ホーム > 県議会報告 > 平成28年2月定例会 予算特別委員会(政策地域部)(平成28年3月9日(水))
県議会報告
平成28年2月定例会 予算特別委員会(政策地域部)(平成28年3月9日(水))
2016.03.10
1 広域振興圏
【臼澤勉委員】
それでは、私のほうから何点か御質問させていただきます。
まず、地域経営の枠組みのベースになります広域振興圏についてお尋ねいたします。
昨日の総括質疑の中でも広域振興局についてお尋ねいたしましたけれども、広域振興圏は、産業の類似性を初めとした各地域の特性を最大限に発揮する仕組みと考えられる圏域、つまり生活圏でなく経済圏をベースに設置されてございますが、現在の広域振興圏の圏域について、当初との変化をどう評価されているのか、そして、今後、広域振興圏の見直しをするお考えはあるのかお伺いします。
【森調整監】
広域振興圏につきましては、産業の類似性ですとか産業構造等を踏まえまして平成18年に制定したものでございまして、いわて県民計画におきましては、広域振興圏ごとに目指す将来像を定めまして取り組みを進めてきたところでございます。
そうした目的に沿ったものといたしまして、現在の広域振興圏域を基本といたします広域振興局の取り組みを展開しているわけでございますが、それらが一定の定着を見ているものと考えてございます。ただ、平成23年の東日本大震災津波の発生によりまして、特に沿岸広域振興圏ですとか県北広域振興圏が甚大な被害を受けたところでございまして、現在、復興計画等に基づきまして地域産業の再生を目指して取り組みを進めているという段階でございます。
それから、圏域の見直しについてでございますけれども、沿岸広域振興圏におきましては、現在、本格復興の取り組みを進めている最中でございます。また、それぞれの圏域が抱える課題を、ことし2月に策定いたしました第3期アクションプランの地域編において掲げまして、各局で取り組みを進めている段階でございます。
今後、復興道路ですとか復興支援道路の完成等、復興の進捗状況、社会状況の変化を踏まえながら、各広域振興圏が実施する圏域懇談会等の場を活用して御意見を伺った上で、検討していきたいと考えてございます。
【臼澤勉委員】
今、本当に復興事業が進んで、社会インフラも、縦貫道あるいは横断道の整備が進み、それぞれその当時の圏域みたいな考えも少し変わってきているのかなというような印象を持っております。
また、捉え方によっては、例えば私が観光のほうのお仕事をしていれば、わんこきょうだいは、5人といいますか、おりまして、それぞれの彼らの、生活圏という言い方が適しているかどうかは別にしましても、さまざまなくくりみたいなものがあろうかと思いますので、そういった意味合いで、今後、ここら辺の今の岩手の現状に合わせて適時適切な見直し、検討を進めていただければと思います。
2 地域経営推進費
次に、地域経営推進費といいますか、地方創生についてお伺いいたします。
県財政も硬直化して予算が制約されている中、生きにくさ、住みにくさを感じている方々を、生きやすさ、住みやすさに転換させていくというようなことでいろいろと対策を挙げているわけですが、その中でも、ある程度重点的に施策を絞り込むというか、対象者を絞った施策展開というものも必要かと思うんですけれども、主にどういった方々をイメージに重点施策を展開する予定なのか、御所見をお伺いします。
【高橋政策監】
本県の人口減少は、平成12年以降、社会減と自然減が相まって進行しておりまして、社会減について、その主な要因は、18歳の進学、就職期、22歳前後の就職期の若者の県外転出でありまして、これは、全国の経済、雇用情勢との関係が大きいものと分析しております。
また、自然減については、若年女性の減少と出生率の低迷が主な要因でありまして、その背景には、子育てと仕事の両立が困難であることを初め、未婚化、晩婚化の進行、子育て世代の所得の減少などが考えられております。
こうした要因を踏まえまして、人口減少に歯どめをかけるため、総合戦略では、若者がやりがいと生活を支える所得が得られる仕事の創出ですとか、若い世代の就労、結婚から子育てのライフステージに応じた支援に重点を置きつつ、医療、福祉や文化、教育など、子供から高齢者まで地域で暮らす人々の生活基盤の強化を図り、地域の魅力を高めるよう総合的に取り組んでいくこととしております。
