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県議会報告

令和2年度9月議会決算特別委員会総括質疑(令和2年10月14日(水))

2020.10.17

自由民主党の臼澤勉でございます。会派を代表して質問いたします。本日決算審査を通じて議論を深めたいことは、今の県政は、知事のマネジメントが機能しているか、目標に向かって予算、組織、政策が連動し、政策効果が発現しているかであります。

1 財政運営と改革の方向性について

(1) 令和元年度決算に対する評価について

はじめに、財政運営について伺います。令和元年度は、新しい県民計画の初年度、4年にわたる第1期アクションプランのスタートの年であり、「スタートダッシュする予算」と位置づけられた。
令和元年度決算の評価と、危機の克服に向け具体的な成果について伺う。

【知事答弁】昨年度は、東日本大震災津波からの復興に取り組む中で、令和元年台風第19号による災害に再び見舞われ、甚大な被害が生じましたが、三陸鉄道の再開をはじめ復旧・復興に全力で取り組んできたところであります。
 また、三陸防災復興プロジェクト2019の開催や東日本大震災津波伝承館の開館により、復興に力強く取り組んでいる地域の姿、東日本大震災津波の記憶と教訓を広く発信することができたほか、ラグビーワールドカップ2019では、大会を通じて復興支援への感謝と復興に向けて力強く歩む姿を国内外に発信することができたものと認識しております。
 このような災害対応や大型イベントの開催も含めて、県では、政策推進プランに基づき10の政策分野に基づく取組を推進してきたところであり、計画初年度における「いわて幸福関連指標」の達成状況は、「概ね達成」以上の割合が6割を超えているところです。
 今後は、これから実施する政策評価において、指標の達成状況に加え、社会経済情勢等を踏まえて課題を分析し、10の政策分野の取組に反映させることにより、いわて幸福関連指標の向上を図り、県民一人ひとりの幸福度を高めていきたいと思います。

(2) 中長期的な財政運営の課題認識について

 本県の財政は、安定的な財政運営に必要な財源の確保が難しい状況が続いている。平成30年度決算では、実質公債費比率16.7%、全国45位、将来負担比率218.3%、全国37位、財政力指数0.36255、全国35位、歳入に占める地方税の割合23.1%、全国37位と、各種の指標において全国の下位にあるなど他県と比較しても決して余裕のある財政状況にない。
 知事は、本県財政の中長期的な課題をどう捉えているのか。また、国との良好な関係をどう構築し、本県の財政面における危機的状況を克服するために具体的にどのように取組むお考えか伺う。

【知事答弁】中長期的な財政運営の課題認識についてでありますが、本県は、実質的な一般財源総額が縮小傾向にあるなかで、公債費が引き続き高水準で推移することに加え、県立病院への繰出金が多額であるなどの構造的な要因もあり、厳しい財政環境にあると認識しております。
 このため、国に対し、税源の移譲など地方税財源を充実させ、地方交付税の持つ財源調整機能や財源保障機能を適切に発揮することで、地方が必要とする財源を充分に確保できるよう、全国知事会とも連携して訴えて参ります。
 また、県としても、県税徴収の強化や県有資産の有効活用など、あらゆる手法により財源を確保するとともに、ICTの利活用などによりコストを削減しつつ行政サービス機能の強化を図るなど、持続的な行財政運営に努めます。

 先ほどの本県財政指標を5段階評価したチャート図・通信簿を作成しましたが、「極めて厳しい内容」。知事の認識は甘くないか。
具体的に財政誘導目標を策定し、どう財政健全化を図ろうとしているのか、今まで以上にわかりやすい情報公開を徹底し、県民の意見を取り入れながら不断の見直しを図っていく必要があるのではないか。知事の所見を伺う。

【知事答弁】本県は、実質公債費比率や将来負担比率など、国の健全化判断比率の4つの指標を判断基準として財政運営を行っているが、現時点では早期健全化基準に該当していない。
 毎年度中期財政見通しを策定・公表しており、そこで見込まれた収支ギャップを踏まえ、予算編成の段階でシーリングを設定するほか、徹底した歳出の見直しを図るとともに、地方創生推進交付金の活用や、有利な県債の発行など、歳入面にも留意し、収支ギャップの縮減に努めていく。

(3) 地方創生実現財政基盤強化知事連盟の活動と普通交付税増額への評価について 

 普通交付税について伺います。今年度の臨時財政対策債を含めた実質的な普通交付税は2,366億円と、10年ぶりに増加となった。
 これは、昨年5月に新潟、徳島、鳥取県の知事を発起人とし、北海道、青森、秋田11道県の知事の強い要望に応える形で創設された「地域社会再生事業費」が大きく寄与したものである。ちなみに、本県算定額は59億9,100万円であり、これが10年ぶりの増額の要因となっている。
 地方創生のための財源確保を国に対し、積極的に働きかけているこれらの知事の活動ならびに10年ぶりの普通交付税の増額を知事はどう評価しているか。

【知事答弁】令和2年度の普通交付税の算定において、地方財政計画に地域社会再生事業費が創設され、地方税財源の充実が図られたところでありますが、これは、地方創生実現財政基盤強化知事連盟や、全国知事会地方税財政常任委員会をはじめ、地方が一丸となって活動した結果であると認識しております。

本県の財政状況からすれば、鳥取、新潟、高知知事以上に財政基盤強化に向け、知事の積極的な取り組みを期待する。

(4) 新型コロナウイルス感染症の財政への影響について 

 次に、新型コロナウイルス感染症の財政への影響について伺います。
 歳入に占める地方税の割合が23.1%、全国37位の本県にとって、中期財政見通しで示された法人事業税をはじめとする県税等収入8%減少、▲171億円減は、深刻な状況である。新型コロナウイルス感染症の影響による本県財政への影響額をどの程度と推計し、財源確保対策を講じるお考えか伺う。特にも、県立病院の赤字額はどの程度見込んでいるのか。その補てん対策も含め回答願う。

