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県議会報告

平成30年度2月定例会 予算特別委員会(教育委員会)(平成31年3月14日(木))

2019.03.20

1 高等学校教育改革推進費(新しい県立高等学校整備計画策定等事業)について

(1) 学級減等の調整について

 募集定員を一定程度上回る高校の学級減について、過去の入試状況に配慮し、学級減に補正を掛ける等、一定の調整をすべきと考えるが、所見を伺う。

 学級数調整についてでありますが、現在の「新たな県立高等学校再編計画」は、本県の児童・生徒数が減少していく中で、望ましい学校規模の確保による学びの質の保証と、本県の地理的諸条件等を踏まえた学びの機会の保障を大きな柱としたものでありますが、策定に当たりましては、学級減等の再編の対象校がある市町村等からの要望や県民の皆様からの御意見等も踏まえ、策定したところであります。
 再編計画では、学級減について県内9つのブロックを単位として調整を行うこととしており、ブロック単位で中学校卒業予定者数、各高校への進学予定者数を基に、必要学級数を算定し、具体的な再編プログラムを示しております。比較的定員を充足している盛岡ブロックにおいても、中学校卒業予定者数が再編計画策定時の推計どおりに減少していること等から、平成31年度に計画どおり募集学級数を減じたところです。
 適切な教育環境を整備していく観点から、再編計画を着実に推進していくことが重要と考えておりますが、前期再編プログラムにおいても、各地域における、ふるさと振興の取組や、ブロック内の中学校卒業予定者数や入学者の状況等も十分見極めたうえで計画を推進していくこととしており、平成32年度の学級編制においても丁寧な意見交換等を行いながら進めていきたいと考えています。

(2) 県立高校と市立・私立高校における募集学級数のあり方について

 県立高校と市立・私立高校における募集学級数のあり方について、県教委としてどのように考えているか、所見を伺う。

 県立高校と市立・私立高校における募集学級数のあり方についてでありますが、「新たな県立高等学校再編計画」の策定に当たっては、市町村の首長や教育長等、地域の代表者等との意見交換会などを通じ、丁寧な意見交換を行うとともに、併せて、私立高校関係者の皆様と、今後の中学校卒業予定者数の推移や公立・私立の募集定員割合の状況等の情報共有にも努めてきたところであります。
 私立高校は、それぞれの学校法人の建学の精神や教育理念に基づき設置され、特色ある教育活動が展開されているものと承知しておりますが、本県の高校教育は、公立高校と私立高校がそれぞれの個性や特徴を発揮しながら、子ども達や保護者の皆様の期待に応えてきているものと考えています。
 後期計画の策定に当たりましても、県立高校、公立高校、私立高校それぞれの入学者の状況等を見極めながら、学級数調整等の見通しを検討していきたいと考えています。今後におきましても、引き続き、盛岡市教育委員会や私立高校との連携を図りながら、本県高校教育の充実に努めていきたいと考えています。

(3) 岩手だからこそできる、やるべき教育について

 岩手だからこそできる、やるべき教育とは、具体的に高等学校教育において、どう考えているのか伺う。

 岩手だからこそできる教育、やるべき教育。この思いについては、以前の特別委員会の中で佐々木委員からご質問いただきましたけれども、今、高校再編計画を推進している中で、それぞれの地域の皆様方から高校教育について、これだけの県土を有する岩手県において、学ぶ機会をしっかり保障して欲しいという強い思いがある。
 また、岩手の魅力というのはそれぞれの地域地域に、産業でありますとか、生活でありますとか、いろいろな生き方が岩手の中で、漁村集落、中山間地域、農業集落、都市部というところで生活する中で、岩手の魅力が出てきている。そういう中で、学校教育の役割というのは、極めて大きいと常々感じておりまして、しっかり取り組む必要があるという思いもございます。
 一方では、岩手に今後移住等をどんどんすすめていくという場合にあっては、岩手に来るからこそ、岩手の教育に触れることによって人間的な成長を図っていくという姿を学校教育は目指していかなければならないという思いを、そしてまた、岩手に育った子どもたちが、しっかり岩手の中で教育を受けて成長していくという思いを2つの言葉に込めたところでございます。
 具体的な推進に当たりましては、いろいろな皆さんとの意見交換、合意形成が必要だと思っておりますので、しっかりたたき台を我々の方から示しながら、積極的な意見交換をして、合意形成を図っていくことが大事だと感じております。

