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県議会報告

閉会中の常任委員会(県土整備委員会)(平成3 1年1月9日(水))

2020.03.20

1 土砂災害対策

(1)土砂災害危険箇所の整備見通し

○臼澤勉委員
13 ページで土砂災害危険箇所が 約 1万 4,300 カ所ある中で、土砂災害対策施設概成の箇所数は 500 カ所を切る498カ所との状況でありますが、今後何年ぐらいかけて整備していく見通しなのか、お伺いいたします。

○佐野砂防災害課総括課長
実際には要整備対象箇所として4,000カ所弱ございます。ただ、先ほど説明したように、 概成したのはまだ約500カ所、これまで長い年月をかけて 約 500カ所で、年間2カ所とか3カ所しか概成しておりません。予算の関係もありますので、通常事業であれば 毎年2カ所か3カ所が整備の限界かと思っております。ですので、いつまでに全部の整備ができるのかについては 、まだ見通しが立たない状況でございます。

○臼澤勉委員
やるべき箇所が1万四千何がしと 、本当に 膨大な箇所数がある中で、この要整備対象箇所は 、ある程度、緊急性とか重要性を選択して整備を進めていこうとの方針と理解しております。ここにも米印で書いていますけれども、要整備対象箇所は 保全人家が5戸以上または公共施設整備がある場所とのことです。そのような箇所を年に二、三 カ所だけ整備 するのであれば、なかなか進まないのではと思いますが、その予算措置も含めて、どのように考えているのか確認します。

○佐野砂防災害課総括課長
要整備対象箇所として3,994カ所あり、 その中で公共施設がある箇所は何カ所か実は私どもも押さえきれておりません。公共施設があるとか、保全人家が5戸以上あって公共性もあるとかの基準があり、3,994 カ所がハード整備の対象箇所になります。では、公共施設があればすぐに 優先されるかというと、集落が多いところもありますし、公共施設の中でも避難所とか病院もあります。それで、いろいろ見比べながら、早期の整備に努めていくこととしています。完了としては年に 二、三カ所になっていますが、 実際の事業箇所としては20カ所ぐらい整備しております、例えば砂 防堰堤ですと全部終わらなければなりませんが、急傾斜地の場合は擁壁が毎年だんだんと延びていき、保全対象の人家を守ることになります。そのように全部終わったのが年間二、三カ所ということであります。
ただ、写真で見ていただくように、コンクリートの構造物などは、どうしても予算的にきついものですから、重要な公共施設があるからどんどん 整備できるとは当然いかないものと考えています。ハード整備とあわせて、命を守ることが一番大事なことですので、まずは住民の皆さんに逃げていただくことが大前提と考えております。そのために土砂災害の土砂法に基づく基礎調査の公表や、警戒区域の指定をあわせて進めていく考えでございます。

(2)治山事業とのすみ分け

○臼澤勉委員
国が示している、ある程度かちっとした基準で完璧に整備していくとなれば、年に二、三 カ所ずつで、まさに100 年、200 年以上かけて整備していくような ボリュームになるわけです。東日本大震災津波においても我々はハードによる減災の限界を教訓として学 びました。また、ある程度のハード対策も重要な部分ではあり、例えば、以前に、地域の実情に応じた整備を進めることを 岩手県として取り組んできているわけでございますので、土砂災害についても、岩手型の一定レベルの基準でハード整備を進めていく動きもやっていかないと、なかなか進んでいかないのではと危惧します。そのようなことも調査研究を 進めていただく必要があるのではないかと思います。
次に 、農林水産部の事業とのすみ分けを確認させていただきたいのですが、土砂災害については国土交通省や県の県土整備部が所管していますが、一方で治山事業とか 、 農林水産部で行っている山を守る対策とのすみ分けは、どのように整理されていて、地域の安全を確保しようとしているのかお伺いします。

○佐野砂防災害課総括課長
土石流が山で起こった場合は、国土交通省の所管でもありますし、また 、林野庁の所管でもあります。当然、保安林指定など、いろいろな指定 がなされている場所については林野庁の所管になります。このあたりは各省庁のすみ分けがあり、林野庁の場合は事業の対象が山でありますが 、最終的に住民を守ることについては 同じですので、例えば、砂防や治山の計画があることなどを、毎年一回、県土整備部と農林水産部のほか、国土交通省東北地方整備局や林野庁の関係部署と合同で出し合い、効果的な形で整備を進めようと動いております。

