ホーム  >  県議会報告  > 令和3年度2月定例会 予算特別委員会(商工労働観光部)(令和4年3月16日(水))

県議会報告

令和3年度2月定例会 予算特別委員会(商工労働観光部)(令和4年3月16日(水))

2022.03.31

1 コロナ克服に向けた事業者支援・雇用対策について

(1) これまでの要望に対する評価と今後の対応について

先週の飲食業生活衛生同業組合からの県に対する要望を含め、これまでの各団体等から寄せられた要望に対する評価と、予算措置を含めた今後の対応を示せ。

【商工企画室企画課長答弁】
商工指導団体と連携して毎月実施している影響調査では、多くの事業者において長期に渡って売上が減少していることを背景に、国や県に要望する支援策として「景気回復策」や「資金繰り支援」が多くを占めており、また、生活衛生同業組合をはじめとした業界団体等からの要望も同様の支援を求める声が多いと認識。
 令和4年度当初予算案では、飲食店や商店街の売上回復を図るためのキャンペーンの実施等による需要喚起策や、融資制度をはじめとした直接的支援などの施策を盛り込んだところであるが、現在のオミクロン株による第6波によって、多くの事業者がさらに深刻な状況にあることから、県として、関係団体と連携しながら、追加事業の構築などを含めた効果的な支援の方法等を検討しているところ。

県は商工会・会議所のアンケート調査のほかに生の声を直接聞きに行っているのか、現状を伺う。

【商工企画室企画課長答弁】
 商工労働観光部で行っている影響調査のほかに、事業者の声を聞くことが施策を検討するうえで大事と認識している。例えば、飲食店や宿泊事業者を含めた生活衛生営業者や、環境生活部で行っている認証店については、環境生活部や関係団体においてアンケート調査を行い、その結果については庁内で情報共有いただいているところ。
 また、定期的な事業者との意見交換や、経済金融連絡会議など金融機関や商工指導団体が一堂に会した意見交換の場において、事業者の声を丁寧に拾っているところ。

(2) 企業経営状況の認識と実効性のある経営支援対策について

飲食業・卸小売サービス業とも資金繰り支援要望が高い。償還が開始され、飲食業、サービス業の返済緩和条件変更が多く、極めて深刻な状況。現在の企業経営状況の認識と、実効性のある経営支援対策は如何に。

【経営支援課総括課長答弁実績】
 借り入れた資金について手元の資金が減少していると金融機関から聞いており、極めて苦しい状況と認識しているところ。第6波の長期化やウクライナ情勢を含めると、今後さらに経営環境の急速に悪化することが心配されるため、事業者の実情に応じた、よりきめ細かい資金繰り支援を早急に行っていく必要があると考えている。

現時点でどのような体制で取組を進めていくのか。

【経営支援課総括課長答弁実績】
 金融面の支援について、商工会議所・商工会などの商工指導団体に加え、金融面での視点が必要であり、金融機関や信用保証協会の3者を交えた、個別企業についての会議等がすでに釜石や遠野地区で行われているところであり、その取組を全県的に広げるなど、異なる視点でさまざま支援ができる、複数の機関が集まった体制で支援を行っていくことが、現状行っていることであり、広げていく必要があると考えている。

(3) 事業継続力強化支援計画について

 中小企業強靭化法(R1年7月施行)に基づく事業継続力強化支援計画の策定状況と今後の取組は如何に。

【経営支援課総括課長答弁実績】
 自然災害の影響等により、商工業者の事業活動に支障を来す事態が生じていることを受けて、令和元年度に国が設けた支援制度であり、商工会又は商工会議所が、市町村と連携して策定する、小規模事業者の事業継続力強化を支援する計画で、県が認定するもの。
県では、令和2年1月に計画の策定に必要となる申請ガイドラインを作成し、市町村及び商工指導団体に対して、支援計画策定の促進を図っているところであるが、これまでの策定状況は、平泉商工会と平泉町が策定した1件である。

現状をどのように認識しているか。

【経営支援課総括課長答弁実績】
 企業を取り巻くリスクに関しては、自然災害のみならずコロナ、感染症も含まれていることから、さらに促進する必要があると考えている。

(4)雇用調整助成金の活用状況について

 雇用調整助成金の特例措置は6月まで延長されるが、それにより、守られる企業数・雇用と県内交付規模はどうなっているか伺う。

【定住推進・雇用労働室雇用推進課長答弁実績】
 雇用調整助成金の活用状況についてでありますが、岩手労働局によりますと、雇用調整助成金の交付により雇用維持された人数は把握していないとのことでありましたが、3月11日現在の支給決定は2,926事業所の延べ27,882件で、金額は250億2千万円弱となっております。
 また、コロナ禍によって休業させられた労働者のうち、休業手当を受け取ることができなかった労働者が自ら申請することができる新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金については、同じく3月11日現在で、支給決定は9,513件で5億7700万円余となっております。

