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県議会報告

令和5年度6月議会一般質問(令和5年6月30日(金))

2023.12.09

1 人口減少と地方創生

(1) 本県の人口展望について

 初めに、人口減少と地方創生について質問いたします。
 本県の人口展望を見ますと、人口減少は全国の約2倍の速さで急速に進み、生産年齢人口についても同様の傾向にあります。私たちは、政府の人口減少への危機意識よりも2倍以上さらに危機意識を強く持つ必要があります。
 平成27年10月に策定した岩手県人口ビジョンは令和2年3月に改定されておりますが、その中で、ふるさと振興の4本の柱を展開していくことにより、2040年に100万人程度の人口を確保することとしております。
 これまでの取り組みの成果、課題、現在の人口動向等を踏まえた今後の人口見通しについて、知事にお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 臼澤勉議員の御質問にお答え申し上げます。
 まず、本県の人口展望についてでありますが、岩手県人口ビジョンでは、全国よりも高齢化率が高いことに伴う死亡数の増加により、今後、一定程度人口減少が進む見通しとなっていますが、2024年の社会減ゼロと国のまち・ひと・しごと創生長期ビジョンに準拠した合計特殊出生率の回復により、2040年に100万人程度の人口を確保することを目指しています。
 このような中、令和2年3月に策定した第2期ふるさと振興総合戦略では、4本の柱に基づく施策の展開により、自動車、半導体関連産業の一層の集積等に伴う雇用の場の確保や高校生の県内就職率の上昇、移住、定住者の着実な増加、保育所等の待機児童の減少などの成果に結びついたところであります。
 一方で、近年は、首都圏の有効求人倍率が本県を上回る状況下で、新型コロナウイルス感染症や物価高騰などの世界的な危機に相次いで見舞われ、合計特殊出生率の低下や東京一極集中の再加速などが見られるものの、今後も、国の見通しなどを踏まえ、社会減ゼロと出生率の向上の実現を目指していく必要があると考えています。
 また、今後の人口見通しについては、国が令和6年にまち・ひと・しごと創生長期ビジョンの改訂を予定していることから、それらを踏まえ、岩手県人口ビジョンの改訂を行い新たな人口展望を示す考えです。

(2) 人口減少対策の取組について

次に、先般6月2日に厚生労働省が公表した2022年人口動態統計によれば、本県の合計特殊出生率は1.21と過去最低となり、全国平均の1.26を0.05ポイント下回りました。出生率の減少率は10.6%と全国ワースト、県内人口1,000人当たりの出生数を示す出生率は4.9、婚姻率は3.0であり、どちらも全国で2番目に低い数値であります。さらに、自然増減率はマイナス11.6と全国で3番目の低さであり、本県の人口減少対策は待ったなしの瀬戸際状態にあります。
 知事は、今回の厚生労働省の出生率等の公表を受けて、成果が上がらなかった本県の人口減少対策の取り組みをどう見直し、今後どう取り組まれるのか、具体的にお伺いいたします。いつまでに、何を、どうするのか、どこを目指して取り組むのか、目標値についてもお示し願います。
 壇上での質問は以上でございます。以下の質問は質問席で行います。

次に、人口減少対策の取り組みについてでありますが、過去、全国平均を上回っていた本県の合計特殊出生率が、平成30年以降全国と同程度となったことや、直近の出生数が大きく減少したことなどを踏まえ、いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランでは、人口減少、少子化対策を県政運営の最重要課題と位置づけ、令和5年度当初予算における全国トップレベルの子ども子育て予算を初め、勤労環境の改善や賃上げなどにも踏み込んだ総合的な対策に意を用いながら、生み育てやすい環境の整備に取り組んでいるところです。
 いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランでは、岩手県人口ビジョンの2040年に100万人程度の人口を確保するという展望を踏まえ、合計特殊出生率の1.58への上昇、高卒者の県内就職率の84.5%への上昇、県外からの移住・定住者数の2,500人への増加など、人口減少対策に係る目標を掲げているところであります。
 今回の合計特殊出生率の公表を受けて、先般、岩手県人口問題対策本部会議を開催し、本県の合計特殊出生率の低迷に未婚率が大きく影響していること、婚姻件数が令和元年以降減少し続けていることが報告され、また、速やかに実施すべき施策の早期実行を決定したところであります。
 また、追加措置として、本定例会に県内就労者の所得向上対策の強化など補正予算案を提案しているところです。
 さらに、本県や市町村ごとの特徴的な要因分析を進め、市町村とも連携しつつ、必要に応じて適時適切に補正予算を編成するなど臨機応変に対応し、総合的かつ効果的な施策をオール岩手で進めてまいります。

私は、今後の人口見通しについて聞いたのでありましたが、具体的に2040年に100万人程度の人口を確保するという展望をどう見ているのかということに、答弁がなかったわけでございます。100万人程度の人口確保を今時点で達成する見込みがあるのかどうか、そして、この人口減少問題を最大の危機と認識して知事は岩手県人口ビジョンをつくられておりますが、逆に言うと、その見通しが甘かったのではないかと言わざるを得ないと思います。
 何らかの対策を講じないと、2040年には96万人程度まで減少すると見込まれており、その傾向に今入っているのではないかと思いますが、まず、その認識をお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 近年の岩手県内の経済状況や雇用情勢については、かなりさかのぼっても最もいいような状況にあります。一方で、東京都の経済状況や、雇用の環境が、これもまた近年の中で非常にいい状況にあり、岩手県を初め地方を大きく上回り、東京一極集中再加速が見られているところではありますけれども、これらについては、国の政策と地方の努力を合わせることで、東京一極集中に歯どめをかけるということは可能であり、また、やらなければならないことと考えております。
 そして、出生率や出生数の低下につきましては、ここ数年のコロナ禍の影響については、先ほど述べましたように、今後、市町村ごとの要因分析も行いながら詰めて分析する必要がありますけれども、コロナ禍によって社会的行動、経済的行動が抑制された分を回復させるよう今後努めていかなければならない中で、婚姻率や出生率を上げていくことは可能であり、また目指すべきことと考えております。
 これも、やはり国の政策と地方の努力を合わせて進めていくべきものであり、第2期アクションプランに掲げております2040年に100万人程度の人口を確保する、そして合計特殊出生率を1.58へ、高卒者の県内就職率を84.5%へ、県外からの移住・定住者数を2,500人へという目標は、今のところ維持すべきと考えております。

