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県議会報告

平成29年9月定例会 決算特別委員会(商工労働観光部)(平成29年10月17日(火))

2017.10.22

1 地域未来投資促進法について

(1)28年度までの課題認識と県基本計画の狙いについて

今年の9月に地域未来投資促進法の県基本計画が同意されたが、28年度までの課題認識と本県の計画の狙いは。何を目指すのか。

 地域未来投資促進法について、委員から大きく2つの御質問がありましたので、順次お答えさせていただきます。
 まず、28年度までの課題認識についてでありますが、本県では、平成19年度に施行された企業立地促進法のもと、全県を6地域に分けて基本計画を策定し、それぞれ取組を進めてきたが、平成28年度で計画期間が終了した3地域で見ると、立地件数、雇用創出人数ともに、目標に対して概ね順調に推移したところです。今後、これらの立地企業や事業拡大してきた地域企業などが、地域を力強くリードしていく地域経済牽引事業者へと成長していくことが必要と捉えており、引き続き市町村等と連携しながら、新しい地域未来投資促進法のもとで対応していく考えです。
 また、地域未来投資促進法に基づく県基本計画の狙いについてでありますが、地域未来投資促進法については、改正前の企業立地促進法の目的が「企業立地の促進等による地域における産業集積」であったことに対し、地域未来投資促進法は対象となる産業分野を拡大し、地域の特性を生かした成長性の高い分野に挑戦する取組を幅広く支援することにより、地域経済の好循環を生み出すことを狙いとしているものでありますことから、このような法の趣旨を踏まえ、県の計画策定に当たっては、従前の製造業中心から、「農林水産・地域商社」や「第4次産業革命関連」など国が掲げる成長分野を幅広に対象業種に含めるとともに、事業者についても、立地企業のみならず、既存企業で更なる成長が期待されるものも含めることとしており、成長分野において、未来投資に取り組む企業等を幅広く支援することを目指している。

(2)県基本計画における目標値について

 計画の付加価値創出額や経済効果の目標値は如何に。

 基本計画における目標についてでありますが、地域未来投資促進法に基づき県が策定する基本計画には、国の基本方針において、経済的効果の目標を定めることとされています。この目標を定めるにあたっては、促進区域内の付加価値額で設定すること
全産業付加価値額を使用する場合は、国の統計のひとつである「経済センサス」の付加価値額を活用することなど国のひな形や東北経産局からの指導があったところです。
 具体的には、平成24年経済センサスの岩手県の1事業所当り付加価値額約3,500万円を基本に、事業者の新たな投資により3,500万円以上の付加価値が創出されるとした上で、ふるさと振興総合戦略のKPI、いわゆる重要業績評価指標に掲げる5年間の新規立地・増設100件に、市町村等から聴取した既存企業のうち成長が見込まれる事業者を加えた140件の地域経済牽引事業がつくり出され、これらの事業が区域内に1.3倍の波及効果をもたらすことで、今後5年間で69億円の付加価値を創出することを県の目標として掲げています。

(3)具体的な想定事業・企業等について

 地域経済牽引事業140件を創出するとのことであるが、具体的にどういう事業、企業をどの程度想定しているのか

 具体的に想定している事業や企業についてでありますが、計画策定にあたり、県では、市町村や金融機関など経済界とも連携し、地域経済牽引事業に該当する可能性の高い事業を検討している企業等の情報収集を行った上で、成長ものづくり分野を中心としつつ、事業案件が想定される農林水産・地域商社や第4次産業革命、環境・エネルギー、ヘルスケア等の新たな成長分野も対象とする基本計画を策定したところです。
 今後、市町村や商工団体・産業支援機関等と連携を図りながら、基本計画や地域経済牽引事業に対する支援措置等について、県内企業への周知を進め、事業者による地域牽引計画の策定を支援していくこととしており、このプロセスの中で、詳細な事業計画や投資規模等を把握していくこととしています。
 なお、国では今後の地域経済を牽引することが期待される魅力ある企業を、ビッグデータの活用等により「地域未来牽引企業」として毎年約2,000社選定し、公表する予定としていることから、事業案件の情報収集や掘り起こしにあたっては、国の選定企業リストも参考にしながら進めたいと考えています。

