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県議会報告

平成30年度9月定例会 決算特別委員会(保健福祉部)(平成30年10月5日(金))

2018.10.14

1 がん対策について

(1)受診率向上について

 平成29年度に今後6年間の第3次岩手県がん対策推進計画を策定。がん検診が、もっともがん死亡率の減少に寄与する可能性の高い取り組みだが、受診率向上に向けどう工夫を図るのか。

 がん検診の受診率向上の取組についてでございます。本県のがん検診受診率、特に委員がかねて取り上げていただきました乳がんとか子宮頸がんとかの検診率がなかなか上がっていないといったご指摘もあったところでございますけれど、こういった検診率も徐々にではありますが、向上しているといった実態がございます。県はこれまでも、例えば乳がんでありますと、いわてピンクリボンの会という団体もございますので、そういった団体との連携ですとか、あとは、「がん検診受診率向上プロジェクト協定」というのを複数の企業と締結をしてございます。こういった締結企業などと連携いしまして、正しい知識の普及ですとか重要性に関する普及啓発を行いながら、受診勧奨を行ってきたところでございますし、市町村ですとか、医療保険者等の関係機関による検討会を開催いたしまして、受診しやすい環境の整備などにも取り組んできたところでございます。
 本年度はこれに加えまして、昨年度、岩手県生活習慣病検診等管理指導協議会というものを開催してございます。その下に各がん部会がございますけれども、そういった部会での指標の分析・評価を基に、受診率が低い市町村に対する、個別の指導・助言を行っているところでございます。それから、今年度、特に力を入れているところでもございますけれど、企業の「健康経営」の取組の促進に合わせても受診率向上の普及啓発を行うなど取組の強化を図っているところでございまして、今後も引き続き受診率の向上に向けた取組を進めて参りたいと考えてございます。

(2)働く世代に対する取組みの成果と今後の取組について

 がんは高齢者のみならず働く世代にとっても重要な問題。具体的には、40歳未満の末期がん患者に対する介護保険制度の対象拡大も課題。兵庫県は全国初で若年末期がん患者への介護支援を表明。29年度に全国14市町村以上で訪問介護等のサービス利用料9割相当額を助成。働く世代に対する29年度の成果と今後どう取り組むか。

 働く世代のがん対策についてでありますが、関係機関が一体となった就労支援の取組を推進し、治療と仕事の両立に向けた環境整備に取り組んでいるところであり、委員御指摘の40歳未満の患者に対する支援については、法令に基づいた支援制度の狭間として、全国共通の課題であると認識しており、県では、がん患者(20歳から40歳未満)の療養生活に対する支援制度の創設について、今年度の政府予算提言・要望に新たに盛り込んだところであり、国に対して、医療費助成や介護保険サービスと同等の支援制度の創設を働きかけているところ。働く世代に対する支援については、県としては、委員からご紹介のあった兵庫県の事例も参考にして、こうした先進的な取組を研究しながら、引き続き、医療関係者等との意見交換を通してニーズの把握に努めていく。

(3)長期入院する児童生徒への教育環境整備等について

 文科省では16年度から長期入院する児童生徒の学習期間を保障するために人材を配置するモデル事業を始めており、16年度は福島県が高校生を対象に実施したと伺ってる。児童生徒への教育就学支援、高校生への教育的対応の現状と課題を保健福祉部としてどう把握しているのか、適切な教育を受けることができる環境整備と復学・就労支援に向け保健福祉部としてどう取り組むのか。

