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次期総合計画特別委員会 平成30年12月12日(水)

2019.03.05

○臼澤勉委員 それでは私のほうからは大きく2点。まず最初に、全体的なお話をお伺いいたします。

今回の次期総合計画につきましては、人口減少局面に入って初めて策定する県の総合計画であります。まさに今回、岩手丸が、今後10年間船出するための羅針盤であり、どこに向かって進めていくのか、これが問われるのかと思います。国家百年の計をどのように見ながら岩手はどこに向かっていくのか、まずお伺いいたします。

 

○岩渕政策推進室政策監 日本の将来ビジョンを描いていく上で、人口減少は極めて重要な課題であると認識しております。また、その解決のためには、より長期的な観点に立って、東京一極集中の是正や個性豊かな地域社会の形成、少子高齢化の対応などに取り組んでいくことが必要であると考えております。

そのためには、根本的に発想を転換して、より地方の人々の暮らしや仕事を起点とする政策を組み立てていくことが重要との考えに立ち、次期総合計画におきましては、より県民の暮らしに着目した10の政策分野を掲げまして、幸福を守り育てる社会を岩手からつくっていこうとしているものであり、こうした取り組みが全国で展開されていくことを期待するものでございます。

 

○臼澤勉委員 この計画の冒頭においても、岩手は今という、世界の変化、展望の最初のところで、まさにこれからの時代、地域の経済や暮らしにグローバル化の急速な進展、他国の大きな出来事が直接的に影響してくる、世界の動きを意識することが重要だと言ってございます。

それでお伺いいたしますが、人口減少、少子超高齢社会の環境の中、新たな時代を開く県政推進の柱となる構想、一口で次期達増県政のスローガンとなるべきものを打ち出すべきだと思いますが、いかがお考えでしょうか。

 

○岩渕政策推進室政策監 県政のスローガンについてでございますけれども、次期総合計画におきましては、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわての基本目標のもと、幸福の実感に関連する10の政策を設定してそれぞれの分野の施策を推進し、いわて幸福関連指標の向上を図り、ひいては県民の幸福度を高めていくこととしております。

県政のスローガン、さまざまな考え方があるかと思います。そうした中で、この基本目標につきましては、さまざまな委員会等の場におきまして、震災からの復興で学び培った経験を生かすこと、引き続き復興に取り組むこと、お互いに幸福を守り育てること、こうしたことが明確に示されておりますので、こうした基本目標、これ自体がわかりやすいスローガンにもなっているかと考えております。

 

○臼澤勉委員 先ほど来の総括質疑で、どの分野に重点的に取り組んでいくのかという御質問等がございました。その中で、知事は、移住、定住促進とか子育て支援、そういったふるさと振興に鋭意重点を置いていくというお話がございました。

今回のこの計画においては、私は教育こそまず重点的に取り組むべき政策だと、そういう答弁を期待していた一人でございます。幸福を追求するという今回の総合計画において、一人一人の県民の幸せのためにも、地域づくりや社会の発展のためにも、基本となる極めて重要な政策が教育であります。そういった意味から、どの分野に重点的に取り組んでいくのか。

そして、一方で人口減少対策、先ほどもいろいろな議論がございました。これが重要な課題でございます。自然減とか社会減に向けた目標設定、具体的にどう対策を考えているのか。現計画の政策展開の反省を含めてお伺いいたします。

 

○岩渕政策推進室政策監 重点的に取り組む分野についてでございますけれども、分野で何が重点かというのを決めていくのには極めてさまざまな御意見があるかと思います。そうした中で、人口減少それから第4次産業革命の進展、そういった本県を取り巻く環境変化に的確に対応しながら、人口減少を初めとした大きな課題に取り組んでいくことが重要と考えております。

