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県議会報告

平成29年度2月定例会 予算特別委員会(教育委員会)(平成30年3月13日(月))

2018.03.19

1 新岩手県教育振興計画について

 演述で新計画策定に向け「岩手だからこそできる教育」「やるべき教育」と述べていたが、どんな視点で新年度事業展開をする考えか。

 教育長演述の趣旨につきましては、先ほど教育長が佐々木努委員にお答えしたとおりでございますけれども、その中で、郷土を愛し本県の未来を支える人材の育成というようなお話がございました。
 その視点に沿って平成30年度につきましては当初予算案に様々、事業を計上させていただいているところでございます。
具体的には、本県独自の教育活動であります「いわての復興教育」の教育プログラム等について、震災後の様々な動きや変化などを踏まえて、その改訂に着手するなど、震災の経験や教訓を後世に語り継ぐ活動などを一層推進していくこととしております。
 また、新たな県立高校の再編計画の後期計画の策定に向けて、教育の質の保証とともに教育の機会の保障を柱に多面的な検討していくこととしております。
更には、県内企業等との一層の連携により、生徒や保護者、教員の地元企業等に対する理解と関心を高めるキャリア教育を推進していくといったような取組をしていくこととしております。

2 次世代を支える科学技術の人材育成について

(1)ILCを見据えた科学技術の人材育成について

 県民計画における「人づくりは、長期的な視点で取り組む必要がある」という考えを踏まえ、教育施策に関する諸計画との連携や整合性を図ると重要なことを述べていた。ILCを見据え県教育委員会として科学技術の人材育成にどう取り組むのかについて伺う。

 ILCを見据えた科学技術の人材育成についてでありますけども、現行及び次期学習指導要領の柱に理数教育の充実が謳われており、本県高等学校におきましても、探究的な学習の取組や科学的手法、分析を用いた課題研究の実践などに取り組んでおります。
 文部科学省では、将来国際的に活躍し得る科学技術人材の育成を目的としたスーパーサイエンスハイスクールを指定しており、本県では、水沢高校、釜石高校の2校が指定を受け、先進的な科学技術、理数教育の充実を行っております。また、理数科設置校や県内で探究活動を行っている学校による課題研究発表会において研究成果を発表する機会を設けるなどの取組も行っております。
 さらには、政策地域部科学ILC推進室が行っております「未来のILCを担う人材育成事業」で県立高校4校が今年度は指定を受け、大学教授による講演会や研究所等の施設見学及びILC普及啓発の商品開発、あるいは外国農産物の栽培等、ILCを始めとする科学技術分野への関心を高める活動も行っております。
 今後におきましても大学、あるいは研究機関、あるいは科学ILC推進室等と連携し、知識・技能を活用し思考力・判断力・表現力を重視した授業の改善、そして科学的探究活動の充実を図りながら科学技術人材の育成に努めてまいります。

(2)小中学校の理科教育の推進について

 小中学校の理科教育をどう推進する考えか。

 小中学校の理科教育の推進についてでありますが、学習指導要領では、高等学校と同様に、理数教育の充実を重点の一つとしてあげており、理科においては、観察・実験などの充実により学習の質を向上させることが求められております。県教委といたしましては、これまでも、小中学校における教員の指導力の向上を図るため教員研修の充実に努めております。
 具体的には、「小・中学校理科『エネルギー』領域指導力向上研修」を実施し、研究協議をしたり、実際に教員が実験をしたりしながら、授業にすぐに生かすことができる内容の研修を行っております。教員がエネルギー教育についての理解を深め、指導の充実を図ることは、児童生徒のILCへの興味関心を高めることもねらいの一つとしております。さらに、小学校においては、昨年度から小学校理科の先進的な取組を進めるモデル校を指定し、児童に分かりやすい授業づくりの在り方についての実践研究を行い、その普及にも努めております。
 また、中学校においては探究心や創造性の優れた人材の育成をねらいとし、「科学の甲子園ジュニア岩手県大会」を県教委が主催して実施しております。本年度は21チームが集まり、年々参加チームが増えてきておりますので、科学が好きな生徒の裾野を広げていきたいと考えております。
 県教委におきましては、これらの研修や事業をとおして、教員の指導力の向上や、児童生徒の科学への興味関心の喚起、そして学力の向上に結び付く取組を今後も継続していきながら、理科教育の充実に努めて参ります。