【総務部長】新型コロナウイルス感染症の財政への影響について、岩手県中期財政見通しでは、内閣府の推計等を元に、令和3年度の県税等収入額は、新型コロナウイルス感染症等の影響もあり、令和2年度と比べ171億円減の1,951億円と見込んでいる。
先頃、総務省が公表した「地方財政収支の仮試算」でも、地方税収の減少が見込まれており、地方交付税の増額等について、全国知事会とも連携し、国に強く訴えていく。
 県としても、先ほど知事が申し上げたようなあらゆる手法による歳入確保や、ICTを活用してのコスト削減などによる歳出の抑制に努めながら、持続可能な財政運営を行っていく。
 また、県立病院の損益については、令和2年度の県立病院等事業会計の経常損益は、現時点で25億1,600万円程度の赤字を見込んでおり、受診手控えなどによる減収対策として、医療局では、特別減収対策企業債の発行により対応する予定と聞いている。
県としては、これまでの補正予算において、空床補償や設備整備支援などの措置を講じているところであり、引き続き状況を注視していく。

(5) 財源対策基金の確保について 

 財源対策基金について伺います。先日公表された中期財政見通しによると、昨年度末で財源対策基金残高は365億円、来年度以降、90億~98億円程度の収支ギャップが生じ、財源対策基金の取り崩しにより賄っていくと令和4年度末残高は217億円と見込まれるとのこと。
 自治体が安定的に財政運営を行うための目安として、標準財政規模の1割程度を基金として確保する必要があると考えるが、令和元年度標準財政規模3,930億円でみれば、必要となる基金残高は393億円となる。
 知事は約180億円近くの差額をどのように解消していくお考えか、今後の見通しを含め伺う。

【知事答弁】財源対策基金の確保について、中期財政見通しにおける財源対策基金残高は、一定の前提の下で毎年度の歳入歳出を試算し、その結果生じる収支ギャップを財源対策基金の取崩しのみで対応すると仮定して算出した。
 財源対策基金は、それぞれの地方自治体が、災害への対応や公債費の償還など、将来の財政需要に備えて積み立てているものであり、安定的な財政運営を行うための目安は一概に申し上げられるものではないが、歳入確保の強化やコスト削減を図りつつ、歳出の重点化等の取組を徹底し、収支ギャップの縮減に努め、財政見通しで示した以上の残高の確保に努めていく。

(6) 地方消費税に対する所見について

 地方消費税について伺います。昨年度決算では、本県の地方消費税の実収入額は約250億円、税収の約2割を占める基幹財源である。
このうち5%から10%への消費税率の引き上げ分は96億円余と試算され、教育負担の軽減や子育て支援、介護人材の確保等の重要な財源である。知事の地方消費税率の引上げに対する所見を伺う。

【知事答弁】消費税率の引上げ分については、その全額が、年金、医療や教育負担の軽減、子育て層支援、介護人材確保など社会保障の充実と安定化に充当されたところであります。
 これら社会保障の充実のうち、教育負担の軽減など地方の歳出増を伴うものについて、その地方負担に対する財源として地方消費税率の引上げ分が手当されているものと認識しております。
 一方、消費税率の引上げは、経済的に弱い立場にある方などに負担を強いることになり、特に、東日本大震災津波や度重なる台風災害の被害を受けた地域において、暮らしの再建や、なりわいの再生の妨げとなることが危惧されます。
 こうしたことから、県としては、経済的に弱い立場にある方々が困窮することがないように、また、地域に根ざした産業に十分に配慮して地域経済の落ち込みや復興の遅れを招くことのないよう、北海道東北地方知事会などと連携し、十分な対策を講じるよう国に対応を求めてまいります。

地方消費税は税収の約2割を占める基幹財源。税収減による行政サービス水準の低下を避け、教育無償化や福祉の充実に対する財源確保に努めてください。

2 人事・組織体制 

(1) 職員数と政策達成状況について

 次に、人事・組織体制について伺う。近年の知事部局の職員数を見ますと、今年度は4,409人と、平成23年度の3,949人から確実に増加している。岩手県の人口10万人当たり職員数は、351.7人、全国平均の約2倍であり、全国でも10番目に多い状況にある。しかも福祉関係を除く一般行政職員の占める割合は82%と大分県と並び全国で最も多い状況にある。
 しかし、いわて幸福関連指標を全国比較で見ると、職員数が充実している割には、政策達成状況が極めて悪い。組織的な課題があるのではないか。知事は、この状況をどのように捉え、どう改革をしようと考えているか。

【知事答弁】職員数と政策達成の状況についてでありますが、
広大な面積を有する本県においては、人口や面積など、地域の事情に応じた適正な数の職員を確保していく必要があると認識しております。
 総務省により、人口のほか、面積や農業産出額、建設事業費など行政需要に密接に関係するデータをもとに算定された定員モデルによれば、本県の職員数はモデルの数値を2.9%下回っており、全国28位と中位にあるところです。
 こうした中で、いわて県民計画(2019~2028)を着実に推進していくためには、政策立案及び政策実行機能の充実・強化が必要と認識しているほか、新採用職員の増加に伴い若手職員の政策形成能力の向上が求められているところであります。
 このため、今年度、政策企画部及びふるさと振興部を設置するなど組織体制の整備を図ったほか、職員の計画的な育成に取り組んでいるところであり、今後もこうした取組を強化することにより、様々な県政課題に柔軟かつ適切に対応できる体制を構築してまいります。

組織的な課題を問うた。政策企画や管理部門を強化するより現場で直接課題解決に取り組む政策実行部門の機能強化を図るべきではないか。知事の考えを伺う。

【知事答弁】総務省の定員モデルによると、岩手県の職員数は▲2.9%と職員が不足しているというように評価されている中で、現場で対応していく職員の強化ということも大事だと思う。

(2) 欠員について 

 一方、欠員数は、昨年度は81人、今年度は9月時点で62人であり、いまだ必要数を満たしていない。特に、現業組織である保健福祉部や農林水産部、県土整備部の欠員数は全体の7割を占める。現場を重視する組織と言う割には、一丸となってスタートダッシュを切る体制になっていないのではないか。
 早々に欠員を解消すべきですが、解消できない理由と組織体制に対する課題認識を伺う。

