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次期総合計画特別委員会 平成30年9月28日(金)

2019.03.05

〇臼澤勉委員 それでは、私からもこの大事な次期総合計画につきまして、何点か御質問させていただきたいと思います。

まず初めに、10年後の2028年の岩手県の姿をどのように描いているのか教えていただければと思います。

 

〇岩渕政策推進室政策監 2028年の岩手県の姿についてでありますが、目指す10年後の岩手像は、基本目標として、東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわてとして掲げるとともに、そのもとに、10の政策分野におきまして、例えば健康・余暇における、健康寿命が長く、いきいきと暮らすことができ、また、自分らしく自由な時間を楽しむことができる岩手といった姿を10分野についてそれぞれ描いているという計画の内容になっております。

 

〇臼澤勉委員 私もこの時期総合計画案を読ませていただきまして、本当に担当部局、担当者が大分苦労されているなと思います。

ちょっと質問を変えますけれども、そうしますと、10年後、今のままの状況が続くとどういう問題といいますか、生きにくさとか暮らしにくさというものがあると思われますか。ちょっとお伺いします。

 

〇小野政策地域部副部長兼政策推進室長 今の状況が続くことによって、10年後どういうことが危惧されるかといったことでございます。

今の状況につきましても、岩手県とすると、人口ビジョンを掲げまして、その上でふるさと創生の最新戦略をつくってきておりますので、政策的に全く何もない状況ということではございません。このまま行けば10年後にどうなるということではなくて、仮に、さまざまな政策が十分にとられない場合、あるいはそのままになってしまっている場合を想定したいと思いますが、特に、人口減少面において、大きな影響といいますか懸念が出てくると考えております。

人口ビジョンによりますと、2040年には103万9,000人を目指すと展望しておりますけれども、これが社会保障・人口問題研究所の推計によりますと80万人台になってしまうといった状況。さらには、各地域、市町村を見ますと、人口減少が非常に大きく5割以上という地域も出てくることによって、集落が維持されるかといった問題。あと、今でも話が出ておりますけれども人手不足、これは既に顕在化しておりますが、こういった問題がさらに大きく出てくる。中山間地における農業、林業は、これからも維持できるのかといったような課題が大きく出てくると考えております。

また、商工業においても人手不足の話が既に出ておりますけれども、これが大きくなってくる。それは、つまりそこで暮らす人たち、働く人たちが少なくなってきて、その家族も少なくなってくるといったことですから、その人たちを支えるさまざまな、サービス業であったり、あるいは学校の面においても大きな課題が出てくる。それを賄っていくための行政、その税収についても、これは当然少なくなってくるといったことで、地域がこれから維持できるのかという課題が出てくると考えております。こういったこともありますので、人口減少を大きな課題として、先ほど来出ておりますけれども、次期総合計画案の中でも取り組んでいこうとしているものでございます。

 

〇臼澤勉委員 おっしゃるとおり、人、地域、産業の観点から、それぞれさまざまな課題があって、午前中から各委員の御指摘あったとおり、生産年齢人口の急減であったり、人生100年時代が到来して、ライフスタイルも変わってくる。あるいは独居高齢者の世帯が急増していくとか、IoTやAIによる就業構造の変化で、例えば定型的な業務に携わる人たちは減りながらも、一方で価値を創造するような仕事がふえていくような未来が、10年後には間違いなくすぐそこに来ているのかと。

そういった課題に対して、何かストレートに、こちらにも書いているとは思うのですけれども、県民に対してもっとどんと伝えていいのではないかと思います。なぜならば、この時期総合計画案は、県民に対して希望というか、やっぱり元気を与え、俺たちの岩手は10年後、こんな岩手をつくっていくのだと。あるいは、確かに人口減、何となく閉塞感とか、日本全体も自信喪失的な雰囲気が少し蔓延している中でも、いや、岩手は可能性があるのだ。俺たちはできる。俺たちにはそういう元気な未来があるのだというような、何かそういうメッセージを端的に表現してもいいのではないかと思いますが、御所見をお伺いいたします。

 

〇小野政策地域部副部長兼政策推進室長 今、臼澤委員から御指摘ございました、人口減少が進む中で、特に第4次産業革命技術といったものを活用する中で、さまざまな新しい未来が描かれるといったことが非常に重要な課題と考えております。先ほども議論いただきましたプロジェクトにおいても、そういった長期的な展望、環境変化がどうなっていくのかといったところも踏まえながら、特に、さまざまな技術革新といったものも見込んでプロジェクトの中に盛り込んでいるところでございます。

