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新型コロナウイルス感染症への 知事要望(令和3年7月2日)

2021.07.10

最 重 点 要 望

<新型コロナウイルス感染症対策>

1.医療提供体制の拡充・強化

(医療政策全般)

(1) 診療報酬改定等【要望先:国】

① 来年度の診療報酬改定にあたっては、コロナ禍の厳しい医療環境を考慮し、地方の意見にも配慮した従来と異なる視点での報酬改定を望む。また、コロナ禍での診療報酬について、患者1人当たりのスタッフ配置やベッド確保も考慮しコストを見るよう要望する。

② 医師の働き方改革や地域医療構想の推進といった大規模な改革に対応し地域にお ける医療体制を維持していくためには、適切な診療報酬上の措置が不可欠である。病院の入院基本料を大幅に増点していただきたい。

③ 病棟における看護師、薬剤師、管理栄養士、介護福祉士、リハビリスタッフ等、多職種チームによる入院医療の提供は、働き方改革を進めるためにも重要である。病棟における多職種の協働が促進するよう診療報酬上、配置基準・加算等を検討するよう要望する。

④ 診療報酬(初診料・再診料も含め)の調整の方法は、日本の医療の在り方や長期ビジョンを以て設定していただきたい。介護に関しても、同様に長期ビジョンを以て介護計画を設定して頂きたい。コロナ禍にあっても受信回数減少に対する配慮を頂きたい。

(2) 医療の在り方の方針【要望先:国】

① 新型コロナの感染拡大により生じた医療提供体制に係る課題を十分に踏まえ、国として医療の在り方の方針を示して地域包括ケアの観点も含めた地域における病床の機能の分化及び連携の推進のあり方について検討し、必要な取組みを進めること。

(3) 地方私立医大の実態把握【要望先:国】

① 私立大学は、経営と教育が連動しており、経営基盤の強化は極めて重要であり、地方で高度医療を守ることは大変厳しい状況にある。このため、国と地方の相違点を理解して頂くために、地方私立医大の勤務実態や体制に関する状況調査をするよう要望する。

(4) 病院経営を支援する補助金【要望先:国】

① 新型コロナの感染拡大を踏まえた対応が求められるとともに、医療機関の経営状況を速やかに把握し、直接的かつ中長期的な財政支援を講じるよう要望する。病院経営を支援する補助金がない。現在大学病院ではICU20床、CCU20床、ハイケアユニット20床あるが仮にICUにコロナ患者1人が入院すると他の19床が使えない。今、東京では重症者が多いがこの様な場合でも1/20しか補助がないのと同じであり、病院全体の運営を見て補助をしてもらわないと効率的な対応ができない。

② 教育・医育機関という観点から文部科学省からの財政支援をお願いする。医科大学は医育機関であり、1人の医師を育てるのに1億円かかるが、私立大学には大学病院収入しかない。しかし、大学病院への補助金はすべて厚生労働省からだけで、文部科学省からの補助金はない。

③ コロナ禍により医療機能の役割分担と需要の急拡大への即応体制の重要性が認識された。また、東日本大震災等の災害の教訓を次代につなげなければならない。感染拡大や災害等の有事に対し、強靭な医療提供体制を構築するため、地域医療介護総合確保基金の拡充をはじめ補助事業等の支援策を創設することを要望する。

(5) ワクチン接種の円滑な実施【⇒国、県、市町村】

① ワクチン接種は通常の診療を行いながら接種活動も行うため、新患も減少する中2,070円/人ではなかなか対応できない。接種手当増も考慮して頂きたい

② 国家的重要戦略として、国産ワクチン製造の速やかな認可、支援も含め、必要十分なワクチンの確保・供給を図るとともに、治療薬の研究・実用化を支援するよう要望する。併せて、医薬品・医療機器等の産業育成を戦略的に進めるよう要望する。

 

(歯科医療関係)

(1) 感染予防対策と県民への周知【要望先:国、県】

① 地域包括ケアの推進のために病院歯科の設置、歯科医師の配置の必要性を示してきたものの実効性のある進展がなく、今後のウイルス感染症の対応に向けても病院における歯科医療提供体制の充実は急務であることから、病院における歯科の設置、歯科医師の配置の更なる推進について要望する。

② 岩手県歯科医師会との連携のもと、歯科衛生用品の確保、感染予防対策について、万全な対策等を講じること。同時に受診控えが生じないように、歯科医療の重要性、定期健診等の歯科保健推進の重要性について県民への周知を図ることを要望する。

② 今後、宿泊施設や自宅で療養する軽度の感染者等への緊急の歯科治療が求められる場合を想定した、地域医療連携の整備を検討頂きたい。併せて、対応できる人材、必要な医療機器、感染防御具、電話や情報通信機器を用いた対応、診療報酬上の評価等を検討頂きたい。

(2) 超高齢化、人口減少、地域社会の課題への対応【要望先:県】

① 保健施策には歯・口腔の実態把握が不可欠であり、歯科健診がライフコース全体の中で途切れない歯科健診の一層の推進を要望する。

② 口腔の定期的な管理の延期が長期化することは、例えば高齢者等の誤嚥性肺炎の発症を引き起こす危険が高い。電話や情報通信機器を活用した診療について、現行の仕組みのさらなる柔軟な運用を要望する。

