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県議会報告
令和元年度2月定例会 予算特別委員会(商工労働観光部)(令和2年3月13日(金))
2020.03.20
1 事業承継支援について
(1) 県内中小企業の事業承継の現状と課題について
県内中小企業の事業承継の現状と課題は如何に。被災地産業復興調査(令和元年8月)によると事業承継について、商工団体7団体が「あまり円滑に行われていない」と回答しているが、併せて伺う。
【経営支援課総括課長答弁実績】
県内の経営者の平均年齢に関する調査を行っているところが、今、統計データでは2つあります。一つは、商工会連合会が実施した調査でありますと県内経営者の平均年齢63歳。もう一つ、東京商工リサーチで実施した調査であると63.4歳というふうになっています。全国との比較の中においては、TSRの調査では全国で3番目に、全国3位というふうになっております。
商工会、商工会議所に実施しました被災地産業復興調査については、委員御指摘のとおりであります。
また、県内中小企業経営者の高齢化が進む中で、平成30年度に岩手県商工会連合会が約1,500社を対象に実施した調査では、その事業者のおよそ半数が事業承継の意向を示しているものの、そのうちの約1割は後継者が不在となっております。約6割は後継者や候補者がいても具体的な準備を進めていないという結果となっており、これらの方々に、事業承継に向けた準備の必要性を認識してもらうことや、早い段階から後継者教育、各種支援策の周知などが必要というふうに、こういった点が課題というふうに捉えているところであります。
(2) 第三者承継について
県内中小企業、小規模事業者の第三者承継が重要な課題であるが、ボトルネックをどう捉えているか。
【経営支援課総括課長答弁実績】
東京商工リサーチが実施した、県内企業約2,600社からの調査によりますと、県内で後継者を有する約1,600社のうち、約9割が親族内や従業員への承継を予定しておりますが、第三者への承継予定は約1割にとどまっております。
また、後継者不在の約1,000社のうち、外部からの人材招致や、会社の売却・譲渡を予定している企業はほとんどないことから、第三者への事業承継への理解が進んでいないことがボトルネックの一つと考えてございます。
さらに、中小企業基盤整備機構の調査では、国内の中小企業で、後継者候補とされる方々に、承継を拒否している理由を聞いたところ、約6割が「借入金の経営者保証」というふうになってございます。借入金に係る経営者保証もボトルネックの一つというふうに認識しております。
(3) ボトルネック解消に向けた対策について
ボトルネック解消に向けた県の対策の内容について問う。
【経営支援課総括課長答弁実績】
第三者への事業承継について認識していただくために、県、商工指導団体、金融機関などにより構成する岩手県事業承継ネットワークにおいて、後継者の有無や事業者の準備状況を対面で調査する事業承継診断を実施しているところであります。診断先には第三者への承継を含めた様々な選択肢や税制などの支援策を示しているところであります。
また、後継者不在の企業などには、委員のほうから御紹介がありましたけれども、盛岡商工会議所が平成27年に開設した岩手県事業引継ぎ支援センターにおいて、相談対応、あるいはマッチング支援を行っているところであります。
今般、先ほど申しましたが、事業承継時の経営者保証、これもボトルネックというふうなことで、国において経営者保証を不要とする事業承継特別保証制度を創設することとしております。県では、同保証制度を活用したいわて事業承継促進資金を創設し、事業承継に取り組む事業者を金融面から支援することとし、来年度予算に計上しているところであります。
(4) いわて事業承継促進資金貸付金について
新規の県の融資制度「いわて事業承継促進資金貸付金」の利用見込み・目標と事業承継推進効果は如何に。
【経営支援課総括課長答弁実績】
まず、事業承継資金の利用見込み、あるいは目標というふうなことで御質問いただきました。その点について答えさせていただきます。
この事業承継特別保証制度を活用して創設するいわて事業承継促進資金では、令和2年度当初予算において、融資枠を20億円として、貸付に必要な預託額を盛り込んだところであり、金融機関からのヒアリングを基に、25件程度の貸付を見込んでいるところであります。
この融資制度については、新規融資に加えて、既往債務についても借換えすることも可能でありますので、その際でも、経営者保証が不要となることから、後継者の負担や不安を軽減するなどの効果を期待しているところであります。
資金を含めてどのように事業承継を進めていくかということについてでありますが、先ほど御答弁申し上げましたとおりに、後継者の方々、事業を承継するときに、借入金を個人保証するということに抵抗を感じられる方々というのは少なからずあるのかなというふうに思っております。
こういった、今までにない経営者保証を必要としない制度を推進していくことで、親族内、第三者を含めて、外部の方が事業承継するときでも、少しハードルを下げるような、そういう取組をしていきたいなあというふうに、もちろん資金、金融面ですので、金融機関との連携、あるいは保証協会との連携、事業承継ネットワークに入っています商工団体との連携の中で、そういうことが、例えば、後継者の方々が心配なさる場合には、ぜひともそういう制度の利用促進を図りながら、承継を進めていきたいなあというふうに思っております。