臼澤委員からお話のあった大きなメッセージ性も重要と考えておりますので、例えば、午前中も話がありました県民の皆様にわかりやすく御説明するための普及版といったものもあるかと思いますので、さまざまこれから御説明し、御理解いただくためのツールの中でも工夫してまいりたいと考えております。

 

〇臼澤勉委員 この計画策定に当たっては、一般質問等で知事も答弁されておりましたが、県民的な広い議論を重ねながらまとめているというお話でございました。地域説明会とか首長との意見交換会も丁寧に行ってきたという御説明でございますけれども、計画ができてから落とすというよりは、今後政策を推進していく上では、市町村、NPO法人であろうが、あるいは県立大学の学生とか、10年後の未来を担う学生たちがともにつくっていくような形が重要なのではないか。

ずっと聞いていると、説明したという言い方をしますね。計画を説明していますとか、そういうお話が多いのですけれども、作成段階からインクルードして一緒につくっていくことが今後の施策の推進の上でも重要になってくると思うのですが、これまでどのように取り組まれてきているのかお伺いいたします。

 

〇岩渕政策推進室政策監 次期総合計画の策定に当たりましては、委員御指摘のとおり、県民運動として盛り上げていくことが大切であると考えておりまして、策定段階におきまして、例えば、計画の理念でございます幸福について、県民一人一人が考えるきっかけを提供する幸福のワークショップを県内各地で実施しております。また、6月に県民フォーラムを開催して、広く県民の皆様に参加いただくような機会をつくりながら、意見を聞くだけではなくて、一緒に考えたり行動するような運動も展開しているところでございます。

 

〇臼澤勉委員 先ほど佐々木努委員からもプロジェクトのお話もございました。そういった関係市町村とも、どういうふうにこういった思いを共有して今回の計画が取りまとまっているのかといったところが、少し私の懸念するところでございます。

市町村の意見を聞いたり、説明したり、文書のやりとりがあると思うのですけれども、そうではなくて、10年やってきた計画のできているところ、できていないところとか、いろいろな課題がありますね。そういった部分を計画の中に盛り込んではいると思うのですけれども、市町村あるいは地域の各種団体とどういうふうに思いを共有して、計画の実効性を上げていけるようなものに仕上げているのか、そこを本当に丁寧にやっていただきたいと思います。

次に進みますが、復興推進の基本方向についてお伺いします。先ほど佐々木努委員からも質疑がありましたけれども、人口減少というポイントがあります。復興推進の基本方向といったときに、沿岸地域では、やはり人口減少、戻ってこない、戻れないという課題、ここが重要なポイントだと思うのですけれども、市町村とはどのようにこの計画を取りまとめているのかお伺いいたします。

 

〇佐々木復興推進課総括課長 この次期総合計画案における復興の部分についての市町村との関係、協働という部分でございますが、昨年度から随時、まず復興局長が沿岸の全ての市町村長を個別に訪問いたしまして、御意見を伺いながら策定は進めてきたところでございます。

また、今年度は、沿岸及び県北広域振興局が開催いたします現地復興推進本部会議におきまして、市町村、関係団体等とも意見交換をしているところでございます。また、これに加えまして、復興局の担当職員が現地に出向きまして、沿岸の全市町村の復興担当課長等と、復興の課題などについても意見交換を行ったところでございます。

さらに、復興委員会の中に総合企画専門委員会、それから女性参画推進専門委員会がございますけれども、その委員の皆様と一緒に、被災地の市町村や事業所等を訪問いたしまして、状況等を調査しながら検討を進めてきたところでございます。今後におきましても、さまざまな機会を捉えて、沿岸市町村としっかりと連携しながら取り組んでいきたいと考えております。

 

〇臼澤勉委員 県内を歩くと、県の政策の柱とかフレームがちょっとわかりにくいという首長の声も実際にいただくことがございます。今回の計画においても難しいテーマ、課題ではありますけれども、そこに向けて重点的に我々はともに行くのだと。県と市町村は別々ではないと、県は市町村あっての県であり、市町村の課題が県の課題であり、市町村の地域課題が県民の課題であり、県がやるべき政策の共有をさらに高めていただきたい。そのためにも、広域振興局が果たす役割というのは非常に大きいと思っております。

