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県議会報告

令和元年度9月定例会 常任委員会(農林水産委員会)(令和元年10月23日(水))

2020.03.21

1 野生動物侵入防止緊急支援事業費について

(1)豚コレラの発生状況

○臼澤勉委員 私からも、五日市委員の質問と重複しないように確認させていただきます。
 なぜ今回の9月補正予算で野生動物侵入防止緊急支援事業費を計上されたのでしょうか。先ほど小岩技監からもお話がありました。事態は切迫度が高まっていると理解しておりますが、改めて今の全国的な豚コレラの発生状況は、どのくらい危機的な状況が差し迫っているのか。つまり農林水産部のリスク管理体制はどうなっているのかといった視点で確認させていただきます。

○村上特命参事兼振興・衛生課長 国内での豚コレラの発生状況ということかと思います。
 現在国内での豚コレラの発生状況でございますが、まず昨年の9月に岐阜県で発生しております。さらに発生が続いておりまして、現時点で46例の発生があり、約14万頭ほどの殺処分が行われております。それが先月、9月に入りまして、関東地方にも感染が拡大してきたという状況でございます。感染イノシシも関東地方にも広がってきているといった状況でございます。

(2)リスク管理

○臼澤勉委員 被害は関東地方やこちらの北日本にも向かってきていると思います。いずれリスク管理の基本は、想定されるあらゆるリスクを洗い出して事前に対策を打つことだと思っております。
 それで、これまで県としてどのような取り組みをやってきているのかお伺いしたいと思います。本県は畜産県でもありますし、養豚の産出額あるいは雇用に関しても非常に大きなウエートを占めておりますので、やはり水際対策をしっかりやらなければいけないという趣旨でお伺いいたします。

○村上特命参事兼振興・衛生課長 これまで国内で豚コレラが発生した都度、関係者に対しましては発生情報の提供、注意喚起を毎回行っております。それから、関係機関、団体などを対象としまして岩手県豚疾病防疫連絡会議を行っております。繰り返しになりますけれども、年に1回は家畜保健衛生所が農場巡回を行い、注意喚起をしているところでございます。

○菊池畜産課総括課長 補足させていただきます。
 農場の巡回に当たりましては、毎年1回、家畜保健衛生所の職員が全ての農場に行って、飼養衛生管理基準といって、農場が基本的に守っていただくことを一つずつチェックしております。あわせて、今回豚コレラが発生拡大している状況を踏まえて、ことしの1月に、特に3,000頭以上の豚を飼養している規模の大きな農場と、外国人を雇用している農場に緊急的に立ち入りを行いました。そのような農場に対して、改めて注意喚起あるいは指導の徹底を行っております。
 リスク管理でございますが、庁内に関係課がございます。窓口は県民くらしの安全課が担っておりますが、自然保護課やいわて花巻空港の所管課であります県土整備部の所管課、関係する課とも情報交換を行いながら、対応を緊急に行うことができる体制をつくっております。

(3)想定される事業費

○臼澤勉委員 今回野生イノシシが主な感染のルートだと伺っております。野生イノシシですから、どこをどうやって動いてくるのかよくわかりませんし、県内にも野生イノシシの目撃情報も出てきております。地元のJAなどからも、今回の対応について、3,000頭以上の大規模な農場には、国から2分の1の裏負担は出ているけれども、中小養豚農家を補填してくれる対策をとってほしいというお話も伺っている中で、今回このように提案をされたということは、私は本当に評価いたします。これは先ほどのリスク管理という意味においても、できる人だけが対策をとればいいというものではなくて、134戸の養豚場が規模の大小にかかわらずに対策を打たなければいけない中で、全ての養豚場が対策を打つことができるということで、私も安心したところであります。
 お伺いしますけれども、今回想定される事業費はどの程度見込まれているのか。そして、もう既に自主的に防護柵を設置して取り組んでいる養豚場もあると思うのですが、そこは遡及して事業の対象とするのか確認させてください。

○村上特命参事兼振興・衛生課長 事業費でございますが、総額で12億1,874万9,000円となっております。それから、事業対象についてでございますが、7月16日以降に発注された方につきましては対象になるといったルールで、国の事業が先行しております。

○菊池畜産課総括課長 補足させていただきます。
 全体事業費につきましては、今申し上げたとおりでございますが、全体で113戸の養豚場を想定しております。規模の大小はもちろんございますが、1農場当たりのフェンスを回す防護柵の長さは大体840メートルぐらいを想定しております。そのときの事業費につきましては、1戸当たり1,000万円と想定しております。なお、特に大きな規模の農場は8キロメートルぐらいとなっております。