(3) 東日本大震災からの復興、 水害や台風等への防災の取組を推進【要望先:国・県】

① 被災地における継続的な支援を行うとともに、災害に備えた平時からの仕組みや人材 ·訓練の総合的な取り組みを充実するよう要望する。

(4) 障がい児 (者) の歯科保健·医療·福社の推進【要望先:国・県】

① 障がい児(者) が地域において安心安全な歯科医療が提供されるよう環境の整備を 行うこと。特に、県南地域の歯科医療体制において県·病院歯科との連携のもと体制整備を行うことを要望する。

② 障がい者(者)、 要介護者等に対し、 歯科保健医療に係るスクリーニング技術の習得のための研修会の開催や歯科治療の必要な実践的スキルを習得するため臨床研修を実施するなど、 歯科医師の資質向上対策を強化するよう要望する。

 

(薬局・薬剤関係)

(1) 新型コロナウイルス感染症への対応【要望先:国、県】

① 地域の医療提供体制確保のために薬局機能を維持するために必要な直接的かつ継続的な財政支援を要望する。

② 医療関係者等への慰労金の支給について、保険薬局の薬剤師は対象外であるが、重要な役割を担う薬局、 医薬品卸業者を特別給付金の支給対象にすることを要望する。

③ ゴーグルやマスク フェースガード、 ガウン等の防護具の無償提供と併せて、国から届いたマスクを県に協力して県内全薬局に送付する費用負担を支援することを要望する。

④ 医療従事者のワクチン接種に関して、県から依頼を受けて、希望調査や各種調整に係る事務負担の対価及び関連資料の送付に係る事務費用負担を要望する。

⑤ 今後の感染拡大や将来を見据えた必要な資機材の国や県として備蓄することを要望する。

(2) 薬局及び医療施設に従事する薬剤師の確保

① 薬剤師不足·地域偏在の解決につながる仕組の早急な検討·実施。【要望先:国、県】

〇 薬剤師不足·地域偏在の解決につながるように薬局薬剤師の具体的な確保対策の検 討・実施について要望する。

〇 医療提供確保の観点から、医療計画における医療事者の確保の項目において、病院に勤務する薬剤師の確保を明記するとともに対応策の検討·実施について要望する。

〇 県内薬局及び医療施設への就職を前提とした奨学金の支給·返済支援等の仕組みについて検討·実施することを要望する。

② かかりつけ薬剤師·薬局機能の充実強化【要望先:国、県】

〇 県民に対する「健康サポート薬局」の周知、及び健康サポート薬局を活用した健康維持·増進に向けた取組みの創出を要望する。

〇 県民に対する新たな認定薬局制度の周知、及び必要な研修の開催費用の補助や無菌調剤室設置に係る補助等、薬局の認定取得に向けた支援を要望する。

〇 電子処方箋に対応するための環境整備に対する支援について要望する。

③ 学校薬剤師の報酬の適切な支給【要望先:県】

〇 公立学校における学校薬剤師の報酬は、地域によって公立学校での支給額が大きく異なることから、適切な報酬の支給の検討・実施を要望する。

④ 大規模災害時における薬剤師を活用した医薬品の供給体制等の整備【要望先:県】

〇 市町村と地域薬剤師会の「災害時の医療救護活動に関する協定」の締結・見直し

〇 災害時対応医薬品供給車両の配備と維持·運用のための予算措置

 

(看護人材関係)

(1) コロナ禍の中での看護活動について【要望先:国、県】

① 看護職をはじめとする医療従事者の処遇改善がされるよう、医療機関等に対する経営支援の一層の充実を図られたい。

② 医療機関及び宿泊療養施設等における感染者対応や帰国者・接触者相談センター等での対応、施設等におけるクラスター発生時の専門家の派遣等、看護職員の応援派遣を含めた、医療提供体制の確保に継続して取り組んで頂くよう要望する。

③ 看護職や介護職は心身共に限界を超えつつあることから、メンタルヘルス相談窓口の開設やメンタルヘルスの専門家によるサポートなど、看護職員を含めた医療従事者の健康確保対策に万全を期すことを要望する。

④ 変異株が疑われる事例への積極的疫学調査の強化や幅広い関係者への検査を徹底するとともに、感染対策の普及啓発に徹底して取り組むことを要望する。

⑤ 地域母子保健の推進にあたり、助産師を保健師や病院で働く助産師と連携し、妊娠期から育児期まで地域全体で継続支援できる体制を構築するよう要望する。

⑥ 訪問看護の人材確保及び安定的なサービス提供を一体的に推進する体制整備について、県看護協会と訪問看護連絡協議会等と関係機関の調整を図りながら、部局横断的な視点にもとづき訪問看護総合支援センターの設置を要望する。

 

 

2.事業者等への支援及び雇用対策

(中小企業対策全般)

(1) 事業者が希望を持てる将来への道筋の明示

〇 コロナ編で疲弊する事業者に対し、感染拡大防止施策の拡充とともに、検査体制・医療提供体制の一層の強化を図ることでコロナを可能な限り制御し、全体の活動レベルを徐々に引き上げ、オリンピック・パラリンピック後の経済活動をより活発化させ得る、足元の経済回復に向けた道筋について力強い将来ビジョンを明示することを要望する。

(2) 人の移動や活動制限の影響を大きく受けている事業者への財政支援の強化

〇 長引く感染拡大により人の移動や活動制限の影響を大きく受けている宿泊、交通、イベント関連事業者、調理師など厳しい経営環境が続く事業者に対し、事業規模や影響の度合いに応じた補助制度拡充等の支援を強化することを要望する。