(3)河川への土砂流入対策

○臼澤勉委員
お話がありましたとおり、守られるべき住民目線から見れば、 所管が国土交通省であろうが、農林水産省であろうがどうでもよく、余り関係ないことであります 。地元を歩いていると、治山事業としてやるべきところと砂防事業でやるべきところのすみ分けは、まだまだ調整すべきところが 結構あると思って見ております。少しでも住民の安全確保が図られるように、要整備箇所の解消を加速させるように、研究をお願いしたいと思います。
そして 最後に、山から河川に土砂が流入してきて、毎年毎年、河川が土砂で埋まるような場合、県が管理している河川であれば県が土砂を取り除きますが、市町村でも毎年対応に苦慮しているところが結構あります。原因は山にあるわけですが、河川への流入を抑えるために、抜本的な対策が必要と思いますが、そのことについて どのようにお考えなのかお伺いします。

○佐野砂防災害課総括課長
平成 30 年7月豪雨におきましても、山から土砂がどんどん流出して河川 へ流れた結果、市街地に相当の被害を及ぼしたことから、私どもも河川や渓流の上流端で土砂を抑えることが重要だと考えております。今国の検討委員会でもいろいろと考えているところですが、土砂災害対策は 下流の住民の生活や生命を守ることが第一ですので、委員がおっしゃったように、もっと簡易的に対策ができないのか、実質的に解決できないのかも含めて、国の動きにあわせていろいろ考えていきたいと思っております。

○臼澤勉委員
毎年予算をとって土砂を撤去することに苦慮している市町村もあると聞いております。毎年多額の費用をかけて土砂を取る河川の維持管理も必要ですが、山を抑える、原因となっている部分を抑えるといった対策について、農林水産部と連携しながら県土整備部で抜本的な対策を考えていただきたいと思います。

2 建設業対策中期戦略プラン

(1)建設投資額の水準見通し

○臼澤勉委員
今回の中期プランの狙い、目的は、多分、復興事業が今後減っていくことを踏まえて、何らかの警鐘を鳴らそうということかと思っております。増田知事のときには、建設業界に 公共事業依存体質から民間事業依存にある程度シフトしていかなければいけないことを示す狙いもあって、アクションプランを策定した経緯があると認識しておりますが、今回のプランの狙いを改めて確認したいと思います。また、今後4年間のプランということで、 先ほども伊藤委員や柳村委員からいろいろ御意見がありましたけれども、一定規模の事業量の必要性をどのレベルで認識されているのか確認させていただきたいと思います。具体的に言えば、2ページに平成 2年からの公共 投資、民間投資も含めた建設投資額の推移が記載されていますが、どの水準を確保しようという思いをお持ちになっているのか お伺いいたします。

○大久保建設技術振興課総括課長
委員からのお話のありました一定規模の事業費を確保するというイメージですけれども、 東日本大震災津波の際、災害時には建設業者が物すごく力になることを県民もわかったと思いますが、今回の目標に掲げている災害対応空白地域の発生防止は、最近頻発しています 自然災害に対応できる業者が身近にいる、そういった頼れる建設企業がいつもそばにいる状況を想定しています。そのためには、対応する人も抱えないといけませんし、重機もなければいけない。さらにその先には、それを維持するために、民間事業費でもいいのですけれども、一定規模の公共事業で、安定的な経営を確保するための事業費が必要だと イメージしております。
そして、平成 30 年度以降、どれぐらいの規模を想定しているかとの御質問でしたが、建設業振興の考えから、東日本大震災津波以前の規模までは確保していきたいと考えております。地域懇談会で建設業界と意見交換を行った中でも、復興事業が終わって、東日本大震災津波 以前よりも公共事業費が下がるのは少しきついとの話も言われておりますので、東日本大震災津波以前の規模を目指せればと考えています。

○八重樫県土整備部長
建設業の推進について、執行部として明確にお示しする数字はございませんが 、 大久保建設技術振興課総括課長が申し上げましたとおり、資料2の2ページのグラフ、平成23 年度の青い棒グラフが 東日本大震災津波の発生直前直後であります。その前、平成22年度と平成21年度の青い棒グラフが平成23 年度よりも少し高い。 平成24 年度からは 復興事業が入ってきて 、青い棒グラフが伸びている状況となります。平成 23 年 度はあくまで特異的に落ちている時期で、平成22 年度以前の水準が一つの目のつけどころで、一つ考える対象にはなるかと思いますが、具体的な目標値については、これからいろいろと検討させていただきたいと思います。