【総務部長答弁】欠員についてでございますが、新規採用職員の大幅な採用増や、任期付職員や再任用職員の採用、応援職員の受入れなどにより、ピーク時の平成27年4月の145名から一定程度の縮小が図られたところではございますが、震災復興やその他の新たな行政需要の拡大等により、欠員の解消までは至っていない状況でございます。
 また、欠員の約半数を占める技術系職種の職員についてでございますが、専門的な知識を必要とするそれぞれの行政分野において欠かせない人材でございまして、その確保は、「いわて県民計画(2019~2028)」の推進に向けた組織・人員体制の構築を図るうえで重要な課題であると認識をしてございます。
 今後におきましては、復興事業の進展等も見据えつつ、重要施策への人員の重点配置、職員の年齢構成の平準化等に、より一層、配意するとともに、引き続き、多様な方策により、技術系職種も含めた人員の確保にしっかりと取り組んで参ります。

(3) 若手職員の退職について

 近年、若手職員の退職や休職の話を耳にすることが多くある。30代以下の若手職員の自己都合による退職者数の状況は、10年前に比べ令和元年は29人、約5倍。5年前と比べても2倍であり、急増している。知事は退職理由を把握しているのか。なぜ、働き方改革が進まないのか、働き方改革をどう主導するのか、考えを伺う。

【知事答弁】若手職員の退職理由と働き方改革の推進についてでありますが、東日本大震災津波の発災以降、多くの職員の採用を進めてきており、その中で、若手職員の退職者が増加しているところ。
その理由については、転職によるもののほか、結婚に伴う配偶者の居住地への転居などの家庭事情等と聞いているところ。
 職員が高いモチベーションをもって職場で活躍できるためには、ワーク・ライフ・バランスに配慮した職場環境の実現等に向け働き方改革を推進することが重要と考えており、本年6月に部局横断で検討を進める働き方改革推進会議を設置し、取組を進めているところ。
 この推進会議においては、若手職員から意見や提案を聴取しながら取組を進めることとしていることから、働きやすい職場環境や職員のメンタルヘルスに関する職員アンケートを実施しているところであり、この結果を踏まえ、仕事と生活の調和を図り、職員が明るく、いきいきと働くことができる職場環境を実現していく。

知事は、退職理由を伺ったのです。それでは、転職する理由を把握しているか。

【総務部長答弁実績】転職の状況であるが、1つは民間の企業に転出をされる方、もう1つは市町村役場を中心に他の自治体等に転出される方が多い状況にある。

国家公務員の調査によれば、「数年以内に辞職したい」全体の5.5%。非管理職である30歳未満の男性職員では、7人に1人の割合。
辞職意向の理由については、40代以下や女性職員「仕事と家庭の両立が難しい」、若手、男性職員「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい」とのこと。県として把握に努めるべきです。

(4) 長期病休者及び精神疾患による病気休職者について

 次に長期病休者の現状について伺う。「地方公務員健康状況等の現況」によれば、平成30年度長期病休者数140人、精神疾患による長期病休者は78人、全国都道府県の中で極めて割合が高い状況にあると推察する。知事はこの現状をどう捉え、どう対策を講じるお考えか伺う。

【知事答弁】「地方公務員健康状況等の現況」については、自治体ごとに長期病休者の定義が異なっていることから、他県比較で必ずしも本県が上位にあるとは限らないが、本県においても、継続療養者及び精神疾患による療養者は増加しており、特に、精神疾患について若年層の割合が高くなっていることから、その対策は重要であると認識している。
 職員のメンタルヘルス対策については、これまで、心の病気の未然防止や重症化予防など、体系的な取組を行ってきたところであるが、これに加え、今年度は、新採用職員研修において、個別相談の実施や臨床心理士による講義を実施し、また、メンタルヘルスに関する職員アンケートなどを行っているところであり、若年層に向けた対策をより強化していく。
 いわて県民計画(2019~2028)の推進をはじめ、県の施策の推進にあたっては、職員が健康を保持し、意欲を持って働くことのできる環境整備が重要であることから、引き続き、職員個々の実情に応じて必要な対策をきめ細かく展開し、職員の健康維持・増進に取り組んでいく。

知事は、この現状を把握しているか。14日以上療養総人数は、平成26年112人に対し令和元年163人 5割増、精神疾患は実人員で平成26年54人に対し令和元年100人と倍増している。若年層の割合も高い中、なぜ職員を守らない。知事は担当部署にどんな指示をしているのか伺う。

【知事答弁】特に東日本大震災津波以降、採用者が増える中、若手の職員数も増えている中で、一定の割合の継続療養者や精神疾患による療養者がいて、その数が増加していることは問題と考えている。広域振興局の県民との最前線で働く若手職員との対話を重ねたり、また総務部とは様々、残業の問題含め、ワークライフバランスという観点から、様々働き方について検討しながら、年度ごとの対策を講じているところであり、また、そういった対策の中でも先ほど答弁したようなものについては広く知事の予算査定のように県の幹部会議に準ずるような形で検討・決定しているものである。

(5) 職員の幸福度について 

 若手職員の退職増、長期病休者の増加、これは組織運営上、非常に危険なサインと捉えるべきであり、知事の仕事として、最優先で取り組むべき課題である。県民の幸福を高める前に、職員の幸福を高めるべき。これが出来ないで、県民の幸福を高めることは不可能。結果的に被害を被るのは県民である。
 まさに「塊より始めよ」である。理由を分析し、次期採用計画や組織改革に取り組むべきと考えるが、知事の所見を伺う。

【知事答弁】 先ほど述べたとおりでありますが、今年度は新採用職員研修における個別相談の実施や臨床心理士による講義の実施、そしてメンタルヘルスに関する職員アンケートなど、新しい施策も講じているところでありまして、やはり若年層に向けた対策は、より強化していかなければならないと考えております。
 職員個々の実情に応じて、必要な対策をきめ細かく展開し、職員の健康保持・増進に取り組んでまいります。

