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県議会報告

平成29年度2月定例会 予算特別委員会(環境生活部)(平成30年3月8日(木))

2018.03.17

1 早池峰山シカ食害被害対策について

(1)シカによる自然公園地域の被食の現状について

 知事演述で「自然公園を核とした環境資源の魅力発信・利活用する」とのことだが、シカによる自然公園地域の被食頻度の現状を把握しているか。

 県では、県内11ヶ所の国立公園、国定公園、そして県立自然公園に、自然公園の保全状況を把握するため、自然公園保護管理員を現在58名配置しておりまして、管理の状況について報告を受けているところでございますが、平成28年度におきましては、早池峰地域の管理員からシカの食害が多く見られるとの報告を受けているところでございます。

(2)早池峰山絶滅危惧種のシカ食害の現状と対策について

 早池峰山絶滅危惧種のシカ食害の現状と対策は如何に。

 早池峰地域の食害の状況につきましては、県立博物館の学芸員の方から調査の提供を受けているところでございまして、食痕が認められた植物の中で、レッドデータブック等に掲載されている絶滅危惧種は、1種のみでありまして、固有種などは含まれていないとの結果になってございます。

 希少種のナンブトウウチソウが被害を受けていると聞いているが、県は認識しているのか。

 県立博物館の学芸員のレポートではないが、東北森林管理局の方では、そういった食痕があったという報告もなされているようです。

 希少種の保全対策は、自然保護課の一丁目一番地の仕事。ましてや平泉の文化遺産のような国宝級のモノが被害にあっているという現状を認識し、しっかり対策をとる必要がある。そのためにもシカの習性等をしっかり把握することが重要。シカによる被害が発生する生息密度は、学術論文はないがある識者によれば、平方キロあたり生息数が3頭を超えると林業被害が、5頭を超えると生態系への影響が発生すると言われている。
また、シカは一夫多妻の社会を持つので、雄をいくら捕獲しても残った雄が交尾するので生まれてくる子供の数は変わらない。このためオスとメスの区分した捕獲を取り組んでいく必要があると思うが所見を伺う。

 シカの今後の対策についてでございますけど、28年度は1万999頭を捕獲しているところでございますけど、オスメスの割合は半々位となってございます。猟友会の皆様がメスだけを狙って捕獲するというのも難しいということもございますので、その辺は猟友会のご意見もお伺いしながら今後の方針について考えていきたいと思います。
 また、東北森林管理局においては、シカにGPSを付けて、行動の調査もしておりますので、そういったものを活用しながら対策を検討して参りたいと考えております。

(3)ボランティア同士の連携について

 ボランティア同士の横の連携が重要と考えるが所見について伺う。

 県では、県が管理する自然公園や自然環境保全地域におきまして、移入植物の駆除、マナー向上の普及啓発、美化清掃活動、施設の簡易な修繕などを行っていただくために、岩手県グリーンボランティア制度を設けているところでございまして、毎年度、グリーンボランティア相互の情報交換を目的といたしまして、スキルアップを目的とした講演や意見交換を内容とする研修会を開催しているところでございます。
 今年度の研修会では、ボランティアの皆様から横の繋がりが必要とのご意見をいただいているところでございまして、エリア毎の活動情報を共有するなど、ボランティア同士の連携が更に進むように取組を進めて参りたいと考えております。

(4)射撃場整備を含めた担い手の育成について

 担い手の育成の観点から、射撃場の老朽化に伴う整備にも取り組む必要があると思うが、猟友会の方からの要望状況を伺う。

 射撃場の整備についてでございますけれども、現在、射撃場は県内各地に14か所設置されておりますけれども、現在のところ担い手の確保・育成の観点から不足しているとのお話は県猟友会の方からはいただいていないところでございます。

