口流入ゼロを令和9年に目標を設定し直しているのは、本気で国もやっているということを前提に、県としても、それと平仄を合わせて最大限取り組んでいこうということでやっているわけであります。
この計画についても、もう改めて私が言うまでもなく、各自治体の判断で計画はつくっているわけです。国と地方の関係は対等な関係でありまして、地方分権の理念に反するような、知事は日ごろ議会でも国と地方は対等なんだということを主張されながらも、今回のこういった計画については、ちょっと逆の動きをしているなと。逆に言うと、事務方が勝手に作成した計画なのかな、知事は了解しているのかと何か心配になります。
逆に聞きますけれども、東北の中でこの社会減ゼロを目標に設定して、そして、計画を岩手県のように先送りするような検討を進めている県はあるんでしょうか、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県職員が勝手に決めたみたいな指摘がありましたが、県のビジョンや戦略は、国に報告というか届け出というか、そして、地方創生に関する交付金は、計画に載った事業計画に関連する事業に交付金が出る仕組みになっているわけで、そういった財源も含めて、地方創生は、当たり前のことですが、人口が出る場所と入る場所が両方一度に取り組まなければ、人口の移動を変えることはできないわけであります。東京側への施策と地方側への施策、それをまた国としてもきちんと対応するという仕組みの中でやっているわけであります。
一方、他県の計画の立て方については、ちょっとつまびらかにしないところでありますが、いずれ、県のビジョンや計画は、国の担当省庁とすり合わせながら策定し、そして財源、予算の確保やその執行についても、国と二人三脚のような形でやっております。
市町村の最初のビジョンや戦略をつくるときは、国で計画をつくるためのコンサルタントなどをあっせんし、その予算も国が出すという形で市町村のビジョンや戦略はつくられたわけでありまして、市町村、都道府県、国が一体となって、日本の人口のありようを変えていくというところが、この地方創生の肝であります。
宮城県では、令和12年を目標に人口の社会増減ゼロを掲げております。この地方版総合戦略。先ほども御紹介しましたけれども、宮城県は、令和4年に7年ぶりに社会減ゼロを達成したんですね。これは本当に岩手で何でできないのかというか、私は、本当に宮城県より岩手県のポテンシャル、そして地域力は数倍あると思っておりますし、負けていないと思っております。
今回のゼロの目標というのは、逆に言うと、先ほども市町村と連携しながら取り組んでいくというような答弁もございましたけれども、このゼロの積み上げというのは市町村と共有しているものなのか、積み上げの上でなっているのか、整合性、連動は市町村ととれているのかお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) いずれ、申し上げておりますように、国、都道府県、市町村がそれぞれ連携しながら地方創生に取り組むという仕組みの中で設定しているものであります。
また、あたかもゼロは無理だということをおっしゃりたいように聞こえるのですけれども、329人しかいわゆる人口流出がなかった年があったわけであります。それだけの県内の雇用情勢、それが相対的に都会よりも有利な状況にあったという、それをつくれば、329人というのは過去既にやった実績のある数字でありますので、そのぐらいの数字を目標に掲げるというのは合理性があり、かつ、国のほうも東京への人口流入をゼロにすると。こちらはかつて実現したことがない、岩手以上に野心的な数字を国は掲げているわけでありますけれども、岩手側は、過去それに近い実績を上げたこともあるので、そういう目標を掲げております。
私は、本県の社会減ゼロは、本当に私だってそうやって達成できると思っていますし、そういった意味でも、各種政策をEBPMの手法も使いながら、政策が有効に効果的に寄与していくのかをしっかりと検証しながら進めていただきたいということを先ほど来から言っているのでございます。
本県の社会減対策について、特にも、若者が希望を持って岩手で働き、子育てをしたいと考えてもらうには、岩手県が、生きにくさとか、そういうメッセージでなくて、きらきらと光って見える、本県で暮らすことに明るい未来を感じさせる強いメッセージが求められると考えます。
本年2月定例会において、岩崎友一議員が人口減少対策に関し、地元定着、出生率の上昇などの少子化対策については、大胆な政策を県知事が政治判断で行う必要があるのではないかと質問したことに対し、知事の答弁は、まずは国の支援を求めていきたいという趣旨のものでありました。