(3) 大学卒業後の県内就職率

今回の岩手県人口ビジョンの推計条件は、合計特殊出生率2030年で1.8ということです。2024年で社会増減ゼロという前提のもとでの2040年に100万人程度の人口を確保するという推計であります。
 まさに今、知事も東京一極集中の是正等の答弁がございました。既に知事が就任された当初から、今回の危機を希望にということで、この危機に対する意識、まさに人口減対策、首都圏との所得格差の是正というようなことも踏まえて、これまで16年間さまざまな政策、取り組みをされてきたと私も捉えております。ただ一方で、先ほどの数値にあらわれるとおり、なかなか成果が出ていないというのも事実としての数値であります。
 一方で、他の都道府県の数値、取り組みなどを見ていますと、具体的に言うと、例えば地域少子化対策重点推進交付金というような、国の交付金事業の活用も積極的に取り組んでいる、例えば富山県、福井県、あるいは長崎県など、10分野についてさまざま取り組んでいるようなところは、結構少子化の数値なども改善し成果を上げているということであります。ぜひ、国の事業などももっと積極的に活用してほしいと思います。
 岩手県の国の交付金事業の活用を見ると、たった1分野だけです。他の都道府県においては、結構積極的に使っているところもありますので、ぜひこの辺について国との連携の強化を図っていただきたい。
 それから、人口減少に対しては、やはり、特に若年層支援に対する強いメッセージをもっと出すべきではないかと思います。鳥取県では、例えば子育て王国というようなネーミングを出しながら、中山間における子育て、あるいは中山間の地域保育無償化事業とか高校通学費の助成とか、そういったワンメッセージで取り組みを進めています。前も知事は、環境王国とか何とか王国というのは結構使われてきておりますけれども、私は、ぜひ、この社会減対策とか子育て対策にも、岩手県こそ子育て王国岩手という、大きなメッセージを発信しながら取り組みを進めていただきたいと思います。
 そして、出生率のほかにも、やはり社会減対策においては、大学卒業後の県内就職率もすごく大事になってまいります。人口の社会減の要因として大きいのは、高校卒業後の進路の状況であります。高校新卒者の県内就職率が増加していることは一定の評価ができますが、一方で、大学等進学者の卒業後の状況、特に県外の大学、短大、専門学校等に進学した者の就職状況が課題となっております。
 県外大学への進学者が岩手県に戻って就職する割合がどのくらいなのか、実績を把握されていればお伺いいたします。特に、進学、就職時点で関係が途絶えてしまうのが、本県の課題であり、進学、就職後の追跡調査が必要と思いますが、その状況をしっかりと分析し、対策を打つことができないと、社会減の対策としては不十分だと思いますが、御所見をお伺いいたします。

◯商工労働観光部長(岩渕伸也君) 県外の進学者が卒業後に県内に戻って就職する割合につきましては、学生の転居に際して住民票の移動が伴わない場合も多いことなどから、これを一定程度の精度で把握することは難しいところでございますが、18歳から23歳までの社会減が一定の目安になると考えており、直近の令和4年のデータでは、この年代の社会減が3,178人となっております。
 なお、他県におきましては、あらかじめ高校在学時に同意を得ておいた上で、大学卒業後にアンケート調査を行う方法や、県外の大学にアンケート調査を依頼する方法で把握に努めている例もあると承知しています。
 こうした事例も参考としながら、例えば、本県のU・Iターンクラブ加盟大学が67大学あります。県外大学でございます。この大学からどの程度の協力が得られるかといったこと、また、どの程度の精度のデータが得られるかなどといったことを検討して、対応してまいりたいと考えます。
 あわせまして、県外への進学後も本県とのつながりを継続させていくことがとても重要でございまして、現在、SNSの効果的な活用を初めとした情報発信、また、首都圏等の若者をターゲットとした就職説明会などの取り組みを行っております。これに、新たに首都圏の学生を対象とした交流会の開催なども行っていきたいということで、現在考えております。

(4) 人口減少対策の強化に向けた市町村と県の共同宣言について

私もジェトロ本部の国際経済課で対日投資や貿易白書の調査部門を担当したときに、当時は、外資系企業がなぜ日本に進出してきているのか、国内に進出した外資系企業の動向調査などもやるわけです。なぜ若者が、例えば県外に行って戻ってこないのかとか、今どういうところで、どのような思いで活動しているのか、あるいは逆に、なぜ今岩手県に来て、住んで、暮らしているのかといったデータをしっかりとっていくというのは、全ての対策の入り口かと思います。
 静岡県や長野県、島根県においても、さまざまそういった経済団体と連携したり、ふるさと定住財団等、あるいは新聞社とも連携したりしながら取り組んでいますので、ぜひ進めていただきたいと思います。
 次に、人口減少対策の強化に向けた市町村と県の共同宣言について伺います。
 令和5年2月定例会において、我が会派の岩崎友一議員の代表質問への答弁で、知事は、いわて県民計画(2019~2028)第2期アクションプランのスタートにも合致するタイミングで、市町村と県が一層連携を強めて取り組んでいくことを県内外に示し、市町村とともに共同で取り組む方向を明らかにしていきたいと答弁されておりました。
 あれから3カ月経過しております。いまだ共同宣言は出ていません。岩手県は、本当に人口減少対策に真剣に取り組んでいるのかと県民は感じております。
 知事が令和5年2月定例会で、市町村と一層連携を強めて取り組んでいくと答弁した人口減少に立ち向かうための取り組みについて、市町村からの賛同は得られたのか、現在の進捗状況をお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 昨年11月に開催した県・市町村トップミーティングにおいて、市町村長に対して、市町村と県の共同宣言のような形で表明することを提案したい旨を呼びかけ、特に異論がなかったところであります。
 その後、市町村と県の実務者間で調整を進める中で、市町村からさまざまな御意見をいただいたことから、先般、実務レベルの会議を開催し、県が進めている人口減少対策の取り組み状況に加え、市町村、県が連携を進めることによって実効性を高めていく事業等について、意見交換を実施したところであります。
 県、市町村の連携が実行段階に移っている中、6月に令和4年の合計特殊出生率の公表もあり、県としては、いわてエンパワー隊の活動や岩手県人口問題対策本部の開催により対策を強化しており、今後、市町村と県とで構築した連携体制を生かしながら、市町村ごとの特徴的な要因分析を進め、具体的な対策の強化につなげてまいります。
 共同宣言の時期については、さまざまな御意見をいただいていることから、丁寧に議論を進めながら調整してまいります。

(5)  社会構造への影響と対応について

知事は、議会で市町村とは、これまでにない、過去にないくらい頻繁に会議、意見交換を行ってきて、今までやったことがないような県と市町村の共同宣言を行うところまで来たのだということで胸を張って話しておられましたが、結果としてできていない。
 そして、市町村への照会では、十分な議論の場を設けて、時間をかけて丁寧に進めてほしいという意見が出ていました。これは、この前の議会の答弁と実態が、何か市町村長とかみ合っていないような印象を私は受けてしまいました。
 そして、具体的に首長ともお会いする機会があって、何人かの方からもお話を聞きました。今回のこの宣言が、何のための宣言なのか、今後、県はどのような政策を進めようと考えているのか、具体的な取り組みが見えないということです。それから、人口減少といっても、県内の市町村間でばらばらといいますか、2極間で動いている。最小の減少率は10%にとどまるようなところもあれば、50%というようなところもあったりする実態があって、具体的に、県として宣言を出して、あるいはこの宣言を出すことによって人口減少が解決すると思っているのかどうか。逆に、これまでも市町村でやっているという中で、何で今ここで県と共同宣言をやる意味があるのかというような、そういった疑問の声を聞いておりました。
 その辺につきましては、十分な、丁寧な議論といいますか、そういった部分を進めていただきたいと思います。
 そして、先日、令和国民会議の提言で、人口減少危機を直視せよということで見解を示されておりましたが、広域で行政機能を分担しなければ、人口減少時代の地域社会は立ち行かないというような提言がありました。まさに私も令和5年2月定例会でもお話しいたしましたけれども、そういう問題意識であります。
 先ほど関根敏伸議員からもお話がありましたとおり、今後、人口減少が地域経済や社会生活、公共インフラの維持管理など、本県の社会構造に対する影響をどう捉え、具体的な対応を図ろうとしているのか。現状の実態調査や市町村、住民との意見交換を通じて課題を整理すべきではないでしょうか。
 人口減少に順応した強い地域社会の仕組みづくりに向け、市町村と対応策をどう練り上げていくのかお伺いいたします。