そうした中、自然減、社会減に向けた目標設定と具体的対策についてでございますけれども、人口減少対策に関しまして、次期総合計画における自然減につきましては、いわて幸福関連指標として健康寿命や合計特殊出生率を掲げておりまして、生涯を通じた心身の健康づくりや、結婚や出産、子育てなどの環境の充実に向けた取り組みなどを進めていくこととしております。

また、社会減対策につきましては、同じく指標に、高卒者の県内就職率や県外からの移住、定住者数を掲げまして、ものづくり産業や農林水産業の将来を担う人材の確保、育成、首都圏での移住相談の充実に向けた取り組みなどを進めることとしております。

一方、現在のいわて県民計画やふるさと振興総合戦略の取り組みにより、社会減の減少に取り組んできたところですが、いまだ東京一極集中の是正は進んでいないと考えております。このため、復興の取り組みで培ったさまざまなつながりの拡大なども生かしながら、若者の地元定着に向けて今年度創設した岩手U・Iターンクラブなどの取り組みも進めていきたいと考えております。

 

○臼澤勉委員 社会減につきましては、毎年約4,000人超、40人乗りの大型バスで毎年100台が岩手から県外に出ていくというこの実態。それから、特にも20歳から24歳までの年齢、平成10年に転出超過になって以降、ずっと増加傾向にあるというこの事実。ここら辺に向けての対策、これにぜひ取り組んでいただきたいと思います。

そして先ほどの人材育成につきましても、この計画の中にも教育の部分で各種人材育成に取り組んでいくと書かれてございます。

10年先の時代を見据えた人材育成をどのように取り組んでいくお考えか、改めてお伺いします。

 

○小野政策地域部副部長兼政策推進室長 今、臼澤委員からお話がございましたように、人材育成は各分野にわたりまして極めて重要な問題と考えております。次期総合計画は長期計画でございますので、長期的に何を展開していくか、これはやはり人づくり、ここは重要な課題と考えております。こうしたことから、10の政策分野の一つであります教育の中で、地域に貢献する人材を育てますといった項目を設けまして、各分野にわたっての人材育成に取り組んでいくこととしております。

例えば農林水産業分野でございますけれども、農業につきましては、県立農業大学校それからいわてアグリフロンティアスクール、そしてさきに設立されましたいわて林業アカデミー、そしていわて水産アカデミーでございますけれども、こうした新たな取り組みも含めて人材育成を図っていきまして、高齢化あるいは人手不足といったところにしっかりと対応していくことが重要と考えております。

それから、ものづくり分野でございますけれども、やはりミスマッチそして人手不足の関係がございます。そして先ほど委員からございました毎年4,000人といった社会減がございます。ここにしっかりと手を入れていくためには、18歳、24歳、ここの若い人たちにしっかりと岩手で仕事を見つけていただいて、岩手で頑張っていただけるといった環境を整えていくことが重要でございますので、まずは子供たち、学校のときから岩手の地域の産業についてしっかりわかっていただくと。それから、いざ就職といったところで、できるだけ早い時点から岩手の企業をわかっていただく、そしてしっかりと企業に就職していただき、定着していただけるような職場環境を整えていく、この辺をしっかりといたしまして岩手の人材を育ててまいりたいと考えております。

 

○臼澤勉委員 岩手っ子が小中の子供のときから積極果敢に物事に挑戦したり、あるいは新たに自分らしさをオリジナルで創造するようなクリエイティブな人材育成にも努めていっていただきたい。

それから最後に、県の組織体制をどう改革していくお考えなのか。先ほど来御質問も出てございました。特にも職員の規模とかそういった部分も含めて、あるいは県の広域振興局がございますけれども、例えばこれを、これから10年を見据えて本庁に集約化して、ある現業の部分だけを残しながら集約化するとか、そういうお考えとか、機動的、戦略的、効果的というお話がございましたが、どのような効率化を図りながら取り組んでいくお考えなのかお伺いします。

 