3 再生可能エネルギーについて

(1)電力自給率の倍増について

 知事演述で「再生可能エネルギーによる電力自給率の倍増を目指す」とのことだが、現状と実現の見通しを伺う。

 再生可能エネルギーによる電力自給率の倍増を目指すことについてでありますが、県の再生可能エネルギーの導入実績は、先ほど申し上げた通り、平成28年度末で906MWであり、その内訳は太陽光発電415MW、風力発電67MW、地熱発電104MW等となっており、平成27年度末に比べて118MW、15.0%増加している。
 また、再生可能エネルギーによる電力自給率は、平成28年度末で23.6%となっており、平成27年度末に比べて2.5ポイント増加し、順調に推移していると認識している。
 再生可能エネルギーによる電力自給率35.0%の目標達成の見通しについては、今後、風力発電を中心に、再生可能エネルギーの導入計画が相当数見込まれていることから、更なる導入に向けて、積極的に取組んでいきたい。

(2)環境アセスの手続きの状況について

 環境アセスの手続きの状況、特にも主な県意見の指導内容は如何に。

 環境アセスメントの手続きの状況についてでありますが、風力発電計画で、1万キロワット以上のものについて、法律に基づく環境影響評価手続を行っている。
現在手続中のものは22件で、専門家による技術審査会の御意見をいただいて知事意見を作成しているところ。
 知事意見の主なものとして、例えば、希少動物であるイヌワシについては、周辺に生息するイヌワシの飛翔状況を十分に調査し、その結果に基づきイヌワシに与える影響を予測・評価したうえで、影響が回避又は極力低減されるような環境保全措置の実施を事業者に求めているところ。また、景観に係る影響について、住居等の日常生活の場からの景観に十分に配慮するとともに、地元住民への十分な説明を行い、理解を得るよう事業者に求めているところ。
 県としては、今後も環境の保全と再生可能エネルギーの推進の両立が図られるよう適切に取り組んでいく。

(3)イヌワシの保全対策について

 環境王国いわての象徴でもあるイヌワシの保全対策が重要である。繁殖状況と保全や列状間伐について伺う。

 イヌワシの繁殖状況と保全対策についてでございますが、本県のイヌワシのつがい数につきましては、平成29年度に前年度より1つがい増えて29つがいとなっております。
繁殖率も、平成26年度の6.3%から、平成29年度は17.2%と増加しているところでございます。保全対策についてでございますが、平成13年度以降、県内に生息するイヌワシのつがいのモニタリング調査を行っておりまして、繁殖の見込みが高い営巣地において、シカ肉等の給餌ですとか巣の補修等に取り組んでいるところでございます。
列状間伐の状況については、手元に資料がないところでございます。

4 いわて青年の船事業について

(1)青年の船事業の復活について

 新しい県民計画及び復興事業の次への展開、宮古室蘭間のフェリー就航等、新たな明日に向かって、岩手の港から次代を担う若者たちを育成する意味からも青年の船事業を復活させてはどうか。

 「いわて青年の船事業」は、地域活動リーダーの育成等を目的に昭和55年度から平成6年度まで実施してきたものでございます。成果としましては、参加青年の友情と連帯感を培うとともに国際的視野が拡大されたこと、事業終了後に団員たちによる地域活動が実践されてきたことなどであると考えております。
一方で、青年の意識の変化や国際化の進展など、青少年を取り巻く環境が変化してきたこと、長期休暇がなかなか取れないことや個人の費用負担などのことから参加者が減少し、事業を廃止したという認識でございます。青少年の育成事業につきましては、「いわて希望塾」として県内の中学生を対象として毎年140名程度で沿岸の青少年の家でセミナーなどを行っており、このような既存の取組もございます。人数は1~2名ですが、内閣府の青年国際交流事業といった青年リーダーの育成事業もございます。こういった事業を活用しまして青少年の育成を推進していきたいと考えております。

 部長の所見を伺う。

 明日への学びあるいはリーダー育成については我々も同じ思いではあります。
 ただ、先程申し上げたように、若者の意識の多様化でありますとか、目的としていました国際経験というのも今は普通にされてきているという状況もございますし、実際問題として地域に参加者を募っても、長期に休みを取れる方がいない、自己負担が大変といった事情もあって、結果的に以前行っていた事業につきましては、廃止に至らざるを得なかったものです。同様の事情は各県でもございまして、そういった意味では全く同じような観点での事業の復活は慎重に考えるべきではないかと思います。
 他の地域振興とか港湾振興というような部分であれば、そういった目的で検討されるべきと考えているところでございます。