志が高い真面目な職員の情熱を奪っているものは何か?県職員の力を妨げているものは何か?知事の認識を問う。

【知事答弁】前段の前提についてこの場で初めて伺ったところであるが、例えば昨年度、東日本大震災津波からの復興に重ねて、台風10号、台風19号災害があったところ、県の総力を挙げ対応する中、若手職員にも大いに活躍してもらい、三陸防災復興プロジェクト2019という、これは今まで岩手がやったことがないような、かつ東日本大震災からの復興という中で、日本のどこでもやったことがないことを岩手県において曲りなりにも成功させたところでも若手職員が大いに活躍をした。そして、ワールドカップである。夕方のテレビのニュースでも岩手県職員がテレビに取り上げられる回数も多くなってきていると思う。ぜひそういう県職員の活躍というものを県民にも見てもらいながら県民とともにお互いに幸福を守り育てていきたいと思う。

原因の原因の原因を問い、根本的な原因を知事は知るべきであり、改革に向け行動しなければならない。組織が崩壊してしまう。声なき声を聞くべき。
アンケートも本音の声を拾い上げるような工夫が必要である。指摘に留める。

(6) 包括外部監査への対応について 

 平成30年度子ども・子育てに関する包括外部監査が行われたが、昨年度に措置計画を策定し、是正措置を講じたと伺う。
外部監査では、重要な指摘があった。包括外部監査の結果をどのように捉え、どのように対応したか伺う。

【総務部長答弁】平成30年度の包括外部監査の結果、適正性の確保などの指摘が21件、事務処理の効率化などの意見が58件あったところ。これら指摘・意見については、関係室課が連携し、対応しているところ。
 この包括外部監査でいただいた意見等は重要な内容であると認識しており、例えば、いわて県民計画を部局横断的に推進するため、10の政策分野ごとに政策推進クロス・ファンクショナル・チームを設置し、機動的・戦略的な施策の展開を図っているところ。
 今後においても、多様化・複雑化する行政需要に対応するため、広い視野と高い専門性を持つ職員の育成や、適時適切な組織体制の見直し等を行い、県民の信頼に応える、より質の高い行政サービスの提供が図れるよう、引き続き取り組んでまいる。

3 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略 

(1) 施策推進目標とKPIの連動

 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略について伺う。第1期の総合戦略におけるKPI達成状況は「概ね達成」以上が80%である一方、施策推進目標はすべて未達成であった。
 KPI達成度と施策推進目標は連動するはずである。にもかかわらず本計画では、KPIの達成率と推進目標が連動していない。これは、施策推進目標のためのプロジェクトの位置づけやKPIの設定の仕方が不適切なためである。第2期計画は、KPIの達成により確実に施策推進目標が達成されるのでしょうか。

【政策企画部長答弁実績】委員御指摘のとおり、施策推進目標は未達成となっておりますが、これは、若年層を中心とした東京圏への転入超過数の拡大や、県民所得よりも国民所得の上昇幅の方が大きいことなどが背景にあると考えています。
 施策推進目標の達成に向けては、社会減対策や自然減対策に加え、暮らしの基盤整備などについて、県を含むあらゆる主体が総合的に取組を進めていくことが求められています。
 第2期岩手県ふるさと振興総合戦略においては、これまでの施策推進目標に加え、「岩手とつながる」において、関係人口及び交流人口に関連する指標の向上を設定したところであり、総合戦略に掲げる様々な施策を一つひとつ着実に実施することにより、KPIを達成し、ひいては施策推進目標の実現につなげていく考えであります。

 私が危惧することは、成果につながらない無駄な数値化、「数値化メタボ」に陥り、生産性や現場の士気が低下していないかという事。例えば、英語を話せるようになる目標に対し、Toiecのスコアで計測しても意味がない。会話力の試験ではないから。ゴールから逆算して設定すべき。間違った数値化が蔓延しているのは、はっきり言って経営側の責任である。これは指摘にとどめる。

(2) 幸福関連指標への政策効果について 

 「いわて幸福関連指標」について、知事が就任された平成19年から令和元年まで、全国との比較でみると、改善がみられない、むしろ悪化しています。
 具体的には、10万人あたり自殺者数44位⇒46位、合計特殊出生率22位⇒37位、正社員有効求人倍率41位、開業率40位、モバイル人口普及率45位⇒45位、待機児童数26位⇒28位、総労働時間47位⇒47位と全国最下位のまま。
 知事が就任した当時と比較して指標値は改善されているものもあるが、全国的に改善傾向にあるなか、相対的な改善がみられません。ボトルネックは何なのか。これまでの予算と政策が効果的だったか、知事の評価を伺う。

【知事答弁実績】いわて幸福関連指標について、平成19年に遡って比較しますと、多くの指標値は改善しており、前計画の取組による政策効果があったものと考えますが、一方で、委員御指摘のとおり、自殺者数や総実労働時間など、指標値は改善していますが全国と比較した場合に低位にとどまっている指標もあります。
 新しい計画のいわて幸福関連指標の目標値については、より県民が幸福度を実感できるよう「全国や東北の上位を目指す」などといった目標値を設定したところであります。
 今後実施する政策評価において、それぞれの指標の達成状況に加え、社会経済情勢等を踏まえ、ていねいに課題を分析し、10の政策分野の取組に反映することにより、いわて幸福関連指標の向上を図り、県民一人ひとりの幸福度を高めてまいります。

(3) 人口の社会減対策について

 社会減対策について、知事は平成23年9月議会の知事演述において、「本県人口の社会減に歯止めがかかるなど、一定の成果を得ることができた」と述べられていた。2000年~2013年代は、本県にとって第3人口移動期であり、県の社会増減平均は△4,482人、有効求人倍率の差の平均は△0.146であり、決して平成23年9月時点で社会減に歯止めがかかったと断定できる状況にない。
 当時、社会減に歯止めがかかったと言い切った根拠と有効に寄与したと考えている施策は何か。