〇 今後の感染状況により、持続化給付金や家賃支援給付金について、支給要件の緩和や複数回の給付を講じるなど、直接的な財政支援を要望する。

(3) 緊急事態宣言地域以外の事業者支援の強化

〇 緊急事態宣言対象地域以外の事業者は、全国的な人の移動の制限や自粛ムードに伴う活動制約から危機的な状況に陥っており、地域に差異なく真に困窮する事業者支援を講じる必要があることから、宣言対象地域外の事業者向けの支援制度の創設や一時支援金の対象拡大などの支援策を講じることを要望する。

(4) 雇用調整助成金の特例措置の延長

〇 雇用調整助成金は、コロナ収束や売上回復への見通しが立たない中での雇用の維持・安定はもとより、感染拡大収束後の経済の力強い回復に向け、極めて大きな役割を担っており、現行の特例措置は経済情勢や雇用動向を十分に注視し、当面は延長するなど柔軟に対応することを要望する。

 

(アフターコロナを見据えた小規模事業者支援の充実)

(1)経済回復に向けたワクチン接種の加速と見える化の促進 【要望先:国・県】

〇 我が国は、経済の回復に不可欠なワクチン接種が世界的にも遅れている状況にあることから、より効率化を図り接種を加速することを要望する。

〇 現在の自治体別の接種状況を常時見える化するとともに、接種予約に係る接種予定数を事前に明らかにするよう自治体に義務付けることを要望する。

(2)コロナ禍における経済浮揚策の実施 【要望先:国】

〇 GoTo事業をはじめとする経済浮揚策の実施又は再開基準を明確にするとともに、低感染地域の自治体が行う経済対策に係る財政支援を柔軟に行うことを要望する。

〇 各市町村によって地域事情が大きく異なることから、交付金等の国の財政支援にあたっては、県単位だけではなく市町村単位でも実施することを要望する。

(3)小規模事業対策を含む中小企業対策費の大幅拡充【要望先:国・県】

〇 長期にわたり深刻な影響を受けている日本経済を回復し、雇用維持を図るためには、中小・小規模企業に対する支援を強力に推進することが必要不可欠であることから、中小企業対策費を大幅に拡充することを要望する。

(4)伴走型小規模事業者支援推進事業費の拡充【要望先:国・県】

〇 商工会が伴走型で小規模事業者に支援を行う経営発達支援計画の認定数が増加していることから、経営発達支援事業の遂行のための十分な予算措置を行うこと。

〇 経営支援業務の質的変化・量的拡大が進んでいる中で、支援を行う人材の育成も必要となっていることから、スーパーバイザー事業の増額を行うことを要望する。

(5)専門家派遣事業の拡充【要望先:国】

〇 働き方改革や生産性向上、税制度の変更等の度重なる制度改正による諸課題に円滑に対応できるよう窓口相談やセミナーの実施や専門家派遣を行う事業の重要性が増しており、加えて、減災・防災対策や事業継続計画(BCP)作成等の事業継続力強化を図ることも必要であることから、これまで以上にきめ細かい専門的支援を行うため専門家派遣事業の拡充を図ることを要望する。

(6)販路開拓支援の拡充【要望先:国・県】

〇 関連産業の裾野が広い地域資源を活用した地域産品をはじめとする販路開拓支援は、地域産業の振興や経営資源の乏しい中小・小規模事業者にとって非常に重要であることから、地域産品の需要喚起・購入を促すためECサイトを活用した割引事業や消費喚起事業、及びオンライン等を活用した販売・商談機会の創出や海外展開等の支援策を拡充することを要望する。

(7)伴走型で小規模事業者を支援する人員の増員【要望先:国・県】

〇 小規模事業者の持続的発展・成長と生産性向上に向けた規模拡大への支援が強く求められている一方で、軽減税率制度の導入、働き方改革への対応、DX・デジタル化への対応、事業承継の推進などの課題が山積している状況である。これらの課題を着実に解決していくには、小規模事業者に寄り添って商工指導団体がその役割を果たせるよう、課題解決に向けて伴走型で支援をする経営指導員等の人件費等に係る財政措置を拡充するよう要望する。

(8)商工会館の防災強化【要望先:国・県】

〇 災害時の小規模事業者の早期再建及び地域の復旧・復興を迅速に行うため、相談対応の早期整備が必要であることから、商工会館の防災強化(耐震化・浸水防止、移転等)にかかる費用を補助することを要望する。

(9)地方自治体の小規模企業対策の予算措置状況の見える化【要望先:国】

〇 地方交付税の算定基礎となる基準財政需要額(商工行政費単位費用)の増額が図られたが、地方自治体において着実に措置されているかどうかのモニタリングを行い、公表することを要望する。

 

 

<国土強靭化、防災・減災対策の推進>

1.国土強靭化、防災・減災対策の予算確保について【要望先:国・県】

〇 「防災·減災、 国土強靭化のための5か年加速化対策」の取組みが安定的·継続的に実施されるためには、当初予算による措置が必要であることから、令和4年度以降の予算については、 当初予算における別枠で安定的かつ十分な額を確保することを要望する。

2.公共事業の円滑な施工と公共事業予算の安定的な確保【要望先:国・県】

〇 公共事業を円滑に施工することが、 防災·減災、 国土強靭化の推進、コロナ禍からの経済回復に必要不可欠であり、加えて、来年度以降の公共事業予算の確保にもつながることから、国、県においては、今後、発注状況の推移や対策の措置状況などについて、タイムリーな情報提供と意見交換の場を設けながら、 両者が連携した円滑な施工を推進するよう要望する。