それで、新しいプロジェクトについてお伺いしますが、私は、行政はある意味、継続性というものも重要なのだろうと思っております。現計画の重点プロジェクトの達成状況と評価はどう捉えられているのか。そして、今回新たな11のプロジェクトが示されておりますけれども、どのようにつながってきているのか、あるいはつながっていないのかを教えていただければと思います。

 

〇岩渕政策推進室政策監 現在のいわて県民計画におきましては、本県の産業や暮らし、歴史、文化、地理的条件など本県の強みや岩手らしさを生かして未来の岩手を創造する取り組みとして、六つの構想を掲げております。また、東日本大震災津波からの復興計画におきましても、三陸地域の復旧、復興はもとより、長期的な視点に立ち、新しい三陸地域の創造を目指す観点から、これを体現するリーディングプロジェクトとして、三陸創造プロジェクトを掲げております。

これまで、これらのプロジェクトや構想に掲げている国際リニアコライダーの誘致などによる世界をリードする国際研究拠点の形成や再生可能エネルギーの導入促進、三陸の海の資源を活用した新産業の創出などの取り組みを進めてきております。

次期総合計画長期ビジョンの新しい時代を切り拓くプロジェクトについては、こうしたこれまでのプロジェクトや構想の取り組みの成果を基盤としつつ、新たな交通ネットワークの整備ですとか、第4次産業革命の技術の進展などの時代の潮流を踏まえて対応することとして、今回のプロジェクトに結びつけております。

 

〇臼澤勉委員 今回のプロジェクトについても、一部についてはゾーンプロジェクトという、先ほどの御回答もありましたけれども、そういったゾーンのエリア内に入っている自治体の方々は、例えば県北プラチナゾーンプロジェクト、北上川バレープロジェクトについても、どういう思いを共有されているのかお伺いいたします。

 

〇岩渕政策推進室政策監 プロジェクトにつきましては、今回示しました中間案で初めて具体的に盛り込んだものでございます。これから地域説明会等を開催して、まずは市町村等の御意見も伺っていきますが、これらのプロジェクトにつきましては、非常に多くのものが、例えば大学と連携して、地域に入り込んで実証実験とかいろんな形で進めることになると思っております。県だけではなくて、市町村も一緒に入って、高等教育機関と連携しながら可能性を研究していきたいと考えておりますので、そういう中で市町村と結びつきを強め、一緒に共有して進めていきたいという考えを持っております。

 

〇臼澤勉委員 市町村目線で見れば、突然おりてきたみたいなことだけは避けたほうがよろしいかと思いますし、こうやって表に出ていく前段階で、もっとさまざまな意見交換があったとは思いますけれども、ぜひそこら辺は進めていただきたいと思います。今、さまざまな機関とも連携しながら進めていくということでございました。この施策を実施する段階では、さまざまな課題があることが想像されるのですけれども、これを実現させるために今想定される規制の緩和とか制度の改正を要する事業が見え隠れするわけでございます。

規制の緩和とか制度の改正は県だけではできない部分、国への働きかけだとか、ここを本気で実現していこうと思うと、担当者も並大抵の努力ではできない部分もありますけれども、そういった部分の働きかけだとか取り組みをどのようにお考えになっているのかお伺いいたします。

 

〇小野政策地域部副部長兼政策推進室長 次期総合計画案のうち、特に新しい時代を切り拓くプロジェクトでございますけれども、これは10年あるいは計画期間を超えて取り組むプロジェクトでございまして、委員お話しのように、来年度仮に計画ができたとして、来年度から取り組める内容もあれば、規制改革とかさまざまな課題を乗り越えながら、あるいは技術的な進歩を見込みながら進めていくという取り組みも含まれているものと考えております。例えば、既にILCにつきましては、さまざまな課題について部会等で検討が進められているところでございます。

それから、水素利活用推進プロジェクトの中でも、再生可能エネルギーの中で送電線の問題とかさまざまございます。そういった課題につきましては、中期的な課題としてここを乗り越えないとプロジェクトの実現につながっていきませんので、例えば構造改革特区ですとか、総合特区といった国の制度もございます。こういったものの活用を視野に入れながら、プロジェクトの具体化を図ってまいりたいと考えております。

 

〇臼澤勉委員 そういう課題も見据えながら、早目の準備が必要になってくると思います。最後に、4広域振興圏の振興についてお伺いいたします。現在の広域振興圏が設定されてから10年以上たちますけれども、御案内のとおり、震災後、三陸沿岸道路の整備とか復興事業も進みまして、生活圏を設定した10年前と大きく経済圏も変化してきていると思うのですが、県の認識についてお伺いいたします。