(4)環境生活部との連携

○臼澤勉委員 遡及適用はないという答弁でよろしいですね。経営力や資金力がある養豚場は、自衛の意味を込めて、そして地域への影響を考慮して率先してやると判断して設置した部分もあると思うのです。大規模の養豚農家は、投資もそれなりの規模になっていると思います。遡及適用については、丁寧に御意見を聞いて、公平、公正を旨とすべきだと思いますので、ぜひ検討していただきたいと思います。
 それから、対策の中で野生イノシシのお話がありました。担当は自然保護課なのかもしれませんが、捕獲対策もしっかりやらなければいけないと思っております。農林水産部として野生イノシシの捕獲対策にもっと踏み込んで、みずからやる部分と、できない部分は環境生活部への働きかけを強めなければいけないと思うのですけれども、対応のお考えをお伺いします。

○藤代農業振興課総括課長 野生イノシシの捕獲対策でございますけれども、本県においては、平成22年に一関市で初めて被害が確認されて以降、平成30年度には10市町村、洋野町でも被害が確認されているのですが、目撃情報は二戸市でも確認されており、県全域で野生イノシシの生息が広がっていると捉えております。
 野生イノシシの捕獲につきましては、5年前の平成26年度は県内で47頭捕獲しております。平成30年度は、5倍になります243頭捕獲し、今年度につきましては320頭を捕獲していく計画で、農林水産部で半頭数、環境生活部で半頭数捕獲していく考えで取り組んでいるところでございます。
 また、捕獲対策の強化ということでございますが、本県では明治以降、野生イノシシが生息していないということで、捕獲する方に捕獲技術が身についておらず、ことしの春にICTを使った箱わなを県内9カ所に設置しまして、いろいろ勉強していただいている状況です。野生イノシシはかなり警戒心が強くて、まき餌をしてから3カ月ぐらいしないとわなにかかりません。また、佐藤ケイ子委員の一般質問でも答弁させていただきましたけれども、ことしの冬にドローンを使った調査で、ドローンに赤外線カメラを搭載し、野生イノシシがどのあたりにいるかという情報を分析いたしまして、わなを仕掛ける、あるいは巻き狩りをするといった形で効率的に野生イノシシを捕まえる取り組みを進めております。

○菊池畜産課総括課長 遡及適用の件について補足させていただきます。
 今回の事業でございますが、国が制度化して独立行政法人農畜産業振興機構が事業を行っております。内容につきましては、2分の1の補助ということですが、今回の県の事業は、この独立行政法人農畜産業振興機構のフレームを使いながら、より生産者の方の負担軽減をするということで、県で4分の1の補助という提案をさせていただいているものでございます。この独立行政法人農畜産業振興機構の事業につきましては、緊急的につくったもので、ことしの8月に示されたものでございますが、7月16日にさかのぼって適用するということでありますので、県としましてもこのタイミングに合わせて動くことにしております。
 ただ、自衛防疫ということで、早い段階で防護柵を設置している養豚場もあるということですが、そういった方々に対しては、丁寧に説明して御理解をいただきながら、県全体として野生イノシシを入れないことを進めてまいりたいと思っております。

(5)予防的ワクチン接種

○臼澤勉委員 ぜひ丁寧に御理解をいただくよう対応していただきたいと思います。
 最後に、予防的ワクチン接種について、今後の手続を確認したいのですけれども、必要頭数とそれに対する必要量はどのくらいを見込んでいるのか。全国の備蓄の150万回分に対して、11県で消費されるようですけれども、本県の見込み数量、そして万が一の場合に、きちんと確保できるようになっているのか、少し気になります。そこら辺の準備というか、未来のリスクに対して確認させてください。

○村上特命参事兼振興・衛生課長 予防的ワクチン接種についてでございますが、委員がお話しされましたように、国の備蓄は150万回分ということでございます。それに現在予防的ワクチン接種地域に推奨された11県には、約130万頭分を促されているようですので、大体1回で使い切ってしまう量だと思っておりますが、国では急いで増産をお願いしていると聞いております。ただ、いつまでに何頭分の増産をするということは、国も公表していない状況ですが、できるだけ急いで要望していきたいと思っております。

○菊池畜産課総括課長 今答弁申し上げたように、既に発生している11県で130万頭ほど豚がおります。そして子豚が生まれてまいりますので、現在国で保管している150万回分のワクチンでは、足りない状況になります。したがいまして、国では製薬メーカーに対して増産を至急働きかけているところでございますが、県といたしましても国に対して要望を行っております。有事の際にきちんと対応できるようなワクチンの確保を働きかけておりますので、引き続き要望は続けてまいりたいと思っております。
 あと、本県の必要数量でございますが、豚の飼養頭数が42万頭でございますので、それに見合う42万回分のワクチンが必要と思っております。

○臼澤勉委員 本県の養豚は、全国でも第7位の畜産県であり、畜産額に占める割合も1割を超過し、300億円と園芸に匹敵するぐらいの規模感だったと思っております。そういう意味で、重要な位置を占めておりますので、リスク管理をしっかり徹底していただいて、3,000頭以上の大規模養豚農家もありますけれども、コンパクトなところもあるでしょうから、それぞれの経営状況に応じて丁寧な対応と、しっかりと予防もして、捕獲も進めて、鳥獣被害対策もありますので、あわせて野生イノシシ対策に取り組んでいただければと思います。