(3)理数教育の重要性について

 理数教育は重要であると捉えており、岩手からノーベル賞を取るような科学者を輩出していただきたいと思うが教育長の所見を伺う。

 理数教育の重要性につきましては、課長から本県の理数教育においても力を入れてきていることの話をさせていただきました。学校教育の中で教科は様々ございまして、理数系が重要か、文系はいらないのか、ということではなく両方大事だと思います。やはり、自由ということをきちんと見極めながら対応していくことが必要なのだと考えております。
 本県では、芥川賞を2年連続で受賞しているわけですが、このことがさらにノーベル賞にもつながればよいとも思っており、科学技術もさらに深く探究することによって、そういう可能性をもった人材を岩手で常に育成していくためにも、いっしょに皆さんと力を合わせながら、学校教育でも努力していきたいものと思っております。

3 教職員定数の戦略的充実について

(1)小中学校教員数の需給推計について

 県教育委員会として、今後の中期的な小中学校の教員数の需要推計をどのよう見ているのか、教員の退職者数の見通しを含めてお伺いする。
 また、義務教育標準法の改正によって、今後、基礎定数、加配定数のカウントの仕方を見直すなど、戦略的に教職員の定数の改善を図るべきと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 小中学校教員数の需給推計と退職者数の見通し、及び定数改善についてですが、平成29年5月1日現在での教員数は実人員で7,150人となっております。本県では児童生徒数の減少に伴い、教員定数が毎年100名程度減少しており、この状況は当面続くものと推測されます。
 一方で、退職者数でありますが、今年度末は200名程度、平成31年度末は300名を超え、平成35年度の350名をピークに増加していく見通しですが、先ほど申し上げた教員定数の減少に加えて再任用教員の増加により、新規採用者数は、横ばいから徐々に減少していく見込みです。
 教員の採用については、適正な年齢構成の在り方等を踏まえ、今後とも計画的に行っていくものでありますが、併せて、定数改善につきましても、学校課題の複雑化、多様化する中にあって、学校支援体制の強化が求められており、学校組織の活性化、義務教育の機会均等と教育水準の向上のためには、国による抜本的な定数改善が必要不可欠であると考えますので、その実現を、今後も引き続き強く要望して参ります。

(2)教員の業務支援を行う非常勤職員の配置について

 簡単なテストの採点や書類のコピーなどを行う非常勤職員を複数の学校に配置するなど、公立学校を対象に教員の業務支援を行う非常勤職員の配置について伺う。

 公立小中学校を対象に教員の業務支援を行う非常勤職員については、来年度予算に「学校事務補助非常勤職員配置事業」として、2千万円余、13人分の計上をお願いしているところ。
 主な職務としては、授業で使用する教材等の印刷や物品の準備、学校行事等の準備補助、学校徴収金等の経理事務の補助、電話対応・来客受付などを想定している。
 配置先の小中学校の選定については、現在、教育事務所と市町村教委からの意見も聞きながら、1校1名とし13校への配置を調整中である。各教育事務所ごとに数名の配置となるが、教員の負担軽減を目的としており、教員の勤務時間の把握を行っている学校に配置し、その配置による教員の負担軽減の効果を検証したいと考えている。

(3)運動部活動における効果的かつ計画的な体制構築について

 運動部活動における効果的かつ計画的な体制の構築について、どう取り組むか伺う。

 運動部活動においては、効果的な部活動にするために、適切な休養日と活動時間の設定に向けた取組や関係機関との連携により、スポーツ医・科学を活用した効率的・効果的な指導の充実に向けた取組を進めるとともに、また、高等学校における特別強化指定校等への指導者の配置により、中長期的視点に立った計画的な体制の構築に取組みながら部活動の効果的かつ計画的な体制の構築に努めて参りたいと考えておりますし、また、県教委では、来年度におきまして学校における働き方改革の一つとして進めることとしている部活動指導員の配置について、地域や学校の実情を踏まえながら、指導経験の少ない教員の負担軽減と指導の充実が図られるよう、さらに関係市町村教委と連携し計画的に取組んで参ります。

 日本高等学校教職員組合(日高教)が公立の高校、特別支援学校、中等教育学校に勤める教職員を対象に行った調査で、部活動に「関わりたい」と考えている割合が半数を超える。また、29歳以下の若い先生は、「関わりたい」傾向が強い。部活動指導手当の要望にどうこたえていくのかという問題もあるが、「公立学校教育職員の給与等に関する特別措置法」(給特法)をどう見直すのか、財源も含めて難しい問題もあるが、先生方の環境整備にぜひ取り組んでいくことが、子供たちの学びの環境整備に繋がる。