(5) 県内企業の賃上げの現状、理由について

県内企業の賃上げの現状、理由は把握してるか。

【定住推進・雇用労働室特命参事兼労働課長答弁実績】
 県内企業の賃上げの状況についてでありますが、毎月勤労統計基本調査によると、岩手県内5人以上事業所の「きまって支給する給与」の額でございますが、令和2年平均が1か月あたり233,696円に対し、令和3年平均が235,956円と、2,260円上昇しているところでございます。全国との令和2年、3年の差について、実際少し縮小してきたというところでございますが、伸びは鈍いものとなっております。

(6) 県内中小企業の「労働分配率」の推移について

県内中小企業の付加価値額に対する人件費の割合「労働分配率」の推移は如何に。

【定住推進・雇用労働室特命参事兼労働課長答弁】
「労働分配率」の推移について、岩手県のデータはございませんが、「内閣官房新しい資本主義実現本部事務局」の資料によりますと、平成12年度から令和元年度の全国データが出ております。その中で、労働分配率は高い順から小企業、中小企業、中堅企業、大企業の順になっておりまして、長期的には緩やかな減少ということになっております。コロナ前のデータではございますけれども、令和元年度は、資本金1千万円未満の小企業については82.3%、資本金1千万円以上1億円未満の中小企業につきましては、77.1%となっております。コロナ禍によりまして企業収益の減少等により、中小企業が厳しい状況におかれているものと予想されるところでございます。

(7)賃上げの取組支援について

 積極的な賃上げの取組を支援する必要があるが、国の支援制度を含め、県の取組を伺う。

【定住推進・雇用労働室特命参事兼労働課長答弁実績】
賃上げついての取組についてでありますが、国と県とがあるが、国では、賃金引き上げに向けた中小企業・小規模事業者への支援策として、「業務改善助成金」や、正社員化に向けて賃金改定等の取組を実施した事業主に対して助成する「キャリアップ助成金」等を設けている。また、一定の要件を満たした上で賃上げを行った場合に、その増加額の一定割合を法人税額又は所得税額から控除する「賃上げ促進税制」をこの4月1日から令和6年3月31日までの間に開始する各事業年度で適用することとしている。これらの制度について、県として活用促進を図るべく、県ホームページ等で周知を図っているところ。
また、賃上げに取り組むためには、継続的な経営力の強化や生産性向上の実現も必要であるため、県においては、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた中小企業者が行う、新しい生活様式に対応したビジネスモデルの構築や、生産性の向上に向けた主体的な取組を支援するため、「事業継続伴走型支援事業費補助」により、事業者の本業の建て直しに向けて商工指導団体の体制強化を図っているところ。

2 地域未来投資促進法及び医療機器等関連産業イノベーション創出戦略等について

(1) 地域未来投資促進法基本計画の実績と評価について

地域未来投資促進法に基づく本県の基本計画の最終年度にあたる。平均35百万円以上の付加価値額を創出する地域経済牽引事業を5年間で140件創出し、促進区域で1.3倍の波及効果を与え、約6,900百万円の付加価値を創出することを目指したが、実績とその評価について伺う。

【新産業育成課長答弁実績】
 地域未来投資促進法についてでありますが、県では、市町村や産業支援機関、金融機関等と連携いたしまして、現在までに37件の事業計画を承認し、課税免除、補助金審査上での加点措置、低利融資など、事業者の取組を支援しております。
 また、付加価値創出額につきましては、各事業計画の累計額が約69億4千万円と、目標額に達しておりますが、こちらについては、国から、計画期間の最終年度で評価を求められており、令和4年度において計画値の評価を行い、評価を踏まえて、後継となる基本計画に反映させたいと考えております。

(2) 自動車・半導体等産業におけるコロナ禍の具体的な影響について

 自動車・半導体・医療機器等関連産業を戦略産業に位置づけ、連峰型の産業集積を目指しているが、コロナ禍の具体的な影響は如何か。

【ものづくり自動車産業振興室長答弁実績】
 主要なものづくり産業における新型コロナウイルス感染症の影響についてでありますが、 自動車関連産業では、長引くコロナ禍の影響による世界的な半導体不足や部品の調達難により、トヨタ自動車が国内工場の生産ラインが断続的に稼働を停止し、これに伴い本県自動車関連企業も一時的に工場の稼働を停止するなどの影響が出ているものの、自動車の受注は好調を維持していると伺っており、今後は、減産分の挽回生産が見込まれております。
 半導体関連産業では、コロナ禍による在宅勤務やWEB会議等の拡大に加え、5GやAI等の技術革新やデジタル化の進展などにより、データ通信量が飛躍的に増大しております。本県に立地する主要な半導体関連企業においても、かつてない規模で生産が拡大しているところです。
 医療機器等関連産業は、自動車や半導体のようなサプライチェーンが確立されておらず産業全体の影響を把握することは難しいところですが、例えば、ヘルステック・イノベーション・ハブに入居している企業が新型コロナウイルス対策関連製品を主力として大幅に業績を伸ばしているほか、大手製薬企業と連携した製造ラインの自動検査システムの開発や産学連携による脳卒中リハビリ装置の開発などが進められており、今後、これらの研究開発の成果が現れてくるものと期待しているところです。