ホーム  >  県議会報告  > 平成29年度2月定例会 予算特別委員会(保健福祉部)(平成30年3月9日(金))

県議会報告

平成29年度2月定例会 予算特別委員会(保健福祉部)(平成30年3月9日(金))

2018.03.17

1 発達障がい者支援体制について

(1)発達障がい者支援センターの相談状況について

 療育センター内の発達障がい者支援センターの相談件数の状況(主なもの、どのような相談が増えているのか)をどう捉えているか

 発達障がい者支援センターの相談状況についてでありますが、個別の相談支援件数は、平成26年度の4,162件をピークとして、平成27年度4,141件、平成28年度3,603件、今年度は1月末現在で2,254件となっており、徐々に減少してきております。
 そうした中で、相談内容については、発達障がいのある本人の生活に関するものや家庭において家族ができることなどが増えており、センターにおいては、より専門的な支援が必要な相談対応にシフトしてきているところでございます。

(2)児童発達支援に必要な専門員育成について

 盛岡圏域各市町から児童発達を専門にみる臨床心理士や心理判定員が圏域で不足。児童発達支援に必要な専門員育成の対応は如何に。

 児童発達支援に必要な専門員の育成についてでありますが、岩手県発達障がい者支援センターでは、臨床心理士や社会福祉士、精神保健福祉士等の資格を持つ専任スタッフ5名を配置し、相談支援等に当たっている。
 また、地域において児童発達支援の中核的な役割を担う児童発達支援センターには、基準上、社会福祉士あるいは精神保健福祉士等の資格を有する児童指導員及び保育士等の配置が必要とされております。こうした、臨床心理士、社会福祉士、精神保健福祉士などの専門人材の養成については、総括質疑において副知事が答弁申し上げましたとおり、県内の大学や専門学校が継続して取り組んでいるところでございます。
 県としては、こうした専門資格を有する相談支援専門員等が、身近な地域で支援を担うことができるよう、必要な知識、支援技術や対応力の向上を図る研修を実施するなど人材育成を進めてきているところでございます。
平成30年度予算においても、これらの取組に係る事業費を計上しているところでございまして、引き続き、継続して人材育成に取組んでいくこととしております。

 私が、臨床心理士の育成について取り上げているのは、発達障がいや不登校児童生徒の増加といった児童発達支援ニーズの高まりがある一方で、自死対策にも非常に重要な環境整備対策であると考えているからである。厚労省の統計から人口10万人当たり都道府県別臨床心理士数を見ると、岩手を含めた北東北三県は最下位に近く、自殺率が高い都道府県と臨床心理士の数との相関関係がみられるため取り上げているところ。

2 自殺対策について

(1) 子供・若者や妊産婦への対策について

 子供・若者や妊産婦への対策は如何に。

 子ども・若者や妊産婦への対策についてでありますが、県では、多様な主体が連携し、官民一体となった総合的な自殺対策を推進してきており、その中で、児童・生徒への対策としては、高校カウンセラーの設置や教職員向けゲートキーパー研修など、働く若者への対策としては、企業等への出前講座など、妊産婦への対策としては、産後うつスクリーニングなどを実施してきたところです。
 また、国では特に、SNSの活用など若者の特性に応じた支援を推進していることから、県においても、公式ツイッターを活用し、若者に呼びかけ、相談窓口を周知する取組を始めているところです。
 県としては、平成30年度に策定する次期自殺対策アクションプランの重点施策に、「学校におけるSOSの出し方に関する教育」や「妊産婦への支援の充実」などを位置づけることを検討しており、国の自殺総合対策大綱も踏まえながら、子ども・若者や妊産婦の自殺対策の充実を図ってまいります。