また、事業の実施に当たりましては、厳しい財政状況の折、地方創生のための新型交付金を初めとした新たな財源等を有効に活用していくとともに、いわゆるPDCAサイクルによる進捗管理や見直しを適切に行いまして、総合戦略を着実に進めてまいりたいと考えております。
3 地方創生交付金
【臼澤勉委員】
私は、特にもひとり親世帯とか障がい児あるいは子供の貧困対策がいろいろと叫ばれている中、これは保健福祉部のほうの所管になるかと思いますけれども、ある程度そういった方々に目配りし、重点的に対策をとっていく必要があろうかと考えてございます。
それで、今、新型交付金のお話がございました。地方創生加速化交付金の現在の申請状況、内諾状況はどのようになっているのかお伺いいたします。
これは、実は内閣府の先行型の事業で、岩手県の採択の件数が他県に比べて非常に低かったということがございます。岩手県は先行型のときは9件にとどまっておりました。青森県、宮城県、山形県では、2倍というか3倍、29件というか20件台という中で、岩手県の数がちょっと少なかったという印象があります。今の地方創生加速化交付金の状況についてお伺いします。
【佐藤市町村課総括課長】
地方創生に関する交付金についてのお尋ねでございます。
地方創生に関する交付金につきましては、平成26年度の国の補正予算におきまして、総合戦略の策定経費や総合戦略に位置づける見込みの事業を対象といたしました地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金という制度が創設されました。現在、平成27年度の国の補正予算におきまして、総合戦略に位置づけられた事業を対象といたします地方創生加速化交付金は1、000億円の規模でございますし、平成28年度に地方創生推進交付金1、000億円が措置される予定となってございます。
今年度の補正予算で措置されました地方創生加速化交付金についてでございますけれども、県内の30市町村におきまして59事業、約17億円分の事業を国に申請しているところでございます。現在、国におきまして事業採択に向けた審査が行われているところでございます。
県といたしましては、市町村が地域の実情に合わせて交付金を有効に活用し、地方創生に取り組むことができるよう支援してまいりたいと思ってございます。
4 移住促進対策
【臼澤勉委員】
県財政もなかなか厳しい中、市町村財政もそのとおりなんですけれども、こういう事業を有効に活用していただいて、市町村をぜひバックアップしていただきながら、特に広域振興局の皆様も一緒になってそこを支援していただければと思っております。私の知っている市町村でも、そういう期待を県に非常に強く持っているということで、ぜひ、そこら辺をお願いしたいと思います。
次に、移住促進対策について、先ほども斉藤委員のほうからもお話がございました。まさに私も同じような思いでこの移住対策を問題認識しております。
実は、京都府で、今回の2月議会に空家及び耕作放棄地の活用による移住の促進に関する条例が上がっております。これはどういったものかといいますと、関係機関と連携しながら、不動産取得税の特例措置であったり、あるいは空き家を改修する補助金、そして空き家や農地等の取得の際の金利負担の軽減、そういった政策を総合的に実施することで、移住の促進あるいは耕作放棄地の解消、農地の活用というような対策を打ってございます。
特にも、ここのポイントは、市町村長の申し出に基づいて、そういった移住促進特別区域設定をしながら対策に取り組んでいるということでございまして、こういった取り組みについてどうお考えか、御所見をお願いします。
【菅原県北沿岸・定住交流課長】
ただいま委員から御紹介いただきましたけれども、京都府の移住促進に関する条例につきましては、農山村などの人口の少ない地域を移住促進特別区域として指定しまして、区域内において、移住者などが空き家の取得と改修、農地の取得を、税の軽減、補助金の交付、金利負担の軽減のパッケージで支援するという大変先進的な取り組みであると伺っております。