◯政策企画部長(小野博君) 岩手県人口ビジョンにおきまして、人口減少に伴う課題として、地域産業の労働力不足や生産量の低下、高齢化に伴う医療、福祉、介護の需要増加とこれらの分野での人材不足、利用者の減少に伴う地域公共交通への影響、過疎と高齢化の進行による地域コミュニティー機能の低下などを挙げておりまして、地域の社会、経済システムへの影響が懸念されております。
 こうしたことを踏まえ、いわて県民計画(2019~2028)第2期政策推進プランでは、人口減少対策に最優先で取り組むとともに、市町村長との意見交換なども踏まえて、医療、介護、福祉や教育、地域公共交通、産業、雇用環境等について、人口減少社会において中長期的に維持、向上を図っていくため、10の政策分野の中で、これらについてもしっかりと施策を推進することとしております。
 さらに、いわて県民計画(2019~2028)に掲げます北上川バレー、三陸防災復興ゾーン、北いわて産業・社会革新ゾーンの三つのゾーンプロジェクト、それから、活力ある小集落実現プロジェクトなどにおいて、地域の特性や課題を踏まえた長期的な観点に立った取り組みを展開しております。
 また、県・市町村人口問題連絡会議や県・市町村地方創生推進連絡会議等におきまして、市町村と人口減少対策について意見交換を行っておりますほか、各広域振興局におきましても、管内首長や各分野を代表する住民との懇談会、実務レベルの管内市町村との検討会などによりまして、実態の把握や意見交換を行っているところです。
 今後も、市町村との連携による実効性の高い人口減少対策を推進するため、トップレベル、また実務レベルにおいて、市町村と継続的に意見交換を行い、市町村の実情を踏まえながら、人口減少社会における地域社会のさまざまな課題解決に向けて取り組みを進めてまいります。

今後の社会構造への影響は、やはり県として、市町村あるいは民間事業者、住民とも、今から準備を進めていかなければいけない、逆にもう遅いくらいなのかなと捉えております。
 この前、常任委員会の環境福祉委員会でも視察してきましたが、秋田県は、既に、震災前から県と市町村の共同、連携による行政サービス確保の取り組みを具体的に進めています。例えば、具体的に言えば、文化施設の連携整備あるいは県の地域振興局と市のワンフロア化、同じようなスペースで一緒に仕事をする、あるいは道路維持業務であったり生活排水処理の広域共同化、あとは合同研修等、そういった部分をもう既に取り組まれています。
 正直、岩手県でも取り組んでいる部分というのは、当時の増田さんが改革知事でやっていた三位一体も含めて、道路維持管理も含めてさまざまやってきた部分はありますけれども、私は、20代、30代の女性人口が減っている以上、出生率が大幅に改善するということ、改善したとしても、人口減、出生数の低下はもう避けられないのだろうと思います。幾ら出生率を高めても、若い女性の数がこのように減っていく上では、人口を維持するということはなかなか難しい。
 ただ、逆にそれを、数としてとらわれるのではなくて、まさに人が減った将来の地域社会を見据えて今から体制を整えていくこと、ここをしっかりと県として取り組んでいくべきだと思います。ぜひ取り組みを進めていただきたい。

2 構造的賃上げの実現と農業振興について

(1)  動議と補正予算案の関連について

次に、構造的賃上げの実現と農業振興に移ってまいります。
 先ほど関根敏伸議員も賃上げ問題を取り上げておりましたが、本県でも喫緊の課題であるこの賃上げ問題、我々自由民主党は、人口の社会減の大きな原因となっている他圏域との所得格差の是正に向けた中小企業の賃上げのための助成制度が必要だと考え、出生数減少へのさらなる対応なども含め、令和5年度当初予算案に盛り込むべきだとして、予算案を撤回の上、編成替えを求める動議を提出いたしました。残念ながら、予算特別委員会において、賛成者20、反対者23という僅差で、我々の動議案は否決されました。
 本定例会に提案している第2号補正予算案には、まさに我々が指摘した中小企業の賃上げのための助成制度である中小企業者等賃上げ環境整備支援事業が盛り込まれております。
 なぜ今、6月定例会での提案となっているのでしょうか。この補正予算を提案した趣旨について、知事に端的にお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 令和5年度当初予算において、人口減少対策に最優先で取り組むこととし、社会減対策として、男女がともに活躍できる環境の整備や移住、定住の促進に向けたさまざまな取り組みを盛り込むとともに、企業の賃上げを可能とする環境整備の推進に向け、DX人材を活用した企業の生産性向上の取り組み支援などの強化を図ったところであります。
 その後、3月末に国から、令和5年度の補正予算での活用を見据えた中小事業者の賃上げ環境整備に対する支援に活用できる交付金の増額配分があり、また、適切かつ円滑な価格転嫁を実現するためのパートナーシップ構築宣言の普及拡大の要請もあったところであります。
 さらには、本年5月の事業者影響調査の結果において、電気料金の値上げや原料、資材価格高騰への対応のほか、価格転嫁、賃金の引き上げ、さらに人手不足を直近の経営課題に掲げる事業者が多かったところであり、こうした状況に対応しつつ、中小企業者等賃上げ環境整備支援事業費補助として、6月定例会補正予算案で提案するものであります。
 この事業を多くの中小事業者の方々に利用いただき、経営革新による賃上げや、適切かつ円滑な価格転嫁を実現していただきたいと考えております。

我々も、予算の組み替え動議については、知事の予算編成権を侵害することのないようにということで配慮しながら提案したわけでありますが、まさに、逆に言うと、我々の動議の内容が正鵠を射ていたと、つまり要点を正しく押さえていたという理解でよろしいでしょうか。

◯知事(達増拓也君) 先ほど申し上げましたとおり、3月末に国から令和5年度の補正予算での活用を見据えた中小事業者の賃上げ環境整備に対する支援に活用できる交付金の増額配分があり、そして、パートナーシップ構築宣言の普及拡大の要請もあったことを踏まえ、本6月定例会で補正予算案を提案しているものであります。

つまり、我々の組み替え動議も要点を押さえていたということだと捉えております。
 パートナーシップ構築宣言を登録要件とするということですが、ちなみに県内にどの程度パートナーシップ構築宣言を行っている企業があるのか、その辺の状況と今後、この賃上げの取り組みの波及効果がどの程度上がっていくのかお伺いいたします。

◯商工労働観光部長(岩渕伸也君) パートナーシップ構築宣言でありますけれども、これは、事業者がサプライチェーン全体の付加価値向上、大企業と中小企業の共存共栄を目指し、企業規模にかかわらず、発注者側の立場から、代表権のある者の名前で自社の取引方針を宣言するもので、適切かつ円滑な価格転嫁に向けた環境整備を進めるための取り組みとなっております。
 その数でございますけれども、現在、本県のパートナーシップ構築宣言の登録数は、令和5年6月23日現在で117社となっております。
 それから、賃上げ、どれくらい目指すのかという話でありますけれども、経営革新計画において、これが承認されるための経営の相当規模程度の向上の指標として、給与支給総額の伸び率プラス年1.5%以上(後刻「2.2%」と訂正)とされているところでございます。