(2)産学官報の連携について

 秋田県では産学官連携に加え、マスコミを加えて対策を展開(新聞社主催のシンポジウムや記事掲載など)。所見を伺う。

 秋田県の取組に対する所見でありますが、秋田県は、長きにわたり、自殺死亡率で全国ワースト1位が続いていることから、関係者の危機意識も強く、マスコミも含めた民間主導で取組が進み、それが根付いているものと考えております。
 一方、本県においては、庁内に知事を本部長とする自殺総合対策本部を設置するとともに、幅広い分野の関係機関・団体で構成する自殺対策推進協議会を設置し、官民一体となり、総力を結集して自殺対策に取り組んでおります。
 その取組の中では、マスコミの協力もいただき、9月の自殺防止月間や3月の自殺対策強化月間を中心に、テレビやラジオ番組の制作、CMの放送、新聞への掲載などにより、自殺対策に対する正しい知識やゲートキーパーとしての適切な行動等について、県民に対して幅広く呼び掛けを行っているところです。
 また、本県では、包括的な自殺対策プログラム「久慈モデル」を全県的に取り組んできた結果、自殺者数は、中長期的に全国平均を上回るペースで減少を続けていることから、今後もこの取組の継続を基本として進めていくこととしておりますが、秋田県の取組なども参考にしながら、次期アクションプランの検討を進めてまいります。

(3)北東北三県の連携について

 北東北三県の連携の取組みは如何に。

 北東北三県の連携の取組についてでありますが、青森県及び秋田県は、本県同様に自殺死亡率が高いという課題を抱えており、北東北3県の自殺対策に取り組む団体が、毎年度フォーラムを開催し、意見交換や支援技術の研鑽を行うなど、民間レベルでの連携が進んでおり、こうした場に県も参加するなどして、各県の取組について情報交換しているところです。
 今後とも、こうした民間団体の活動への支援等を通じ、両県との連携や関係者の交流を深める中で、お互いの取組を参考にしながら自殺対策を推進してまいります。

3 がん対策について

(1)推進計画について

 吉田委員から、AYA世代といわれる10代半ば~30代のがん患者に対する総合的な対策について、そして40代未満の介護保険問題や教育就労などの取組みについて質問があったので、重複しない点について伺う。まず、第3次がん対策推進計画の見直しに合わせ、新年度予算にどう反映させているのか。

 がん対策の予算についてですが、平成30年度当初予算案における主な事業について、県がん対策推進計画の主要分野である、「がん予防」、「がん医療の充実」、「がんとの共生」の視点で申し上げると、まず、予防対策として、「健康いわて21プラン推進事業」や「生活習慣病重症化予防推進事業」などを実施し、県民への健康情報の提供や、がん検診・特定検診の受診率の向上対策などを推進する。
がん医療として、「がん診療連携拠点病院機能強化事業」を実施し、拠点病院間のネットワークやがん相談支援体制の確保、がんとの共生として、「緩和ケア等啓発推進事業」を実施し、緩和ケア医療従事者の研修、がん患者・家族会の研修会開催等の実施に要する経費など、次期がん計画の推進に向け、所要の予算額を盛り込んだところ。
今後更に、がん等の患者の仕事と治療の両立支援に関する一層の普及、関係機関の連携による相談支援体制の強化地域における在宅医療体制の構築など、地域におけるがん患者支援などについて、関係者の意見を伺いながら、必要な支援について検討を行いつつ、更なる拡充を目指す。

(2)他部局との連携について

 県教委など他部局との連携した取組は如何に。

 他部局との連携についてでありますが、がん対策は、がんの予防からがん医療の提供、患者の療養生活を支える就労や教育など多岐の分野に渡ることから、これまで、教育部門との連携はがん教育リーフレットの学校への配布、環境衛生部門とは温泉入浴着の啓発ポスターの作成、労働部門とは、患者の治療と仕事の両立支援に関する啓発を行うなど、関係部局と連携しながら取組を進めてきたところであり、今後も、医療従事者、教育や就労支援等の関係者との連携や協働を図りながら、次期がん対策推進計画の着実な取組みを進めていく。