県といたしましては、首都圏での相談窓口を含めた移住推進体制の整備や、本県の魅力や、仕事、住居、支援施策などの移住情報の一元的な発信を重点的に取り組んでございまして、移住者に対する個別の支援につきましては、主に市町村の役割として、県、市町村、関係団体の連携を強化しながら、移住、定住の促進に取り組んでいるところでございます。
県内市町村におきましては、既に策定したところもありますけれども、年度内に策定する総合戦略に移住、定住の取り組みを位置づけ、移住者の空き家改修等の支援など移住施策を強化しているところでございますけれども、県といたしましても、首都圏の相談窓口でありますふるさと回帰支援センターに、商工労働観光部と連携いたしましてキャリアカウンセラーを配置いたしまして、移住と就職の一元的な相談対応ができる体制の整備でありますとか、NPOや地域団体が行う移住、交流促進の取り組みへの支援制度の創設など、移住促進の取り組みを強化することとしてございます。
今後におきましても、京都府の移住促進に関する条例の運用状況、あるいは他県における移住者への支援施策の動向を見ながら、引き続き効果的な移住施策について研究してまいりたいと考えてございます。
【臼澤勉委員】
この前、国で国土形成計画を策定し、そして、国土利用計画の県計画を今─この前も国土利用計画審議会を私も傍聴させていただきましたけれども、そういう土地利用の意味からも、こういう総合的な取り組みというのは非常に重要だと思ってお聞きしたところでございます。
特にも岩手の場合、例えば矢巾町も都市部と農村部があって、昔の合併する前の旧町村部、農村集落といいますか、そういったところも非常に人口も減ってきて、既存集落の維持というか、そういったところがこういった対策によってまた盛り返すというか、新たにそういう人口を呼び込んで地域を活性化する一つの方策なのかということで、政策地域部の方々に、そういう部局横断の総合パッケージの対策をぜひリードしていただいて政策提案していただければということをお願いして、次に移ります。
地域おこし協力隊について、この取り組みの成果、取り組み方針、市町村の支援の取り組み状況をお伺いしたいと思います。そして、人材募集とかマッチングの際、東京事務所を初めとする県外事務所のネットワークなども活用しながら、ぜひ、地域で必要な人材のマッチング支援をお願いしたいと思いますが、御所見をお伺いいたします。
【菅原県北沿岸・定住交流課長】
地域おこし協力隊制度でございますけれども、若者を中心に都市部からの移住を促進し、過疎地などの地域活性化につなげる有効な手段の一つと考えてございまして、県では、これまで、市町村に対しまして、研修会等において、県内外で活躍している隊員の具体的な活動を広く紹介するなど、本制度の積極的な活用を促してきたところでございます。
この結果、本県の地域おこし協力隊につきましては、平成27年12月1日現在で11市町村38人に拡大しておりまして、いわゆるよそ者、若者の視点による地域活性化の取り組みが活発に展開されてきているところでございます。
さらに、隊員の任期終了後も引き続き定住する事例もありますことから、今後におきましてもこの制度の積極的な活用を促進し、県外から若者を地域に呼び込むとともに、市町村、関係機関と連携を図りながら、活動終了後の定住も視野に置いた取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えてございます。
また、人材の募集に際してでございますけれども、U・Iターンのホームページあるいは東京のふるさと回帰支援センターにおきまして募集情報を提供してございまして、実際に、ふるさと回帰支援センターの移住相談窓口を通じまして、花巻市の地域おこし協力隊の採用につながった事例もあるところでございます。
今後とも、ふるさと回帰支援センターや県外事務所等のネットワークを活用しながら、市町村における必要な人材の確保に向けた支援を行ってまいりたいと考えてございます。
5 派遣職員のメンタルヘルスケア事業
【臼澤勉委員】
これも地元自治体の市町村は非常に期待しているところでございます。県の支援もぜひお願いしたいと思います。県にそのつなぐ役を御期待して、最後の質問に入ります。
派遣職員のメンタルヘルスケア事業について、最後にお尋ねいたします。