〇 近年の公共事業関係費は、補正予算や臨時·特別の措置を除く「通常分」の予算額は2015年度から6年間連続で横ばいが続いている。 国土強靭化や老朽化対策予算はあくまで、 緊急的·時限的な措置と考えられることから、 公共事業予算の「通常分」の安定的·持続的な確保を要望する。

3 働き改革の推進【要望先:国・県】

〇 適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進等の休日確保など、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進めるとともに、業界等の取組に対し支援措置を講じることを要望する。

〇 技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取組を行うとともに、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援等により生産性の向上を一層推進することを要望する。

4.公共工事設計労務単価の上昇【要望先:国・県】

〇 公共工事における設計労務単価は、東日本大震災への対応により、震災以前の水準に戻りつつあるが、製造業に比べ3.5%低い状況にあることから、製造業の生産労働者の賃金水準に追いつくよう引き上げを要望する。

〇 特に、2024年度から適用される建設業への時間外労働の上限規制を見据えた時、災害からの復旧·復興については適用しないとしているものの、将来的には一般則の適用を目指すとしている。しかし、道路除雪や維持工事については、対応時間が一定ではないことから、これらの対応への適用については厚生労働省と十分協議していただくとともに、賃金についても別枠で検討していただくよう要望する。

 

 

<農業政策の推進>

1.新型コロナウイルス感染症対策に係る農業政策の充実強化について

(1)影響の長期化をふまえた新型コロナウイルス関連対策の継続·強化【要望先:国・県】

〇 外食や旅行等が依然として低迷するなか、その影響を受け続けている農業者・地方が、影響を乗り越え、継続·発展できるよう、中小農業者等の省力化等を推進する経営継続補助金の継続措置、外国人実習生に代わる労働力確保に向けた支援の継続措置、厚生連病院等の経営対策の継続に加え、大きく需要を失った対策の拡充、困窮者対策を含む国産農畜産物の需要回復・拡大対策など万全な対策を講じること。

〇 今後の需給や価格、消費の動向等をふまえ、機動的な対策を講じること。

(2) 水田農業対策【要望先:国・県】

〇 需要減の要因を踏まえ、備蓄米買入枠を拡大するなどの特別対策や子ども食堂への無償提供など省庁を越えた米による食の支援拡充や効果的な需要拡大対策を強化することを要望する。

〇 コロナ禍の影響で小麦粉の価格が3~4倍程度高騰しているため、差額の補てんや国産(県産)米粉の利用促進を図るなど、原材料の安定供給対策を講じるよう要望する。

(3) 輸出拡大対策【要望先:国・県】

〇 現在、 県内JAにおいても鋭意取り組んでいるところであるが 輸出拡大に個々で取り組むには限界がある。したがって、新型コロナウイルス感染症の情勢を注視しつつ、県域として、生産者の農業所得増大のために物流システムの構築、輸出先の衛生基準などに対応した加工施設の整備、現地のバイヤー招聘や海外フェアなどプロモーションの展開による販路拡大といった一層の取り組み強化を要望する。

(4) 外国人技能実習生の入国制限緩和【要望先:国・県】

〇 コロナにより入国制限されているが、現地では入国する人が制限解除を待って、待機している状況となっている。技能実習生については計画的な受入継続が必要であり、それが崩れると現場での混乱をきたす可能性が大きい。ついては 実習生の入国制限の緩和を要望する。

(5) 全国和牛能力共進会上位入賞を目指した支援対策【要望先:県】

〇 全国和牛能力共進会で優秀な成績を収めることは、 本県の和牛能力の高さを全国に発信し、本県和牛市場における購買者増加、高価格取引の期待など有利販売が可能となり、生産者増頭意欲向上により県内生産盤対拡充ひいては生産者所得向上が期待されることから、引き続き支援対策を要望する。

 

2.ポストコロナ時代における持続可能な農業·農村づくり

(1)人口減少の本格化をふまえた多様な担い手の育成·確保【要望先:国・県】

〇 人口減少下において農地の持続的利用を確保するため、中小·家族経営や親元を含めた新規就農者、半農半X、サービス事業体、JAを含め、地域を支える多様な担い手の育成·確保の強化と人·農地プランの取り組み強化に向け、関連する法制度·補助事業·資金対策·税制を拡充すること。

〇 多様な担い手の生産·経営の向上をすすめるため、JA等が一体となった伴走機関の取り組みを強化する対策を講じるとともに、行政手続きの簡素化等に向けたDXの推進および伴走機関等への効率的な整備をすすめること。

〇 中小·家族経営を含む多様な担い手の経営安定に資するよう、ナラシ対策や野菜価格安定制度等を維持するとともに、野菜価格安定制度と収入保険との同時加入に関する特例措置の拡充·恒久化を行うなど、総合的なセーフティネット対策を実現すること。

(2)農地の維持、 集積·集約、 適正利用の推進【要望先:国・県】

〇 人口減少下において担い手の育成·確保を図りつつ、自給力確保に必要な農地面積の確保や、農業の持つ多面的機能を維持·発揮するため、優良農地の確保や農地の集積·集約、条件不利地における農地の維持等に向け、人·農地プランの法制化や農地中間管理機構の取り組みの抜本強化など、関連制度の見直し及び対策の拡充を行うこと。