(2)  補正予算案に盛り込まれた賃上げ補助の内容について

パートナーシップ構築宣言の登録数は、117社ということで、今後広げていっていただきたいと思います。
 令和5年6月16日に公表された経済財政運営と改革の基本方針2023、いわゆる骨太の方針には、賃上げという言葉が30回近く出てきております。国を挙げた異次元の少子化対策の中でも、若年層の賃上げが重要なテーマとされており、まさに国を挙げての喫緊の課題であることが、改めて認識されたところであります。
 本県の1人当たりの県民所得は、新型コロナウイルス禍の影響が響き、2年連続前年度を下回っております。また、全国を100とした場合、2020年度本県の1人当たりの県民所得は89.2と10ポイント以上の差がございますが、さらなる取り組みが求められる状況にあります。
 補正予算案で示されている中小企業等賃上げ環境整備支援事業費補助は、補助率については3分の2と高率であるものの、その補助上限額200万円と、中小企業の抜本的な賃上げに必要な投資規模としては不十分ではないでしょうか。どのような整備内容を想定しているのかお伺いいたします。

◯商工労働観光部長(岩渕伸也君) あらかじめ想定している設備投資や人材育成等に要する経費の内容といたしましては、新たな商品の開発、生産や既存商品の量産化に必要となる機械装置の購入費用、また、新たなサービスを提供するために必要な専門家派遣や研修費等の人材育成に要する費用、さらには、新たな販路を開拓するための広告宣伝や販路開拓に要する費用など幅広にしておりますが、これらに限らず、さらに個々の事業者のさまざまな提案に対応した広い取り組み内容を対象経費としていきたいと考えております。
 また、補助上限額についてでありますけれども、限られた財源をより効果的に活用していくことを念頭に、他県における取り組みなども参考としながら、より多くの事業者の生産性向上の取り組み支援、また、パートナーシップ構築宣言の普及拡大に資するよう、補助上限額を200万円としたものでございます。

(3)  賃上げ対策の今後の展開について

例えば秋田県では、中小企業の生産性向上を促進するために、補助上限額を1,000万円とする補助事業を6月定例会に提案されております。補助率は岩手県と同じ3分の2ということであります。
 今回の骨太の方針や隣県の取り組みを見ても、今回の補正予算案の内容だけでは、規模感あるいは対応のスピードが少しどうなのかな、ツーリトル、ツーレートの感が否めない、このように思います。今後の取り組み方針も含めて当局の見解をお伺いいたします。

◯商工労働観光部長(岩渕伸也君) 秋田県における商業・サービス産業経営革新事業等につきましては、電力価格等の高騰による経営環境に大きな影響を受けている事業者のエネルギー効率を高めるための生産設備の更新等を支援し、中長期的な生産性の向上と経営基盤の強化を図るためのものであると承知しております。例えば、店舗や倉庫の冷凍、冷蔵装置の更新などを補助対象としているものでありまして、大規模かつ対象を絞り込んだ事業であると受けとめております。
 6月定例会への提案となった補助上限額の考え方については、答弁したとおりでございますけれども、現時点で活用できる限られた財源の中で、できるだけ多くの事業者に、生産性向上や県内における適正かつ円滑な価格転嫁を支援していきたいと考えているところであります。
 今後につきましても、中小企業者の経営課題を的確に捉えつつ、国の交付金の動きなども踏まえながら、適時適切に必要な施策を検討してまいります。

(4)  農地を有効活用した岩手の農業について

ア 地域計画の策定や農地の有効活用について

次に、農地を有効活用した岩手の農業についてお伺いいたします。
 人口減少によって農業従事者の減少、高齢化が非常に重要な問題になっていると思っております。70歳以上の年齢構成が53%と今なっている中で、40歳から59歳の年齢層がここ10年間で6割減少しています。次の担い手というか支える方々が非常に絞られてきているという構造です。今後10年、農業者が劇的に減少して、豊富な土地資源を活用した岩手県の農業の強みを将来にわたって維持発展できなくなることが危惧されております。
 そういったことから、ぜひ水田などの農地について、地域内でどのような担い手が、どう活用していくかを幅広く議論していく必要があろうかと思います。
 そこでお伺いいたします。国では、地域での話し合いにより、目指すべき将来の農地利用の姿を明確化する地域計画を市町村が策定することを進めておりますが、県として、農業従事者や水田などの農地の実態を踏まえ、地域計画の策定、農地の有効活用に向けた取り組みをどう進め、どのように岩手県の農業を発展させていこうと考えているのかお伺いいたします。

◯農林水産部長(藤代克彦君) 担い手の減少、高齢化の進行により農業生産の低下が懸念される中、農地を有効に活用し、本県の農業生産を維持、拡大していくことが重要でございます。
 今般、市町村においては、令和6年度末までに、将来の農地利用の姿を明確化した地域計画を策定することとされ、県内では、約380の地域計画の策定が計画されております。
 県では、こうした市町村の取り組みを支援するため、県や農業委員会等で構成する推進チームが中心となって、農地の出し手、受け手の意向把握とともに、地域において、将来の農地利用や地域農業を担う経営体の確保、育成に向けた話し合いを進めております。
 また、地域計画の策定を先行して進めるモデル地区を県内4カ所設定し、市町村の取り組みを支援してきたところであり、今年度は、モデル地区での取り組みや県外の優良事例などを学ぶ研修会を開催し、計画策定のノウハウ等の普及を図ることとしています。
 今後は、策定された地域計画に基づき、野菜等の高収益作物の導入や地域農業を担う経営体への農地の集積、集約化を進め、農業生産の維持、拡大を図るなど、本県農業が持続的に発展するよう、関係機関、団体と連携しながら取り組んでまいります。

イ 農地中間管理機構の取組について

地域でしっかりと議論しながら、将来の農地利用のあるべき姿を本当に見据えて取り組んでいくことが重要だと思っております。そのためにも、大規模経営体が生産基盤を確保し、農地の集積のほか農地の集約化が必要と考えますが、これまでの農地中間管理機構の農地の集積、集約化の取り組みの総括、成果についてお伺いいたします。

◯農林水産部長(藤代克彦君) 本県では、農地中間管理機構である岩手県農業公社を中心に、関係機関、団体が一体となって、地域農業の核となる担い手等への農地集積の取り組みを進めてきた結果、農地中間管理機構による貸付面積や新規集積面積が全国トップクラスに位置するなど、一定の成果をおさめてきたところです。
 一方、農地の集積、集約化のさらなる推進に向けては、平場地域では、集積した農地の集約化、中山間地域では、農地の受け手となる担い手の確保、育成などが課題となっております。
 このため、現在進められている地域計画の策定の中で、平場地域では、集積した農地の集約化に向けた農地の利用調整、中山間地域では、農地の受け手となる営農組織の立ち上げなど、地域の農地を将来にわたりどのように利用していくか議論を深めていただいており、県としては、引き続き、地域計画の策定を支援するとともに、計画に基づき、農地中間管理事業等を活用した担い手への農地の集積、集約化が加速化するよう取り組んでまいります。

国では、農業経営基盤強化促進法を一部改正して、農業を担う者の確保、育成を図るための体制を県が整備すること、そして、県では、岩手県農業経営・就農支援センターを設置しているところであります。
 農地の有効活用、人材の確保、育成を一体となって取り組んでいってほしいと思います。県として、目指す成果をどのように考えているのか、端的にお伺いいたします。

