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県議会報告

平成30年度2月定例会 予算特別委員会(環境生活部)(平成31年3月8日(金))

2019.03.15

1 早池峰山周辺地域におけるシカ対策について

(1) 希少種・固有種の被害状況について

 早池峰山周辺地域における希少種・固有種の被害状況に対する認識と評価について伺う。

 早池峰山周辺地域におけます希少種・固有種の被害状況についてでございます。
 本年2月の早池峰地域保全対策事業推進協議会シカ対策部会におきまして、部会員である県立博物館の専門学芸員から2018年、平成30年の食痕調査結果といたしまして、まず、固有種のナンブトウウチソウや、ミヤマヤマブキショウマ、いわてレッドデータブック掲載種でありますガンジュアザミやナガバキタアザミに食痕が見つかるなど、河原の坊登山道では計41種、小田越登山道では38種の植物に食痕が見つかったこと、また、裸地化の進行、草本(そうほん)の被食による矮化(わいか)、被食頻度の進行の他に、シカによる地面の掘り返し跡が初めて見つかるなど、昨年度と比較しまして、被害状況が進行していることが報告されたところであります。
 シカ対策部会におきましては、この報告により現地の被害状況を共有するとともに、早池峰地域の保全対策を強化する必要性を再確認したところです。

 前回までの答弁では、いわてレッドデータブックに掲載の絶滅危惧種1種のみの被害との報告であったが、この半年でいっきに進んだということか。

 先ほど申し上げましたシカ対策部会につきましては、年に1回2月又は3月に今年度の状況の報告と、来年度の取り組みにつきまして開催をしてございます。昨年2月に開催しましたシカ対策部会の中では、同じ研究の中で前年度の研究の報告がございまして、その時点ではレットデータブックに該当しているものは1種だという報告を頂いておりましたので、これにつきまして当課の方からご答弁をさせていただいているところです。

 明らかに危機が迫っており、危機的状況であると認識すべきであります。森林限界より上部では、食痕のある種が山頂付近まで急速に増加していると伺っています。シカ対策の基本は捕獲と防除であります。昨年秋のフォーラムで既に被害状況が発生しているとの発表がなされているのを踏まえて、前回の決算特別委員会で質問をしているが、答弁では1種のみとの答弁であったが如何か。

 10月の決算特別委員会でのご答弁についてのご質問ですが、その時点ではまだ調査結果がまとまっている時期にございませんで、途中段階ということで委員の方がご発表するということがあったと、今伺って認識してございます。県といたしましては、その2月の対策検討会議の時にその内容について把握しておりましたので、本年2月以降の取組み、認識として先ほどの答弁をさせていただきました。
 また、それ以外のものが全く被食されていないといったことではなくて、調査の範囲の結果ではそういったことが認められているという内容でございまして、早池峰山は広いことから、シカにつきましては本当に食べない物というのが少ないと言われておりまして、そういった所を解明していくといったところを継続的に研究してきたところでございます。

(2) 有害捕獲と目撃情報の実績と推移について

 国宝級の価値のある早池峰の固有種を保護するのは、今の県政の大きな責務であり、対策を集中的に行うべき時期にある。早池峰山周辺地域における有害捕獲と目撃情報の実績と推移について伺う。

 早池峰山周辺地域の捕獲実績と目撃情報についてでございますが、早池峰周辺地域の平成29年度のシカ捕獲数は2,598頭と、前年度比で1,142頭増加しておりまして、ここ数年増加傾向にございます。また、目撃情報については正確には把握はできないところですが、早池峰シカ監視員が設置しましたセンサーカメラの調査におきましては、今年度は昨年度に比較しまして、比較可能な撮影期間の多くでシカの撮影頻度が増加していた、という結果となっています。

(3) 保全対策の実績・課題と取組について

 平成30年度の保全対策の実績と課題をどう捉え、平成31年度どう取り組むのか伺う。

 早池峰山周辺におけます保全対策についてでございます。早池峰地域保全対策事業推進協議会シカ対策部会の委員からの提案も踏まえまして、昨年7月に河原の坊登山道沿いに、高山植物のシカ食害の対策の一環として防鹿柵を設置したところです。先月、シカ対策部会で防鹿柵の設置効果について検証したということで、先ほどご答弁いたしましたが、初年度の課題としていた柵の設置方法、耐久性につきましては、同様の設置の効果が認められたということであります。また、設置時に柵内の植物を観察したところ、繰り返しになりますけれども、3か所の柵内で新たな食痕ですとか、植物の種数の増減等、これは認められなかったところです。
 平成31年度は、東北森林管理局と調整を図りまして、高山植物の生息状況につきまして、またシカ対策部会委員の意見を聴いた上で、設置場所を決め、雪解け後すぐに設置するという方向で進めたいと考えています。

