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県議会報告
令和元年度12月定例会 常任委員会(農林水産委員会)(令和元年12月6日(金))
2020.03.21
1 岩手県部局等設置条例の一部改正
(1)農林水産部の検討実績
○臼澤勉委員 それでは、私からは今回議案で、岩手県部局等設置条例の一部改正が出されておりますが、組織の話でちょっと御質問させていただきます。
今回、政策企画部とふるさと振興部を設置するということで、この目的はいわて県民計画(2019~2028)の着実な推進に向けて政策立案・調整機能を一層充実・強化させていくということでございましたが、農林水産部でこのいわて県民計画の着実な推進に向けた内部での組織の検討というのは行われたのかどうか、まずちょっとお伺いいたします。
○山本特命参事兼管理課長 来年度の組織でございますけれども、再来年度全国植樹祭があります関係上、その動員について今検討しているところであるのですけれども、計画そのものについて具体的な、今回の部局の設置条例については見直し等は行ってございません。
(2)いわて県民計画2019における農林水産部の位置づけ
○臼澤勉委員 ありがとうございました。この農林水産部は、私の記憶では平成12年、当時の増田知事、そして県民計画の前々計画ですか、立てたときに農政部と林業水産部を一体的合体させて計画を推進させていこうということでできてきて、もう大体20年近くたっているのかなというふうに私は認識してございます。
当時この農林水産部、何を目指したのかといったところでちょっと確認いたしますと、総合的な食料供給基地の形成を目指した産業活動の支援体制を充実強化するということでございました。まさに前計画で七つの柱立てございます。「岩手の未来をつくる7つの政策」ということで、産業・雇用、そして農林水産業、食と緑の創造県、医療・子育て、安全・安心、七つ政策ありまして、その政策を実現させるために農林水産部という組織を再編させて、計画の実現のために回してきているというふうに私は理解しております。
そこで、お伺いいたしますけれども、今回岩手県のいわて県民計画2019において、農林水産部が所管する仕事というのは、どの政策分野に所属するのか、ちょっとお伺いいたします。
○米谷企画課長 いわて県民計画(2019~2028)の中での農林水産部の推進業務の関係がどの政策分野に所属するかということですけれども、農林水産部につきましては、主に仕事・収入分野のほうに盛り込まれているところでございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。この第6の仕事・収入という分野に属したわけでございます。農林水産部というこの言葉が一番上の看板からは消えたというか、なくなってはいるのです。工藤勝子議員も一般質問とかでいろいろ前の県民計画の議論の中では質問されておりましたが、私が今回ちょっとお聞きしたいのは、基本的に計画ができましたと。計画と、そしてこの計画を推進するための組織というのは、私の理解では一体的にあるべきだというふうに思っておりますし、これまでの前の計画、あるいは前の前の計画においても、まさにわかりやすく、この政策と組織が連動して岩手県行政が一体的に進められていたというふうに私は理解しています。
前の計画で、「岩手の未来をつくる7つの政策」ということでお話ししましたが、本当にわかりやすくダイレクトに、例えば第1の産業・雇用については商工労働部でまずやりましょうよと、第2章の農林水産業、食と緑の創造県いわてをつくるということで、そういうことで農林水産部を一つにして一体的にやっていた。今まで流通においても、それぞれやっていた部分を一体化しましょう、団体指導等の検査においても、それぞれ林水、農業でやっていた部分も一体化してやっていこうということで実績を上げてきたというふうにちょっと私なりには理解しておりますが、あと医療・子育て・福祉については保健福祉部であったり、安全・安心については総務部、教育・文化については教育委員会であるとか文化スポーツ部ということで、環境についても環境王国ということで環境生活部というのを新たに組織再編をしてつくってきたというふうに理解してございますが、今回この仕事・収入という部分で10個の政策分野をつくったわけでありまして、私まだ理解できないのですけれども、なぜこの政策企画部、ふるさと振興部だけなのかなという問題意識、県民計画は10年計画のスパンで進めていくならば、この10の政策分野で農林水産、食料供給基地というのは、この大きな柱立てから一つインクルードされております。県民所得の水準を高めるだとか、産業政策と一緒にこうやってくくられた今の計画であります。それについて、農林水産部として検討をしたのかというか、内部でどういうふうな議論が行われたのか、まずお伺いします。
○上田農林水産部長 今年度から新たな県民計画がスタートいたしました。この県民計画に従って施策を推進していくと、これが農林水産部のミッションであります。計画が変わりましたけれども、これまでのやってきたことがずっと同じことをやってきたということではなくて、やはり改善をしながら、当部今16課室ございますが、私が前に勤務していました平成17年のときには14課室、そういったことで逐次組織等も求められるものに合わせながらこうやって変えてきて、それで対応してまいったという、そういった経緯があるというふうに私は存じております。
