ホーム  >  県議会報告  > 令和4年度2月定例会 予算特別委員会(農林水産部・林業関係)(令和5年3月15日(水))

県議会報告

令和4年度2月定例会 予算特別委員会(農林水産部・林業関係)(令和5年3月15日(水))

2023.04.08

1 東京電力損害賠償請求について

(1)東京電力損害賠償請求の交渉状況について

令和4年度に請求した第14次請求7,900万円のうち、農林水産部で所管する事業と、その交渉状況はどうなっているか。

【農林水産企画室企画課長答弁実績】
 第14次損害賠償請求7,900万円のうち、農林水産部の所管事業では、原木しいたけの出荷制限解除に必要な落葉層の除去等に要した経費3,200万円余、利用自粛牧草等の一時保管施設の維持管理に要した経費1,800万円余、食肉加工を目的とするニホンジカの放射性物質濃度検査に要した経費200万円余など、計5,400万円余を請求しているところ。
 現在、これらの費用について東京電力と賠償金の支払いに向けた交渉を進めているところであり、そのうち、原木しいたけの落葉層の除去等に要した経費については、全額が支払われる見込みとなっている。
 また、その他の費用については、東京電力において関係書類の確認を行っているところ。

賠償請求の対応についてどう考えているか。

【農林水産企画室企画課長答弁実績】
 原発事故に起因する損害は、原因者である東京電力が一義的にその責任を負うべきものであり、今後も継続して、復興防災部と連携しながら、損害賠償について、東京電力に対し、真摯に対応していただくことを求めていくこととしている。

2 原木しいたけ生産者の経営継続対策について

(1)原木の安定確保と価格適正化対策について

原木の需給逼迫により価格の高騰が続いている他、納期が1ヶ月ほど遅れ、植菌作業に支障をきたしている。原木の安定確保と価格適正化対策は如何に。

【林業振興課総括課長答弁実績】
 原木の安定確保と価格適正化対策についてでありますが、県では、希望する全ての生産者に原木を確実に供給できるよう、関係団体で構成する「しいたけ原木供給連絡会議」を設置して原木の需給調整を行っており、令和4年春には、原木の供給が5月上旬にずれ込んだ地域もあったことから、令和5年春には、できるだけ早期に納入されるよう調整を図ったところ。
 また、高騰する原木価格の適正化対策として、国庫補助事業を活用した原木購入経費支援を実施するとともに、原発事故の影響により高騰した原木価格と震災前価格との価格差、いわゆる掛り増し経費についても、東京電力からの賠償金を充てており、さらに、賠償金が支払われるまでの間、「原木しいたけ経営緊急支援資金貸付金」によるつなぎ融資を実施し、生産者の資金繰りを支援している。

(2)原木林の再生を含む原木の供給体制について

原木林の再生を含む原木の供給体制について伺う。

【林業振興課総括課長答弁実績】
 原木林の再生を含む原木の供給体制についてでありますが、県では、原木の需給調整に加え、原木林の再生に向け、放射性物質濃度の推移を確認するためのモニタリング調査のほか、放射性物質の影響を受けた広葉樹林を伐採し、再生させる実証等に取り組んできた。
 これまで、しいたけ原木林の放射性物質検査を実施してきた結果、出荷制限地域内においても、放射性物質濃度が低い地域が確認されており、これらの地域における原木の活用事例が出ている。

(3)未収益期間における支援対策について

原木しいたけの出荷制限解除から収穫までの未収益期間における支援対策について伺う。

【林業振興課総括課長答弁実績】
 原木しいたけの出荷制限解除から収穫までの未収益期間における支援対策についてでありますが、原木しいたけ生産者の未収益期間における逸失利益については、東京電力による損害賠償の対象となっており、既に賠償金が支払われているところでありますが、県では、東京電力からの賠償金が支払われるまでの間、つなぎ融資を実施し、生産者の資金繰りを支援している。

(4)生産資材等の導入支援実績の評価と対応方針について

生産資材等の導入支援実績の評価と今後の対応方針について伺う。

【林業振興課総括課長答弁実績】
 生産資材等の導入支援実績の評価と今後の対応方針についてでありますが、県では、国庫補助事業を活用し、平成24年度から生産者のしいたけ原木購入費用について、震災前価格の半額を助成しており、令和4年度までに約280万本を対象に支援したところ。
 また、種菌等への助成も同様に実施しており、これらの支援により、出荷制限地域における原木乾しいたけ生産量が平成24年の約1tから令和3年には約15tまで回復し、令和3年には10年ぶりに一関市乾しいたけ品評会が開催されるなど、産地再生に向けた成果があったものと捉えている。
 県では、今後も、原木等の生産資材の導入を支援する事業の継続を国に働きかけるほか、関係団体と連携し、原木しいたけの産地再生に向けた取組を進めていく。

(5)原木しいたけの価格の評価と要因、今後の対策について

原木しいたけの価格の評価と要因、今後の対策について伺う。

【林業振興課総括課長答弁実績】
 原木しいたけの価格の評価と要因についてでありますが、原木しいたけは、本県では、そのほとんどが乾しいたけとして加工・出荷されているが、原木乾しいたけ価格は、全国的に低迷しており、令和3年次の原木乾しいたけの全国平均価格は、キログラムあたり4千円を下回っている。
 この原木乾しいたけの価格低迷については、総務省の家計調査によると、乾しいたけの1世帯当たりの年間購入量が、平成20年の86グラムから令和2年は43グラムと半分になるなど、需要量の大幅な減少が要因の一つと考えている。
 また、本県の乾しいたけの平均価格は全国平均を上回っていたが、原発事故以降、全国平均を下回っており、市場関係者の声も踏まえると、その要因は、原発事故による風評被害の影響があるものと捉えている。
 県では、風評被害の払拭や販路の拡大に向け、生産者とともにイベント等での対面販売や高価格で取引される飲食店への販売に取り組んできたところあり、今後も引き続き、こうした取組を進めていく。

(6)原木しいたけの販売力アップについて

生産振興を後押しする対策を強化し、全県一丸となった販売促進活動は如何に。

【林業振興課総括課長答弁実績】
 原木しいたけの販売力アップについてでありますが、県では、令和3、4年度において、県産原木乾しいたけの需要拡大を図るため、生産者、集出荷団体及び県立大学との産学官連携により、県立大生が考案した乾しいたけレシピを紹介する動画の制作のほか、盛岡駅及び隣接する飲食店でオリジナルメニューを期間限定で提供したところ。
 また、需要開拓に向け、集出荷団体による首都圏等の飲食店を対象としたWeb入札システムを活用した直接販売を実施し、この取組により、市場でのキログラム当たりの単価を大幅に上回る7千円から1万円超えるような単価での販売実績もあり、また、その料理店から追加注文を受けるなどの成果があった。
 こういった取組について、令和5年度についても、需要者や生産者の意見を聞きながら、または、団体と連携しながら、取り組んでいきたい。