【知事答弁実績】2000年代は、日本全体で「いざなぎ景気」を超える景気上昇局面と言われ、東京一極集中型の経済成長が続き、地方の社会減が拡大した時期であり、本県の社会減は、平成12年、西暦2000年に2,110人だったものが、平成19年、2007年には6,709人にまで拡大するなど深刻な状況でありました。
 このような中、県では、前県民計画の政策推進目標に「人口の社会減を減らす」ことを掲げ、国際競争力の高いものづくり産業の振興や雇用環境の改善に向けた働く場の確保などを進めたところであります。
 また、リーマンショック後の国による緊急経済対策で地方の経済が相対的に良くなったことも相まって、東京圏の転入超過数が大きく減じ、本県の社会減も平成20年、2008年の6,601人から平成22年、2010年には4,140人と3年連続で減少幅が縮小したことから、当時、「社会減に歯止めがかかった」と申し上げたものであります。

 知事、社会減4140人です。「3年連続で減少幅が縮小」したから「歯止めがかかった」と言い切るのは不正確です。「歯止めの兆しが見える」程度。「歯止めがかかった」と「歯止めの兆しが見える」では政策判断をミスリードする。表現を改める考えはあるか。

【知事答弁実績】西暦2000年初頭から1年間に6,000人以上、7,000人近くの人口流出があった。1990年代は、人口流出が300人程度の時期もあったが、2000年代に入り、人口流出がほぼ毎年1,000人ずつ増え、6,000人、7,000人という水準になったところから、4,000人にまで3年連続で減少幅が縮小した。
 このことから、「社会減に歯止めがかかった」という表現の修正は、必要がないものと考えている。

(4) 人口流出の要因について 

 知事は就任当初から、県民所得の低迷が有効求人倍率の低さにも繋がるし、人口流出にもつながるとお話しされた。生活便益の格差と県民所得の格差、就業機会の格差を如何に縮小させるかが人口減少問題を考える重要なポイントであるが、なぜ、今、社会減に歯止めがかからないのか、岩手県の人口流出が止まらない理由、大きな要因を重回帰分析等により、どう捉えているのか。また、これらの課題を解決するため、本県独自に取り組む効果的な対策は何か。

【知事答弁実績】本県の社会減は、雇用情勢と関係が深く、有効求人倍率や給与などの全国との差が影響を与えているものと認識しております。
 これまでの東京圏を中心とした景気拡大の中で、東京一極集中が加速化し、特に若年層を中心に県外への転出超過が続いていることから、奨学金返還支援制度を活用した大学生等の県内定着の促進、県内企業の雇用の質の向上を図る働き方改革の推進、地元志向の高まりがみられる若者の県内就業の促進などの取組に加え、安心して子どもを生み育てられる環境づくりなど、岩手の暮らしやすさにつながる地域の基盤の強化などに取り組んできたところであります。
 こうした中、今般の新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、東京一極集中の是正や地方の暮らしやすさが広く認識される契機となっていることに加え、テレワークなど多様な働き方が加速化しています。
 このため、就業促進情報誌「いわてダ・ヴィンチ」の活用などを含め、岩手の良さを広くPRするとともに、オンラインを活用した移住相談会や多様な働き方を実践する県内企業の紹介などにより、本県への移住・定住を推進してまいります。

 社会減対策については「課題の分離」が必要。自分の課題と他人の課題を分離、つまり、自分がやるべき課題と国がやるべき課題を分離しない限り、岩手の社会減対策は進まない。国の東京一極集中の是正が進まないから社会減が解消されないことを言い訳にしては、本県の社会減ゼロの目標をクリアできない。
 社会減対策の本質は、岩手県として県民に対し提供する価値は何か、どんな価値を提供するかを首都圏等に発信すべき。知事の認識は如何に。

【知事答弁実績】1990年代当時は、本県の有効求人倍率は全国平均よりも高く、東京よりも高かった。東京をはじめとする都会と本県との雇用環境の相対的な関係は、人口の社会増減に大きく影響している。
 「いわてで働こう推進協議会」などの場を活用し、岩手の産業界・学校関係・行政関係などの代表者に現状を見ていただきながら、就職を考えている若者やその家族・学校などの関係者に企業情報を丁寧に伝えることが、社会増減対策の肝の部分と考える。
また、「いわてダ・ヴィンチ」を活用し、豊かな自然・食べ物・歴史・文化に加え、今年であれば新型コロナウイルス感染症の感染リスクの低さなども含めてアピールしていく。

(5) 合計特殊出生率の目標値との乖離について

 合計特殊出生率について、令和元年1.35と3年連続で縮小し目標値の1.51と乖離幅が大きくなっている。全国順位も知事就任当時は22位と中位だが、今回は下から10番目と年々順位を下げている。この現状を知事としてどう受け止めているのか。併せて、これまでも安心して産み育てることができるような施策を展開してきたが、政策が効果的に機能していない要因をどう分析しているのか。

【知事答弁実績】合計特殊出生率の目標値との乖離についてでありますが、我が国の合計特殊出生率は、ここ10年程度、年によって増減がありますが、その低下は労働供給の減少、地域・社会の担い手の減少など、社会経済に大きな影響を及ぼすことから、国では深刻な状況と受け止めています。
 本県では市町村等様々な主体と連携し、結婚、出産、子育て支援などの取組を進めてきたところでありますが、本県の合計特殊出生率は全国と同様に低下傾向にあります。
 その要因としては、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少など、様々な要因が複雑に絡み合っていると認識しています。
 本県の特徴として、20代女性の「有配偶率」は全国上位にあるものの、30歳以上の「有配偶出生率」は全国下位となっていることから、男女の仕事と子育て両立の難しさや、家事・育児の負担が依然として女性に偏っていることなどが影響していると考えられます。
 「第2期岩手県ふるさと振興総合戦略」に取り組む中で、少子化につながる様々な「生きにくさ」を「生きやすさ」に転換し、県民の結婚したい、子どもを生みたい、育てたいという希望に応えていきます。