◯農林水産部長(藤代克彦君) 本県では、新規就農者の確保、それから、ただいま申し上げました農地の集積、集約化、さらに、将来地域農業の核となる経営体の育成といったものに向けまして、JAグループ、そして公益財団法人岩手県農業公社、農業委員会、県等で岩手県農業経営・就農支援センターという組織を設置いたしまして、それぞれが担う役割をしっかり果たして担い手の育成、農地の集積を進めております。
 引き続き、そういった関係機関との連携を強めながら、地域において担い手を確保、育成して、高収益な野菜等の作付を拡大し、農業生産を伸ばしていけるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。

3 知事の県政運営について

(1) 市町村との関係について

それでは、次の、知事の県政運営についてお伺いいたします。
 知事は、かつて県議会において、市町村要望に知事が対応して市町村の悩み事をきちんと聞く機会を設けるべきだとの意見に対し、広域振興局長が市町村からの要望を受け、組織として対応するやり方が機能していると答弁されておりました。
 そこで、今般、知事就任からこれまでの長い慣例を改め、14年ぶりです、14年ぶりに市町村要望に知事が同席する形をとりましたが、その本意は何でしょうか。

◯知事(達増拓也君) これまでの県議会において、複数の議員から、市町村要望の中で知事が市町村の話を聞く機会をつくっていくべきであるという意見や、知事が出席することで県と市町村の関係をより強固なものにしていくことにつながるなどの意見をいただきましたことから、今回、市町村要望に知事が出席することといたしました。
 既に5市町村の要望に同席しておりますが、コロナ禍や物価高騰等による地域の実情や人口減少対策等について、市町村長や市町村職員の生の声を直接聞くことができるよい機会であると感じております。

生の声を聞けるというのは、それは最初からわかっている話でございまして、私の理解では、やはり広域振興局というのは、もう現場で解決するのだ、そういったことで広域振興局、地域課題は、そこの局長が責任を持って取り組んで、要望も聞いて、解決方策をとっていく。そこで情報共有を知事に、あるいは本部の本庁に上げてくるということで理解しておりました。
 今までの14年間の取り組みをかたくなに、いろいろな議会でのやりとりの中で、組織対組織の対応としてやっているから大丈夫だということで通してきたわけですけれども、何か先ほどの人口減少の市町村との共同宣言にも通じるのですが、私には何となくコミュニケーション不足が根っこにあって、首長の本音がうまく伝わっていないのかと映っております。
 今回、知事もみずから出ていく、これについては否定もしませんけれども、逆に、私は知事と広域振興局長との役割分担とかがどうなっていくのかということが少し気になります。
 また、市町村との連携がうまく進まない、共同宣言のおくれも、知事のこれまでのスタンスが尾を引いているのではないかと先ほど言いましたけれども、引き続き、知事はこの市町村要望に続けて出席していくスタイルをとられるのかどうか確認させてください。

◯知事(達増拓也君) いわゆるコロナ明けと呼ばれる状況で、知事、また市町村長の日程が、コロナ禍が始まる直前以上に忙しいようなところもあって、現在も日程を確保するのに苦労しながら調整しているところではありますけれども、調整可能であれば続けたいと思っております。

(2)  知事の任期について

現場の職員もいろいろ戸惑っている部分も多少あるかと思います。増田県政のときには、率先して市町村に出向いていきながら、現場の声を積極的に聞いていった姿を思い出します。その辺についてはこの程度にしておきますけれども、次の、知事の任期のほうに移ってまいります。
 知事は、県政史上最長の知事になられました。前回もお尋ねいたしましたが、2006年に、当時の小沢一郎民主党前副代表、県連最高顧問が、絶対の権力を持つ知事ポストを長期にわたって1人が独占するのは、民主主義のルールとしてよろしくないと発言されておりましたが、私は、これこそが民主主義のルールを踏みにじる暴言ではないかと思います。知事の所感をお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 何期目であれ、選挙管理委員会が執行する適正な選挙によって選出された人が知事になることは、民主主義のルールに反するものではないと考えます。

ですから、当時の増田寛也さんの4選を、ある意味、民主主義のルールという名のもとに阻んだといいますか、そういった部分があったわけであります。
 そもそも、まさに民主主義のルールというのは、有権者あるいは立候補される方の自由意思に基づいて行われるというのは、そのとおりだと思います。大事なのは、何年やろうとも、政策の成果を上げて、清廉潔白で高潔な方が、そして実行力、行動力を持って取り組む、そして、組織の風土、風通しもよく、本当に有能な県職員のみんなが生き生きと仕事をされている、そのような組織であれば、何年やろうが私はいいと思います。
 ただ、残念ながら、今の県の中で、私は前々から言っていますけれども、職員の疲労感とか風通しの生き生き感というのが、少しとどまっているのではないかと感じます。具体的な数字で言いますと、前々から言っている精神疾患の実人員は、ここ10年間で、平成26年から倍増している。そして、20代、30代、これは4倍です。平成26年15人が、令和3年58人までふえている。こういった状況において、とても風通しがいいとはなかなか言えない。
 逆に、知事は常日ごろ、生きにくさを生きやすさにとおっしゃいますけれども、まさに県職員の足元から、そういうような取り組みを進めていただきたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 冒頭、まず、私の自由意思に関しても尊重し、何期でも、何年でもいいのだということをおっしゃっていただいたことに感謝申し上げたいと思います。
 そして、私は歴代の岩手県知事の中でも、答弁検討を初め、さまざまな政策に関する職員との議論については、一番時間をかけているほうではないかと思っておりまして、そういう風通しに関しては、歴代知事の中でもかなり通しているほうではないかと思っております。
 一方、心を含む健康の問題で県職員に病気がふえているというのは、私も心を痛めているところでありまして、それを防ぐための健康管理、メンタルケアなど、さまざま新しい相談体制や組織としての対応なども設けているところであります。東日本大震災津波からコロナ禍、そこにまた多数の災害や鳥インフルエンザ対応など、今までにないような急に仕事が大変になるということが重なってきている昨今ではあるのですけれども、そういう危機的状況だからこそ、職員の健康は、まずこれはイロハのイとして、知事を先頭に県組織として対応していきたいと思います。

(3) 知事退職手当の方針転換について

ぜひ、職員のそういった一人一人に寄り添っていただきたいと思います。
 知事の、あるいは、知事だけではないですけれども、幹部職の皆様が、そういった職員に目配り、心配りしていただきながら、有能な職員がつぶれていくということが非常に苦しい、もったいないといいますか残念なわけでございます。ぜひ、本当に職員の持っている力を発揮できる組織をつくっていただきたい。逆に、それができなければ、それは先ほどの違う話になるということであります。
 次に、知事退職手当の方針転換について伺います。
 県議会1期目で退職金廃止を掲げた理由を知事は、知事には高額の退職手当、1期当たり3,800万円程度が支給されることに疑問を感じていたと。その理由は、本県の財政が大変厳しい今、少しでも県民の暮らしと仕事の向上に役立つ税金の使い方をすべきだとしておりましたが、令和5年2月県議会での退職手当受給の理由として、総合的に判断したとのことでしたが、総合的な判断の具体的な理由をお示し願います。