〇 日本型直接支払をはじめ、粗放的な手法も含めた農地の維持·保全に向けた政策を充実・再構築すること。

(3)多様な人材や地域資源を活用した地方回帰·活性化の促進【要望先:国・県】

〇 コロナ禍を教訓とした地方回帰·活性化を加速化するため、半農半Xや関係人口の拡大に必要な経営多角化やサポート組織の支援拡充、農福連携·農泊の推進など、農村における所得と雇用の確保に向けた支援を強化·具体化するとともに、農村対策の総合化·ワンストップ化をすすめること。

〇 都市住民の農業の接点等として多面的機能を発揮している都市農業の推進を強化すること。

(4)グリーン (環境調和) 社会の実現に向けた環境整備【要望先:国・県】

〇  「みどりの食料システム戦略」 は、わが国がアジアモンスーンの立場から、国際的なルールメーキングに積極的に参画するとともに本戦略に掲げられた取り組みや目標の実効を確実なものとするため法制度の整備、税制、補助など、新たな施策を推進する仕組みを構築すること。

〇 気候条件や国士条件等のわが国の実情や国際的な動向をふまえ、関係者が大きく変わっていこうと意欲を持って取り組める全国的な数値目標等の設定に加え、関係者の十分な話し合いによる地域·品目に応じた目標設定や多様な取組モデルの提示など、地域の実態をふまえた取り組みを推進すること。

〇 現状との乖離を埋め、目標達成に向けた取り組みを推進するため、スマート農業の社会実装の加速化·情報通信基盤の整備等を含め、革新的な技術·生産体系·品種の開発·普及および低コスト化を実現するとともに、国土·環境保全等に関する支援を拡充するなど農業者の所得が十分確保される万全な施策を確立しつつ、今後の具体的な道筋を提示すること。

〇 国消国産·地産地消をはじめ、わが国の食料·農業·農村の理解醸成に向けた国民運動の継続·強化に加え、環境への対応に関する生産者·流通業者·消費者等の意識転換に向けた取り組みを官民一体となって展開すること。

〇 政策手法のグリーン化にあたっては、関係者との十分な協議を行いつつ、事業転換·再構築に向けた支援を措置するとともに、新たな技術等の社会実業状況をふまえた段階的な要件化等を行うこと。

3.品目別対策等

(1)水田農業対策【要望先:国・県】

〇 コロナ禍のなかで、米の需給変動をふまえながら、予期せぬ需要減に対する必要かつ万全な対策を講じること。その上で、水田リノベーション事業を含め水田フル活用に関する予算を拡充するとともに、関係者が一体となった推進ができるよう体制づくりと支援を行うこと。

〇 米の需給動向に応じた計画的な生産の実効性を高めるため、需給や価格の動向·見通しが生産現場までより正確かつ迅速に伝わる仕組みの構築など、これまでの制度の検証と所要の見直しを行うこと。

また、農産物検査については不適正表示を防止し、消費者の利益や表示への信頼性を確保できるよう行政が監視できる仕組みづくりを行うこと。

〇 麦·大豆の需要に応じた生産と安定供給をはかり、国産への切替をすすめるため、 国産の利活用促進、保管体制の強化、地域実態に応じた生産性向上など、万全な対策を講じること。

(2)畜産·酪農対策【要望先:国・県】

〇 増頭奨励金や畜産クラスター事業等の生産基盤対策を継続·拡充し、中小·家族経営を含めた生産基盤の維持·拡大をはかるとともに、持続的な畜産物生産に向け、国内飼料生産の拡大や飼料流通の合理化等の実証支援、家畜排せつ物処理技術の開発·実装、 耕畜連携等の取り組みをすすめること。

〇 生乳取引や需給のー層の安定に向けた万全な対策を講じるとともに、契約遵守の必要性等について、引き続き関係者への周知·普及啓発を行うこと。

〇 家畜防疫にかかる水際対策の徹底·強化のほか、行政も含めた地域一体となった衛生管理強化の取り組みの活性化や、衛生管理強化に必要な資材·設備の導入、施設の整備等に対する支援を拡充すること。

(3)青果対策【要望先:国・県】

〇 生産基盤の維持·強化をはかるため、産地生産基盤パワーアップ事業や強い農業·担い手づくり総合支援交付金等の生産基盤強化対策を十分かつ継続的に講じるとともに、堆肥等を活用した土づくりや再生可能エネルギーの活用、省エネ等の取り組みをすすめること。

〇 気候変動等による需給の不安定化等がすすむなか、緊急需給調整対策の実効確保に向けた充実·強化をはかるとともに、食用利用の拡大等に向けた産地の取り組みへの支援を強化すること。

(4)甘味資源作物対策【要望先:国・県】

〇 生産の安定·拡大をはかるため、経営安定対策や生産振興対策を引き続き講じるとともに、病害虫対策、消費拡大対策等を拡充すること。

(5)鳥獣害対策【要望先:国・県】

〇 鳥獣被害を確実に減少させるため、都道府県による広域捕獲活動の実施強化、地域の実情に応じた捕獲活動の強化、処理·供給体制の整備等によるジビエ利活用、これらの取り組みを担う人材育成の推進に向けた支援を拡充すること。

