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県議会報告

令和2年度2月定例会 予算特別委員会(ILC推進局)(令和3年3月10日(水))

2021.03.20

1 ILCを契機とした産業振興について

(1) 加速器関連産業の取組と今後の戦略について

東北大学では次世代放射光施設の建設も始まっており、加速器関連で155億円ほどあるが県内企業が受注できるようにすることが大事である。東北の企業の受注は37億円程度にとどまっているが、産業振興の推進に向けて今後どのような戦略で取り組むのか伺う。

【計画調査課長答弁】
 加速器関連産業の振興についてでありますが、産・学・行政による「いわて加速器関連産業研究会」を軸に、専門知識を有するコーディネーターによるマッチングに取り組んでいるところ。その成果もあり、現在仙台で建設が進められている次世代放射光施設の受注にもつながったと考えている。
 国内の類似の施設の受注獲得にもつながるよう、今後も、加速器関連産業研究会を軸に、コーディネーターの取組を推進していきたいと考えている。

産業振興の取組が重要だと思うが、改めて意気込みは

【総括課長答弁】
 ILCの取組は県としては1990年代から、東北大学の方ですとか今のKEKの研究者の方々から安定した地盤があるといったことのお話を受けた時に、県としても、積極的に情報収集等を始め、そういった長い、研究者の皆さんとのやりとりの中でいろんな計画づくりですとか、いろんな国への働きかけですとか、そういったことを取り組んできていきます。
 加速器関連産業の振興につきましても、コーディネーターも、KEKの経験のある方たくさんそういった方々を研究者の関係の中でご紹介いただきながら、必要な技術を持ってる企業、企業の方ではなかなか自分の今持ってる技術が加速器に繋がるかどうかはなかなかわからないところもあるわけだが、研究者の方が見れば、こういう技術が欲しいとか、あそこと組めば繋がるんじゃないかといったようなことで、進めてきています。
 こういった研究者との繋がりというのは、なかなか数字ではできませんけども、長いそういう関係の中で築いてきたものがありますので、そういったところを大事にしながら今後とも進めていきたいと思います。

(2) グリーンILCについて

ILC関連施設の木造化の提案などがでているが、排熱については先に質問があったので、それ以外の視点で、今後どのような取組を進めていくのか伺う。

 木造化については、建物性能や経済波及効果などを学会で発表し、研究者に県産材の活用を提案している。また、大型木造建築物の事例調査やセミナーを通じて関係事業者等の理解増進などに取り組んでいるところ。
 今後も、木造化をILC施設に取り入れてもらうよう、研究・検討を重ねて取り組んでいきたいと考えている。

(3) 知識移転の取組みについて

知識移転の取組を岩手大学、岩手県立大学、岩手医科大学が連携し、盛岡エコシステムとして取組を強化すべきだが、現在の取組と今後どのような具体的な取組を展開する予定か。

【計画調査課長答弁】
 知識移転の取組についてですが、ILCを契機とした東北の発展を目指して策定された「ILC東北マスタープラン」では、東北全体がイノベーションを生み出す地域として成長していくことを目指し、北は盛岡市から、南は仙台市までの、沿岸地域も含めたエリアをILCの多様な効果を最大限に発揮できるコアゾーンとして位置づけている。
 委員御案内のいわゆる「盛岡エコシステム」は、将来、「仙台エコシステム」と連携した広域でのイノベーション創出の取組の一環として研究者が構想しているものと記憶している。「仙台エコシステム」は、仙台市の「せんだい都心再構築プロジェクト」と連動し、東北大学等の教育機関や2023年竣工予定の次世代放射光施設、NTTグループの再開発ビル等を「ICT技術」で繋ぎ、新たなビジネスの創出と地域課題の解決を実現していくための取組と承知している。

3 県では、引き続き、ILCに関する事業者、県民の理解を深め、加速器関連産業の振興を図りながら、産業振興や知識移転の有効な方策を産学行政で広く検討し、具体的な政策に繋げていくよう考えている。

2 戦略的環境アセスメントについて

2月に「ILC計画の戦略的環境アセスメントの実施について 議論のまとめ」がKEKからILC国際推進チームに提出されたが、県は今後どのようにかかわり、今後進めていくのか。

【計画調査課長答弁】
環境アセスメントについてですが、ILCに関する環境アセスメントについては、トンネルなどの地下構造物等の大部分が環境影響評価法や条例の対象外となるが、大規模な工事による自然環境への影響が懸念され、日本学術会議等での報告でも言及されるなど、自主的なアセスメントの実施が求められている。
 こうしたことから、高エネルギー加速器研究機構・KEKが令和元年9月に「ILC環境アセスメント評価アドバイザリーボード」を設置し、ILCの事業特性を踏まえてアセスメントのプロセス等について議論してきており、
 県としても、オブザーバーとして参加し、建設候補地として過年度に実施した自然環境調査の結果を提供するなどの協力を行ってきた。
 今般KEKがILC国際推進チームに提出した「議論のまとめ」では、自主的な環境アセスメントに先立って、自然環境のみならず、社会的経済的影響についてもカバーする戦略的環境アセスメントの手法を導入する必要についても提案されているところ。
 今後、ILC国際推進チームにおける環境アセスメントの検討結果を踏まえ、KEKでは「環境アセスメントに関する考え方」を公表することとしており、県としては、今後の議論の状況を注視しながら、建設候補地として、KEKに対して必要な協力を行っていく。