「国では深刻な状況と受け止めている」ではなく知事の認識を聞いている。2年連続で低下し、知事就任時から大幅に順位を下げている要因は何か。

【知事答弁実績】やはり深刻な状況と受け止めているところ。その要因については、経済的な不安定さ、出会いの機会の減少など、様々な要因が複雑に絡み合っていると認識しているが、本県の特徴として、20代女性の「有配偶率」は全国上位にあるものの、30歳以上の「有配偶出生率」は全国下位となっていることが問題と思っている。要因としては、男女の仕事と子育て両立の難しさや、家事・育児の負担が依然として女性に偏っていることがかんがえられるので、そういった問題の解決を進めていきたい。

具体的な対策は何か。

【知事答弁実績】基本的には30歳以上の「有配偶出生率」が全国下位であるところから脱却していこうということにつきましては、職場における仕事と子育て両立のための改革、そして家事育児の負担が依然として女性に偏っているということについては、家庭における男性が家事育児を率先してやっていくための施策、そしてまた公共の施設等、県ももうすぐ県の内丸の敷地内に託児所を設けるが、仕事と子育ての両立ための公的な支援といったことが柱になっていくと考える。

 岩手県人口ビジョンで目指している20年後の2040年に100万人を確保できるのか。

【知事答弁実績】1990年代、岩手からの年間人口流出がほぼゼロになったこともあり、社会減が2024年にゼロとなると、出生率の向上とあわせて、2040年には約100万人の人口を確保できるということで、そのようなビジョンを持って取り組んでいくべきであると考える。

4 学校教育の課題について 

(1)  教育分野の決算について 

 教育について伺います。先般、地域活性化センター椎川理事長の講演を拝聴した。これからの地方創生において「教育」が最も重要であるとのこと。
 教育分野の決算を知事はどう総括しているか。

【知事答弁実績】令和元年度は、岩手の未来を切り拓いていくための原動力となる、将来を担う子どもの教育の充実と、様々な分野で活躍する人材を育てていくことが重要との考えのもと、教育委員会においては、岩手の子どもたちが知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」を身に付けられるよう、「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善、自他の生命(いのち)と他者の人権を尊重し、大切にする教育の推進、運動やスポーツに親しむことのできる環境づくりなどに取り組んだものと捉えている。
 また、「いわての復興教育」の推進、産業界等との連携による各学校におけるキャリア教育の充実などにより、地域を支える人材の育成に対する岩手の教育への期待に応えてきたものと考えている。

(2)  盛岡南高校と不来方高校の再編について 

 高校再編が検討されているが、県内市町村から再編に対する要望が出ている。各地での計画策定に向けた説明会での反応はどのような内容であったか、特にも盛岡南高校と不来方高校の再編については、盛岡市議会において「盛岡市の進路選択の幅が狭くなることから、近隣の中学校において影響が大きい」また、「多くの市民、関係者の意見を受け止め判断し計画を策定するよう要望していきたい」と答弁しているが、このような反応も踏まえて、今回の盛岡ブロックにおける統合案に関する知事のご所見を伺う。

【知事答弁実績】県立高校再編計画の後期計画策定に向けた地域検討会議等においては、「生徒の希望する進路の実現」と「地域や地域産業を担う人づくり」という基本的な考え方や小規模校の維持等について、多くの方々から支持をいただいたと聞いている。一方、具体的な統合を示している地域の方々からは、統合に賛成する意見のほか、現行のまま存続を求める意見もあったと聞いている。
 盛岡南高校と不来方高校の統合については、盛岡市教育委員会から「両校の歴史を受け継いだ発展的な統合によって魅力ある学校となるように」との意向が示され、あわせて、「具体的な統合の手順を早期に示すなど、子どもたちの進路選択に不安がないように配慮を求める」等の要望書が県教育長に提出されたとの報告を受けている。
 教育委員会においては、会議等でいただいた意見や要望等も十分に考慮した上で、生徒にとってより良い教育環境を整備するという視点を重視しながら、後期計画策定に向けた検討を進めて欲しいと考えている。

(3) 教育的観点からの望ましい学校規模について 

 県では1学年4~6学級が望ましい学校規模といっているようだが、適正配置・規模に関して国の基準、県の基準はあるのか。学校の適正規模に係る基準を国が示していないのであれば、教育的観点から県独自に示す必要性について知事のご所見を伺う。

【知事答弁実績】国の基準である「公立高等学校の適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律」において、全校で240人を下回らないこと等とする規定とされていたが、平成23年の改正により削除されたところ。
 本県においては、学校規模に関して規則等による明確な基準は定めておらず、平成28年に県教育委員会が策定した新たな県立高等学校再編計画では、原則、1学年4~6学級程度の学校規模が望ましいとしているところであるが、後期計画(案)においては、これにこだわらず、ふるさと振興総合戦略等を踏まえ、1学年1学級の小規模校を維持するとともに、県政課題への対応や産業人材の育成のため、1学年7学級規模の学校も確保するなど、柔軟な対応を図っているものと認識している。

(4) 公立校と私立校の役割分担について

 盛岡地区は私立高校が集中しており、盛岡地区の一極集中が課題であるならば、公立私立で高等学校教育をどのように分担するか、生徒の進学の選択を可能とする多様性をどう保障するかは避けて通れない重要なポイントと考える。
 高等学校教育をどの程度「民間」にゆだね、どの程度「公」で負担するかは各県の判断になる。私立学校に通う生徒の割合を全国水準まで高める考えがあるのか。私立高校設置者との調整・議論を進めないままに進む道・歪んだ高校再編の道と、何よりも子どもたちの学習機会を保障する道・生徒ファーストの道、知事はどちらの道をとるのか。盛岡市が設置する高校との議論も避けられないと考えるが、知事の所見を伺う。

【知事答弁実績】県内私立高校においては、それぞれが独自の建学の精神や教育理念に基づき、スポーツ・文化など様々な分野で活躍する人材の育成等に取り組み、本県公教育の重要な役割を担っている。
 このような中、生徒数が減少することへの対応は、公立高校、私立高校それぞれに共通した課題であり、中学生の多様な進学の選択肢を確保するため、一般社団法人岩手県私学協会会長、県教育委員会及びふるさと振興部の担当する課長等で構成される岩手県公私立高等学校連絡会議において議論を深めるなど、公私それぞれの良さが岩手の教育界の中で生かされるよう検討していく。