(4) ILC誘致を見据えた理数科の設置について

 ILC誘致を見据えた理数科の設置等、理数系トップレベルの人材育成についての所見を伺う。

 ILC誘致を見据えた理数教育の充実についてでありますが、ILCを見据えた科学技術の人材育成については、現行及び次期学習指導要領の柱に理数教育の充実が謳われており、本県高等学校におきましても、探究的な学習の取組や科学的手法や分析を用いた課題研究の実践などを通して科学技術人材の育成に取り組んきております。また、科学ILC推進室が行っている「未来のILCを担う人材育成事業」では県立高校6校が指定を受け、大学教授による講演会や研究所等の施設見学など、ILCを始めとする科学技術分野への関心を高める活動を行っているところです。
 また、スーパーサイエンスハイスクールについて、2校が指定を受け理数教育の充実を図っております。
 今後におきましても大学や他部局と連携し、知識・技能を活用し思考力・判断力・表現力を重視した授業の改善や科学的探究活動の充実を図りながら科学技術人材の育成に努めていきたいと考えています。
 現在、後期計画の策定に向け地域検討会議を行う等、地域との意見交換を進めておりますが、学科の配置については、中学生の志望動向、高校卒業後の進路状況、生徒・保護者の意識変化の状況、産業界のニーズ等を踏まえ、全県的な視野に立ち適切な配置に努めていくこととしており、理数科等の新たな学科の配置につきましては、中長期的、かつ戦略的な視点にも立ち、地域の声や、中学生の進路希望、卒業後の進路、社会情勢の変化、産業施策の方向性等、様々な観点からの検討を行った上で適切に対応していきたいと考えています。

(5) 医療専攻を核とした魅力ある高校再編について

 医療専攻を核としたキャリア教育を推進し、魅力ある高校に再編してはどうか、所見を伺う。

 医療専攻を核とした学校・学科づくりについてでありますが、新潟県の事例では、看護師・保健師・臨床検査技師等を目指す生徒のための医療専攻を設置したと伺ったところです。本県においては、現在、医師などの医療分野を志す生徒に対しては、外部講師による講義や県内医師による地域医療に関する講演などを内容とする「医学部進学セミナー」を開催し、医学部進学への動機づけを図るとともに、「いわて進学支援ネットワーク事業」における進学対策講座の開設なども行いながら、医学部進学の裾野の拡大を図っているところであります。
 現在、後期計画の策定に向け、地域検討会議を開催しているところですが、今後におきましても、地域の声や、中学生の進路希望、卒業後の進路、社会情勢の変化、産業施策の方向性等、様々な観点からの検討を行った上で適切に対応していきたいと考えています。

(6) 高校教員の配置等について

ア 配置の基本的考え方と人財育成の取組について

 高校教員の配置の基本的考え方と、人財育成にどう取り組むか。

 高校教員の配置の基本的考え方と人財育成についてでありますが、配置に当たっては、「知・徳・体」を備え調和のとれた人間形成を行うという教育目的の実現に向けて、各校が抱える課題を考慮しながら、それぞれの地域の期待や生徒の進路希望等にきめ細かに応えることができる魅力ある学校作りができるよう、全県的な視野に立ちながら、教員の加配や兼務等の措置も講じつつ、バランスの取れた職員構成となるよう努めているところです。
 教員の適正な配置に加え、教員の資質能力を向上させることは最も重要でありますので、校内におけるOJTや教科部会における研修を充実するとともに、総合教育センターを機能強化し、本県の教育課題の解決につなげる先進的・実践的な研究の充実や、計画的・効果的な研修の充実に取り組んで参ります。また、教員の専門性の向上を図るため、教職大学院等関係機関と連携し有為な教員の育成に取り組みます。これら人財育成の取組にあたっては、昨年度策定した「教員等育成指標」を踏まえながら、教員のライフステージに応じた資質の向上に向けて、教員の養成・採用・研修が全体として一貫した体系的なものとなるよう取組んでいるところであります。

イ 精神疾患による病気休職者の現状と改善に向けた取組について

 精神疾患による病気休職者が増加傾向にある現状と改善に向けた取組について伺う。

 高等学校教員の精神疾患による病気休職者の状況と改善に向けた取組についてでございますが、高等学校教員の精神疾患による休職者は平成30年12月末現在、7名となっておりますが、過去3か年での推移でみると、28年度が通年で10名、29年度が同じく5名となっており、年度ごとに増減がみられるところです。発症の要因としては、「職場環境」に起因するものが多くなっていることから、改善に向けた取組としましては、メンタルヘルスに関する基礎知識とケアの重要性について理解を深め、相互支援できる職場環境の醸成を図るため、メンタルヘルセミナーの開催や専門医によるメンタルヘルス相談、保健師による巡回相談などの取組を実施しています。
 教職員の健康確保等については、昨年6月に策定した「教職員 働き方改革プラン」における具体的取組の大きな柱の一つに位置付けて取り組んでいるところでありますので、プランに掲げる心とからだの健康対策を着実に推進し、教職員が心身ともに健康な状態で教育活動に従事できるよう、引き続き、メンタルヘルス対策の充実を図って参ります。