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県議会報告
令和元年度2月定例会 予算特別委員会(政策地域部)(令和2年3月6日(金))
2020.03.20
1 情報通信基盤の環境整備について
(1) 情報通信基盤の環境整備の現状と課題について
「Society5.0は岩手でこそ実現可能性が大きい」というが、Society5.0の推進に向け、情報通信基盤の整備の現状と課題は如何に。新年度、県として情報通信基盤の環境整備をどの程度推進する予定か。
【科学・情報政策室長答弁実績】
情報通信基盤の環境整備の現状と課題についてでありますが、
平成31年3月末時点で光ファイバーの利用が可能な世帯率は96.4%まで上昇、携帯電話の不感エリア人口は3,032人まで減少し、整備が着実に進んできているものと考えている。一方で、中山間地域など条件不利地域においては、光ファイバー及び携帯電話とも共通して、採算面から通信事業者による整備が進みにくいといったところが課題と考えている。
このため、県としては、これまで光ファイバーや携帯電話などの情報通信基盤の整備を図るため、市町村による国庫補助事業の導入に向けた国との調整や事業者への働き掛けなどの官民が連携できるように支援を行ってきたところ。
このような取組の結果、携帯電話の基地局整備については、本年度2市町2地区であったものが、来年度は4市町の6地区で携帯電話事業者の参画が得られ、当初予算案に基地局の整備事業費補助として約1億2千万円を計上しているところ。
県としては、今後とも市町村の要望を把握した上で、国に対する支援制度の拡充の要望をしていくとともに、通信事業者自らによる整備や、国の支援制度の活用による市町村の取組の支援など、官民が連携して情報通信基盤の整備を行っていけるよう取り組んでまいりたい。
(2) 情報通信基盤整備に係る取組について
「岩手県ICT利活用計画」期間の22年度までに情報通信基盤整備に係る取組をどう考えているのか。前倒しで整備促進を図るべきと考えるが、どう考えているのか。
【科学・情報政策室長答弁実績】
情報通信基盤整備に係る取組についてでありますが、
県としては、岩手県ICT利活用推進計画において、携帯電話や超高速ブロードバンドなどの情報通信基盤の整備を促進することとしている。
国においては昨年6月に策定した「ICTインフラ地域展開マスタープラン」において、2023年度末までに、携帯電話のエリア外人口を全て解消すること、光ファイバーの未整備世帯を18万世帯まで減少することを目指すこととしており、その具体的な支援策として、携帯電話等エリア整備事業や高度無線環境整備推進事業の活用が想定されているところである。
このような国の動向を踏まえ、今後も官民が連携して携帯電話や光ファイバーの整備を進めていくことが重要と考えている。
県としては引き続き、国に対して支援制度の拡充や通信事業者自らによる整備について要望するとともに、県内では紫波町が光ファイバーの整備に関し、関連費用を町が一部補助し、官民連携で整備した事例があると聞いており、市町村や事業者が連携した取組が実施できるよう取り組んでまいりたい。
(3) 次世代通信技術の整備について
LPWAと5G、次世代Wi-Fiなど次世代通信技術の開発は益々重要と考える。福岡市や徳島県でのLPWAネットワークの応用例等があると伺っているが、今後の5Gの基地局の整備等、どのような方針で進めて行くか伺う。
【科学・情報政策室長答弁実績】
次世代通信技術の整備についてでありますが、
LPWA、5G、次世代Wi-Fiを始めとする新しい情報通信技術については、本県においては有用なものと考えている。
特に、今年の春に商用サービスが開始される「5G」は革新的な通信インフラであり、その展開に当たっては、免許付与から2年以内の全都道府県でのサービス開始義務付けやローカル5Gが制度化など、国において全国における早期の展開がなされるように制度が設計されているものと承知している。
県としては、これらの動向を踏まえ、5Gの整備促進に向けて、都市部と地方の格差が生じないよう、通信事業者に働きかけを行うとともに、利活用の掘り起こしが大切であり、5Gに係る産学官の枠組みによる施策を着実に推進することで、情報通信技術の活用や実装の場を広げ、5Gを始めとする情報通信基盤の整備を促進していく。
(4) 5G等による地域課題解決モデル構築推進事業について
5G等による地域課題解決モデル構築推進事業が目指す事業成果は如何に。併せて、5G等の次世代通信技術については、中山間地域が多い本県の特長を踏まえて、戦略的に進めるべきだが、地方創生推進交付金の活用を含め今後の展開は如何に。
【科学・情報政策室長答弁実績】
5G等による地域課題解決モデル構築推進事業についてでありますが、
本事業は、「超高速」、「超低遅延」、「多数同時接続」といった5G等の特性を活かして、本県の中山間地域が抱える地域課題の解決を図るモデルの構築に向けた取組を実施するもの。
具体的には、令和2年度においては、国の開発実証の活用を念頭に、本県の中山間地域が抱える地域課題のひとつである「教育」について、通信事業者や県内外の大学などの関係機関とともに共同事業体を形成し、ローカル5G等を活用して、遠隔による学習や交流といった、新たな学びの場を創造できるよう検討し、国の実証事業の獲得に向けて取り組んでいく。併せて戦略的に5Gの整備促進等を図る観点から、県としてはNTTドコモや岩手大学と連携し、教育について、5Gに係る総合実証を来年度から中長期的に取り組んでいく。
