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新型コロナウイルス感染症対策に関する政府要望をとりまとめる(令和2年3月30日)

2020.03.31

新型コロナウイルスによる感染症は世界的に猛威を振るい、国内においても大都市圏を中心に感染拡大傾向が続いており、今後爆発的な患者増が懸念される深刻な状況にあります。

本県においては「感染状況が確認されていない地域」でありますが、全国同様、観光宿泊客等のキャンセルやスポーツ・文化イベント等の中止・延期、物品の納品等の遅れによる生産活動や工事進捗に影響が出ているほか、学校における一斉休校等により、県内の経済活動や県民生活への影響が深刻化な状況にあります。

また、東日本大震災津波や平成28年台風10号、令和元年台風19号災害からの復興と「なりわいの再生」に向け、観光需要の発掘や震災で失われた販路の確保、二重債務問題の解決に取組んできた矢先に、今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、事業再開と経営の安定化に深刻なダメージを受けました。

このため、自由民主党岩手県支部連合会において、新型コロナウイルス感染症対策本部を3月1日に立上げ、県内状況調査を行い、先の2月県議会において、国の新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾を踏まえ、感染防止や学校の臨時休業に伴う課題への対応や経済対策として緊急に必要な補正予算を成立させたところであります。

一方、改めて県内事業者等への影響や団体からの要望を把握するため、4班体制で県内24団体から感染症対策要望調査を実施し、要望等を取りまとめました。

今週末4月3日に、政府及び自民党本部に対し、「感染症対策の充実・強化とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、中小・小規模事業者や農林水産業者等への総合的な支援により、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じる」よう、要望いたします。

 

 

1 感染症対策の充実・強化

(1) 感染症対策

① 新型コロナウイルス感染症の疑いがある方を診療体制の整った医療機関に確実につなぎ、感染のまん延を防止する体制に万全を期すこと。

② 国民の不安解消に向け、治療薬及びワクチンの開発を早急に進め、現場が必要とする医療提供体制の整備に全力で取り組むこと。

③ クラスター対策の「専門人材」を確保し、必要な地域に派遣を可能とする広域応援体制(医療版TEC-Force)を構築すること。

④ 今後発生し得る感染拡大規模を想定した地域医療提供体制の構築に向け、県と医師会が事前に調整し、万全の対策を図るよう指導すること。

(2) 検査体制

① ウイルスの保有状況の確認検査は、発症後に行うものとされているが、 健康状態の把握と二次感染の未然防止の観点から、患者との濃厚接触者については、無症状でも検査を行えるよう統一的な指針に基づき、検査体制整備に万全を期すこと。

② 感染拡大に的確に対応するため、PCR検査体制を強化するとともに、民間検査機関でも検査が可能な十分な体制を構築すること。また、ウイルス保有の確認検査を医療機関でも行えるよう、簡易検査キットの開発を促進すること。

(3) 必要物資の確保対策

① マスクやアルコール消毒薬等、国民の感染予防に資する衛生資材が不足することのないよう、メーカーや卸売業者等に適切な生産・供給を働きかけ、必要な資材の安定的な流通に万全を期すこと。

② 特にも、医療用マスクや消毒液等については、人工透析等、免疫力の低下している方々をケアしている施設や感染症患者を受け入れている施設、手術を実施している施設、歯科医療機関、薬局等に安定的かつ優先的に供給すること。

③ また、介護施設や障がい福祉施設、教育・保育施設、バスやタクシーの交通事業者等へマスク、消毒液などの感染防止に係る備品が確実に調達されるとともに、感染防止対策に万全を期すこと。

④ 併せて、関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた備蓄体制を強化し、マスク等の必要物資を確保すること。

 

(4) 高齢者等の重症化予防対策等

① 高齢者や障がい者、妊産婦等は重症化しやすい傾向にあるため、各施設等に対し予防対策を徹底するとともに、重症化防止のための検査指導体制を徹底すること。

② 医療機関、高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、保育所等の事業継続に向けて、一時的に必要な職員を確保できない場合は、人員確保のための支援や人員基準等の柔軟な取扱いなどサービスが継続的に提供されるための対策を執ること。

(5) 学校歯科検診

① 学校歯科定期健診の実施期限(6月30日)について、感染症の影響によるやむを得ない事由等の場合は実施期限の延長を認めるとともに、グローブやマスク等の健診時の感染防御用品の確保を支援すること。

② 感染が判明した患者に対する後方支援等、必要な歯科治療体制を構築すること。

 

 

2 地域経済対策

(1) 中小・小規模事業者等への支援

① 観光産業や飲食業・サービス業等では観光客の減少やキャンセルが相次ぎ 大幅な減収が見込まれるほか、製造業や建設業では部品や建築資材の調達が困難となり、生産活動や工事進捗に影響が生じている。地域経済への影響を最小限に留めるため、資金繰りや所得補償等、雇用の維持と事業の継続に向け総合的な施策を講じること。

② 特にも、影響の大きい観光関連産業(旅客・交通、宿泊、飲食、レジャー)等を念頭に、将来の売上げを前倒しする視点で、旅行券・商品券・食事券の発行や販売を支援するほか、高速道路の無料化等、大胆な消費喚起に結びつく経済対策を講じること。

③ なお、仮に現金給付を行うに当たっては、市町村に過度な負担が生じることのないよう十分協議し実施すること。

 (2) 資金繰り支援

① 観光をはじめ外出制限により資金繰りが悪化し運転資金を必要とする小規模事業者の経営危機は地域経済に極めて深刻な影響を与えることに鑑み、緊急融資制度(運転資金・無担保・無保証・利子補給等)や信用保証制度枠を拡充するなど手厚い措置を講じること。