 

〇菅原地域振興室地域振興監 経済圏の変化についてでございますけれども、御指摘いただきましたように、沿岸地域におきましては、三陸沿岸道路を初めといたします復興道路などの整備によりまして時間距離が大幅に短縮されるほか、三陸鉄道の一貫経営あるいは新しい復興のまちづくりの進展などによりまして、住民生活を取り巻く環境が変化しているものと考えております。また、復興道路等の整備、進展によりまして、既に宮古―室蘭間のフェリー航路の開設でありますとか、宮古港の国際コンテナ定期航路の開設、さらに企業集積の促進につながるなど、経済圏につきましても大きく変化しているものと認識しております。

 

〇臼澤勉委員 それでは、2028年の本県を取り巻く今の環境変化を見据えて、新たな広域振興圏の枠組みを検討しなくてよろしいのでしょうか、お伺いいたします。

 

〇菅原地域振興室地域振興監 広域振興圏の枠組みについてでございますけれども、広域振興圏は、地域経済への強化による県民生活の維持向上を主眼といたしまして、産業の類似性や構造の特徴等を踏まえて設定したものでございます。これらの4圏域ごとの特性につきましては、現在も大きな変化はないと考えておりまして、中間案の第7章、地域振興の展開方向におきましては、引き続き、4広域振興圏の振興を進めることとしております。

しかしながら、御指摘いただきました人口減少の進行でありますとか、生活圏、経済圏の拡大など、本県を取り巻く環境の変化を踏まえまして、圏域内のさまざまな主体による連携に加えまして圏域間の連携、そして歴史的、文化的なつながりのある青森県、秋田県、宮城県との県境地域、さらには北海道、北東北など、より広域的な連携を進めていくこととしております。今後におきましては、復興の推移でありますとか、圏域を取り巻く社会経済情勢、地域課題を踏まえまして、必要に応じて圏域のあり方について検討してまいりたいと考えております。

 

〇臼澤勉委員 今、御回答いただきましたが、私は認識が少し違って、大分変わってきているのかと思うのであります。広域振興圏のくくりにつきましては、今お話がありましたとおり、圏域全体の産業の連続性とか、設定した当時、第1次産業、第2次産業も含めた産業振興の視点を重視して設定されてきたわけですが、今回、幸福というキーワードに基づいてこの計画はつくられております。そういった意味からいくと、経済的な視点から今度は人のほうに視点を置いた枠組み、もう少し言えば、日常生活圏であったり、あるいは医療圏とか、そういった視点のくくりがしっくりとくるのではないか。そういう生活圏に向けての広域振興圏の枠組みを見直すべきではないのかと考えますが、御所見をお伺いいたします。

 

〇菅原地域振興室地域振興監 広域振興圏でございますが、先ほど申し上げました産業振興による地域経済の活性化の視点のほか、住民に身近な行政サービスを担う市町村との協働関係を一層強化いたしまして、適切な役割分担により質の高い行政サービスを提供していく観点から、現在の広域振興圏を設定しているところでございます。

人口減少社会におきまして圏域の暮らしに必要な生活機能を確保し、持続可能な地域社会を形成するため、市町村におきましては連携中枢都市圏でありますとか、定住自立圏の形成によります広域連携の動きが活発化しております。盛岡広域連携中枢都市圏では、県央広域振興圏と同じ枠組みになっておりますし、県南地域での定住自立圏では、従来の九つあった生活広域圏の枠組みを超えるような連携の動きが出てきておりますので、現在の広域振興圏の枠組みが定着してきているものと考えております。

また、保健、医療など県民の日常生活と密接にかかわる広域行政の圏域につきましては、広域振興圏の中に複数の圏域を設定するなど、それぞれのニーズや地域の実情に合わせて設定しているところでございまして、今後とも市町村と連携をしながら、県民サービスの維持向上が図られるよう取り組んでいきたいと考えております。

 

〇臼澤勉委員 例えば沿岸の首長たちも、岩手三陸連携会議みたいな形で大きくくくりながら、インフラ整備とかどんどん変わっている中でさまざまな動きもしております。県民、市町村から岩手県が余り遠い存在にならないように、ぜひ一緒にこの計画の推進に当たっていただきたいと思います。