(6)災害復旧·復興対策等【要望先:国・県】

〇 災害が頻発化するなか、施設等の改良など災害に強い農業づくり対策を継続的かつ十分に措置するとともに、被災状況に応じた継続的かつ柔軟な復旧対策の措置·拡充、 関係省庁等と連携した支援体制を構築すること。

〇 霜によるリンゴ・ナシ等の果樹被害に対する安定供給対策や深刻な病害虫被害に対する次期作に向けた支援など、有効な対応策の早期確立に向けた支援を継続的に講じること。

4.国際対策、 規制改革対策等

(1)輸出拡大対策【要望先:国・県】

〇 原発事故による規制をはじめ各国の輸入規制緩和に向けた交渉の加速化のほか、オールジャパンでの取り組みを促進するため、加工食品の国産原料への切替優遇措置や輸出先国での冷蔵施設等の共同設置等への支援を創設·拡充すること。

〇 生産基盤強化と農業者の所得増大に向けて、重点品目の生産基盤強化、輸出産地での設備機器の導入、海外での知的財産の保護など、輸出産地への重点的な支援を具体化すること。

(2)国際貿易交渉対策【要望先:国・県】

〇 国内生産基盤の強化や海外需要を獲得するための国際競争力の強化に向け、TPP等関連政策大綱に基づく対策を継続的に講じること。

〇 TPP 協定への新規加盟国の扱いは、生産振興等に追加的な影響が生じないよう対応すること。牛肉セーフガードは、米国産牛肉を含めてTPP11全体の発動基準数量となるよう関係国との協議を加速すること。

(3)JA自己改革【要望先:国・県】

〇 改正農協法の5年後見直しや、 准組合員の事業利用規制のあり方の扱いなどについては、組合員の意見·評価に基づく自主的な改革をさらに後押しすること。

 

<農業農村整備の推進>

1.農業農村整備事業の安定的かつ計画的な促進について

(1) 農業農村整備事業予算の十分な確保【要望先:国・県】

〇 農業農村整備事業が計画的に進むよう、令和4年度農業農村整備事業関係当初予算について、要望に見合った十分な予算を確保すること。特にも、新規箇所の事業採択に向け地域との十分な調整を図り円滑な事業推進に配慮すること。

(2) 新規採択に向けた着実な調査計画の推進【要望先:国・県】

〇 スマート農業の導入や高収益作物への転換等に向けた生産基盤の強化と農村地域における国土強靱化に向けた防災·減災対策を着実に進めていくため、新規地区が計画的に採択にされるよう、引き続き、調査計画を推進すること。

(3) 土地改良区の運営体制の強化【要望先:国・県】

〇 土地改良区の運営体制の強化を図るために、貸借対照表の作成·公表に必要な新たな会計制度の定着とともに、ドローンをはじめとするデジタル技術の導入などによる施設管理の省力化に向けた取組を強化すること。

 

 

<森林整備の推進>

1.森林整備の促進について

(1)森林整備予算の確保【要望先:国・県】

〇 地球温暖化防止に貢献し、国土強靭化の実現に不可欠な「緑の社会資本」としての森林整備を促進するため、整備事業に必要な予算を十分に措置すること。

〇 特にも、伐採跡地の確実な再造林の実行、植栽木の健全な生長を促すための下刈り等保育関連事業の適期·適正な実行を促進するための森林整備予算の安定的確保についても要望する。

(2)森林所有者の所得(立木価格)向上対策【要望先:国・県】

〇 国産材の需要拡大により木材生産は活発化しているものの、立木価格や丸太価格は平成2年対比でそれぞれ2割、5割と価格低迷が続いている。森林所有者の所得向上を図るために、木材生産コストの低減と併せて国産材の需要拡大、特にも、新たな製品開発等によるスギ大径材の利用促進対策を講じると共に、森林資源の循環利用を推進し林業の成長産業化を強化することを要望する。

(3)新規就業者や林業経営の担い手の育成【要望先:国・県】

〇 森林経営管理制度や「森林環境譲与税」、「いわての森林づくり県民税」等を活用し森林環境保全の取組みを推進するため、新規就業者や林業経営の担い手の育成等を一層強化することを要望する。

〇 市町村や森林組合等の中核となる林業人材の育成対策を早急に強化することを要望する。

 

 

<水産業者の所得向上>

1.永続的な水産資源の確保と水産業者の所得向上について

(1)海洋環境の変動等に伴う主要水産物の確保対策等の強化【要望先:国・県】

〇 安定的なサケ資源造成に向けた変動要因の調査及びふ化放流事業に係る取組み、ほたてがい等の養殖業における生産性の向上·安定化、磯根資源回復に向けた磯焼け対策、新型コロナウイルス感染症拡大の影響に伴う水産物の消費拡大に向けた対策の充実強化を要望する。

(2)漁業協同組合等の経営基盤強化施策の充実強化【要望先:国・県】

〇 主要水産物の不振から、 震災時に融資を受けた漁協経営再建緊急支援資金の返済に支障をきたす漁業協同組合があることから、同資金の償還延長、更には新たな支援策の充実強化を要望する。