 長期入院する児童生徒への教育環境整備等についてでありますが、本県では、病弱等で特別支援学校に在籍している児童生徒については、病状や入院等の状況に応じて、通学または教員が病院を訪問する形態により学習が進められているが、義務教育段階に比べ、高等学校教育段階では取組が遅れていることについて、国のがん対策推進基本計画においても指摘されており、全国的な課題として認識している。教育支援については、第3次岩手県がん対策推進計画において、ライフステージに応じたがん対策として新たに位置づけており、いわて特別支援教育プランに基づき、義務教育、高等学校段階において、一人ひとりが一貫した指導、支援を受け、病気療養児のニーズに応じた取組が図られるよう、その実現に努めることとしている。今後、教育委員会においては、平成31年度からの新たな特別支援教育推進プランが策定中であり、高等学校段階についての学習保障についても検討されており、教育環境整備が進展するものと考えている。
 がん医療から教育、就労と切れ目のない支援を行うには、関係機関相互の連携が重要となることから、保健福祉部としても、教育部門等との連携を密にしながら、がん対策推進計画の着実な取組を進めていく。保健福祉部としても、切れ目のない支援を行うには、関係部局との連携が重要となることから、教育部門等との連携を密にしながら、がん対策推進計画の着実な取組を進めていく。

2 自死対策について

(1)自死の現状と自殺総合対策に対する基本認識について

 平成29年に自殺総合対策大綱が閣議決定されたが、自死の現状と自殺総合対策に対する基本認識を伺う。

 自死の現状と自殺総合対策に対する基本認識についてでありますが、本県の自殺対策アクションプランは、平成19年に示された自殺対策総合大綱を踏まえて策定しており、これまで取組を進めてきた結果、自殺者数は中長期的に減少傾向にあり、平成29年厚生労働省人口動態統計によると、自殺者数は前年比27人減の262人、自殺死亡率は前年比1.9ポイント減の21.0となっている。平成29年7月に国が策定した自殺総合対策大綱では、新たに、子どもや若者、勤務問題、妊産婦等の自殺対策が重点施策に加えられている。県としては、本県の自殺死亡率は着実に減少しているものの、依然として全国的には高位にあり、年間262人の方が自殺で亡くなっているという事実をしっかりと受け止めて、新たな大綱の趣旨も勘案の上、引き続き包括的な自殺対策プログラムを推進するとともに、地域の特性を踏まえ、ハイリスク者に応じた対策や相談支援体制の充実に重点的に取り組んでいく。

(2)地域レベルの実践的な取組について

 県央保健所管内過去5年間の実態を見ても市町村ごとで大きく異なる。地域レベルの実践的な取組をどう進めるのか。また沿岸地域における対策はどうなっているか。

 地域レベルの実践的な取組についてでありますが、委員御指摘のとおり、地域によって自殺の実態は異なることから、地域特性に応じた自殺対策を推進することが極めて重要である。平成28年の自殺対策基本法の改正により、各市町村においても、大綱や地域の実情を勘案して地域自殺対策計画を策定することが義務付けられており、今年度内に計画を策定する予定である。県では、地域自殺対策計画の策定に当たり、自殺統計データの集計・分析結果や、国が作成した「地域自殺実態プロファイル」及び「地域自殺対策計画パッケージ」等を市町村に情報提供し、円滑な計画策定に向け支援しているところである。また、沿岸地域については、時間の経過に従って、被災者が抱える問題が複雑化・多様化しており、復興の進捗に対応した被災地の方々のこころのケアが必要と考えられることから、引き続き、市町村、こころのケアセンターや、市町村社会福祉協議会などの機関等と連携を図りながら、被災地における自殺の防止に努めていく。

(3)子ども・若者の自死対策について

 10年前に比べ全体として減少傾向にある一方で、若年層は横ばい傾向にあります。子ども・若者の自殺対策を更に強化すべきだが、取組み実績と成果は如何に。また、課題をどう捉え、どう対策を強化するのか伺う。

 子ども・若者の自殺対策についてでありますが、委員御指摘のとおり、本県の10代から20代までの自殺者は、厚生労働省の人口動態統計によると、ほぼ横ばいであり、全体に占める割合は約1割である。また、原因、動機別でみると、健康問題、勤務問題が上位となっており、次いで経済・生活問題、男女問題などとなっている。こうした多様な原因・動機に対応するためには、周囲の人々が若者の心や表情などの変化に気づき、声をかけ、見守っていくことが重要であることから、県としては、引き続きゲートキーパーの養成や高校カウンセラーの配置、事業所におけるメンタルヘルス対策の要請等に取り組むとともに、年代や悩み事に応じた相談窓口が活用されるよう周知に努めるなど、市町村や関係機関、学校、企業等と連携・協力して若い世代の自殺対策に取り組んでいく。また、平成29年7月に国が策定した「自殺総合対策大綱」では、新たに、子どもや若者の自殺対策が重点施策に加えられたことから、平成30年度に策定を予定している次期アクションプランにおいて、本県の実態を踏まえ、SNSの活用など新たな取組も検討してまいりたい。

