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県議会報告

令和4年度2月定例会 予算特別委員会(農林水産部・農業関係)(令和5年3月15日(水))

2023.04.08

1 いわてみどりの食料システム戦略推進事業費について

(1) 実績・評価と令和5年度の予定について

令和4年度の実績・評価と、令和5年度の推進体制を含む予定はどうなっているのか。

【農業普及技術課総括課長答弁実績】
 いわてみどりの食料システム戦略推進事業費についてでありますが、本事業は、国の「みどりの食料システム戦略推進交付金」を活用し、天敵昆虫を活用した化学農薬の低減等の栽培技術のグリーン化や有機農業の産地づくりなどの取組を推進するもの。
 令和4年度においては、有機農業指導者の育成等の県の推進事業分は、概ね計画どおり実施したところ。
 市町村等への補助事業について、「有機農業産地づくり推進」等の取組は、事業要望調査後に事業要件が厳格化されたことなどにより、要望が取り下げられ、実績なしとなったところであり、取組市町村等の一層の掘り起こしが必要と認識している。また、地域循環型エネルギーの導入に向けては、陸前高田市の醸造用ぶどう栽培圃場における営農型太陽光発電のモデル的取組を支援しているところ。
 令和5年度においては、令和4年度の取組に加え、新たに有機農業に取り組む農業者に対し10aあたり2万円を交付するほか、有機農業の理解醸成を図る交流会の開催、市町村が取り組む有機農産物の販売会や学校給食への食材供給などを支援することとしている。
 このような取組を効果的に推進するため、令和5年度の早い段階に農業者団体や消費者団体等と一体となった推進体制を整備していくこととしている。

(2) 環境負荷軽減型自給飼料生産拡大支援事業について

ア 具体的な内容と目指す成果について

環境負荷軽減型自給飼料生産拡大支援事業について、具体的な内容と目指す成果について伺う。

【畜産課総括課長答弁実績】
 環境負荷軽減型自給飼料生産拡大支援事業についてでありますが、国のみどりの食料システム戦略では、環境負荷軽減の取組の1つとして、2050年までに化学肥料の使用量を3割低減する目標を掲げており、県では、牧草についても、環境負荷軽減に配慮した飼料生産を推進するため、牧草生産の際に堆肥を活用することで、輸入に依存している化学肥料の使用量を、通常の1割から2割低減しても、通常の栽培方法と同程度の牧草収穫量が確保できることを実証するもの。

イ 対象地域や面積等について

対象地域や面積、展開方法など、どのように取り組むのか伺う。

【畜産課総括課長答弁実績】
 対象地域や面積についてでありますが、この事業については、県が事業実施主体となり、県内各地の土壌や気象条件、地形などを勘案し、県内の8地域で実証を行うことしており、実証面積については1地域当たり5ha規模と考えている。
 この実証については、振興局や農業改良普及センターが、実証地の選定や牧草地への施肥量の設計、あるいは草地更新するための技術指導、その後の管理指導などを行い、収穫量を調査するとともに、生産した牧草の牛の嗜好性を確認し、堆肥を活用した牧草生産技術について、研修会等を通じて生産者の方々に普及させていくもの。

実証地域8地域とあるが、具体的に、どの地域を想定しているか伺う。

【畜産課総括課長答弁実績】
具体的な地域については選定中であり、各振興局、農林振興センターを通じて、希望する農家等の確認を行っているところ。県内全域を対象に、実証する地域を選定するもの。

(3) 県が実施する農業GXとの位置づけについて

GX関連予算であるが、県が実施する農業GXとの位置づけ。

【農業普及技術課総括課長答弁実績】
 県が実施する農業GXとの位置づけと目指す姿についてでありますが、本県農業の持続的な発展に向けては、地域経済と環境に好循環をもたらす脱炭素社会の形成に向けたGXの推進による一層の体質強化が重要である。
 このため、県では、農業分野において、GXの推進として、天敵昆虫の活用により化学農薬等の使用量を低減する栽培体系のグリーン化や有機農業の導入、堆肥を活用した牧草地改良の実証、更に地球温暖化に適応する新品種の開発などの施策を令和5年度当初予算案に盛り込んでおり、こうした施策を積極的に展開し、農業の体質強化を図っていくとともに、本県農業の持続的発展に向けて取り組んでいく。

2 酪農畜産振興について

(1) 酪農の安定経営について

県としての支援、取組などにより酪農経営を支えるべきと考えるが、県の取組はいかに。

【畜産課総括課長答弁実績】
 酪農の安定経営についてでありますが、昨年の11月に飲用向けの生乳価格が、1キログラム当たり10円引き上げられたものの、令和5年2月の乳牛の子牛価格は、前年に比べ、約6割低下し、さらに、配合飼料価格も極めて高い水準で推移するなど、生産コストが大幅に増加していることから、規模拡大や設備投資した農家にあっては資金面で厳しい経営環境にあると認識している。
 県では、これまで、配合飼料や肥料コストの上昇分を補てんする国事業の活用を積極的に進めるとともに、県独自に、酪農経営等への影響を緩和するため、配合飼料や肥料購入費への支援を行ってきたところ。
 また、昨年度から自給飼料基盤の積極的な活用による飼料確保と生産コストの低減に向け、水田を活用したホールクロップサイレージの生産を推進するとともに、牧草の生産性を高める草地更新等を積極的に推進してきたところ。これにつきましては、現地機関の職員に、農家に寄り添いながら支援していくよう指示しているところ。
 酪農家をはじめ畜産経営体は、依然として厳しい経営環境に置かれていることから、資金繰りに重大な支障が生じないよう、金融機関に対し、適時適切な貸出しや既往債務の返済猶予など、実情に応じた十分な支援を行うことを依頼しているところ。現地機関の職員にも、相談があった場合には適時対応するように、また、気軽に相談していただくために農家に周知するよう、取り組んでいるところ。配合飼料購入費への追加の支援策を2月補正で措置したところであり、引き続き、関係機関・団体と連携しながら、経営安定が図られるよう取り組んでいく。

(2) 肉用牛の振興について

昨年度、県有種雄牛のPR活動を行う「たねやま営業部」を設置したが、その取組実績と畜産農家への成果を伺う。

【畜産課総括課長答弁実績】
「たねやま営業部」の取組実績等についてでありますが、県では、県有種雄牛の産肉能力の高さをアピールし、より一層の利用拡大を図るため、令和3年度から県畜産研究所種山畜産研究室に県有種雄牛のPR活動を行う専門職員を配置した「たねやま営業部」で、凍結精液の販売促進活動を強化してきたところ。
 今年度は、県外の肥育農家から、県有種雄牛の枝肉成績を独自に収集し、最新情報を生産者等に提供するほか、和牛専門誌、農業新聞への広告掲載、昨年10月に開催された全国和牛能力共進会鹿児島大会におきまして、での全国の和牛関係者約5千人へのPRなどに取り組んだところであり、こうした取組により、本年度新規種雄牛として選抜した「百合花智」は、昨年度に比べ約7倍、千本近い販売本数となっているところ。一部の県有種雄牛についは、県外に販売しており、その本数は約2倍となるなど、一定程度の効果があったものと捉えているところ。