② より実効的な活用を促すため、手続きの簡素化と与信基準の特例等を講ずるとともに倒産防止対策を強化すること

③ 平成23年の東日本大震災津波、平成28年台風10号、令和元年台風19号等、過去の災害からの復興に係る既往貸付金について、感染症が終息し売り上げの回復が見込めるまでの間、返済猶予や金利の減免など特別措置を講じること。

(3) 税の納付

① 中小企業者等の負担を軽減し、感染症終息後の積極的な事業展開を促すため、一定の期間、法人税や固定資産税、自動車税、社会保険料等の減免または支払猶予措置を講ずるなど、固定費分を補う支援策を検討すること。

(4) 雇用支援

① 雇用調整助成金等については、様々な事業や就業形態等に柔軟に対応するとともに、利用者の不安を払しょくするよう明確でわかりやすい制度とすること。

② 東日本大震災津波や台風10号災害等の復興途上の地域においては、緊急事態宣言が発出された地域と同様に雇用調整助成金の助成率を5分の4に拡充すること。また、教育訓練費について、リーマンショック時に措置された水準に拡充すること。

③ 外国人技能実習生が、感染症対策により試験が延期された場合、帰国せざるを得なくなる等の不利益が生じることのないよう措置を講じること。

④ 官民の合同就職説明会や人材確保関連のイベント中止が相次いだことから、中小企業の採用計画に影響を及ぼさないよう新卒採用支援を一層強化すること。

⑤ 失業者や生活困窮者への生活支援対策として、失業給付金支払い条件の一時的緩和(求職活動免除、保険加入期間の制限撤廃)や生活困窮者(緊急小口貸付の対象者)への現金給付を終息宣言まで毎月継続すること。

(5) 農林水産業への支援

① 外食需要等の減衰により、和牛や高級魚等の価格が大幅に下落していることから、マルキンの増額や当面の資金繰り対策など多面的な経営支援措置を講じること。特にも、グループ補助金で再建し既往借入の加工業者等については、返済猶予や金利の減免など手厚い特別措置を講じること。

② 和牛や花き、海産物などの需要減が顕著な農林水産物に対して大胆な消費拡大対策を講じること。

③ 東南アジア等からの外国人技能実習生の受入れに支障が生じた場合や従業員が感染した場合、労働力不足から生産販売の減少が生じないよう代替者の確保支援策を講じること。

④ 中国産原料の農業資材や農薬散布用マスク、消毒液等の入手の目途が立たない状況にあることから、輸入品(肥料原料、農薬、飼料、花粉など)の確保や安定供給体制の構築に向けた支援策を講じること。

⑤ 景況感の悪化や先行き不透明感から、木材供給量の減少による素材生産事業の減退や木材価格の下落がはじまっていることから、原木価格の安定化(差額保障や遠距離納材の運賃助成)や林業事業体の資金繰り対策を講じること。

⑥ 林産事業から森林整備事業にシフトした場合、森林整備事業の予算を十分に確保すること。

(6) 公共事業等

① 景気の悪化により民間発注の急減が予想されることから、国土強靭化や交通ネットワーク整備等、公共事業費の増額により一定程度の建設事業量を確保すること。

② 建設資材の調達難、感染者の発生等により工期が間に合わなかった場合、標準契約約款に基づく不可抗力として工期延長を認めるとともに、この場合の費用増を補填するなど、受注者の立場を尊重し適切に対応するよう関係機関を指導願う。

 

 

3 学校の一斉休業等への対応

(1) 学校再開等の基準

① 国においては、速やかに、学校の設置者が再開に向け適切に判断できるよう、科学的知見を踏まえた具体的な基準を提示すること。

② 大規模イベント等の開催にあたり、従来からの「密閉・密集・近距離」の3条件を避けることに加え、「地域の感染状況等に応じた開催の判断基準(ガイドライン)」を提示すること。

(2) 保護者等への支援

① 共働きやひとり親世帯、障害のある子どもの保護者が、学校の休業期間中や自宅療養中の幼児・児童生徒に対応できるよう、有給休暇の措置などの企業経済団体に対する働きかけや保護者への休業補償等に関する支援体制を整備すること。

② 保護者等の要望に十分配慮するとともに、学童保育所、放課後子ども教室等と連携し、児童生徒の受入れも検討するなど、柔軟な対応を呼びかけること。

(2) 教育機関等への支援

① 学童保育や放課後子ども教室等、地域の実情に応じて子供を預かる取組みに対して、運営に係る新たな負担増が生じることのないよう支援措置を講じること。

② 教育機関及び社会教育施設等に対し、体温計などの医療機器、マスクやアルコール消毒液、薬剤などの衛生品、防護服を安定的に供給すること。

(3) 働き方対応

① テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方や従業員が休みやすい環境整備の取組に対する支援についても更なる対応を実施すること。

(4) 差別・偏見等への対策

① 感染者やその家族等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう、関係機関と連携し県全体で対応すること。

② 学校の臨時休業期間中における学習用教材や、感染症に対する正しい知識を身に着け偏見や誹謗中傷を防止するための学習資料等を児童生徒に配布すること。

③ 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーなど専門家の配置等に必要な措置を要する費用負担を行うこと。

 

 

4 積極的な広報と情報発信の強化充実

① 政府は中小・小規模事業者等に対し「中長期の視点で雇用・賃金を維持していく」旨のメッセージをより一層強力に発信し、国民の不安の払しょくに努めること。

② 新型コロナウイルス感染ルートや予防策等について、不正確な情報による混乱 を避けるため、引き続き迅速かつ正確な情報提供に努めるとともに、国民や企業等に対し冷静な対応を呼びかけること。

③ 国内外の流行状況等の把握に努めながら、今後新たに発生する可能性のある危 機を想定し予知・予測に努め、万全の対策を図ること。