3 重症心身障がい児・者対策について

(1)重症心身障がい児・者の施設入所待機状況について

 重症心身障がい児・者の施設入所待機状況について(18歳以上と18歳未満)の実態は如何に。

 まず、重症心身障がい児・者の施設入所待機の状況についてでございますが、県内の重症心身障がい児・者が利用できる入所施設は5施設ございまして、今年の今月1日現在の入所者待機者につきまして、施設に聞き取り調査を行いましたところ、18歳未満の障がい児が9人、18歳以上の障がい者が45人となっております。

(2)入所待機者の解消について

 国立盛岡病院に31年度40床が開設されるが、18歳以上に限定。入所待機者の解消に向け、県としてどのように取り組むのか伺う。

 続きまして、重症心身障がい者の施設入所待機の解消についてでございますが、先程委員からもお話がございましたように、国立病院機構盛岡病院による40床の療養介護の整備によりまして、18歳以上の重症心身障がい者の入所待機者につきましては、一定の改善が図られるものと認識しております。一方で、18歳未満の重症心身障がい児につきましては、岩手県立療育センターの活用が見込まれるところでございますが、現在、超重症児の入所者が多いことでありますとか、医師や看護師等が不足し十分にその受け皿となっていない状況もございますことから、引き続き、療育センターの指定管理者と連携して、医療従事者等の確保に取り組み、受け入れに努めて参りたいと考えております。

(3)重症心身障がい児者一貫体制の維持・継続について

 平成29年に厚生労働省から重症心身障がい者の入所に係る「特例措置を恒久化する旨」の方針が示された。評価するものの前提条件付きであり、児者一貫体制の維持・継続に向け県としてどう取り組むか伺う。

 まず、児者一貫体制の維持・継続についてでございますが、国におきましては、平成29年3月に「現に障害児入所施設に入所している18歳以上の者が退所させられることがないよう、障害児入所施設の指定を受けていることをもって、障害者支援施設又は療養介護の指定基準を満たすものとみなす」という特例の制度を恒久化しております。医療型障害児入所者が18歳以上になっても引き続き同じ施設に入所することが可能となり、また、療養介護を行う施設において重症心身障がい児を受け入れることも可能となったところでございます。重症心身障がい児者が年齢によらず安心して生活できるよう、県内の医療型障害児施設及び療養介護の施設におきましては、今申し上げました取り扱いに、既に取り組んでいるところでございます。今後とも、施設からこの特例や児者一貫体制について相談等があった場合には、必要な助言を行うなど丁寧な対応に努めて参りたいと考えております。

(4)専門指導員の育成及び介護職員の確保について

 専門指導員の育成や介護職員の確保が課題。どう取り組むか伺う。

 次に、専門指導員や介護職員の確保についてでございますが、重症心身障がい児・者の生活支援等に携わる職員につきましては、医学的管理下での介護でありますとか、日常生活上の世話などに関する専門的な知識や技能が求められ、その確保は重要な課題であると認識しております。医療・福祉人材が不足している中にあって、こうした職員を確保していくためには、まずは、社会福祉の専門職として養成された人材に障がい福祉分野の仕事を選択していただくことが重要と考えているところでございまして、社会福祉士養成施設の生徒への就学資金の貸付でありますとか、岩手県社会福祉協議会に委託し実施しております岩手県福祉人材センターによる就労マッチング支援等々の支援を行って参りたいと考えております。今後とも、これら養成校や福祉人材センターなどの関係機関等と連携いたしまして、職員の確保に努めて参りたいと考えております。