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新型コロナウイルス感染症への 対応に関する知事要望(令和2年3月10日)
2020.03.30
3月10日、達増知事に自民党岩手県連のメンバーで新型コロナウイルス感染症対策に関する要望を提出。
今年度あるいは新年度の補正予算に対策が反映されるよう議会で審議していく。
要望内容は次のとおりです。
新型コロナウイルスによる感染症対策については、現在、国において、フェーズの移行に対応しながら感染拡大防止に努めていますが、感染経路が不明な患者が散発的に発生し、無症状の陽性者も増加するなど感染拡大の局面が変わってきています。
一方、本県においては未だ感染者の報告はありませんが、観光宿泊客等のキャンセルやスポーツ・文化イベント等の中止・延期、物品の納品等の遅れによる生産活動や工事進捗に影響が出ているほか、学校における一斉休校等により、県内の経済活動や県民生活への影響が深刻化しています。
このため、自由民主党岩手県支部連合会においては、新型コロナウイルス感染症対策本部を3月1日に立上げ、県内状況調査に務めてきたところであります。
つきましては、県においては、県民の不安解消に向けた情報発信等に積極的に取組むとともに、検査体制や治療・相談体制の充実など感染拡大の抑制とさらなる医療提供体制に万全を期するとともに、地域経済と県民生活への影響を最小限に抑えるため、下記のとおり対策を講じられるよう、要望いたします。
1 積極的な広報と情報発信の強化充実
① 知事は、県民の不安を払拭するために先頭に立ち、県政番組や記者会見等、あらゆる機会をとらえ、より積極的な情報発信に取り組むこと。また、東北各県と連携した広域的な情報発信等に努めること。
② 新型コロナウイルスや基本的な感染症予防策に係る正しい知識や帰国者・接触者相談センター等の相談に関する情報等について広く県民に周知し、冷静な対応を呼びかけるとともに、不正確な情報による混乱を避けるため、県民、企業等へ、迅速かつ正確な情報提供を行うこと。
③ 東北地域や国内の流行状況等の把握に努めながら、今後新たに発生する可能性のある危機を想定し予知・予測に努め、万全の対策を図ること。
2 感染症対策の充実・強化
(感染症対策)
① 新型コロナウイルス感染症の疑いがある方を診療体制の整った医療機関に確実につなぎ、感染のまん延を防止する体制に万全を期すこと。
(検査体制)
② ウイルスの保有状況の確認検査は、発症後に行うものとされているが、 健康状態の把握と二次感染の未然防止の観点から、患者との濃厚接触者については、無症状でも検査を行えるよう統一的な指針に基づき、検査に当たっての体制整備に万全を期すこと。
③ 感染拡大にも的確に対応するため、PCR検査体制を強化するとともに、民間検査機関でも検査が可能な体制を構築すること。また、ウイルス保有の確認検査を医療機関でも行えるよう、迅速診断キットの活用も含め体制を構築すること。
(相談体制)
④ 県は相談体制を強化するとともに、国との連携を強化し、万全な体制で取り組むこと。
(必要物資の確保対策)
⑤ マスクやアルコール消毒薬等、国民の感染予防に資する衛生資材が不足することのないよう、メーカーや卸売業者等に適切な生産・供給を働きかけ、必要な資材の安定的な流通に万全を期すこと。
⑥ 特にも、医療用マスク等については、人工透析等、免疫力の低下している方々をケアしている施設や感染症患者を受け入れている施設、手術を実施している施設等に安定的かつ優先的に供給すること。
⑦ 併せて、市町村や関係機関、事業者等とも連携し、災害時などを含めた備蓄体制を強化し、マスク等の必要物資を確保すること。
(高齢者等の重症化予防対策等)
⑧ 高齢者や障がい者、妊産婦等は重症化しやすい傾向にあるため、予防対策を徹底するとともに、重症化を防止するため、各施設等に対し検査指導体制を徹底すること。
⑨ 医療機関、高齢者福祉施設、障がい者福祉施設、保育所等の事業継続が必要な施設・事業所において、一時的に必要な職員を確保できない場合においても、人員確保のための支援や人員基準等の柔軟な取扱いなどサービスが継続的に提供されるための対応を行うこと。
3 県内経済への影響を踏まえた対策
① 観光関連産業や飲食業・サービス業等では観光客の減少やキャンセルが相次ぎ大幅な減収が見込まれるほか、製造業や建設業では部品や建築資材の調達が困難となり、生産活動や工事進捗に影響が生じている。地域経済への影響を最小限に留めるため、雇用の維持と事業の継続に向け総合的な施策を講じること。
② 中小企業・小規模企業者、農林漁業者については、パート従業員など人材の確保が一層困難となり、長期に休業を余儀なくされる事態や、学校給食の納品休止により減収が生じる事態も発生していることから、中小・小規模企業者等への資金繰りを支援するなど事業所に対する手厚い措置を実施すること。
③ 感染が一定程度終息した段階において、広範かつ大胆な観光振興対策を含む大規模な経済対策を実施すること。
4 学校の一斉休業等への対応
(保護者等への支援)
① 共働きやひとり親世帯、障害のある子どもの保護者が、学校の臨時休業期間中や自宅療養中の幼児・児童生徒に対応できるよう、有給休暇の措置などの企業経済団体に対する働きかけや保護者への休業補償等に関する支援体制を早急に整備すること。
② 保護者等の要望に十分配慮するとともに、学童保育所、放課後子ども教室等と連携し、児童生徒の受入れも検討するなど、柔軟な対応を呼びかけること。
(教育機関等への支援)
③ 学童保育や放課後子ども教室など、地域の実情に応じて子供を預かる取組みに対して、運営に係る新たな負担増が生じることのないよう支援措置を講じること。
④ 教育機関及び社会教育施設等に対し、体温計などの医療機器、マスクやアルコール消毒液、薬剤などの衛生品、防護服を安定的に供給すること。
(働き方対応)
⑤ テレワークや時差出勤などの柔軟な働き方や従業員が休みやすい環境整備の取組に対する支援についても更なる対応を実施すること。
(差別・偏見等への対策)
⑥ 感染者やその家族等が不当に差別的な扱いを受けることのないよう、関係機関と連携し県全体で対応すること。
⑦ 学校の臨時休業期間中における学習用教材や、感染症に対する正しい知識を身に着け偏見や誹謗中傷を防止するための学習資料等の提供と児童生徒一人ひとりに配布すること。
⑧ 児童生徒の不安の解消や心のケアのため、スクールカウンセラーなど専門家の配置等に必要な措置を要する費用負担を行うこと。