◯知事(達増拓也君) 総合的に判断したというのは、具体的な理由を組み合わせて判断したという意味ではなく、まさに総合的に判断したという意味であります。

法律の規定で判断の余地がないならともかく、知事の判断は、すべからく総合的に判断いただくのは当たり前のことです。一方的な判断や短絡的な判断などあってはならない。
 当時、本県の財政が大変厳しいことを理由の一つに退職手当を廃止されていましたが、全国と比較して現在の財政状況に余裕があるとの認識でしょうか。また、かつて知事は、国会議員には退職手当がない。知事には高額な退職手当が支給されていることに疑問を感じていた。そういった理由から退職手当を廃止したとも語っておりますが、総合的な判断の一端を伺いたいと改めて思います。
 特別職とはいえ、職員の給与等のあり方に関する質問でありますから、総合的の一言では片づけないでいただきたい。何日も前に通告しておりますから、よろしくお願いします。

◯知事(達増拓也君) 退職手当を受けない条例を提案するのであれば、明確な理由やいわゆる立法事実が必要かと思いますけれども、そういうことをする決断をしていないということでありますので、総合的に判断して、何か理由をたくさんつけて提案をするというようなことをしていないということであります。
 それから、県財政の逼迫状況についてでありますけれども、1期目、2期目のころ、一度だけでその後していないのですけれども、私はそのとき、やはり県の財政の厳しさから、ここは県職員の給与も全面的に引き下げるということをしなければならないとして、知事に退職金を出さない条例プラス県職員の給与を削減するということをしたくらい、当時は、危機的状況であり、幹部職員の給与については、20%削減とか、そのくらいのスケールでやっていたわけでありましたけれども、現在はそのような全ての職員の給与を削減しなければならないという状況にはないと考えております。

(4) 副知事2人制の評価について

今いろいろとお話しいただきましたけれども、私は、先ほどの政治的スタンス、2期8年あるいは退職手当を受け取らないという信条で、本当に潔い形でこの議会で答弁されて、皆さんから期待のまなざしを受けて知事になられた姿を思い出します。
 ただ、この方針転換に係る部分の県民への説明責任がなかなか十分伝わっていないと思います。まさに私は、法律論ではなくて、これこそが政治家としての矜持の問題だと捉えております。その辺のプライドも含めさまざまな思いがあろうと思いますけれども、次の質問のほうに進めてまいります。
 副知事2人制の評価についてお伺いいたします。
 千田県政2期目の昭和42年から採用されたこの副知事2人制は、1人を大蔵省から派遣を求めたもので、大県構想実現のために国費を積極的に導入するという発想からのものでありました。当時は非常に珍しい制度でありましたが、その後、各県が導入しておりまして、当時の千田知事の先見性を示すものと言われております。
 現在のこのプロパー職員である副知事2人制の評価と成果についてお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 副知事についてでありますが、昭和22年の地方自治法施行時には、副知事は原則1人とされ、条例に定めがある場合には複数配置することが可能とされておりました。
 その後、昭和42年に、既に12都道府県において副知事を複数配置している中、本県においても、同年、副知事を2人としたものでありますが、平成18年の地方自治法改正で副知事の人数は条例で定めることとされ、現在では、37都道府県において複数の副知事が配置されています。
 副知事の人数を何人にするか、どのような人材を副知事として配置するかは、本県を取り巻く社会経済情勢を踏まえ、また、県全体の人事配置の中で、適材適所の考え方により判断すべきものと考えております。
 現在、両副知事は、いわて県民計画(2019~2028)の推進に当たり、それぞれが所管する分野の本部員会議を主導するなど役割を分担し、また、部局をまたいださまざまな重要政策を進展させるなど、知事を支え、県政の推進に大きく寄与していると考えております。

(5) 県立大理事長報酬について

これまでも副知事2人制をとっているときは、片方は国からの職員でございました。一番近いのでは、東日本大震災津波直後、国からいらしていた上野副知事が、本当に国との連絡調整、復興関連業務を担っていただいて、岩手県の復興は、上野副知事なくしては語れないという思いをしております。まさに、国の上野善晴さんは、お人柄もそのとおりでしたし、能力もありまして、職員を叱咤激励しながら、ダイナミックに役割分担やトップマネジメントをしていただいたと思っております。
 決して誤解のないようにお願いしたいのは、今のプロパー職員のことをどうだこうだと言っているわけではなくて、私は、やはりこういったダイナミックな仕事を、あるいは部下の職員の人たちも、国からの副知事を1人という今まで進めてきたような体制は、非常に刺激的だし、仕事についても、岩手県、国との連携もスムーズに進むのだろうと捉えております。その辺については、ぜひ御検討していただきたいと思います。
 続きまして、岩手県立大学理事長の報酬について伺います。
 令和5年2月定例会の予算特別委員会で、理事長報酬5割アップについて、県からの指示があったと関係者から聞いているとの質問に対し、承知していないとの答弁でありましたが、指示を含め何らかの働きかけがあったのかなかったのか、この事実関係の確認結果についてお伺いいたします。

◯知事(達増拓也君) 今の臼澤勉議員の御質問につきましては、予算特別委員会の部局審査でふるさと振興部長が答弁した内容についてでありますので、今、私が答えるとすれば、部長答弁のとおりですということになりますが、詳しくは、ふるさと振興部長から答弁させたいと思います。
◯ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 岩手県立大学理事長の報酬につきましては、地方独立行政法人法第48条第2項の規定により、大学において決定し、設置団体の長に届け出ることとされております。
 理事長の報酬につきましては、法の規定により大学が決定したものであり、適切なプロセスを経て決定されたものと認識しております。

私は、県から指示を含め何らかの働きかけがあったのかなかったのか、事実関係の確認結果について聞いているわけであります。答弁になっておりません。もう一度お願いいたします。

◯ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 公立大学の理事長を含む役員の報酬につきましては、地方独立行政法人法の規定により、国及び地方公共団体の職員の給与、他の一般地方独立行政法人及び民間事業の役員の報酬等、それから、当該一般地方独立行政法人の業務の実績等を考慮して定められなければならないとされております。
 岩手県立大学においても、法の規定にのっとり報酬額を決定しておりまして、先ほど御答弁申し上げましたとおり、適切なプロセスを経て決定されたものと承知しております。

議事進行。ちょっと時計をとめていただきたいと思います。
 全く私の質問に答えていません。私は、報酬の決定プロセスを、大学の中でどう決まったかとか、そういう話を聞いているのではなくて、県が、大学側に対して、その報酬を5割アップするように働きかけがあったのか、あるいは何か指示があったのかないのか、それを聞いているのであります。
 事前に質問通告をしております。県からの指示を含め何らかの働きかけがあったかどうか全く答えていないのであれば、私たちのこの事実確認は全くできません。議会軽視であると言わざるを得ません。議長からお取り計らいをお願いいたします。

◯副議長(小野共君) 発言者臼澤勉議員からの今の質問の内容は、事実確認を求めるものであります。配慮をお願いしたいと思います。
 再開いたします。
◯ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) いわゆる報酬アップに関して、県から指示があったかということにつきましては、私は承知しておりません。

ですから、ふるさと振興部長が承知しているかどうかを聞いているのではないです。県の組織として何らかの働きかけ、指示ではないかもしれないです。何らかの働きかけがあったのかどうかを私は聞いているのであります。答弁をお願いします。

◯ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) 県として、指示とか働きかけ、そういったものはしておりません。