○佐藤人事課総括課長 県の組織体制をどう改革していくのかという御質問でございます。

やはり人口減少、少子高齢化の進行、さらにはICTの飛躍的な進歩の中にあって、リスクやチャンスに適切に対応していくことが求められていると考えてございます。このために、限られた経営資源を最大限有効に活用するという認識に立ちつつ、まず組織部分につきましては、新たな行政課題や県民ニーズに対応した柔軟な組織の見直し、定数部分につきましては、行政需要に応じた適切な定数配置、さらには横断的、緊急的な課題の解決につきましては、弾力的なCFT―クロスファンクショナルチームの設置、こういったことを通じまして、適時適切に組織体制の整備を図っていきたいと考えてございます。

それからもう一つ、職員規模の話もございました。今回の行政経営プランの中にも、来年度からの次期定数管理計画の策定を検討していくということを書いてございます。現在のところは、まず震災復興に重点的に取り組むということで、震災復興部分につきましては、通常定数と分けて必要数を確保していくということでございましたが、今後につきましては、こうしたこれまでの復興の進捗の取り組みの状況等を踏まえて、詳細な検討を進めていきたいと考えております。

さらには、広域振興局の体制の見直しということもございました。この点につきましては、政策地域部のほうとも連携を図りながら、現在の広域振興局の課題とか減少等を踏まえて検討を進めていくことになろうかと考えております。

 

○臼澤勉委員 ぜひよろしくお願いいたします。

次に、農業の構造改革等についてお伺いします。

1から10の政策分野が示されてございますが、私はこの全てにかかわる政策がこの農林水産業の振興であると捉えてございます。そういった意味から、本県の基幹産業でもある農林水産業、そして県土の全てをカバーしている国土保全機能の面とか、そういった意味でも重要な役割を有してございますが、10年後の本県の農業の姿をどのように描いているのかお伺いいたします。

 

○照井農林水産企画室企画課長 10年後の本県農業の姿についてでありますが、本県農業は、食品産業など他産業への波及が大きい裾野の広い産業であり、地域経済を支える基幹産業の一つとして、また、生産活動等を通じて、県土や自然環境の保全など多面的機能の維持、増進に寄与しており、将来にわたり持続的に発展していくことが重要と考えております。

このため、従事者の減少や高齢化が進行する中にありまして、地域農業の核となる経営体の育成や生産性、市場性の高い産地づくり、県産農林水産物の高付加価値化と販路の開拓、拡大、それから魅力あふれる農山漁村づくりなどに取り組み、生産者が豊かさを実感し、意欲と希望を持って生産活動や地域活動に携わることができる農業を実現していきたいと考えているところです。

 

○臼澤勉委員 このⅥの仕事・収入においても、例えば国際競争力が高く、地域の産業・雇用に好循環をもたらすものづくり産業を盛んにする、あるいは地域経済に好循環をもたらす観光産業を盛んにするという、好循環をもたらす何々産業という言い方をしています。なぜ、農林水産業がまさに地域社会のこういった好循環をもたらす、農林水産業を盛んにするという表記にしていないのかなというような思いをしながら見てございました。

いずれにしましても、今、県内を歩いていると、産地の生産構造が余りにも弱体化していると。川上である農業、農村の構造をどう改革していくか、これは本気で考えなければ、川下のほうからのマーケットインというような需要に対応しようということで農業を進めてございますが、農村で暮らす人々の暮らしの継続というのは私は困難ではないかと、もう、そういう状況になっていると私は感じてございます。そういった意味から、農業経営を行う方々の経営手法とか生産技術力をどう高めていくお考えか、お伺いいたします。

 

○照井農林水産企画室企画課長 初めに、地域経済の好循環についての問い合わせがございましたが、政策推進プランの中の高付加価値化、販路を広げますの中におきまして、生産者との結びつきを深め、地域経済の好循環を創出する取り組みとして、地産地消の取り組み等を掲載しているところでございまして、農林水産業におきましても、地域経済の好循環に貢献する取り組みを進めていきたいと考えているところでございます。