今回の新しい計画に当たりまして、これをうまく推進するため、そして県民のためにどういったものができるかという、そういった議論がございまして、その中で、では今の組織体制でいいのかというのも私も加わって議論をいたしました。それで、小さな部分確かにあったりはしたのですが、大もとのところでは今の体制でこの計画推進に関してはまずよろしいのではないか、ただしこれからいろんな社会経済情勢の変化等ありますので、それに対しては柔軟に対応していこうということで、今回の組織については小規模な変更で済ませております。ただし、組織はそうでございましたが、ただ施策を推進するに当たりましては、やはりそれにふさわしい人材を適所に当てていくということが必要でございまして、そういったところでは、今まだ案の出ている段階でございますが、県民計画に定める、そういった施策をうまく推進できるような、そういったような人員体制について今工夫をして検討を進めているところでございます。
(3)成果と課題
○臼澤勉委員 ありがとうございました。現在の農林水産部、県庁の中でも大きな組織であります。まさに16の室課があって、職員数においても1,400人規模ですか、全体の一般行政部門の3分の1を占めている大きな組織であります。
この20年、農林水産部、当時の増田県政から達増県政に移ってずっと10年、10年という計画を推進してきましたが、改めてこの課題と成果、農林水産部一体化させてやってきた成果、ただ一方で課題も多分あると思うのです。その課題認識をどのように捉えて、そして今後の農林水産部としてどのように取り組んでいくべきとお考えなのかお伺いします。特に通告もしていないので、今の感覚で結構ですので、よろしくちょっとお聞かせいただければ。
○上田農林水産部長 私がどう感じるかという範囲でお答えをさせていただきます。
農林水産部になりましたのは、平成13年でございました。私平成11、12年に農政部におりまして、それで農林水産部になった場合のどういったやり方がいいのかということの議論があったところには、一応私もかかわってございました。そのときの議論の中で、1次産業については農業、林業、水産業を、やはり切り離して考えるというのはどうだろうかというのはございました。実際に地域にもありました農林課でございまして、あるいは農業課。例えば農林水産部と県産のものを売り込むという場合にも、それぞれパーツ、パーツでやっていたのでは効率が悪いのではないか、岩手の農林水産物を丸ごと売ると、これがやはり効率ではないかという、そういった議論がございました。
その中で、委員から御指摘がありましたとおり、今まで農、林、水産、この3分野ございましたが、農の場合にはもっともっと細かく分かれておった例えば流通部門を一手にまとめまして、それで岩手の農林水産部とパッケージをして売り出すというために流通課をそのタイミングでつくらせて、もう一つは団体指導課でございまして、法人指導、特に団体指導については、それぞれの部署で非常に共通な面があるにもかかわらず、それぞれのセクション毎にやっていた。これを集中的にやることで、効率的でより深い指導ができるということで団体指導課をつくらせていただいた。これ非常に大きな成果だと思いますし、その成果というのは今でもどんどん、どんどん大きくなっているのだろうというふうに思っています。
その分といいますか、そういったところをまとめたことで、農林水産のそれぞれの分野で力を入れなければならないという施策についても集中できるような体制が全体として整ったのではないかというふうに思っております。
それで、課題についてでございますが、これは見方によってそれぞれございますけれども、私個人的に感じておりますことということの範囲で申し上げますと、それぞれの分野については担当の技監がおりまして、その下にそれぞれの課室があります。それで、それにもっともっと細かくの担当課というのがございまして、そういったところではそれぞれのところでうまく回しているような体制が定着しているものというふうに言ってもよいと思います。
ただし、先ほど申し上げましたとおり、農林水産業として一体でやらなければならない、そういった部分というのは非常にまだ多くございます。そういったことでは、農林水産企画室が、そこを中心でやっておりますけれども、そこを今の時代に合ったように、あるいは将来を見据えたときに、よりうまく我が農林水産部、農林水産行政を進めるような、そういう体制をつくり上げていくということが非常に重要だと思っておりまして、いろいろさまざまな課題がある中では、それはやはり私が思うときの大きな課題だというふうに捉えておりました。
(4)今回の組織再編案
○臼澤勉委員 丁寧な御答弁、部長、ありがとうございました。
私の問題認識は、今回の10の政策分野で、まさに「仕事・収入」というくくりにしたわけです。どちらかというと農林水産行政を、そういう産業政策、今も流通課を再編して進めていくという答弁ありましたけれども、本当に大きな産業政策として農林業を位置づけて進めていくのだと、だからこの「仕事・収入」というくくりの中で、今回のこの指標においても農林水産部の所管する指標として10番の、例えば1経営体当たりの産出額であったり、木材生産産出額であったり、漁業経営体においては経営当たりの・・・・漁業の産出額ということで、あと輸出額だとか、そういった部分の指標をしながら進めていこうと。これは何を意味しているかというと、商工労働と、私はある意味この6の大きな「仕事・収入」という意味で大くくりの県の組織として、商工労働とも今までの緩やかな連携というか、そういう連携体制から一歩踏み込んで、これはかじを切ったのだろうなと思って見ておりました。
