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第2弾新型コロナウイルス感染症への 知事要望(令和2年4月16日)
2020.08.24
新型コロナウイルスによる感染症は世界的に猛威を振るい、国内においては、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が発令されるなど、国民生活及び国民経済に甚大な影響を及ぼす深刻な状況にあります。
本県は「感染未確認地域」でありますが、全国同様、観光宿泊客等のキャンセルやスポーツ・文化イベント等の中止・延期、物品の納品等の遅れによる生産活動や工事進捗に影響が出ているほか、人や物の動きが停滞し、県内の経済活動や県民生活に甚大な影響をもたらしています。
また、東日本大震災津波や台風10号、台風19号災害からの復興と「なりわいの再生」に向け、観光需要の発掘や震災で失われた販路の確保、二重債務問題の解決に取組んできた矢先に、今般の新型コロナウイルス感染症により、地域経済への深刻な影響が懸念される状況にあります。
このため、自由民主党岩手県連新型コロナウイルス感染症対策本部では、県内事業者等への影響や団体からの要望を把握するため、郡市医師会をはじめ県内各団体から感染症対策要望調査を実施し、要望等を取りまとめました。
つきましては、令和2年4月7日に閣議決定された「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を踏まえつつ、県においては、感染症対策の充実・強化とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、地域経済の持続的発展と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり早急に対策を講じられるよう、要望いたします。
1 感染症対策の充実・強化
(1) 感染症対策
① 帰国者・接触者外来の基準が高く、一般病院・診療所の外来に感染者が紛れる可能性があることから、当該基準を見直すとともに、発熱者外来機能を有する専門施設(ドライブスルー含む)を設置し、感染のまん延を防止する体制に万全を期すこと。
② 無症状者・軽症者を自宅で経過観察を行う場合、家族内感染の恐れが極めて高いほか、独居老人の自宅待機は極めて困難であることから、ホテル等の受入施設の確保について早急に検討すること。
その際、市町村や関係機関と連携し保健師、看護師等を配置すること。
③ 今後発生し得る感染拡大規模を想定し、二次医療圏毎に外来を担当する医療機関や入院病床・ICU病床等の準備を進めるなど、医療機関の役割分担を行い、連携体制の構築を図ること。
④ 県内唯一の特定機能病院である岩手医科大学附属病院をはじめ地域の基幹病院内で感染拡大が起きると本県医療の崩壊につながることから、隔離病室を確保するなど感染管理体制の構築に万全を期すこと。
⑤ 国との連携によりクラスター対策の「専門人材」を確保し、必要な地域に派遣可能な広域応援体制(医療版TEC-Force)を構築すること。
(2) 検査体制
① 全国的に感染者の追跡調査が不可能な状況にあり、二次感染の未然防止の観点から、PCR検査基準を見直し、医師が必要と認めた場合は速やかに検査できるように体制を強化すること。
② 大学や民間検査機関の活用を含め、早急な検査体制の拡充を図るとともに、簡易検査キットの開発を促進すること。
(3) 必要物資の確保対策
① 感染防護に必要な資材や人工呼吸器等の医療機器を確保するなど、地域医療提供体制の構築に向け、医師会や歯科医師会、薬剤師会と事前に調整し、万全の対策を図ること。
② また、介護施設や障がい福祉施設、教育・保育施設、バスやタクシーの交通事業者等へマスク、消毒液などの感染防止に必要な資材が確実に調達されるよう感染防止対策に万全を期すこと。
③ 併せて、関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた備蓄体制を強化し、マスク等の必要物資を確保すること。
(4) 高齢者等の重症化予防対策等
① 高齢者や障がい者、妊産婦等は重症化しやすい傾向にあるため、各施設等に対し予防対策と検査指導体制を一層徹底すること。
② 介護サービス事業所等に休業を要請する際は、市町村や関係事業所等と連携し、訪問サービス等の適切な代替えサービスを確保すること。
③ 高齢者や障がい者福祉施設、保育所等の事業継続に向けて、人員確保のための支援や人員基準等の柔軟な取扱いなどの対策を講じること。
2 地域経済対策
(1) 中小・小規模事業者等への支援
① 地域経済への影響を最小限に留めるため、資金繰りや所得補償等、雇用の維持と事業の継続に向け、東日本大震災津波の復興支援対策に準じた総合的な施策を講じること。
② 中小・小規模事業者やフリーランスを含む個人事業主の事業継続支援を図るため、国の持続化給付金(仮称)に加え、県独自の加算給付金を創設し地域経済を支える対策を強化すること。
③ テナント賃料が小売や飲食業の経営を圧迫していることから、不動産オーナーがテナント賃料の減免する場合の支援措置を検討すること。