 私立学校に通う生徒の割合を全国水準まで高める考えがあるのか。本県高等教育の重心の位置を(8:2)から(7:3)に、公立から私立に多少重心を移動させるのか。定員を超過している私立高校もあるようだが、どう調整を図っているのか

【知事答弁実績】県では、それぞれの私立学校が収容定員を変更するときは、学校教育法に基づき、申請に対する認可の権限はあるが、申請がない場合、個々の学校や各地区・県内全体の定員を調整する権限はない。県が公立・私立の生徒数の割合を調整することはできないが、岩手県公私立高等学校連絡会議において、現在の公立・私立の各高校の情報共有や意見交換から議論をさらに深めていく。
 私立高校の収容定員は、周辺の高等学校入学見込者数の状況や学校の教員数、施設設備の整備状況等を勘案して適正に設定されているものであり、定員の超過による教育条件の低下を招かないよう、設置者に対し、その遵守をこれまでも継続して指導してきたところ。大幅に定員を超過している学校の設置者に対しては、定員超過の解消について文書による指導を行うとともに、教育環境の確認等を行うこととしている。

(5) 統合案への認識について 

 今回の統合案の本質は、「盛岡市内の高校への生徒の集中を緩和」である。しかし盛岡南を統合したところで、一極集中の緩和にならないのではないか。
 高校再編計画の後期計画案においては、その基本的な考え方を「生徒の希望する進路の実現」と「地域産業を担う人づくり」としているが、一人一人の多様性を認め育てる環境づくりと矛盾する。知事のご所見を伺う。

【知事答弁実績】統合案への認識についてですが、これまで各ブロックにおいて開催された会議等では、沿岸部や中山間地域等の小規模校の存続とともに、盛岡市内の高校への生徒の集中緩和を求める意見が多数あったと承知しており、全県的な視点から高校再編を検討していく必要があるものと認識している。
 教員委員会においては、盛岡南高校・不来方高校ともに、盛岡市周辺以外からの入学者が多い状況にあり、統合により盛岡市内の高校の定員が減少することにより、生徒の集中抑制に一定の効果が見込まれると同時に、規模の大きさを生かした、多様な学びの機会の提供が期待されること等から、盛岡ブロックにおける今回の統合案を示したものと承知している。
 計画の策定にあたっては、生徒にとってより良い環境を整備するという視点を重視し、県内各地域の高校の活性化や魅力づくりにつながるよう進めてもらいたいと考える。

 盛岡南高校、不来方高校周辺の環境は大きく変わってきている。矢巾町では、市街化区域の拡大33ha、人口の1割増が見込まれている。また、先般公表された県内地価調査の宅地上昇率ベスト10の内8か所が盛岡南高校、不来方高校から半径4km圏内である。盛岡圏域も2極化が進む。生徒ファーストの視点でより良い環境は何かを熟慮し、統合時期の見直しを含め慎重に検討願う。

(6) 不登校生徒への対応について

 岩手県の公立私立を合わせた高等学校の1,000人当たり不登校生徒数をみると、平成27年度を境に増加基調にある。しかも平成28年度、平成29年度は全国平均を上回って増加している。高校再編に合わせ、今を生きる子供たちの学びの場の環境を整えて欲しい。知事の不登校生徒に対する教育の機会均等の確保に向けた覚悟を伺う。

【知事答弁実績】本県における公立、私立合わせた高等学校千人当たりの不登校生徒数は、ここ数年間、増加傾向にあると承知している。
 そのような状況の中、不登校生徒の教育機会確保については、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携しながら、各校において、別室指導等、個に応じた支援を行い、生徒及び保護者に丁寧に寄り添った教育活動の推進に努めていると承知している。
 今後も、教育委員会を中心に、関係機関との連携を図り、魅力ある学校づくりを進め、県内の高校の不登校生徒の減少に向けた取組、及び教育機会確保に努めてほしいと考えている。

 知事の国会最後の質問が教育関係であったと伺っている。教育基本法の中で教育を受ける権利、学ぶ権利はかけがいのない権利。学びたくても学校にいけない生徒を県教委や関係機関が連携し、ぜひ導いて欲しい。不登校特例校の設置も視野に検討をお願いする。

5 コロナウイルス感染症対策における経済対策

(1) 観光業への新型コロナウイルス感染症の影響について

観光業への新型コロナウイルス感染症の影響について伺います。
令和元年の観光宿泊客数と観光消費額の実績について伺う。また、併せて県内の宿泊客は、昨年に比べ何割減少し、新型コロナウイルス感染拡大の影響はどの程度だと把握しているのか。今後の見通しを伺う。

【保副知事答弁実績】本県の令和元年における延べ宿泊者数は627万6千人泊、観光消費額は1,754憶5千9百万円ということになっております。
 これが、今年、令和2年の1月から7月まででございますけれども、県内延べ宿泊者数は、203万7千人泊、これは前年の元年の同期と比較いたしまして、43.0%の減少となっております。この減少のほとんどが、新型コロナウイルス感染症が国内に拡大いたしました3月以降のものであるということから、これらはほぼ新型コロナウイルス感染症の影響によるものと捉えております。
 さらに、詳細に月別に前年同期と比較いたしますと5月が76.8%の減少とこれが最低となっておりますが、7月には39.8%の減少というふうに回復してきております。また、9月の連休にはですね、県内の旅館・ホテルにおいては満室になったところも結構多いということも聞いておりまして、観光需要は回復基調にあるのではないかと推察しておりまして、さらに今後も回復が進んでいくことを期待しております。

(2) GoToトラベルの県内への影響について

 7月末から始まったGoToトラベルによる県内宿泊客数について、教育旅行を含めどのような状況か伺う。併せて、GoToトラベルによる一定の効果がみられたと観光事業者から聞いているが、県の認識を伺う。