もっと言うならば、私は以前一般質問でこんな質問をさせていただいたことがあるのです。もともと国においても大隈重信であったり、伊藤博文のときに産業を所管する役所として国のほうでは農商務省というものを設置していたのです。今で言う農林水産と経済産業省を一つにした組織で進めていた。私この仕事・収入という県の計画において、6というこの分野をくくったということが、もう商工労働と農林水産部を一つにして、まさに伊藤博文さんがいたころの、例えば農商務省というような意味合いで一体的な産業の生産性の向上を図っていくのだというようなこの気構え、覚悟というものを感じて見ていたわけですが、今回の議会において提案された組織再編が、えっと思ってしまった。政策企画部とふるさと振興部ということで、非常に部分的な部分だったなというふうに思っておりました。そこら辺の御所見というかお考え、なぜ県の中で県計画に連動した形で組織再編が行われなかったのか。それは、総務部所管なのかもしれませんし、農林水産部としてコメントというか、回答しにくい部分もあろうかと思いますが、ちょっと御所見をお願いします。
○上田農林水産部長 委員からお尋ねがありまして、委員からも言及ございましたけれども、大変恐縮でございますが、組織再編全体については総務部の所管でございまして、今この場で所見を述べるということは、個人的な見解に関してもちょっと差しさわりございますので、そこは御勘弁をいただきたいと思います。
農林水産部と商工の関係についてお話を申し上げます。これも個人的な所感が入りますので、そこは御了解いただきたいと思います。かつては農政部、それから林業水産部、これが統合されて農林水産部になったということだけでも、お話し申し上げたとおり、当時私もそこで仕事をしておりましたので、大変な非常に大きな変革だというふうに捉えておりました。他県の例を見ますと、農林水産、それから商工と一緒にした部にして、総合的な産業政策を行うというふうにかじを切った都道府県がまだございます。そこがうまくいっているかといいますと、ここは非常に微妙なところがございまして、例えば隣県でございますと、そこにかじを切りましたが、やはりそのままではなかなか難しいところもあったと聞いておりますけれども、商工部門と農林水産部門を切り離して部局を分割した例もございます。
個別の仕事の面では、両方一緒にやったらいいのではないかという議論がございます。例えば当部でございますと流通課がございますし、商工ですと昔の産経課でございます。それは、県産の産品を売り込む、あるいは輸出を進めるということでは非常に共通な面を持っております。そこは一緒にやったほうがいいかという議論があるのは私も承知しております。
ただ、全体のことを申しますと、やはり農林水産分野と商工分野が持っているバックボーンがやはり若干異なります。特に地域で、地場で、例えば農地を持って、そこで農業を営んでいる、そういったところは農林水産業の基本的なところ。それから、商工に関しましては非常に自由な、どこで起業をしても構いませんし、それでお金をもうける、これを目的としてさまざまな取り組みをなさっている。確かに共通の面はたくさんございますけれども、ただやはりバックボーンとして異なる面があるということは多分間違いないだろうと思います。
今回組織再編の案を出させていただいて、今御審議いただいておりますけれども、県政をこれから推進するに当たりまして、それをうまく行っていくための組織というのは必要でございます。そういったことでは、これからの組織の再編も含めて、組織がどうあるべきかという議論は進んでまいるかというふうに思います。その中で農林水産部、商工労働の関係も議論なりが行われるものというふうに承知をしております。
○臼澤勉委員 お昼までちょっと近づいてきましたので、そろそろやめますが、基本的な考え方を再度ちょっと確認させていただきますが、部長は計画の大くくりのくくりに対して、どのようにというか、どうあるべきかと。県の計画と組織体というのは、まさに政策を実現させていくために組織があるわけですし、私はすごくリンクするのだと思うのですけれども、ちょっとそこら辺の基本的なお考えをお伺いします。
○上田農林水産部長 委員からお話ありましたとおりで、県として政策を進めていくという場合には、それを動かす組織、人が主体となります。そういったことでは県の政策を進めるに当たって、より効率的で合理的な組織、それでもって進めていくことがやはり適当だというふうに考えております。県の基本的な政策の方向性を示すのが県民計画、総合計画でございますので、それをうまく進めるための組織というものがやはりあるべきだというふうに基本的には考えております。
ただ、基本的にはそう考えますけれども、例えば計画のそれぞれの項目の詳細にわたってそれが組織の内容とぴったり合えばそれでいいかというものとはまた違うと思いまして、総体的にうまく進められるような組織、これがふさわしいものというふうに思っているところでございます。
○臼澤勉委員 ありがとうございました。これまで前計画、あるいは前々計画、この20年の中で、計画と組織というのが本当にぴたっと一致してきていました。環境王国にしても環境生活部をつくったり、政策部、そういった意味からして、今回幸福指標を関連指標ということで、そしてこの県民計画政策を10の政策ということでくくったわけですから、ほかの歴史・文化であったり、安全だとか、教育、コミュニティー、居住環境、健康・余暇とか子育て、それぞれ組織ができています。ただ、今回この大きなポイントとして仕事・収入ということで、がちゃっとしている部分があるのです。
今後いろいろとまた組織の検討もされるのか、されないのかちょっとわかりませんけれども、私の思いは、この新しい計画を着実に進めていっていただくよう引き続き県議会のほうからもバックアップ、連携していきたいと思っております。ありがとうございました。終わります。