二つ目でございますが、農業者の経営力等の向上についてでありますが、高齢化の進行などによりまして、従事者の減少が続く中、本県農業の生産力を維持、向上していくためには、地域農業の核となる経営力の高い経営体の育成が重要と考えているところでございます。

このため、地域農業マスタープランに位置づけられました地域の中心経営体等について認定農業者への誘導を図るとともに、岩手大学やJAグループと連携して設置しておりますいわてアグリフロンティアスクールやいわて農業経営相談センター等を活用しながら、集落営農組織等の法人化や経営規模の拡大、生産活動の効率化、農地の集積、集約化等による経営基盤の強化などを進めることとしてございます。

また、次代を担う新規就農者の確保、育成に向けまして、県立農業大学校等において、高度な専門知識や技術、経営などが習得できるよう取り組んでいくこととしてございます。

 

○臼澤勉委員 構造改革に当たっては、品種改良とかICTというような自然科学的なアプローチから今取り組まれてございますけれども、私はそれよりも、担い手づくりだとか経営手法、農地の利活用といった、いわゆる社会科学的なアプローチといった部分が大変基本的に重要な部分だと思ってございます。そういった意味から、産業政策論とか地域政策論、これをうまくバランスよく進めていく、それがまさに農政企画であったり農政部が進めるべき重要なポイントと思いますけれども、どういうふうにアプローチを展開していくお考えかお伺いします。

 

○照井農林水産企画室企画課長 産業政策、地域政策の展開についてでありますが、本県では、産地の核となる担い手を中心に、小規模、兼業農家など、多くの農家が生産活動に携わりながら地域社会を支えている実態にあることから、このような多様な農家が参画した農業生産や地域活動の活発化を通じて、活力ある農業、農村を実現していくことが重要であると考えております。

このため、農業振興に当たっては、地域農業の核となる経営体の育成や生産性、市場性の高い産地づくり、県産農林水産物の高付加価値化、販路の開拓、拡大などの取り組みを進めることとしております。

また、農村振興に当たっては、多様な主体の連携、協働によりまして、活力ある農村づくり、地域の多彩な農産物や食文化を活用した農山漁村ビジネスの振興など、魅力あふれる農山漁村づくりの取り組みを進めていくこととしています。

こうした取り組みの推進を通じまして、本県の農業の振興と農村の活性化に向け、積極的に取り組んでいくという考えでございます。

 

○臼澤勉委員 最後にいたしますが、私は、川下を見据えつつも、強い川上の構造をどう描いていくのか、ここら辺に非常に興味を持って見てございます。特にも、農業研究センターを含めた農業の未来予想図を描く、そういったシンクタンク機能とか県の構想力、企画力、ここら辺を私は強化していく必要があろうかと思いますが、そこら辺の御認識、お考えをお伺いいたします。

 

○照井農林水産企画室企画課長 企画力の強化についてでございますが、農業就業人口の減少が続く中、本県農業は、大規模な経営体が生産の中心になりつつあります。こうした経営体をしっかり育成していくためには、経営規模の拡大や多角化、高度化への対応、経営改善に向けた高度な生産管理手法の導入など、新たなニーズへの対応が必要になってくると考えてございます。

このため、高度な専門性を有し、行政機関、試験研究機関等との連携強化によりまして、政策課題や専門技術の高度化への対応等を担う機能を強化し、大規模経営体の経営高度化とあわせ、生産性、市場性の高い産地づくりや新規就農者の確保、育成などを進め、強い農業構造への改革を図っていく考えでございます。

 

○臼澤勉委員 いずれにしましても、農林水産業はこの10の政策分野、健康、家族・子育て、教育、コミュニティ、あるいは安全な面とか仕事・収入、歴史・文化、自然環境、社会基盤、そして共同の参画という、全ての分野にかかわる本当に重要な政策だと思ってございますので、しっかりと取り組んで計画のほうをさらにもんでいただきたいと思います。