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県議会報告

平成29年度2月定例会 予算特別委員会(政策地域部)(平成30年3月7日(水))

2018.03.17

1 ILC誘致について

(1) ILC実現を見据えた振興策について

 一般質問答弁で「ILC実現を見据えた振興策を取りまとめる」とのことだが、具体的にはどのような内容を考えているのか。

 ILC実現を見据えた振興策についてでございますが、県では、これまで、副部長級をメンバーとするILCの研究会を設け、建設・準備期、建設期、運用期の段階を想定して、6つの分科会で、ILCへの課題対応と併せ、まちづくりや、1次から3次産業までの新たな展開方策について検討してきたところでございます。
 振興策のとりまとめにあたりましては、実際に現場で活動されている方の声や関係団体等との調整が必要であり、平成30年度は医療や教育の分野でその対応を進めて参ります。
 今後公表される東北マスタープランや経済波及効果の試算を踏まえながら、次期総合計画の議論とも平行して、県としてILCの効果が最大限発揮される形でとりまとめを行っていく考えでございます。

(2) 政府判断に向けた取組について

 今年の夏頃までの政府決断に向け、何をすべきで、どう行動するお考えか。決断に向け何が重要なポイントと考えているのか伺う。

 まず、国の誘致表明を後押しする取組として、最も重要というところでございますが、国へ積極的に要望を行わなければいけないというところでございます。これにつきましては、関係団体等と綿密に協議して調整したうえで、国に積極的に要望を行っていきたいと考えております。
 また、全国の盛り上がりもそうしたことにつながることから、首都圏等でのPRですとか、積極的な情報発信を行うことと考えております。
 併せて、安心して研究や生活が行える環境の整備も重要と考えております。ILCの効果が最大限発揮できるよう一次から三次までの産業の振興や、外国人研究者の生活環境や医療・教育などへの対応を通じた多文化共生社会の構築など、本県の振興策も含めとりまとめて参りたいと思います。

 県として、政府決断まであと何ヶ月あると考えているか。

 欧州の素粒子物理戦略の議論が始まるのが今年の9月といわれておりますが、はっきりした期間は私の方からは述べるわけにはいかないかと存じます。

(3) 受入環境整備について

 昨年の海外調査で、行政は研究者の生活立上げに対し、繋ぐ役割を期待されていた。30年度どのように受入環境整備に取り組む考えか。

 これまで県としては海外の研究所や外国人研究者を招聘しての意見交換やネットアンケート調査など、外国人のニーズや意向をできるだけ多く聞き取ることに努めてきたところでございます。
 これらの中には教育環境の意見をはじめ、医療提供体制、言葉の壁といった意見がございます。平成30年度には教育、医療などの分野では現場の声を反映した具体の対応策の取りまとめを行うとともに、外国人居住環境の分野では地域のワンストップサービスの検討を深めていく考えでございます。
 今後とも岩手の良さを十分に生かしつつ、外国人等が快適に暮らせる環境づくりに地域と連携しながら努めて参ります。

(4)地質調査が行われていないエリアの調査について

 今年度、東北大学などと地質調査が行われていないエリアの調査を行っているが、取組み状況は。

 東北大学との地質調査の共同研究の取組状況についてでございますが、科学的に地質の変化が考えられる地形部分の調査から始まりまして、今年度において、概ね20キロメートルの調査範囲をカバーしております。
 現在、地質データの分析が行われておりまして、年度末までに報告書がとりまとめられ、一定の地質の状況が整理される見込みでございます。
 北上サイトは概ね、安定した地質が均一に広がっていると聞いているところでございます。

3 被災地通学支援について

(1) 新年度の利用見込みについて

これまでの利用実績と傾向を踏まえ、新年度の利用見込みは如何に。

 被災地通学支援事業費の利用見込み等についてでありますが、本事業は、沿岸被災地に居住する生徒等の通学交通費の負担軽減を図るため、公共交通機関が行う通学定期券の割引販売に要する経費を補助するものであり、対象となる公共交通機関の沿岸地域における販売実績等に基づき、所要額等を見積もっているもの。
 その内訳は、三陸鉄道の南北リアス線分として2,300万円余、平成31年3月に開業を予定している山田線区間分として1,000万円余、沿岸被災地を運行する路線バス分として1,500万円余、合わせて4,900万円余と見込んでいるところ。また、生徒1名あたりの年間所要額は平均8万3千円程度、当事業の利用者数については、概ね900名程度と試算しているところ。

(2) 対象となる交通機関の選定基準について

 対象となる交通機関の選定基準はどのように決定しているのか。BRTの利用者が対象外とは事実か

 補助の対象となる交通機関の選定についてでありますが、本事業は、交通機関の運賃水準に着目し、通学定期券の平均賃率、1キロ当たりの平均運賃がJR東日本の2倍以上の交通機関を補助対象としており、具体的には三陸鉄道と路線バス3社、岩手県交通、岩手県北自動車及びJRバス東北を対象としている。

 いわての学び希望基金の趣旨に鑑みて、BRTを対象外とすることは適当か。

 本事業は、被災地における通学交通費の負担軽減を図り、高額な通学費用が進路選択の幅を狭めることを防ぐことを目的としているもの。本事業により、JRの運賃と比べて高額となっている交通機関の運賃を引き下げ、被災地における通学定期券の運賃水準の平準化を図ることは、いわての学び希望基金の趣旨にも合致するものと考えている。

 BRTの通学利用者数を把握しているのか。

 仮にBRTを利用した場合として、JR東日本に情報提供を求めたところ、非公表情報ということであり、承知していない。

4 情報通信基盤整備について

 携帯の利用可能地域の拡大や中山間地域などの地理的条件不利地の解消に向け情報通信基盤整備にどう取り組むのか。

 まず、携帯電話の不感対策についてですが、携帯電話の不感地域はいずれも世帯人口が少ない地域で、採算面の課題等から民間事業者による整備が進まないのが現状である。そうした地域においては、これまで国の補助制度を活用し、市町村が基地局整備を実施しているが、本年度は、紫波町など4町の5地域で事業採択されたところであり、平成30年度は宮古市など4市町の4地域で事業実施の条件となる通信事業者の参画が得られ、当初予算案に整備事業費補助経費を計上しているところ。県としては引き続き、市町村の要望を把握した上で、災害時の通信手段としての重要性なども強く訴えながら、通信事業者の事業への参画を要請するとともに、事業者自らによるエリア拡大の取組も併せて要望していく考えである。

 同様に条件不利地域における情報通信基盤、光ファイバー等の整備についても国の補助制度を活用して市町村が整備を進めてきたところ。県としては、市町村事業への国庫補助の導入に向けた国との調整など、市町村の取組みを支援するとともに、これまで、国に対して条件不利地域における通信事業者の設備投資を促進する支援制度の充実・創設等を要望しているところ。引き続き、市町村の要望を踏まえながら、補助制度の活用に向けた国との調整や通信事業者による整備促進に向けた要望活動を行っていく。