(3)生産性・持続可能性の高い漁業構造構築に向けた改正漁業法の運用【要望先:国・県】

〇 漁業法改正に伴う制度の運用に当たっては丁寧な説明·指導を行うとともに、漁業収入の減少補填対策や安定的な漁業経営に資する補償制度の充実強化を要望する。

(4)外国人技能実習生等の従業員確保への支援【要望先:国・県】

〇 外国人技能実習生の出入国の制限や辞退等により、労働力不足等が懸念される状況となっていることから、従業員確保のための支援措置を要望する。

(5)福島第一原子力発電所におけるアルプス処理水海洋放出について【要望先:国・県】

〇 福島第一原子力発電所におけるアルプス処理水の海洋放出について、国民の理解が十分に進んでいるとは言えない。被害を受ける漁業関係者をはじめとする県民の思いを真摯に受け止め、海洋放出について十分な説明と慎重な対応をおこなうこと。併せて、より具体的な風評被害強化対策を示すことを要望する。

 

 

< 中小・小規模事業者の育成と雇用の創出>

1.小規模事業者の持続的発展に向けた環境整備

(1)各種施策の活用促進や負担軽減のための要件緩和【要望先:国】

〇 事業再構築補助金やコロナ関係の各種給付金等小規模事業者等に対する支援策は拡充されているが、要件のハードルが高くせっかくの施策が活用しにくい場合や、売上減少等の要件に届かず申請できないなど、施策の効果が減殺されていることから、要件緩和を図ること。

〇 新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受ける事業者や、昨今頻発している災害によって被災した事業者にとっては、補助事業の自己負担部分が一層重くなっていることから、補助率の引き上げを図ること。

(2)事業承継・創業の推進【要望先:国】

〇 地域経済の持続的発展及び経営資源の集約化による小規模事業者の生産性向上を図るため、事業承継補助金やプッシュ型事業承継支援高度化事業をはじめとする事業承継支援策の継続及び更なる拡充を図ること。

〇 事業承継を機に経営革新等に取り組む小規模事業者を対象とした「事業承継マル経」を別枠(貸付限度額の引き上げ)で創設すること。

〇 地域における創業、第2創業を促進するため、地域創業支援補助金を創設するとともに、廃業予定者や空き店舗と事業承継者や移住・定住者とのマッチング支援のための施策を講じること。

(3)社会保障費負担の軽減【要望先:国】

〇 社会保障のための企業の年金、健康保険、介護保険、子ども・子育て拠出金等の負担は、年々重くなっている。さらに、年金の適用拡大や健康保険料の引上げ等が見込まれ、今後、ますます負担が重くなることから、社会保障制度全般について抜本的に見直し、中小・小規模事業者の負担を軽減すること。

(4)補助事業等の申請手続きの簡素化等【要望先:国】

① 申請手続きの簡素化

申請等の書類作成業務は慣れていない小規模事業者は多くいることから、申請等の手続きにあたっては、極力簡素化するよう十分に配慮を行うこと。

② 電子申請システムの改修

小規模事業者持続化補助金等で電子申請(J-grants)について、支援の現場である商工会等が携わることが出来ないシステムとなっているため、実務の流れに沿ったシステムに改修すること。

(5)最低賃金引上げの一時留保【要望先:国】

〇 現下のコロナ禍において、中小・小規模事業者の多くは雇用調整助成金等で何とか雇用を維持している状況であり、このような状況の中でこれ以上最低賃金を引き上げることは、事業継続や雇用維持に重大な影響を及ぼしかねないことから、コロナ禍が終息し経済の好循環が生み出されるなど最低賃金の引上げ環境が整うまでの間、引き上げを一時留保すること。

(6)ポストコロナにおける人手不足対策の実施【要望先:国】

〇 労働力不足対策として期待される外国人労働者が、コロナ禍により入国できなくなるなど現在でも人手不足の状態にあるが、ポストコロナ社会下では人手不足に一層拍車がかかることが想定されることから対策を講じること。

(7)東日本大震災被災地域経済牽引産業の創出【要望先:国・県】

〇 東日本大震災津波で被災した沿岸地区は、急激な人口減や主要魚種の不漁による水産加工業の低迷等経済の縮小が進んでいることから、交通インフラ整備を活用した流通事業者の誘致等被災地域経済を牽引する産業の創出対策を強化すること。

 

 

2.中小・小規模事業者に係る税制改正

(1)消費税制度の見直し【要望先:国】

① 軽減税率制度の抜本的見直し

中小・小規模事業者への事務等の負担が大きい消費税の軽減税率制度については、本来の導入の目的である低所得者対策の効果を検証しつつ、事務負担軽減のための抜本的な見直しを求める。

② インボイス制度の凍結

インボイス制度の導入については、免税事業者が取引から排除される可能性があること、フリーランス等の帳簿整備が不十分である実態を勘案し、当面の間の凍結を求める。

(2)中小企業・小規模事業者の活力向上のための税制改正【要望先:国】

① 中小企業における交際費等の全額損金算入特例の適用期限の延長

販売促進の手段が限られている中小企業にとって、交際費は営業基盤の強化や新規顧客の獲得に不可欠なものであることから、800万円以下の交際費等の全額損金算入特例については、適用期限を延長することを要望する。

② 中小企業者等の少額減価償却資産の全額損金算入特例の適用期限の延長

中小企業者等の30万円未満の少額減価償却資産の損金算入特例は、人的資源の乏しい中小企業の事務負担を軽減するものであり、中小企業にとって欠かせない制度として定着していることから、適用期限を延長することを要望する。

③ 産業競争力強化法の認定に基づく登録免許税の軽減措置の適用期限の延長

地域において新たな事業を生み出すことは、地域経済の活性化のためには不可欠であることから、産業競争力強化法の認定を受けた計画にしたがって会社設立や増資等を行う場合の登録免許税の軽減措置について、適用期限を延長することを要望する。

