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県議会報告

常任委員会(農林水産委員会)(令和2年7月2日(木))

2020.07.22

1 令和3年度以降のいわて森林づくり県民税(素案)

(1)繰越の原因課題と今後の対応について

 令和3年度以降のいわて森林づくり県民税(素案)について質問します。これまでも、とりあげさせていただいておりますが、だいぶ、活用方策とか広げて、いろいろ議会でのこれまでの議論をくみ取られているのかなと評価いたします。ただ県民税の最大の課題が、毎年繰り越されている累積残高、22億5,000万円。この原因から課題をしっかり探って、今後に生かす実践を積み重ねていかなくてはいけないと思いますし、今回の体制がそれらを反省させたものになっていると評価し、期待しております。
 原因課題を、これまでの3期、まさに達増県政とともに歩んできた感じですが、今後の施策をどのように捉えているのか伺います。

○ 高橋林業振興課総括課長
 令和3年度以降の県民税の施策の推進についてですが、県税収入と残高の課題についての質問でございます。県民税の基金残高が、増加してきました理由としては、この事業の大部分を占めます、県民の森整備事業で行います混交林誘導伐の補助事業が、平成23年の東日本大震災津波からの復興工事に伴う支障木伐採の増加や、近年の国産材の需要拡大に伴う主伐の増加に加えまして、県民税事業の施工対象地の奥地化等により、混交林誘導伐の事業対象森林の確保が計画通りに進まないことを背景に、事業費が税収を下回る状態が続いたことによると考えております。このため、事業対象森林の確保が課題と考えています。
 課題の解消に向けまして、これまで、テレビCMや新聞広告等によりまして、森林所有者向けに県民税について周知してきたほか、林業事業体に対しては、事業候補地の把握に活用できる地図状況の提供など、取り組んできております。本年度、森林組合を個別に訪問して事業実施を働きかけるなど、対象地の確保に努めているものであります。
 これらに加えまして、令和3年度以降の、いわての森林づくり県民税の素案におきまして、今後、県民の皆様はじめ、県議会の御意見を伺いながら、成案としてまいりますが、この中で、奥地化した事業対象地の整備が進みますよう、新たに公益上重要な森林の整備や管理のための作業道の整備を事業対象として拡充しておりますので、こちらを活用いたしまして、推進に努めてまいりたいと考えております。

(2)具体的な見直しの内容について

 人材の不足という話も、本会議場でも、伺っております。ただ、復興のピークは過ぎております。事業費も減少傾向に入っております。
 そういった中で、3つくらい、ポイントがあるのかなと捉えています。なぜ、ここまで基金残高が膨らんだのか。たしかに復興もありましたが、一方で、事業を進めていく上での条件的な部分の緩和というか、現場の声をきいた柔軟な対応を、もう少し進めてこれなかったのかと思います。それからやはり、人材育成の視点。作業員の確保。県民、山の所有者に対する周知不足。さきほど佐藤委員から御指摘ありましたが、私も、この点についてのちほど伺いたいと思います。
 報告書の48ページに、第3期終了後の県民税の基本的方向(提言)がとりまとめられておりました。2の具体的施策(使途)の①公益上重要な人工林の針広混交林への誘導。なお書きで、県民懇談会での意見のあった施工地面積、あるいは、協定期間等の事業要件見直しの検討が必要があると書かれております。具体的な見直しの内容、数値とか、具体的にどういったふうに、反映されているのかお伺いしたいと思います。もうちょっと、具体的に言えば、事業実施後の20年間の皆伐禁止といった部分を要件緩和してほしいとの話もありますが、その辺の話を伺いたいと思います。

○ 高橋林業振興課総括課長
 県民懇談会で意見のありました、事業要件についてですが、県民懇談会を昨年4回、県内4カ所で開催しまして、所有者の皆様から、事業を実施してよかったという御意見がありました。施行地面積がある程度集約した面積の形で事業申請してもらっているので、もっと、小さいところから、採択してくれないかという話もありましたし、協定期間につきましては、議員からお話がありましたとおり、混交林誘導伐ということで、混交林に林ができるまで一定期間必要だろうということで、現在20年間、皆伐をしないで、環境林としての効果がでるまでやっていただくこととしていますが、こちらにつきましては、高齢な方が多いので、緩和はできないのかという御指摘をいただいております。素案の中では、具体的な期間であるとか、採択面積などのこまかなところまでは、検討しかねているところであります。今年度、県民懇談会、県民説明会、県民アンケートなどにおいて、どういった御希望があるのか、つぶさに御意見を拾いながら、施策に反映してまいりたいと思います。