(4) 関係機関との役割等について

 早池峰山地域は、環境省から県が委託を受け「国定公園、自然環境保全地域」に、林野庁の「森林生態系保護地域」に、文化庁の「特別天然記念物」といったように厳重な保護の網がかけられている地域であります。また、高山植物群落が国の特別天然記念物を受けているのは全国3か所のみであります。県が主導して関係機関の力を借りて対策を打つべきであります。関係機関(森林管理局等)との役割分担と実効ある対策を県としてどう推進するのかについて伺う。

 関係機関との役割分担等についてでございますが、先月、シカ対策部会の防鹿柵の設置効果を検証した際、新たに東北森林管理局、環境省盛岡管理官事務所、県猟友会、それとシカの研究を行っております森林総合研究所東北支所、こちらの方々に検討に加わっていただきまして、来年度からは正式な委員として部会に参加いただくこととなったところです。また、部会におきましては、県と森林管理局が、これまでそれぞれ行っております監視カメラによるシカ生息状況調査結果の統合や、部会員である県立博物館の専門学芸員と、県・森林管理局を交えたその防鹿柵の効果的な設置場所の選定など、関係機関の連携による取組につきまして、委員から新たな提案がなされたところです。
 県といたしましては、これらの提案の具体化につきまして、今後、関係者との協議を進めまして、関係機関と連携しながら、早池峰地域におけるシカ対策の一層の推進に取り組んでいく考えであります。

 県に求められるのは、行動力と調整力です。ところで、部長は、早池峰山に登ったことはありますか。

 今の、早池峰に、現地に行ったかとのことでございましたけれども、かなり前にはなりますけれども、私は一度は登ったことはあります。それで今回、この防鹿柵の検証結果を是非行ってみたいと思いまして、10月に日程を組んだんですが、天候不順で行けませんでしたので、新シーズン早々に行って現地の方を確認して参りたいと思います。

 岩手県の環境基本条例における、県の責務は何と考えているか。

 突然の質問でございましたので、ちょっとずれているかもしれませんけれど、いずれ、県民計画も、環境基本計画も精神は同様であると思っておりますので、本県の優れた自然が守られて、希少野生動植物の保護、野生鳥獣の個体管理など生物の多様性の保全を進めることが、重要であるというふうに私の方は認識しながら業務にあたっておりますし、また、業務推進にあたりまして、先ほど、行動力と調整力というお話を受けました。私も先ほどの答弁の際に、色々とシカの現況の前回答弁の内容と、そのた私も検証いたしまして、様々専門員の方々の報告と言うのは、それは公的な場所で報告しているのであれば、それは皆さんの方に、しっかりと報告した方がいいということで今回答弁は、その内容を報告させていただきましたので、危機感をもって早池峰のシカ対策の方に対応して参るというふうに考えております。

 岩手県環境基本条例の前文に、「環境と人間との関係が根源から問い直されている今、人知を結集し、環境の時代の新しい価値観と科学的知見を持ち、先見して、持続的な発展とゆとりのある生活をもたらすより良い環境を守り育て、将来の世代に継承していくことこそ、私たちの世代の最大の責務である」。そして「県の責務」として、「県は、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施する。広域的な見地から、市町村が実施する環境の保全及び創造に関する施策の総合調整に当たる。施策を推進するに当たっては、必要に応じて、国及び他の都道府県と協力する」と書かれている。改めてしっかり取り組んでいただきたい。岩手県としてのご所見をお願いします

 委員の方から私の答弁すべきものを、お話いただきましたので、私の方では県内の環境を保護するのは私の使命でございますので、そういったことは常日頃肝に銘じて仕事に、業務にあたっているわけでございますし、それは当部の職員にもそういったことは日頃から伝えて業務あったておりますし、現場のニーズを絶えず把握して、きっちりと行動するということを肝に銘じて今後も業務にあたって参りたいと考えております。