全国的に画一的にならざるを得ない国の支援策に依存するのではなく、県内のみならず、全国の若者が岩手にきらきらとした魅力を感じるよう、知事のリーダーシップで、大胆かつ独自の支援策を掲げていかなければ、本県の社会減をとめることはできないのではないかと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) この全国トップクラスの子供子育て環境も、それなりのアピール力があるかと思っておりますし、まさに他の県でまだほとんどやっていないことを、岩手独自で国に先行して今年度からスタートさせているということがございます。
また、人口の社会減がかつて329人だったということに関しては、やはり産業状況、雇用の状況が重要であり、北上川バレーゾーン、そして、岩手沿岸の防災復興ゾーン、そして、北いわてのイノベーション変革ゾーンといった形で、東京大学を初め、全国からさまざまな先進的な政策を進めてくださる方々にも入っていただき、そして、北上川流域部分については、世界最大級の競争力ある企業にも工場をどんどんふやしていただいているところであります。
去年、岩手県の10代後半の正社員の年収の中間値が全国の数字を上回っていたという推計もありまして、恐らく岩手がそのような、一定の層の賃金でありますけれども、全国を上回ることはかつてなかったことだと思うんですが、そういう希望が生まれているということをアピールしていきたいと思います。
3 県庁舎の建替えについて
(1) 耐震問題への認識について
ア 現状認識について
本当に、残念ながら何かきらきら感が伝わってこなかったなという感じはいたしますが、ここら辺についても、今後、委員会でも突っ込んで確認していきたいと思います。
次に、県庁舎の建てかえについて伺います。
まず、耐震問題への現状認識について、現在、都道府県の災害対策本部が設置されている庁舎で、耐震性が確保されていない庁舎は、全国の中でここ岩手県庁舎のみの状況になっています。
地震による倒壊等で県庁舎が使用できなくなった場合を想定し、代替庁舎を指定しているので、そこで災害対策本部の指揮をとるから特に問題ないということにはなりません。平日の勤務時間中の地震により県庁舎の倒壊等が起きた場合、職員自体が被災し、行政機能が失われる危険性がありますが、そういったおそれのある県庁舎の現状についての知事の認識をお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県庁舎は、平成9年度に実施した耐震診断において、震度6弱から6強程度の地震動で崩壊の危険性は低く軀体には問題がないとされ、今回の耐震診断においても同様の結果でありました。
また、震度6弱から6強を上回る震度7以上の地震の本県での発生は、平成10年3月に公表した岩手県地震被害想定調査に関する報告書や、令和2年4月に内閣府が取りまとめた日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデルの検討についての報告においても、震度7以上の地震は想定されていないところであります。
こうしたことから、これまで定期的な点検や必要な維持、修繕等を行うことにより、通常の使用が可能と認識してきたものであり、現在も使用を継続しているところであります。
イ 県庁舎の耐震化に係る知事の対応について
いただいた資料で、震度6強の地震等で局所的に顕著な損傷が生じるが、倒壊する危険性は低いというようなことでありましたが、一度の地震で倒壊する危険性はなくても、局所的に顕著な損傷が生じた場合、その後の余震で倒壊する危険はないと言えるんでしょうか。
知事、また、ここの議会棟は倒壊するおそれはないんですか。災害が発生した場合、あの東日本大震災のときにも、さまざまな災害対応の議論あるいは予算の審議、重要な役割を果たしてきた議会であります。
私自身はどうなってもいいですけれども、災害対策本部長である知事を初め、幹部の職員の皆様、安全は確保できると断言できるのでしょうか、お伺いします。
〇知事(達増拓也君) 先ほど県庁舎の現状認識ということで通常の使用が可能という答弁をいたしましたけれども、議員御指摘のとおり、岩手の県庁舎は、昭和56年の建築基準法の改正以降、耐震基準を満たさない状態となっており、既存不適格の状態でございました。
したがいまして、今、やはり改修や建てかえを検討する時期に来ているということで、東日本大震災を含め大きな地震に数回見舞われたこともありますし、改めて耐震診断を実施して、県庁舎のあり方の検討に着手しているところであります。