ないという回答ですね。
 私は、県の幹部が岩手県立大学に来たという情報もいただいております。私が把握している情報と今の答弁は全く違うわけであります。議会を軽視はしていないと思いますけれども、正しい答弁を求めるものであります。
 議会には、地方自治法第98条の検査権、さらに第100条に定められている議会の100条調査権等があるのは御承知のとおりであります。県政全般に係る具体的な事項について調査する権限、これは、調査に当たって強制力が与えられております。例えば関係者の出頭であったり証言、記録の提出、議会が請求したときには、請求された側は、正当な理由がない限り拒むことはできません。
 改めてお伺いいたします。岩手県立大学理事長の県行政への影響、報酬引き上げに関し、ただいま答弁いただいたことに関し、虚偽の答弁は一切ないということでよろしいですか。再確認いたします。

◯ふるさと振興部長(熊谷泰樹君) そういった虚偽はございません。

4 県立高校教育の在り方について 3問

(1)  高校再編について

また改めて、今回のここの部分については進めさせていただきたいと思います。
 今の答弁については、我々しっかりと捉えながら、そこの事実確認、もし仮にその事実に反するようなことがあったら大問題であります。そういった意味で、そこの答弁について、そこの働きかけがあるのかないのか、そういった部分の問題については、今後引き続き進めていきたいと思います。
 続きまして、いずれ県立大学におきましても、守秘義務とか、あるいは現在の理事長につきましても、人事あるいは企業の秘密情報等、県行政の決定に影響力を与えているとするならば、情報提供した県側も地方公務員法第34条の守秘義務違反である、あるいは元職員の働きかけを規制した38条2に違反する行為となると捉えております。県と大学については、それぞれ独立した法人であるのはそのとおりでありますので、そこについては、今後、引き続き私も注視していきたいと思います。
 続きまして、県立高校教育の在り方の質問に移ってまいります。
 急速に進行する少子化への対応は、避けて通ることができない大きな課題であります。本県における中学校卒業者数は、平成元年の2万2,833名を境に減少に転じ、令和6年度には1万人を割ることが推計されるなど、今後の15歳未満人口の減少率は全国と比べても速いスピードで減少し、歯どめがかからない状況にあります。
 今年度、県立高等学校教育の在り方検討会議を立ち上げ、検討に当たっては、中学生等へのアンケートの実施並びに外部有識者や地域の方々の意見を広く伺いながら、子供たちにとってよりよい教育環境が維持されるよう丁寧な議論を進めていくとのことでありますが、しっかりと生徒視点に立ってニーズを把握し、それぞれの学校の専門化、特色化、魅力化に努めた上で、交通インフラの整備状況を踏まえた九つのブロックの見直しなど、中長期にわたる抜本的な高校再編案を検討していくべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

◯教育長(佐藤一男君) 令和3年5月策定の新たな県立高等学校再編計画後期計画では、どの地域に居住しても高校教育を受けられる機会の保障と、将来の高校生も充実した高校生活を送ることができる環境の整備を目指し、地域の小規模校を維持した上で、高校魅力化の推進や教育の質の確保等に取り組んできているところです。
 また、中学校卒業予定者数の一層の減少が見込まれる中、現行計画の周期を見据え、外部有識者による県立高等学校教育の在り方検討会議を設置し、次期再編計画の策定に向けた長期ビジョンの検討に着手したところでございます。
 今月開催した第1回会議では、県として、今後の高等学校教育における理想を定め、その実現に向けた方策を議論していく必要があるのではないかなどの御意見を頂戴したところです。
 今後の検討に当たりましては、先ほど議員から御紹介がありましたとおり、中学校3年生と保護者へのアンケートの実施、それから、地域の方々等の意見を広く伺いながら、本県の高校教育を取り巻く状況の変化、中長期的な見通しを踏まえ、子供たちにとってよりよい教育環境が維持されるよう、丁寧な議論を進めてまいりたいと考えております。

 学力向上のほうに移りたいと思いますが、それぞれ生徒が学びたいことを学ぶのが理想でありますが、試験の点数や偏差値が絶対的な指標ではないものの、県立高校については、一義的には学校施設としてどうあるべきかという視点が重要であります。
 その中で、他県と比較して、本県の県立高校の学力は、相対的に低水準にとどまっているのではないでしょうか。多様な学び以前に、全国の大学進学率が50%を超えているにもかかわらず、本県が39.7%、全国46位にとどまっている現状を鑑みれば、進学に当たっての選択肢が広がるように、学力向上に向けて一定規模の学校を残すこと、多様な科目や部活動の選択肢を示すこと、そして、進学先の選択肢を広げていくことが必要ではないでしょうか。
 教師への研修にとどまらない抜本的な高校のあり方の見直しを求められていると思いますが、御所見をお伺いいたします。

◯教育長(佐藤一男君) 学力向上についてであります。
 生徒の興味、関心、進路等が多様化する中、進学や専門分野の深い学びを希望する生徒のために、一定の学校規模の確保や幅広い教科、科目の開設等により、多様な進路希望を実現できる教育環境の整備を図っていくことは重要でございまして、いわての高校魅力化グランドデザインに基づき、質の高いいわての高校教育の実現に取り組んでいるところです。
 県教育委員会では、大学進学を希望する生徒に対して、県内大学と連携して、高校生が大学での学びを体験する高大連携ウィンター・セッション、複数の学校による合同講座や各学校の取り組みを支援するいわて進学支援ネットワーク事業、医学部希望者を対象としたメディカル・プログラムなど、生徒の進路希望の実現に向けて取り組んできております。
 加えて、今年度から、進学を希望する生徒を対象とした配信型講座や、文理の枠を超えた学びを通じて高校生の理数分野への興味、関心を涵養するため、探究・STEAM教育推進事業を実施しており、高校教育のさらなる充実を進めてまいります。

(2) 高校魅力化の取組について

それで、高校魅力化の取り組みについてもお伺いいたします。
 人口減少対策として岩手県において実施している魅力化の取り組みの中で、今の中学生、そして潜在的に高校生になる人にとって、地元に残りたい、残ろうという本当にインセンティブになりそうな事業、また、その手応えのある事業がどれほどあるのか把握しておく必要があるかと思います。
 これらの取り組みについて、実際に効果が出ているのか、どのような指標ではかっているのか、そのお考えについてお伺いいたします。

◯教育長(佐藤一男君) 高校魅力化の取り組みについてであります。
 本県では、令和4年度から全県立高等学校を対象としたいわて高校魅力化・ふるさと創生推進事業によりまして、高校と地元市町村等の協働体制の強化を図りながら、高校生による地域や地域産業の抱える課題の解決を図る探究的な学習活動、それから、小中学校に高校生が出向いて、高校での学びを伝える講座等の取り組みを推進しております。
 こうした魅力化の取り組みの効果について客観的な指標により評価、検証を行うため、他県でも活用されている評価システムを導入して、全県立高等学校の生徒等を対象として調査を実施いたしましたところ、地域の問題にかかわりたい、地域の役に立ちたいなど、地域貢献意識を問う設問に対する肯定的な回答が、全国平均を上回ったところでございます。
 本年度も調査を継続することとしており、その結果を各学校の取り組みの改善に生かしていくなど、各校の魅力化の取り組みを支援してまいる考えであります。