(3)制度周知と認知度について

 これから具体的な財政協議も含めて、具体的な事業化に動いていくと思いますが、その辺の検討を、地元現場の声、知事も現場主義という答弁を常日頃されております。ぜひ、現場の声をくみ取りながら制度設定してもらいたいと思います。
 さきほど、テレビCMで山の所有者に周知しているということでしたが、アンケート調査の結果が報告書の26ページに出ております。名称を知っていると答えた者が40.3%と書いてあります。ちょっと、捉え方。少し意図的というか、わかるんだけれども、逆に言うと、県民税の名称は知っているけれども、税額も知らない、使い道も知らないというのが、どのくらいありますか。ちょっと伺います。(執行部無言)・・・いいです。わかりました。76%です。4分3です。4人に3人が、ここ、厳しめに言います。4人に3人が15年間。ここ2、3年にできた事業、税金ではありません。重要なポイントだと思います。4人に3人の人が名前は聞いたことあるよというのが、仮に4割だとしても、いくら取られているのかも知らない、何に使われているのかも知らないというのは、問題ではありませんか。お伺います。

○ 高橋林業振興課総括課長
 県民税と併せまして、毎年、個人の方から、1,000円。企業の方から、2,000円から80,000円ということで、税金をいただいております。こういった事業に税金をいただいて活用し効果を出していることを県民の皆様方に周知していくことが非常に重要なことと考えております。只今、議員からご指摘がありましたとおり、事業の内容がわからないという方々が70%を超えるといった点については、真摯に受け止めまして、今後、事業内容であるとか、税額、効果について周知が必要と思います。例えば、全国植樹祭などを活用し、県民の皆様の森林に関する関心が非常に高まる機会を捉えてなど、関連事業を様々な機会を捉えて周知を図っていきたいと思います。

(4)人材育成と確保対策について

 この森林税、非常に大事だと思っています。そういった視点で、事業が進まない理由として、たしかに人手不足がありますが、こういった県民に対しての、選挙人名簿で無作為抽出2,000人。回答率も4割、5割を切っているくらいのもので、十分な評価ができるかは様々な議論がありますが、何を言いたいかというと、山の所有者とか、実際のプレーヤーになるべく人たちがいったい、森林税をどこまで知っているのか、実はなかなか、わからない方々が多いという話も聞いています。私が住んでいる広域の地域も含めて、事業の名称はわかるけれども、何に使われているのか、具体に知っている方、実は1割あるかないかという驚くべき話も聞いている。ぜひ、今後も素晴らしい、とりまとめた4期目の県民税については、今後座談会だとか、懇談会。テレビCMも一般向けには良いですけれども、山の持ち主も含めた現場の方々との座談会をもっとやってほしいと思います。4カ所66名。これどうなのかなと。この中に、市町村の職員も入ったりしているのかなと思います。いずれ、そういったことで、進めていただきたいと思います。
 それと、人材育成の部分については、間伐を担う作業員の確保については、なかなか育っていないと伺っております。チェンソー、仮払い機の基本技術を習得しても、実際に現場に入って作業するには危険な作業があります。そういった部分で日当も1,000円くらいで支払われている現状では、いわゆる3Kという部分のきつさがあります。確保も難しいと思います。ぜひ、この点の改善も含めて、人材の確保育成につなげてほしいと思いますが所見を伺います。

○ 橋本林務担当技監
 人材の育成のためには、単価などを解決すべきではないかという質問であったと思いますが、県と岩手県林業労働対策基金がありまして、この中で、単価という賃金との関係については、いくらでも上げていこうと取り組んでいるところでございます。最近では、岩手県林業労働対策基金の方では、ホームページに応募する事業体の賃金体系、いわゆる給与制なのかどうかなど、具体的な金額も入れて公表することによって、林業事業体全体の労務単価が透明化されてきております。いずれにしても、こういった取り組みを進めておりまして、担い手の対応に、しっかり対応していきたいと考えております。

(5)針広混合林の箇所の検証について

 ぜひ、担い手対策、コーディネートの人材を育成していくということで、非常にこの辺は評価いたします。
針広混合林への誘導について、13年間で、5割の共同間伐を実施されたということですが、その後のこの針広混合林をやった現場をごらんになっていますか。現場の検証をどのように県として、検証されているのか伺います。

○ 高橋林業振興課総括課長
 針広混合林の箇所の確認方法でございますが、各振興局で実施した箇所のモニタリング調査を実施しておりまして、こういったところの写真等を毎年度集めております。これを県民税の事業評価委員会の中に、大学で森林学や林業学を研究している先生方がおりまして、こういった先生方を交えまして、事業が進んでいるのかどうか検証しております。その中では、一定程度の成果が認められると御意見をいただいております。ただ20年間の間伐成果をお話させていただきましたが、事業開始後13年でございまして、林内に広葉樹が見られて機能が上がってきているのは評価できるけれども、まだ最終的な形になっているわけではないので、評価できるところではないということでして、今後とも、モニタリングなり、実施状況を確認して参りたいと思います。

 一定程度の評価という話でございました。裏返すと、なかなかある部分については、広葉樹も生えづらい環境があるということで、9年目10年目を迎えた現場の山に入ってみますと、求めるイメージの山の姿にたどりつくには厳しいのかなという現場も全部とは言わないがあります。機会を捉えて、現地の検証も、総括課長、部長、技監にも、現場を見ていただきながら、第4期の具体的な施策に結び付けていただきたいと思います。