【知事答弁】GoToトラベルの県内宿泊者数等についてでありますが、観光庁では利用者数利用額を都道府県別に整理していないことから、県としてそれらを把握することは困難であるところ。
 県内のGoToトラベルに登録しているいくつかの宿泊施設への聞き取りでは、9月の宿泊者のうち概ね7割程度がGoToトラベルを利用しており、教育旅行については、旅行会社によれば、8月以降に実施した学校のほとんどがGoToトラベルを利用していると聞いている。
 新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、4月16日には緊急事態宣言が全国に発せられ、宿泊事業者の経営が深刻な状況となる中、まずは、県と市町村が協調して宿泊助成制度を設け、地域内の需要喚起を図った。
 その後、5月の緊急事態宣言の解除を受けて、宿泊施設の感染症対策を促しながら県内での宿泊需要を喚起するための地元割クーポンを措置したところ。
 これら県、市町村の施策に加え、7月からは国のGoToトラベルが動き出し、宿泊者数の回復につながってきていると認識している。

(3) GoToトラベルの知事発言について

「7月からGoToが動き出し、宿泊者数の回復につながったとの認識」ですね。8月21日、偶然、生で記者会見を聞いていて、知事の「失敗」発言に驚いた1人です。「失敗」と発言・判断したエビデンスは何か。

【知事答弁実績】8月21日の記者会見において、記者から「GoToトラベルの始まってからの知事の受け止めを教えてください。この政策は結構失敗だというふうに言われていますけれども」という質問を受け、「7月中に始めてしまったのはやはりちょっと早過ぎた。準備もできていなかったし、早すぎた。ということで、失敗と言っていいのだと思います」と答えたものであります。
 GoToトラベルは、新型コロナウィルス感染症収束後のV字回復のために企画されたものと理解していますが、最終的な効果は、コロナウィルス感染症の収束という事態の後に、どのように発展するかを見ないと分からないものであり、成功・失敗を判断できる状態にない中では、成功か失敗かという問いに意味はないと考えます。
 そもそも成功・失敗は、個別事業についてではなく、感染拡大させず、かつ、経済的・社会的に困窮する人を出さないようにすることについて問われるべきであり、そのために様々な事業を組み合わせ、状況に応じ、個別の事業を改善していくということが求められると考えます。

エビデンスを再度尋ねる。ウィキペディアでは、「エビデンス」とは証拠、裏付け、科学的根拠とあるが、お答えください。

【知事答弁実績】スタートを前倒しすることで、キャンセル料の問題など、様々混乱もあったことから、失敗と言う人がいるのであれば、そこについて失敗と言う言葉を使うこともできるかもしれないという趣旨で発言したもの。

知事が成功か失敗かというのは、大事なことは感染拡大がでているのかどうが、経済困窮者がでているのかどうかということで、まさにその通りだと思う。岩手県でGo toトラベル利用者で感染者は発生しているのか。クラスターは発生しているのか。

【保健福祉部長答弁実績】GoToトラベルに起因するクラスターについては探知しておりません。

「コロナ終息後にV字回復するための事業であり、収束しない間は効果が出てこない」。知事は8月の記者会見時点で終息の時期をいつと見ていたか。観光事業者の経営は深刻な状況下において、事業者はもちますか?

【知事答弁実績】当時も今も知事として新型コロナウイルスがいつ終息するかは申し上げられる状況にない。

(4) GoToトラベルの知事発言の主語について

 令和2年8月28日知事会見で、記者が「前回の知事会見でGo To トラベルは失敗だったというふうに知事おっしゃったと思うのですけれども」との質問に対し、「『Go To トラベルは』という主語では言っていません」と発言されたが、主語は何か。

【知事答弁実績】記者会見での発言についてでありますが、スタートを前倒しすることで、キャンセル料の問題など、様々混乱もあったことから、失敗と言う人がいるのであれば、そこについて失敗と言う言葉を使うこともできるかもしれないという趣旨で発言したものであり、私として失敗と言ったわけではありません。

 国語の議論はしません。公式の記者会見で「ごはん論法」はやめた方がよい。「GOTOトラベル開始から1ヶ月経ち、知事の受け止めを教えて欲しい。と前段で記者は伺っている。GoToの評価を聞いているんですよ。違いますか?
 武田議員の質問に「スタートを前倒しすることで、様々混乱もあって、キャンセル料の発生もあったから失敗」と答弁。ココが間違い。知事は評論家でない。観光事業者を含め経済が極めて厳しい状況にあってバランスを図った舵取りが求められる極めて高度な政治判断が求められる。
 成功か失敗かは、感染拡大させず、経済的・社会的に困窮する人がでたか、定量的・具体的、科学的根拠を踏まえながら発言すべき。様々な立場の事業者が感染対策をしながら経済、社会活動の回復に向け取組んでいる状況において、主観的、短期的、部分的、しかもネガティブなメッセージを発信した事実がマネジメントとして欠如してる。

(5) 岩手に泊まるなら地元割クーポンについて 

 岩手に泊まるなら地元割クーポンについて伺う。9月末まで実施された分の実績、効果について伺う。現時点でその成果をどう評価しているか。また、宿泊事業者からは、どのように評価されているのか。

【保副知事答弁実績】9月まで実施いたしました1泊あたり2,000円の宿泊助成の分でございますが、これまでに約16万2千枚を発行いたしました。宿泊事業者等、皆さんから県の方へ帰ってくるわけですが、10月1日までに利用実績として報告が来ておりますのは、約41,500枚であり、今後も増えていくものとなっております。
 月別のデータに基づくと、岩手県の6月の延べ宿泊者数の水準は前年同月比で43.6%ということでございましたが、地元割クーポンの利用が始まった7月は60.2%に回復しており、クーポンの効果があったものと考えております。
 また、事業者の皆さんからの評価についても、団体等を通じるなどして聞いておりますが、多くの声として、宿泊需要の喚起に効果があったと聞いているところでございます。

知事就任時の課長級以上職員に対する講和の結びの言葉を紹介する時間がなくなったので、終わりますが、初心を忘れず、予算、組織、政策が効果的に連動するよう知事のマネジメントを期待する。