(2)公共投資と民間投資のバランス

○臼澤勉委員
確認です が、この一定規模とは公共投資のみを言っているのか、民間投資を含めた、棒グラフの青と赤を含めたことを言っているのかをお聞きします。東日本大震災津波災前の水準は、大分ギアをチェンジして、要は、公共事業費を半分までどんどん落としてきた状況でした。資料の青い棒グラフですね 。平成2年ころは、民間投資も多くて、県内の建設投資額の約半分とか、あるいは4割は民間投資 で 支えていたわけです。 私の認識では、比率的には6対4ぐらいのところで、公共投資と民間投資でバランスをとって県内の仕事 が回っていたと思います。不景気もあるのでしょうが、建設業を支えるボリュームとして、民間投資額が非常に下がって2割ぐらいまで落ちました 。現在の復興事業も含む資料の棒グラフの中でも、民間投資の シェアが7割ちょっとで、公共投資が支えているという 事実に対し、今後、復興事業がある程度収れんしてきたときに、民間投資、それこそILC誘致とか、県土整備委員会ですから、ある程度公共 投資の話に集約すると思いますが、大きな民間プロジェクトも含めた誘致も必要になってくるということです。建設業対策として 、部局横断でやっている部分もあるでしょうから、関係部局も交えて、県内のボリューム感をどのように確保していくのか、これをまずしっかりと考えていっていただきたいのが一つです 。
そして、建設業者数は減りません 。それはなぜかといえば、従業員がリストラされて会社を離れたときに、自分で生きていくためのすべは何かといえば、やはり技術を持っているから、自分自身が建設業者として登録して仕事を確保しようとするためです。建設業者の頭数は減りませんので、競争も非常に激化することで、工事の品質が落ちることとか、いろんな弊害も出てくる心配があります。その対策を考えていただきたいのですが、御認識をお伺いしたいと思います。

○大久保建設技術振興課総括課長
建設業振興の観点から事業費といった場合は、公共、民間合わせた規模だと考えております。岩手県の場合は、公共依存体質がちょっと強いという地域特性を持っていることも認識しております。そのような状況も踏まえてプランを策定しております。また、工事品質の低下についてですが、競争が激化してきますと、低入札等が発生して、少ない予算で発注者から求められる目的物をつくるときに品質の低下が考えられます。今回のプランの中では、 建設業者の役割のところに示しておりますが、ものづくりに当たる建設企業がちゃんと品質確保についても求められている役割なのだとの認識を持った上で取り組んでほしいといった内容を盛り込んでおります。

(3)未来へのインフラ整備

○臼澤勉委員
ぜひ県土整備部から強いメッセージを発信していっていただきたいとの趣旨で、私はあえて質問させていただいております。 公共投資も含めて建設投資額が下がっていくだろうと見込まれる中で、平成22 年度の水準が本当に望ましい水準なのかといったことを、県庁内やいろいろな産業界の人たちとも大いに議論していただきたいと思います。平成が終わり、未来に向けた投資 、社会インフラを整備 していくという さまざまな 時代のニーズがあるわけですから、何のために県土整備部があって、何をやらなければいけないのか といった、未来のインフラ整備に向けてのメッセージの発信なり、ディスカッションをしていっていただきたいと思っております。

○八重樫県土整備部長
社会資本のこれから整備すべき箇所については、委員の皆様や住民からも、要望としていろいろ案件をいただいておりますことから、岩手県の社会資本整備がここで終わったという 認識は全くございません。さらに、でき上がっているインフラストックの健全な維持管理を行っていかなければ、県民の皆様の社会経済活動や、安全・安心な生活が保てないという命題のもとに持って仕事を進めていく覚悟でございます。実際に現場で仕事をしていただくためには地域の建設業の力が必要であり、その認識で、このプランを今検討しているところでありますが、肝心の予算確保の意味で、適正水準、あるいは目標水準はいかにあるべきかについては、平成2年度以降、バブルの崩壊やリーマンショックなどいろいろな経済情勢の変化があり、そういった時事の事象によりまして国 や 県の予算自体が影響を受けていることもあります。 県土整備部として 財布を確保しているわけではなくて、 財源は県民の皆様の税金であり、経済情勢に左右されるものであることを覚悟しながら、目指すべき県土の整備の姿と、その都度、県で措置できる財政の調整を鋭意図りながら進めていきたいと考えております。

○臼澤勉委員
生産性向上に向けた 仕組みづくりに向けて、公共だけでなく民間も含めて、取り組みを進めていっていただきたいと思います。