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県議会報告

平成30年度9月定例会 決算特別委員会(環境生活部)(平成30年10月9日(火))

2018.10.14

1 希少野生動植物保護対策事業費について

(1)早池峰山周辺のシカ被害状況について

 先日、早池峰山に登ってシカ被害防止のための植生保護柵の設置状況を確認してきた。県内のシカ被害状況(農業、林業)と捕獲状況については、これまでに何人かの委員から質疑があったが、私からは特にも早池峰山周辺の希少種等、生態系への被害状況の認識と評価について伺う。

 早池峰山周辺地域における希少種、固有種への影響についてでございますが、早池峰地域における食害状況につきましては、県立博物館の学芸員の調査によりますと、食痕が認められました植物の中で、レッドデータブック等に掲載されている絶滅危惧種は、1種のみとなってございます。
 なお、早池峰の固有種などは含まれていないとの結果となっております。早池峰地域では、ハヤチネウスユキソウやナンブトラノオなど、植物11種につきまして、岩手県の希少野生動植物にしているところでありまして、これら希少種等へのシカ被害による生態系への影響について、今後も注視してまいりたいと考えております。

 私が現地の自然公園保護管理員や県立博物館の学芸員の報告会で伺っている被害状況について、認識が異なる。改めて、レッドデータブックに載っている種希少種及び希少種以外の被害状況は如何に。

 御指摘のありましたその報告会での内容につきましては、改めて精査させて頂きまして、確認をしたいと考えてございます。現在の県の認識といたしましては、先ほども申し上げたとおりレッドデータブックの載っているものは1種類、あと固有種等への被害、大きな被害はないと言うことで聞いております。ただし、シカの方、食害が一旦進んでまいりますと今まで食べなかった物についても食べ始めると、無くなれば次の物を食べ始めると言ったようなお話も学芸員からは伺っておりますので、その辺りの状況、現在の状況につきまして調査をしていきたいと考えております。

(2)防護柵の設置の状況と今後の進め方について

 早池峰山地域の環境保全等に係る指定状況は。中長期的視野に立った対策を国の関係省庁と早急に検討すべきだが、県としてどのような全体像を描いて取り組むお考えか伺う。

 早池峰山地域の環境保全等に係る指定状況についてでありますが、早池峰山とその周辺地域は、昭和57年に国定公園に指定されてございます。また、早池峰地域は、昭和3年に国の天然記念物指定を経まして、昭和32年に国の特別天然記念物の指定を受け、昭和49年及び平成2年にはこの地域を拡張して指定されてございます。また、昭和50年には、早池峰山の北部側につきまして国から早池峰自然環境保全地域に指定されたほか、早池峰山から向かいの薬師岳にかけましては、平成5年に国から森林生態系保護地域に指定されてございます。委員ご指摘のとおり、様々な指定が掛かりまして自然の保護についての対策が立てられている訳でございますけれども、現在の防鹿柵につきましては県で3箇所、森林管理局で4箇所という状況でございまして、まずは大きな制限のない地域から始めてございまして、一部申し上げました天然記念物指定の地域にも森林管理局の方では柵を設置しているという事でございます。今後の柵の設置の場所につきましては、今年度の効果等々検証しまして、シカ部会の中でも検討して進めていきたいと考えてございます。

2 鳥獣保護管理の担い手対策について

(1) 鳥獣保護管理の担い手の現状と課題について

 鳥獣保護に携わる方々の大半が60歳以上を占める一方、若年層の担い手が伸び悩み、近い将来にハンターの更なる大幅減が予想される。鳥獣保護管理の担い手の現状と課題認識は如何に。

 鳥獣保護管理の担い手の現状についてでありますが、県内の狩猟免許所持者数は、平成元年度の5,384人から平成29年度は3,146人と減少しているものの、平成20年度を最後に三千人を切り、二千人台と減少しておりましたところ、平成29年度には初めて三千人を超えるなど、減少傾向に一定の歯止めがかかっているところです。また、狩猟免許所持者における60歳以上の割合は、平成元年度の約17%から平成29年度は約62%と高齢化が進んでございます。近年、40歳未満の割合が平成27年度に10%を超え、平成29年度は約14%になるなど、こちらも一定の若返りが図られているところです。

(2)若手ハンターの確保対策について

 地元にも若手や女性の方々が猟友会に所属し活動しているが、若手ハンターの確保に向けた取組みは如何に。

 若手ハンターの確保に向けた取組みについてでありますが、県では、狩猟者の減少に歯止めをかけるため、広く県民を対象とした狩猟の担い手研修会や新人狩猟者の技能向上のための研修会を県内各地で開催するとともに、狩猟免許試験の予備講習会を年3回開催するなど、狩猟者の確保と育成に取り組んでございます。
また、公益社団法人岩手県猟友会青年部と連携し、若手狩猟者を講師とした研修会や県内イベント時におけるハンターブースの出展を実施することなどにより、若手ハンターの確保に取り組んでおります。
さらに、免許の更新手続きを土曜、日曜に実施するとともに、有害鳥獣捕獲に従事する場合の狩猟税の減免措置を講じるなど、狩猟者が継続して捕獲に取り組めるよう努めてございます。

(3)技術力向上に向けた取組みについて

 現在盛岡広域の市町で射撃場の改修に向けた検討も進められていると伺っているが、技術力向上に向け、ハードとソフト対策が重要。これまでの取組み実績と成果、今後の対応は如何に。

 鳥獣保護管理の担い手対策についてでありますが、県では、狩猟免許取得から3年以内の方を対象に、県内各地でスキルアップ研修会などを開催し、適切なわなの設置方法や安全な銃の取扱い及び射撃技術、捕獲個体の解体方法などを学ぶ機会を設けてございます。また、イノシシの捕獲技術向上を目的としました研修会の開催や、狩猟者に対して事故防止研修会を開催し、狩猟のマナー、猟銃の取扱い、関係法令の遵守などにつきまして講習を行ってございます。申し上げましたスキルアップ研修会は平成26年度から開催しておりまして、平成29年度参加者は約40名、翌27年度からはイノシシ捕獲技術研修会を開催しておりまして、平成29年度は約150名が参加しています。本年度も6月に奥州市でイノシシの捕獲技術研修会を開催し、12月にはスキルアップ研修会を開催する予定としておりまして、次年度以降につきましても、同様の研修会を開催するなどにより担い手の育成につとめて参りたいと考えております。