④ 外形標準課税の中小法人への適用拡大の反対

給与総額や資本金等を課税対象とする外形標準課税を中小企業にも新たに適用することは、地域の雇用や賃金引き上げを抑制するばかりでなく、担税力の低い中小企業の経営に多大な悪影響を与えることから、中小企業には適用しないよう要望する。

 

 

< 物流の効率化と生産性向上対策>

(1) 自動車関係諸税の負担軽減措置【要望先:国】

〇 国民生活と産業活動に必要不可欠なトラック運送事業の事業維持、継続のため、法人税、消費税、自動車関係諸税等国税・地方税の納付猶予及び中小事業者等に対する固定資産税等の減免措置の延長等負担軽減措置を講じられたい。

(2) 雇用調整助成金の特例措置の延長【要望先:国・県】

〇 ドライバーの雇用の継続のため、新型コロナウイルスによる問題が一段落するまでの間、雇用調整助成金の特例措置を延長すること等各種助成金による支援を強く要望する。

(3) 働き方改革実現のための諸対策の推進【要望先:国・県】

〇 中小トラック運送事業者における働き方改革の一層の推進を図るため、荷主と一体となった生産性の向上や労働力確保につながる労働環境の改善等、各事業者が働き方改革に取り組んで行くための支援策の充実・拡大を要望する。

(4) 高速料金の割引の拡充【要望先:国】

〇 高速道路の利用は、ドライバーの拘束時間短縮等働き方改革の実現、輸送時間の短縮及び定時制の確保等生産性の向上の実現に不可欠のものであることから、深夜割引の拡充、長距離逓減制の割引の拡充を要望する。

(5) 休憩・休息施設、中継物流拠点の整備・拡充【要望先:国・県】

〇 平常時・災害時を問わず安定的な輸送を確保できるよう、SA・PA、道の駅における大型車、特大車用駐車スペースの整備・拡充、シャワー施設の設置箇所拡大等休憩・休息施設の充実、中継物流拠点の設置箇所の拡充を要望する。

 

 

< 住宅ストックの推進>

(1) 賃貸マンション等の「大規模修繕積立金」を課税対象外とすること。【要望先:国】

〇 賃貸マンション等を単独所有している場合、計画修繕ができるように積立てた修繕積立金は必要経費に算入することは認められていない。分譲マンションと同様に「大規模修繕積立金」を必要経費に算入できることとし、課税対象外とすること。

(2) 生活保護受給者の住宅扶助費等は、原則、家主または不動産管理会社へ直接支払う代理納付とすること。【要望先:国・県】

〇 生活保護受給者の住宅扶助費等の代理納付の割合は、公営住宅は約6割となっているが、民間賃貸住宅は約2割と未だ低い状況にある。国、地方自治体が連携し、民間賃貸住宅についても少なくとも公営住宅の約6割の水準まで代理納付を推進すること。

(3) 外国人労働者の受入れ分野に、不動産業 (賃貸住宅管理業等) も加えること。

「簡易宿所」が対象から除外されているのでこれを加えること。【要望先:国・県】

〇 出入国管理法が改正され、2019年4月から新たな在留資格が創設され、外国人労働者の受入れが拡大された。現在、14業種が受入れ分野として挙げられているが、業務の内容、必要性からして不動産業 (賃貸住宅管理業等) も対象分野に加えること。

〇 「宿泊業」 は14分野の1つとして認められているが、旅館業法に規定されている 「簡易宿所」 については対象から除外されているのでこれを加えること。

(4) 家主が安心して住宅を賃貸できるよう、 簡便な方法で遺品並びに残置物を処分できる仕組みを構築すること。【要望先:国・県】

〇 入居者の遺品については、 相続人が故人の財産に属した一切の権利義務を承継するとされ、処分には原則、全員の同意が必要となる。入居していた単身高齢者が亡くなられた場合、遺品を処分して退去するまでに、相当の時間、費用を要する場合もあることから、家主が安心して住宅を賃貸できるよう、簡便な方法で遺品を処分できる仕組みを構築すること。また、入居者が行方不明等により物件に残置物がある場合についても、同様に残置物を簡便に処分できる仕組みを構築すること。

 

 

<戦傷病者及び戦没者遺族への援護>

1  戦没者遺族の処遇改善【要望先:国・県】

(1) 戦没者遺族の今日までの歩みに配慮し、高齢化著しい事情等を考慮され、公務扶助料や次期特別弔慰金の受給要件の緩和、増額について要望する。

(2) 第11回特別弔慰金制度が令和7年3月31日で終了することから、次期特別弔慰金の制度創設について、要望する。

2 県内自治体からの支援・協力【要望先:県】

(1) 県内自治体援護担当部署に、遺族会担当窓口の設置を要望する。

(2) 県内遺族会における市町村からの補助金・活動助成金に大きな開きが生じていることから、格差是正に向けて特段の配慮をされるよう要望する。

3 英霊顕彰【要望先:国・県】

(1) 岩手県戦没者追悼式や岩手護国神社例大祭への市町村長、議員の参列について、ご配慮いただくとともに、参列者の対象範囲を戦没者の曾孫や甥、姪、児童生徒の参列を含め検討願う。

(2) 沖縄 「岩手の塔」 慰霊祭への継続助成について、要望するとともに、県内各地の建立されている戦没者慰霊碑の維持管理への支援について要望する。