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県議会報告
令和3年度12月定例会本会議(反対討論)(令和3年12月7日(火))
2021.12.11
「ガソリン価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率適用停止を求める意見書」に対する 反対討論
発議案第1号「ガソリン価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率適用停止を求める意見書」に対して、「反対の立場」から討論いたします。
1 特例税率適用停止に伴い地方が失う財源について
反対の第一の理由は、特例税率適用停止に伴い地方が失う財源について触れられておらず、将来に対する責任ある議論を全く果たしていない点であります。
本県の歳入における地方揮発油譲与税は、令和2年度で31億円、直近5年間の平均は33億56百万円であります。一方で令和2年度の道路関係経常的経費は、108億19百万円、地方揮発油譲与税はその28.7%にも上る貴重な財源であり、直近5年間の平均でみても、道路関係経常的経費100臆86百万円に対し3分の1、33.3%を占めております。
また、特例税率の適用停止に伴う本県影響額を試算すると、5億円程度の歳入減が見込まれます。
当該意見書は、特例税率適用停止に伴う地方財源の減収補填について、具体的に言及されているわけではなく、地方における従来の道路整備・管理水準を維持するだけの代替財源が明らかにされていないため、特例税率を適用停止することとなれば、多額の財源不足が生じ、地方の道路維持・管理に甚大な影響を及ぼすことが懸念されます。
平成31年度地方税制改正によると、令和16年度から国税である揮発油税から地方揮発油税に税源移譲し、都道府県に対し自家用乗用車の保有台数で按分して譲与することとされており、現行のキロリットル当たり5,200円が、令和16年度から5,500円と増額されることとなっております。
ご案内のとおり、本県は、極めて厳しい財政状況にあっても、地域住民の安全・安心な暮らしを支え、産業及び観光振興等により地域活性化を推進するために、最も重要な社会資本である道路整備を実施してきました。
今後も、地域住民や企業がその恩恵を早期に享受できるように、地方における道路整備を着実に進めるとともに、適切に維持・管理していくことが不可欠であり、地域住民や企業がその恩恵を早期に享受できるように、道路整備の財源確保については将来に亘って、確実に確保しなければなりません。代替財源なき議論は、現役世代、そして将来世代への責任を果たしているとは言えません。
今回の特例税率適用停止の議論においては、新たに整備すべき道路、適切に維持・管理すべき道路、いずれも多数存在するという本県の実情を鑑み、責任を持って地方が失う財源に代替する財源を明示し、地方が必要とする道路整備財源が確実かつ十分に確保される制度の再構築を図るよう提案すべきであります。
2 苦境にある事業者等への迅速な支援として不適当
反対する2つ目の理由は、現在燃油高騰で苦境にある事業者、生活困窮者の方々への迅速な支援としては適当ではないからであります。
揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例既定の適用停止、通称トリガー条項の発動については、東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律第44条の定めるところにより、東日本大震災の復旧及び復興の状況等を勘案し別に法律で定める日までの間、その適用を一時凍結されている事もあり、実現するには法改正の必要性があります。法改正にあたっては、相当の時間がかかることは周知の事実であります。
そのため、まさに今、困窮している方々に対して即効性のある施策を実現していくためには、法改正に代わる他の政策で進めた方が早い可能性が高いのは言うまでもありません。現在燃油高騰で苦境にある事業者、生活困窮者の方々へ責任を持って迅速な支援を実施していくためには、本発議案は適当ではありません。
政府・与党において、11月19日に閣議決定された経済対策において、最近のガソリン、灯油、軽油、重油、LPG価格等の高騰を踏まえ、農業、漁業、運輸、公衆浴場など、関係業界やお困りの方々への支援を実施し、地方公共団体が、生活困窮者に対する灯油購入費の助成など、原油価格の影響を受けている生活者や事業者を支援するために行う原油価格高騰対策に対し、特別交付税措置を講じることとしています。
また、経営に大きな影響を受けている地域公共交通の維持に向けた事業者の取組みを支援しており、燃油の卸売価格の抑制のための手当てを行うことで、小売価格の急騰を抑制する時限的措置を講じるなど、支援をおこなっているところであります。引き続き、燃油価格高騰の影響を受けるトラック業界、施設園芸農家、地域公共交通、漁業者等の経営安定化等に向けた施策を着実に実施することとしています。
政府・与党として、引き続き原油価格高騰について注視し、安定した国民生活のために努めることとしており、本案については、迅速な支援として適当ではなく、代替財源についても触れられていないことから、賛同することは適切ではないと考え「反対」をいたします。
議員各位の御賛同を心からお願い申し上げまして反対の討論といたします。御清聴ありがとうございました。