被災市町村へ県内外から多くの職員が派遣されておりまして、私は本当に頭の下がる思いですし、私も、県外の皆さんと一緒に仕事をした仲間として、この5年間、多くの復興事業に携わっていた仲間に本当に感謝と敬意を表したいと思っております。
それで、まずお尋ねいたしますのは、被災市町村の派遣職員等の人材確保の状況について、現在の確保状況と平成28年度の確保見込みについてお伺いいたします。
【佐藤市町村課総括課長】
被災市町村の人材確保の状況でございますけれども、3月1日現在の応援職員の確保状況は、必要数が777名に対しまして確保数は715名となってございます。充足率は92%、62名の不足という状況でございます。
マンパワーの確保に向けましては、総務省を通じました全国の自治体への派遣要請、被災3県によります全国の自治体への合同訪問要請、県内内陸市町村への派遣要請等を行ってきましたほか、県の任期付職員の派遣など、被災市町村の人材確保に向けた取り組みを行ってきたところでございます。
来年度の確保見込みでございますけれども、3月1日時点の状況を取りまとめさせていただきました。年度当初の必要数といたしましては、震災後初めて減少に転じまして731名となってございますけれども、確保の見込み数は661名となってございまして、充足率は90.4%、70人の不足見込みとなってございます。追加で派遣するという打診もあると聞いてございますので、4月1日までに確保数の若干の積み増しの可能性もあると考えてございますけれども、依然として厳しい状況と認識してございます。
県といたしましては、引き続き被災市町村や国など関係機関と連携いたしまして、全国の自治体への派遣の働きかけなど、これまでの取り組みを継続しつつ、復興の推進に必要な人材の確保に努めてまいりたいと考えてございます。
【臼澤勉委員】
まだまだ不足していると。特にも技術職の確保といったところが、現場のほうは一日も早い事業の推進のために頑張っている中で足りていない。
そういった中で、先ほども斉藤委員からお話がありましたけれども、非常に悲しい出来事が今回あったと。私が行っていたときもそういう事案がありましたが、まず、メンタルヘルスケア事業は心のケアが何よりも大事でございます。応援職員の方々は、ふるさとに家族を置いて単身で来られたり、いろいろな事由で、仮設住宅に住むなど、一人で復興現場で頑張ってやっている。ここの心のケアはぜひ対策をしっかりとって取り組んでいただきたいと思っているのですが、現在のメンタルヘルスケアの取り組み状況と事業評価、今後の対応方針についてお伺いいたします。
【佐藤市町村課総括課長】
派遣職員のメンタルヘルスケアについてでございますけれども、県といたしましては、派遣職員のメンタルヘルスケアについては十分な配慮が必要と認識してございまして、平成23年度から被災市町村を訪問いたしまして、派遣職員等に対する面談を実施してございます。今年度は2回実施してございます。
また、平成25年度からは、派遣職員等を対象といたしましたメンタルヘルスケア研修を年3回開催してございまして、これまでに計9回、延べ1、275名の方に参加いただいてございます。
実施に当たりましては、参加者からのアンケートの結果あるいは関係機関等の意見を踏まえまして、今年度は、メンタルヘルスに加えまして日常の食事とか栄養管理の内容も盛り込むなど、内容の充実に努めてきているところでございます。このほか、電話やメールによります相談窓口の設置、派遣職員等を紹介する情報誌を年8回発行するなど、派遣職員の心身のケアに取り組んできたところでございます。
先ほども答弁いたしましたが、復興業務に携わる職員が亡くなるという非常に残念な結果が発生いたしました。派遣職員が元気に業務に取り組んでいただけるような環境をつくっていくというのは何よりも大切なことだと思ってございます。
今回の事案を含めての対応といいますのは、人事課も含めて検討していきたいと思ってございますけれども、今後も、こうした取り組みを継続して実施してまいりますとともに、被災市町村、関係機関と連携いたしまして、さまざま改善を加えながら、派遣職員が心身の健康を維持し、安心して業務に専念できる環境の整備に努めてまいりたいと思ってございます。