(4)実施体制について

 自動車、半導体、機械関連産業の集積やアワビなどの農林水産品を活用する取組みや世界遺産、ラグビーWC釜石大会の誘客が期待されるが、具体的な取り組みをどういった体制で何をいつまでに進める考えか。

 県の経済的効果の目標の達成には、事業者が地域経済牽引事業計画を作成し、県が承認することで、事業者が様々な支援策を活用しながら新たな投資を実現し、それにより地域の雇用や事業者間取引などの新たな付加価値を創出をすることによりますが、県の基本計画は、先月末に国の同意を得たばかりのものであり、まずは同計画の周知、対象となる事業者の掘り起こし、事業者の計画の策定支援などについて、市町村や産業支援機関、地域金融機関などの関係団体と連携しながら、進めて参りたい。

2 空港を活用した観光振興について

(1)他部局と連携した取組成果について

国際室と県土整備部と連携した海外からの誘客促進対策の取組状況と成果について伺う。

 他部局と連携した海外からの誘客促進対策の取組状況と成果ついてでありますが、花巻空港への国際チャーター便、定期便の誘致については、極めて重要であることから、3月にいわて国際戦略ビジョンを策定して取り組んできたところ。
 今年度からは、同ビジョンを所管する国際室の国際監を観光、空港両課の総括課長が兼任するなど、組織的な体制を整えて、一体的に取組を進めているところ。このような関係部連携の下、チャーター便に関しては航空会社、インバウンドに関しては旅行会社に売り込みをかけてきたことろ。
 この結果、今年度の国際チャーター便は、過去最高の152便(台湾146便、香港2便、タイ4便)の運航が内定しており、また、今年の1月~6月の上半期の外国人宿泊者数は、前年比41.7%増の約7万6千人となっているところ。

(2)組織体制の課題について

 地域振興部と県土整備部、商工労働観光部がそれぞれ連携しながら誘客対策、二次交通対策に取り組んでいるが、全国的に組織を統合した取り組みも見られるが、組織体制の課題をどう捉えているか伺う。

 組織体制の課題についてでありますが、これまでも、県土整備部と連携し、定期便化を見据えた台湾からの国際チャーター便の運航拡大による海外からの誘客拡大に取り組んできたところであるが、いわゆる格安航空会社(LCC)の急速な台頭など、航空業界を取り巻く環境が大きく変化していることや、台湾に加え、香港など新たな市場におけるチャーター便の運航拡大の可能性が広がってきたことから、今後は、多角的かつ迅速に国際チャーター便等の誘致と観光客の誘客拡大に一体的に取り組んでいく必要があると認識しているところ。
 このため、国際室を含め、関係部局の体制強化を図っているところであり、具体的には、この4月から、インバウンドを専門に取り扱う「国際観光担当」を設置し、定数を2名増としたところ。さらに、観光課職員2名は空港課兼務とし、空港課との連携体制を強化し、取組んでいるところ。

(3)組織の強い連携、組織統合の評価について

全国的には、そういう県土整備部というか、空港と観光を一体化した、さらに合体したような形、あるいは強い連携を図りながらやっているところもあろうかと思います。今言った兼務発令とかというレベルではなくて、人的資源も限られている、予算も限られている中で、先ほどの迅速、効果的、多角的に取り組むということからすると、検討も必要かと思うんですが、組織統合の評価や見込みについて御所見を伺う。

 全国的に組織の強い連携、組織統合の評価についてでありますが、東北では、秋田県と福島県が、国際チャーター便誘致の業務を、空港施設管理業務と切り離すなどして観光部局に置くなど、他県において組織の見直しが行われていところ。今後も各県の状況もよく把握し、さらに研究していく考え。