今後の展開にあたって、教育の分野に限らず「医療・福祉」「農林水産業」など本県が抱える様々な地域課題の解決について、庁内に設置した部局横断の連携チームで議論しながら、地域創生推進交付金の活用を含め、積極的に取り組んでまいりたい。
(5) スーパーシティ構想について
県内自治体から手を挙げているスーパーシティ構想について、県として積極的に支援すべき。県の所見を伺う。
【政策地域部長答弁実績】
スーパーシティ構想の推進についてでありますが、
国の「スーパーシティ構想」においては、AIやビッグデータなど、第四次産業革命における最先端の技術を活用し、未来の暮らしを先行実現する「まるごと未来都市」を実現することとされている。具体的には、スーパーシティの実現には、自動走行、キャッシュレス、遠隔医療など、様々な分野において高度な情報・科学技術の活用が見込まれている。
本県においても、矢巾町においてスーパーシティ構想の実現に向け、国家戦略特区の指定を目指して準備を始めているものと承知している。本県としては、矢巾町におけるスーパーシティの実現に向けて、科学技術や情報通信技術の活用方策の検討や、国や産学官の連携といった面から支援をしてまいりたい。
2 免許返納者を初めとした高齢者の足の確保対策について
(1) 市町村や交通事業者との連携について
今後、運転免許自主返納者のさらなる増加が見込まれる。広域バス路線の維持に向けては、利用者を増やすことが必要不可欠であるため、運転免許返納者の利便性の向上が重要であり、運転免許を自主返納した高齢者の需要に対応した利用促進を図る必要がある。
地域公共交通活性化再生法の改正や、自家用有償旅客運送手続の円滑化の動きを踏まえ、市町村や交通事業者との連携が重要と考えるが、来年度の取組と今後の展開について伺う。
【地域交通課長答弁実績】
市町村や交通事業者との連携についてでありますが、委員御指摘のとおり、国では、人口減少の本格化、運転者不足の深刻化に伴って、公共交通の維持・確保が厳しさを増している状況を踏まえ、持続可能な運送サービスの提供の確保に資する取り組みを推進するため「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」の改正案を閣議決定し、今国会への提出を予定しております。
その中で、「地域自らがデザインする地域の交通」や「地域の移動ニーズにきめ細かく対応できるメニューの充実」などを掲げ、「地域公共交通計画(マスタープラン)の作成」や「路線バス等の維持が困難な場合等に、地域における旅客運送サービスを確保する仕組みの構築」などに取り組むこととしております。
県としては、今後、こうした国の制度を活用していくとともに、来年度は、維持が難しくなった補助路線について、市町村が代替交通を確保する場合の経費への支援制度を当初予算案に新たに計上したところであり、市町村や交通事業者と連携しながら、地域公共交通の維持確保に取り組んで参ります。
(2) ノンステップバスの導入率について
岩手県のノンステップバスの導入率は、北海道・東北地域で1位の山形県の半分以下となっており、今後の導入の見通しについて伺う。
【地域交通課長答弁実績】
ノンステップバスの導入の見通しについてでありますが、岩手県のノンステップバスの導入率は、平成30年度で、26.2パーセントとなっており、前年度20.5パーセントと比べ5.7ポイントの増となっております。
バス事業者では、毎年度、ノンステップバスの購入を進めており、今年度から令和3年度までに、主要なバス事業者である岩手県交通と岩手県北バスで合わせて70台程度を導入する予定と聞いており、今後も目標達成に向け、導入は進んでいくものと考えております。
県としては、バス運行対策費補助により、ノンステップバスの購入に対する支援を行う等により、引き続き導入が進むよう取り組んで参りたいと考えております。
(3) 高齢者や通学生等の利用しやすい環境づくりの取組について
高齢者や通学生等の利用しやすい環境づくりを整えるべき。盛岡市では、定額乗り放題パスも導入しているが、一歩踏み込んで同じような取組を県として全県的に推進すべきと考えており、県の所見を伺う。
【地域交通課長答弁実績】
高齢者や通学生等の利用しやすい環境づくりの取組についてでありますが、委員からご紹介のありました盛岡市の「まちなか・おでかけパス」について、本日の一部新聞でも見直すとのことですが、継続はする方向とのことですので、こういった利用促進につながるようなサービス券の配布や、一部の市町村では、運転免許自主返納者に対する公共交通で利用可能なサービス券の配付、通学生に対する定期購入費への助成など、市町村や交通事業者において、様々な地域の特性や、移動ニーズを踏まえた取組を実施している状況でございます。
県が一歩踏み込んでということでしたが、地域によって、例えばバスがメインのところであったり、鉄道がメインのところであったり、地域の特性もあると思います。まずは市町村の取組が全県に広まるように、県としても働き掛けをして、利用者の増加につながるよう取り組んで参りたいと思います。