1 台風第19号に伴う農林水産部の対応状況

(1)治水対策の実施状況と予定

○臼澤勉委員 まず、台風第19号に伴う農林水産部の対応状況ということで、49億円の被害状況を伺いました。午前中もお話ししましたが、きのうも普代村、田野畑村の現地を見ながら、改めて今回の台風第19号被害の状況について調査させていただきました。今回の場合、河川の氾濫というよりは、山からの土砂の流出が家屋や、さまざまな施設に被害を及ぼしているという状況でございました。道路の寸断もありました。
 県土整備部で土砂災害の危険箇所を指定しながら、国土強靱化のハード対策やソフト対策も含めやっておりますが、農林水産部として治山対策の取り組み、治山対策の実施状況と今年度の予定はどのような状況になっているのか、まずはお伺いいたします。

○西島森林保全課総括課長 台風第19号災害を受けまして、県の治山事業の進め方というお話かと思いますけれども、県では昭和47年に山地災害危険地区の県内各地を、国の調査基準に基づき調査いたしまして、災害等が発生した場合に随時点検し直しながら、全県で3,776地区の整備に取り組んできたところでございます。毎年治山事業で、大体60カ所ほど取り組んでいるところでございます。

○臼澤勉委員 毎年60カ所ほど取り組んでいるということでございましたが、1カ所当たりどのくらいの工期になっているのか。山地災害危険地区が3,776カ所ということですが、指定の状況と進捗状況をお伺いします。

○西島森林保全課総括課長 治山事業につきましては、例えば復旧治山や予防治山、規模の小さいものにつきましては県単独の治山事業など、それぞれ現地の状況に応じて実施しております。
 期間につきましても、軽微なものにつきましては1年で終わるものもあれば、先ほど60カ所と申しましたけれども、一つの地区を複数年にわたってやるケースもございます。山地災害危険地区で県内3,776カ所ほど把握しておりますが、その中で地区として何年かかけて整備していくという事業の進め方をやっております。例えば1地区に3基治山ダムをつくる場合も1カ所ずつ毎年つくっていくような進め方です。緊急性が生じれば2基つくるなど、そういうやり方で工事を進めていくという形になります。
 県全体での進捗状況ということですけれども、先ほど申し上げた事業の進め方の背景もございまして、着手率で把握しております。3,776カ所のうち治山では地区として完成したものが890カ所、そして現在一部完成というのが1,166カ所ということで、着手したものは合計2,056カ所ございます。整備着手率としての数値では54%ほどということで、毎年着実に進めていくということで取り組んでおります。

(2)沿岸地域における山地災害危険地区

○臼澤勉委員 土砂災害危険個所もいろいろ指定しながらやっているようですけれども、進捗率は1割だったと記憶しております。そういう中で、この山地災害危険地区の着手率は、高いというのが率直な印象でございました。高いか低いかは別にしても、着実に進めていく必要がありますし、今後ハード事業を含めた対策についても、最近の大雨洪水は10年に1度と言われているような雨の降り方ですし、頻度も非常に高くなってきていると思いますので、よろしくお願いします。
 山地災害危険地区も3種類ぐらい、崩壊、土砂流出、山崩れとあるようですけれども、本県沿岸部の山地災害危険地区の特徴、内陸とはまた違うのか、そしてそれに対しての取り組み方針を、もう一度お願いします。

○西島森林保全課総括課長 山地災害危険地区にかかる工事の種類というお尋ねかと思いますけれども、大きく分けますと五つとなります。一つは地すべりになります。あとは山腹崩壊、崩壊土砂流出、雪崩ですが、準用する地区についてはほとんどありません。
 一番多いのは、今回の台風第19号災害でも見られましたような、崩壊土砂流出が大変多くて2,686地区と大半を占めている状況でございます。全体的に崩壊土砂流出の対策が中心になると感じております。

(3)崩壊土砂流出対策事業費

○臼澤勉委員 この崩壊土砂流出対策事業費は、県が希望するぐらい順調に確保されてきているのか、国への要望に対して順調にいっていると捉えていいのか、大変厳しい状況なのか、そこら辺の感触をお願いします。

○西島森林保全課総括課長 治山事業関連は、毎年約20億円程度の予算で実施しております。幾らでもいただけるのであればいただきたいわけですが、計画的に進めるには、各市町村から要望が上がってまいりますので、国には必要な額を要望しております。今のところは、比較的必要な額を確保していただいているのではないかと感じております。
 また、先ほど沿岸地区の取り組みについてお話がありましたけれども、沿岸地区の普代村も、土砂の流出が非常に激しかったので、本当に海岸の際であれば崩落とかいったものの対策をやっております。

○臼澤勉委員 私は、県の役割において、国土強靱化では、まず治水対策、そして治山対策をしっかり行って、安全な基盤というか、国土保全をやっていく使命があると思います。ぜひ農林水産部としても、国土強靱化に向けてしっかり取り組んでいただきたいと思います。