④ 売上げの落込みが大きい観光関連産業等を念頭に、将来の売上げを前倒しする視点で、旅行券・商品券・食事券の発行や販売を支援するなど、地域内の経済循環が図られる大胆な経済対策を講じること。
⑤ 感染防止対策の状況を踏まえつつ、長期間にわたる過度なイベントや会合等の自粛要請とならないよう配慮すること。
(2) 資金繰り支援
① 中小・小規模事業者の経営危機は地域経済に極めて深刻な影響を与えることから、早急に実質無利子・無担保の融資が受けられる制度の創設や信用保証制度枠の拡充など手厚い措置を講じること。
② 手続きの簡素化と与信基準の特例等により実効的な活用を講ずるとともに、倒産防止対策を強化すること。
③ 東日本大震災津波や台風10号等、復興に係る既往貸付金について、感染症が終息し売り上げの回復が見込めるまでの間、返済猶予や金利の減免など特別措置を講じること。
(3) 税の減免等と生活支援
① 中小企業者等の負担を軽減し、感染症終息後の積極的な事業展開を促すため、一定の期間、法人税や自動車税等の減免または支払猶予措置を講ずるなど、固定費分を補う支援策を検討すること。
② 生活支援臨時給付金(仮称)などの審査を柔軟かつ適切に実施し、速やかな交付が実行されるよう支援すること。
(4) 雇用支援
① 雇用調整助成金の特例措置等の活用を速やかに進められるよう申請書類の簡便化に配慮するとともに、市町村と連携し更なる雇用支援対策の充実強化を図ること。
② 外国人技能実習生が、感染症対策により試験が延期された場合、帰国せざるを得なくなる等の不利益が生じないよう措置を講じること。
③ 合同就職説明会や人材確保関連のイベント中止が相次いだことから、採用計画に影響がでないよう新卒採用支援を一層強化すること。
④ 失業者や生活困窮者への生活支援対策として、失業給付金支払い条件の一時的緩和(求職活動免除、保険加入期間の制限撤廃)や緊急小口貸付の対象者への現金給付を終息宣言まで毎月継続すること。
(5) 農林水産業への支援
① 和牛や高級魚等の価格が大幅に下落していることから、マルキンの増額や当面の資金繰り対策など多面的な経営支援措置を講じること。
② 特にも、グループ補助金で再建し既往借入の加工業者等については、返済猶予や金利の減免など手厚い特別措置を講じること。
③ 和牛や花き、海産物などの需要減が顕著な農林水産物に対して大胆な消費拡大対策を講じること。
④ 外国人技能実習生の受入れに支障が生じており、労働力不足から生産販売の減少が生じないよう代替者の確保支援策を講じること。
⑤ 中国産原料の農業資材や農薬散布用マスク、消毒液等の入手の目途が立たない状況にあることから、輸入品(肥料原料、農薬、飼料、花粉など)の確保や安定供給体制の構築に向けた支援策を講じること。
⑥ 木材供給量の減少による素材生産事業の減退や木材価格の下落がはじまっていることから、原木価格の安定化(差額保障や遠距離納材の運賃助成)や林業事業体の資金繰り対策を講じること。
⑦ 林産事業から森林整備事業にシフトした場合、森林整備事業の予算を十分に確保すること。
(6) 公共事業等
① 景気の悪化により民間発注の急減が予想されることから、国土強靭化や交通ネットワーク整備等、公共事業費の増額により一定程度の建設事業量を確保すること。
② 建設資材の調達難や感染者が現場から発生した場合、標準契約約款に基づく不可抗力として工期延長を認めるとともに、この場合の費用増を補填するなど、受注者の立場を尊重し適切に対応すること。
3 教育機会の確保と相談体制等
(1) 学校休業・再開等の基準
① 学校の設置者が休業や再開等を適切に判断できるよう、科学的知見を踏まえた具体的な基準を提示すること。
② 大規模イベント等の開催にあたり、従来からの「密閉・密集・近距離」の3条件を避けることに加え、「地域の感染状況等に応じた開催の判断基準(ガイドライン)」を提示すること。
(2) 相談体制の充実強化
① 経営者や求職者のストレスや心の不調に適切に対応するため、相談体制を含めた総合的な支援体制に万全を期すこと。
② 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーなど専門家の配置等に必要な措置を要する費用負担を行うこと。
③ 医療従事者を含む感染者やその家族、医療機関等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう関係機関と連携し対応すること。
4 積極的な広報と情報発信の強化充実
① 知事は中小・小規模事業者等に対し「中長期の視点で経済と雇用、暮らしを維持していく」旨のメッセージをより一層強力に発信し、県民の不安の払しょくに努めること。
② 新型コロナウイルス感染ルートや予防策等について、不正確な情報による混乱を避けるため、引き続き迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに、国民や企業等に対し冷静な対応を呼びかけること。
③ 国内外の流行状況等の把握に努めながら、今後新たに発生する可能性のある危機を想定し予知・予測に努め、万全の対策を図ること。