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県議会報告

令和4年度9月定例会 決算特別委員会(農林水産部 第1部農業関係)(令和4年10月25日(火))

2022.11.02

1 飼料価格高騰対策について

(1)  購入粗飼料の価格上昇の評価と畜産経営に与える具体的影響について

購入粗飼料の価格上昇の評価と畜産経営に与える具体的影響をどう把握しているのか。

畜産課総括課長答弁
 購入粗飼料の価格上昇の評価と畜産経営に与える具体的影響についてでありますが、輸入乾草価格は、国際情勢の変化等により、令和3年4月以降上昇が続き、令和4年8月の価格は、1トンあたり60,584円、前年同月に比べ約45%上昇しており、畜産経営体の負担が増しているものと認識している。
県では、飼料等の高騰による畜産経営体への影響等を把握するため、令和4年5月に畜産経営体等にアンケート調査を行ったところ。アンケートの結果、飼料や燃料等の高騰により資金繰りが悪化するなど厳しい状況にあり、①国の配合飼料価格安定制度の見直しや、②自給飼料生産への支援を要望する回答が多く寄せられた。

原油高や飼料高が畜産経営にどのような影響を及ぼしているのか、改めて、県の評価、認識を伺う。

畜産課総括課長答弁
販売価格が大きく変わらない中にあって、経費等が嵩んでおり、収益が低下しているものと認識している。

(2) 県独自の影響緩和対策について

① 飼料価格高騰対策について

粗飼料に係る支援を始め、畜産県いわてとして県独自の影響緩和対策を講じるべきではないか。

畜産課総括課長答弁
 県独自の影響緩和対策についてでありますが、配合飼料価格安定制度につきましては、国に対して、補てん金が満額交付されるよう、国へ要望しているところであり、また、県独自に、6月補正により、配合飼料価格安定制度を補完する事業を予算措置したところ。自給飼料の関係では、水田を活用した稲ホールクロップサイレージや飼料用米、子実用とうもろこしの生産を推進しているところ。さらに、本年度から牧草地の生産性を高める簡易な草地更新や、飼料用とうもろこしの収穫後にライ麦を作付けする二毛作や、マメ科牧草、アルファルファ等の作付けを推進するため、生産者向けのパンフンフレットを作成し、現地機関を通じて作付け等を推進しているところ。併せて、生産者を指導するため、普及員等の技術指導者を対象とし、二毛作やアルファルファの作付けに向けた技術研修会しているところ。こうした取組により、自給飼料の生産拡大に向けて、現地機関で推進しているところ。

② 配合飼料価格安定緊急対策費補助について

6月補正で予算措置した配合飼料価格安定緊急対策費補助の執行状況は。

畜産課総括課長答弁
 6月補正で予算措置した配合飼料価格安定緊急対策費補助についてでありますが、今年度の第1四半期を事業対象期間とし、配合飼料価格の上昇分から、国の配合飼料価格安定制度の補てん金を差し引いても、なお、差額を補いきれない額を補完するため予算措置したもの。
 令和4年度第1四半期は、急激な円安により輸入原料価格が高騰し、国の補てん金が予想以上に交付されたため、県の制度は発動しなかったところ。

畜産県岩手として、現在の状況に応じた予算を確保し、対策を講じるべきではないか。

畜産課総括課長答弁
 飼料価格の高騰が、畜産経営に大きな影響を与えていると認識しているところ。県では、国の対策等を活用し、また、国の動向を注視しながら、県として、今後、どのような対策を講じることができるのか、検討していく。

(3) 畜産クラスター事業における資材価格の急激な価格高騰への対策について

畜産課総括課長答弁
 畜産クラスター事業についてでありますが、畜産クラスター事業では、補助率が事業費の2分の1以内とされているが、補助金交付対象事業費に上限が定められている。現在の建築資材価格では、自己負担割合が増えることとなり、事業を活用して施設整備を希望している生産者にあっては、施設整備規模の縮小や資金計画の見直しを余儀なくされていると聞いている。
 このため、県では、国に対し、畜産クラスター事業について、建築資材の価格上昇を踏まえ、補助金交付対象事業費の上限の見直しを要望しているところ。

(4) 有機肥料や循環型施肥栽培の推進について

化学肥料の軽減・脱却を含め、有機肥料や循環型施肥栽培を推進すべきではないか。

農業普及技術課総括課長答弁
 県では、化学肥料等による環境への負荷を低減し、自然循環機能を維持・増進する環境保全型農業を推進しており、これまで、高品質な堆肥の生産や堆肥等を活用した土づくりなど、耕畜連携による堆肥等の活用を進めている。また、最近の肥料価格の高騰等を踏まえ、本年1月に作成した「肥料コスト低減技術マニュアル」に基づき、農業普及員が、土壌診断に基づく適正施肥や、化学肥料に代用できる堆肥の利用方法など、化学肥料コストの低減につながる技術を指導している。さらに、本議会において、肥料コストの低減等に向けた機械や設備の導入への支援に要する経費を盛り込んだ補正予算を可決いただいたところであり、
 こうした支援策を迅速かつ確実に実施していくとともに、今後とも、本県の強みである畜産由来の豊富な有機物資源を活用した土づくりを進めるなど、関係機関・団体と連携しながら、環境保全型農業を推進していく。

2 食育等の取組みについて

(1) 牛乳・乳製品の消費拡大対策について

11月からの乳価引き上げに伴う、牛乳・乳製品の消費拡大対策は如何に。

流通課総括課長答弁
 酪農家が安心して生乳を供給するために、牛乳や乳製品の消費拡大の取組は重要であると考えている。県では、これまで、県牛乳普及協会など関係団体と連携し、牛乳・乳製品などの栄養に関する知識の普及や酪農に対する理解を醸成し、牛乳・乳製品の消費拡大を図るため、「ミルクフェア2022いわて」の開催、「牛乳・乳製品利用の料理コンクール」の開催、県内20の小学校を対象に酪農に関する授業やバターづくりの体験を行う「酪農出前教室」の開催などの取組を支援してきたところ。
 さらに、今年度は、県からの働き掛けにより、県内量販店で6月、10月に開催した「いわてうまいもの市」において、乳製品の販売コーナーを設置しており、今後とも、量販店、乳業メーカーなどと連携しながら、牛乳・乳製品の消費拡大を図る取組を進めていく。

(2) 規格外の農林水産物を提供する仕組みについて

規格外の農林水産物を集荷し、病院食や施設等に提供する仕組みを検討すべき

流通課総括課長答弁
 規格外の農林水産物を提供する仕組みについてでありますが、規格外あるいは未利用の農林水産物の利用は、これまで廃棄していたものから収入を得ることができるため、生産者の所得向上につながる有益な取組の一つでと認識している。
 県では、規格外の三陸産牡蠣等をフレーバーに使用した「米粉スナック」や、収穫段階で傷ついたトマト等を活用した「野菜ドレッシング」など、これまでは廃棄せざるを得なかった農林水産物を活用した商品の開発を、専門家派遣などにより支援してきたところ。
 委員からご紹介頂いた病院あるいは施設での利用拡大にあたっては、安定供給体制の構築や給食事業者とのマッチング機会の提供などが必要であることから、県としては、利用側の施設や供給側の施設のニーズを十分に聞き取りしながら、生産者の所得向上に向けて効果的な仕組みを今後、研究していきたい。