(2) 建替えの検討状況について
知事は今回、多選の弊害はないということで、知事を長く務めれば危機管理能力が高まるとお話しされていたことを聞いております。私は、人口減少の先ほど来からの危機、あるいは今の災害、地震が起きたときの県庁舎、まだまだそういったさまざまな不安要素があることを、本当に危機管理能力を持たれている知事であれば、もっと迅速に対応していく必要があるんだろうなと思います。
昨年6月の定例会で県庁舎の建てかえに関する関根議員の質問に対して、おおむね年内の技術的調査着手に向けて準備を進める、あるいは公共施設等の適正管理を進めるための新たな基金も9月定例会に提案するということで準備を進めていくと発言されておりますけれども、前任期中に県庁舎の建てかえの構想はどこまで進んだのか。また、この耐震化に係る費用を確保する基金の創設、そして、今後どのようなスケジュールで検討を進めていくのかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県庁舎は、昨年度から今年度にかけて実施した耐震診断の結果により、庁舎の強度や補強の程度、残存期間などが判明しておりますので、現在、改修と建てかえの具体案の比較など、具体的なデータや科学的知見の裏づけに基づいた検討に着手したところであります。
県庁舎の改修にせよ建てかえにせよ、多額の財政負担を伴いますので、他県の県庁舎整備における財源確保のための基金造成などの例も参考にしながら、多角的な観点から検討する必要があると考えております。
このようなさまざまな論点について、専門家の知見や県議会の意見も参考に検討を進め、県庁舎のあるべき姿を整理した上で、県民にとって必要な行政サービスが提供できるように、県庁舎のあり方検討を進め必要な対応をしてまいります。
いずれにしましても、県庁舎の建てかえについては、今後、具体の検討を進めていくに、完成まで10年近く要するんだろうと思います。その間、職員は、地震による倒壊のおそれのある危険な庁舎で勤務しなければならない。これは知事、どう思われますか。経験を積み重ねて危機管理能力の高い知事は、来庁者であったり、あるいは職員の安全確保をイの一番に考えなければいけない。私が言うまでもありませんけれども、本当にこの災害対策本部設置時の初期対応、何らかの対策も必要になってくると思うんですよ。こういったものに本当に迅速に手を打っていかなければ、職員たちの安全の確保、例えば自分の家族が、おうちに耐震性がない中に10年住んでいてくださいと言えますか。私はそういうことではないと思うんです。
東日本大震災の教訓で、私は、岩手県民、知事を初め、教訓として覚えているのは、やはり津波てんでんこの避難の三原則です。一つは、想定にとらわれない、そして最善を尽くす、そして率先避難。この姿勢は、人口減少問題あるいは今議論しているこういった危機管理対応においても、本当に大事な、最も大事な三つのポイントだと私は思います。知事、こういった視点でしっかりと取り組んでいただきたい、このように思います。
そして、もう時間があれですが、医療施策についてもエントリーしておりますけれども、時間がありませんので、次の回に取り扱わせていただきたいと思います。
ただ、このときに私が取り上げたのは、いずれ今後、高齢化、そして人口減少が進んでいく中において、県立病院を全国一保有するこの岩手県は、最大の財政リスクを抱えているんだという、ここをやはり問題視しているというか、ここにしっかりと対応していかなければいけないと思っています。県立病院、この基幹病院を統合しながら、先ほどもハイボリュームセンターの整備というお話もありましたけれども、具体的に今後どのように考えていくのか、次回に取り扱いたいと思います。
5 農業振興について
(1) 物価高騰に対する対策について
次に、農業振興について、本当にこの選挙期間中、現場を回って、農家の方々の生産資材等の価格高騰に対する影響緩和策について、悲痛な声を知事も聞いてきたと思います。
生産者個々の経営努力では対応できない現在の厳しい経営状況を克服するため、喫緊の対応として生産資材高騰対策が必要だと考えます。国の経済対策だけでは対応できないものもある中で、知事は、飼料や農業生産資材価格高騰による経営への影響をどう把握し、具体的な対策をとるおつもりかお伺いします。
〇知事(達増拓也君) 県ではこれまで、全国知事会と連携しながら、国に対し、生産資材等の価格高騰対策の拡充などを提言するほか、農業経営の安定に向け、肥料や飼料の価格上昇分を補塡する国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、累次の補正予算によって、肥料や飼料購入費への支援などを実施してまいりました。