(3) 学力向上について

今、県立高校の入学者の選抜特色入試の見直しが動いております。推薦入試の廃止と特色入試への移行によりまして、大会の実績があり、能力もある生徒を高校側が受け入れたいと思っても、実績の基準を示すことができずに、中学生また保護者にとって不安をあおり、受験回避するのではという現場教員の声が上がっております。
 競技や芸術科目によっては、1日の実技や口頭試問で能力を評価するのは、高校側にとっても精神的にデメリットが大きいのではないかと思います。
 また、入試日程から見ても、1月の推薦入試をなくすことで、部活動の実績があり高校でもその能力を生かして頑張りたいという生徒が、私立高校に流れるのは容易に想像できます。
 これまでの本県の公立高校は、各校とも文武両道を狙い、公立でもできると数多くの実績を残し、本県の競技力向上や芸術文化における成果につなげてきたところであります。
 今回の変更により、その活躍を導いてきた多くの優秀な指導者の意欲を低下させるとともに、公立高校生徒の活躍の場が失われることが懸念されますが、この点について教育長の御所見をお伺いいたします。

◯教育長(佐藤一男君) 県立高校入学者選抜における特色入試についてであります。
 近年の生徒の活動の多様化や自主的、自発的な部活動の浸透、各県立高校の入学者の受け入れに関する方針などのスクールポリシーの策定、高校を取り巻く状況がこのように変化してきており、入試制度の見直しが求められているところでございます。
 新制度の特色入試では、各高校が入学者の受け入れに関する方針に基づいて示す求められる生徒像を参考に、生徒がみずからの判断で主体的に出願できるようにすることとしております。これによりまして、生徒一人一人が、その多様な資質、能力、興味、関心、適性に基づいて、より一層適切に高校を選択できるようになるものと考えております。
 各高校は、選抜に当たって、スポーツや文化、芸術活動も含め、生徒が日常的に取り組んだ学習や活動を通して身につけた資質、能力を評価することとしており、このような新制度の趣旨や実施方法について、中学生や保護者、教職員など学校関係者に対して丁寧に説明してまいります。

5 全国植樹祭と緑の少年団について

推薦入試の時期が、本来であれば私立高校を受けられるようなタイミングのところで今まではできたわけでございますけれども、もう3月の後ろのほうになってくると、選択肢が狭められていくという中で、非常に能力のある子供たちが非常に不安感も持っていると思います。
 さまざまな検討を進めていかなければいけないのは重々承知いたしますが、ぜひ岩手式の特色入試への移行という部分を望んでいきたいと思います。
 それでは、最後に、全国植樹祭と緑の少年団についてお伺いいたします。
 先般、全国植樹祭が陸前高田市で開催されまして、本当に感動的な大会だったと思います。12年前の瓦れきに埋もれていた場所、そして岩手県立高田松原野外活動センターなどもあった思い出の場所で、全国、そして天皇皇后両陛下をお招きして全国植樹祭が開催されたことを、本当にうれしく思います。
 そして、前回の全国植樹祭においても、本県の未来を背負って立つ児童生徒を構成員とする緑の少年団が、全国的に高く評価されたというレガシーが残っているわけでございます。
 次代を担う子供たちに森林の働きや大切さを認識させ、守り育てる意識の醸成を図る絶好の機会だったと思いますけれども、評価をどのように捉えているのか。あわせて、今後どのように育成していこうとしているのかお伺いいたします。

◯農林水産部長(藤代克彦君) 全国植樹祭においては、緑の少年団を始めとした多くの子供たちが、植樹する苗木を育成する苗木のスクールステイや天皇皇后両陛下がお手まきする種子の採種、会場に設置する木製プランターカバーの製作のほか、記念式典でのお手植え、お手まきの介添えを行うなど、延べ2,000人の子供たちが参加したところです。
 また、子供たちからは、森林について勉強し、大切な役割を果たしていることを学んだ、自然がさらに豊かになり、幸せに暮らせる環境が続いてほしいなどの感想があり、木を育てることや森林の大切さについて、理解を深める大変よい機会になったと考えております。
 来月開催を予定している岩手県緑の少年団大会では、全国植樹祭に参加した子供たちの貴重な体験の発表や、木を切って、使って、植えて、育てる森林資源の循環利用について理解を深める取り組みを行うこととしており、県としては、次の世代を担う子供たちが、本県の豊かで多様な森林のすばらしさなどに理解を深め、森林、林業への関心が高まるよう取り組んでまいります。

前回の全国植樹祭に子供たちが、団員数2,121人のうち約7割の1,413人が参加されたという資料をいただいておりました。本当にこれが全国のこういった愛護活動というか子供たちの、緑の少年団の広がりになったところですけれども、大会の規模感が違うから単純に比較するのはいかがかとは思いますが、今回、団員数が県内に3,281人いらっしゃるわけですが、緑の少年団で参加された方々は123人にとどまっているという資料をいただいております。
 ある首長からも、天皇皇后両陛下もいらっしゃるせっかくの機会だったので、こういった全国大会に県内の3,000人近くいる団員の中でもっと広く参加を促してほしかったという声も聞いたわけでございます。その辺の御所見をお伺いさせてください。

◯農林水産部長(藤代克彦君) 今回の全国植樹祭については、今、議員御指摘のとおり、緑の少年団123人参加というのは、当日の記念式典の参加でございます。当日の記念式典は、やはり新型コロナウイルス感染症の蔓延という形で参加する人数の制限がございました。
 そういった中で、当初6,000人規模で計画していたものが4,000人まで減らす、あるいは座る椅子等も用意していましたけれども、これも3人ぐらい座れるわけですが、2人がけにするような形で人数を制限せざるを得なかった部分もあって、なかなか参加が難しいところでしたけれども、先ほど申し上げました苗木のスクールステイあるいはお手まき種子の参加など、こういった開催までの途中段階での参画を見ますと、3,200人いらっしゃる緑の少年団のうち、1,000人ぐらいはそういった活動に参加していただきました。
 また、先ほど申し上げました緑の少年団の岩手県の大会を来月予定していまして、こういったところに参加して、大会当日に参加した子供たちが、天皇陛下、皇后陛下のお手まきの介添えをしたという貴重な体験をさまざま活動発表していただいて、いろいろ理解を深めていっていただければと考えているところであります。

今回も、陸前高田市で開催されましたけれども、隣の大船渡市からの少年団員はゼロというような数字もいただいております。本当に気仙地域とか広域エリアからも、ぜひどんどん入ってほしかったと思います。来年、矢巾町で次の実施の計画もあるということで伺っておりますので、今回に限らず、次の未来に向けての子供たちの育成、林業分野の担い手のみならず森林の多面的な機能の役割を知っていただくためにも、これは終わりではありません。あるいは教育的な意味合いも非常に強いわけでございます。
 まさに、例えば森林セラピーとか、山に入って、あるいは生きる力を養っていくような体験型も含めて、そういった森の機能をぜひ広げていっていただきたいと思います。
 最後に、知事の、未来の子供たちへのそういった取り組み、思いを聞いて、終わりたいと思います。

◯知事(達増拓也君) 今の若い世代、子供たちは、世界中で地球環境問題に非常に熱心に取り組んでいて、日本においてもそういうことが期待されていると思います。
 岩手県の場合は、今住んでいる場所、地元に、地域に守るべき自然、守るべき環境があり、そして、それを活用することでまた保全していくという森林、林業のサイクルも体験できるということで、実地にさまざまな体験をしながら、地球環境を守っていくことにつながる。世界中の子供たちが今、地球を守ろうとしている中で、岩手県の子供たちも名誉ある地位を占めてほしいと思いますし、そうできるように頑張っていきたいと思います。