本年8月現在の農業生産資材の価格を見ますと、高騰前の令和2年と比べ、肥料、飼料ともに約4割高い状況となっており、農業者は、依然として厳しい経営環境に置かれているという状況であります。
このため、これまでに措置した肥料や飼料購入費等への支援を迅速かつ確実に実施するとともに、さらに必要となる対策について、現在、検討が進められている国の経済対策の動向も踏まえながら、農業経営が安定するよう機動的に対応してまいります。
また、生産コストのさらなる低減に向けては、化学肥料の使用量を低減する堆肥等の地域資源の活用や、飼料基盤を積極的に活用した自給飼料の生産の推進にも引き続き取り組んでまいります。
(2) 農業所得の向上について
今回のさまざまな価格高騰によって、農家の経営は、本当に自助努力ではなかなか対応できないような限界に来ているかと思います。
そして、農業の最大の課題である農業所得の向上について、合理化等による原価の軽減とともに農産物への価格転嫁が、最も重要になってくると考えています。
現在、国では、ことし6月に協議会を立ち上げて、農産物の適正な価格形成に関する議論を進めておりますが、指針が示されるまでには、やはり時間がかかってまいります。食料システム全体で適正な価格形成が図られなければ、食料供給を担う事業者の事業継続が困難になり、岩手県が果たす食料供給基盤が脆弱化してしまうおそれがあると考えております。
国の指針や政策に頼るのではなく、まずは、県内の生産、卸、流通、小売、消費者がみずから県内産や地産地消に目を向けながらも、食料システム全体で適正な価格形成が図られるよう議論を開始させるなど、県が率先して取り組みを推進すべきと考えますが、知事のお考えをお伺いいたします。
〇知事(達増拓也君) 農業の生産コストの上昇分を適切に価格転嫁していくとともに、同時に消費者の購買力を高めていく施策が必要な局面であります。
農畜産物は都道府県を越えて流通するとともに、全国的な需給に応じて価格が決定されますので、県では、国に対し、生産、流通コスト等を踏まえて、再生産に配慮した適正な価格形成、取引を推進するための全国的な仕組みを早期に構築するよう要望しております。
また、本県では、適切な価格転嫁に向けた機運醸成や賃金の引き上げに取り組む環境整備など、地域経済の活性化に寄与するため、本年7月、県内経済団体や労働団体とともに、価格転嫁の円滑化による地域経済の活性化に向けた共同宣言を行いました。
今般、全農岩手県本部が決定した令和5年産の米の概算金は、前年度と比べて60キログラム当たり1,400円上昇したほか、生乳の取引価格は、昨年11月に続き、本年8月からさらに引き上げされております。
県は、これまでも地産地消県民運動や、買うなら岩手のもの運動などによる県産品の消費拡大も推進してまいりました。引き続き、関係機関、団体と連携しながら、再生産可能な農畜産物の適正価格への理解醸成を進めてまいります。
ぜひ、具体的な取り組みを県が主導しながらも、積極的に進めていっていただきたいと思います。
そして、米からの経営転換についても通告してございました。私も、お米の担当を30年前にやっていた、まさにそのころの価格から比べて、今は2分の1に減少しているというような状況になっております。
園芸作物への転換が重要な鍵を握っていくと考えますが、まず、知事はどのように考えて取り組んでいくのか、そして、本県独自の取り組みをお伺いしたいと思います。
〇知事(達増拓也君) 県では、水田を活用した野菜の作付拡大に向けて、高性能機械の導入やパイプハウスの整備を進めておりまして、県内では、紫波町や雫石町において、タマネギやネギ等の土地利用型野菜の生産が拡大するとともに、奥州市や一関市において、ピーマンやトマトなどの施設野菜のハウス団地の整備が進んでおります。
こうした動きを加速するため、県、農業団体等で組織する集中支援チームにおいて、実需者と連携した加工、業務用野菜の生産拡大の取り組み支援、そして、施設野菜の生産性を向上させる本県独自の低コスト環境制御技術の導入推進などにより、水田における高収益な園芸作物の生産拡大を図って、農業者の所得が向上するよう取り組んでまいります。
いろいろ取り上げてきましたけれども、時間もあれですので、いずれ我が会派は、これからも日々精進を重ねながら、岩手県勢発展の一翼を担えるよう努力することをお誓い申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。御清聴まことにありがとうございました。