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県議会報告

平成29年9月定例会 決算特別委員会(復興局)(平成29年10月13日(金))

2017.10.20

1 復興事業と復興計画について

(1)復興完遂年の総括について

 復興完遂年として位置付けた28年度の事業の成果、どんな課題を解決できたのかと総括しているのか、28年度事業は当初予定通り進んだのか、復興完遂を成し遂げられたのか、所見を伺う。

 「本格復興完遂年」の総括についてでありますが、第2期復興実施計画期間においては、第1期復興実施計画における「基盤復興」の取組の成果を土台に、災害廃棄物処理分等を除く実質的な事業費ベースで、第1期の基盤復興期間を上回る過去最大の予算規模で事業を進めてきたところでございます。
 平成28年度は「本格復興期間」の最終年度として取組を進め、3つの原則ごとの主なものを申し上げると、「安全の確保」では、陸前高田市におきましては、県内最大規模の防潮堤、長さ2キロにおよぶ2つの防潮堤がほぼ完成、「生活の再建」では、沿岸7市町村で全ての災害公営住宅の整備が完了しました。県立病院は、大槌と山田の両病院が開院しました。公立学校では、大槌で4つの小学校と1つの中学校が統合した大槌学園や釜石鵜住居の高田東中学校の校舎が完成してございます。さらに、「なりわいの再生」では、4漁港の復旧事業が完了し、県管理漁港31港すべてが復旧が完了しました。また、中心市街地の商業施設では、山田町オールが完成、開業は4月になりましたが、陸前高田市の「アバッセたかた」、大船渡市の「キャッセン大船渡」の整備が進んだところでございます。それまでの2年間と合わせて「本格復興期間」では、409の指標のうち、進捗率が80%以上の指標が全体で80.0%となったところでございます。
 一方で、未だ多くの方々が応急仮設住宅等での不自由な生活を余儀なくされており、一部の社会資本等の整備については、復興まちづくり事業など他事業との調整、あるいは、施工条件の変化や台風等やむを得ない事情によって、遅れが生じた事業もありますので、このような事業については、第3期復興実施計画に途切れなく取り組んでいけるよう盛り込んだところでございます。

(2)復興計画について

 県は、復興計画を県総合計画に引き継ぐ方向で検討されているようだが、国の計画期間と市町村の復興計画との整合性を図りながら検討すべきと考えるが如何に。

 次期総合計画におけます、復興に関する計画の具体的な内容につきましては、今後、総合計画審議会や東日本大震災津波復興委員会におきまして議論することになりますが、今後10年間の岩手の未来を示す「長期ビジョン」がございますが、こちらの方に復興に関する一章を設け、復興の取組方向を示し、「アクションプラン」では、政策編とは別に復興に関する計画を策定し、現行の復興実施計画と同様に具体的な施策や事業を盛り込むなどによりまして、切れ目のない復興の取組を進められるよう検討していきたいと考えております。

 総合計画も盛り込むのはいいと思うが、復興計画を終えるというのは違うのでは。以前の2月議会で知事が答弁していたのは、「国が平成32年までと位置付ける「復興・創生期間」と連動し、市町村における復興の取組との整合性に十分に配慮する必要がある。その上で、復興に関する県の計画については、県民的な議論として策定して参る。」と答弁していた。それぞれの市町村の復興計画は5年のもの、8年、10年という復興計画期間を定めているものがある。例えば、陸前高田市は8年の計画を策定したが、なぜ8年としたかというと、あのときの思いは、復興を得るまでに10年かかると言えなかった。1日も早く復興を終わらせたい。それを市民の方々にみせるという意味を込めて、県の復興計画がいち早い策定であったので、それに準じながら、そして、8年という計画を進めている状況。しかし、現状、様々な条件から事業が完了していない地区がある。そういった中で、県の復興計画の旗印を下げるべきではないと考えるが、局長の見解を伺う。

次期総合計画は、県全体の総合計画でございます。そういった中で、復興計画もそこと統合するということで、復興計画をやめるということではございません。その中で、総合計画における復興の位置づけを明確にするために「長期ビジョン」において、復興に関する一章を設けること、それから、復興実施計画についても、現行と同じような形で政策編、地域編を別につくるということで、今後、次期総合計画の中で復興についてどう取り組んでいくのか、県民の方に見える形で計画を作っていくということでございます。

 復興計画は法律、基本指針に基づいて定めて、様々な事業が特例を受けながら復興計画に基づいて事業を進めていると理解しているが、知事が答弁していた「県民的な議論を通じて次期総合計画を策定して参る」の意味についてもう一度伺いたい。

 次期総合計画の策定については、総合計画審議会に諮問をし、そこでの議論を踏まえながら、答申を受けながら、中間案、成案化に向けてパブリックコメントなどを実施するものと聞いている。また、復興局においても沿岸市町村長や関係団体から個別の意見聴取や、復興委員会の委員からの意見を伺って進めて参りますので、そういった意味で、県民的な議論を踏まえて策定していくということと周知しております。

2 仮設住宅の集約の見通しについて

(1) 応急仮設住宅の集約化の見通しについて

応急仮設住宅の供与期間は、まちづくりの進捗を勘案し1年ごとに内閣府と協議していると承知。平成30年8月頃までに延長している市町村は5市町(山田、大槌、釜石、大船渡、陸前高田)。現在、市町村では応急仮設住宅集約化計画に基づく集約化進められているが、集約化の見通しは如何に。

 応急仮設住宅の集約の見通しについてでありますが、今年3月末の社会資本の復旧・復興ロードマップでは、災害公営住宅は今年度末で約9割、来年度末で99.9%が完成する見込みでありますし、また、防災集団移転促進事業などの面整備事業についても、今年度末で約8割、来年度末で97%で宅地が供給される見込みとなっているところでございまして、応急仮設住宅の集約については、各市町村において、そうした災害公営住宅の整備や面整備の進捗状況、見通しを踏まえ集約化計画を策定するとともに、必要に応じて見直しを行いながら進めるということとなっております。

(2) 県有地にある仮設住宅の集約化について

 県有地にある仮設住宅の集約化(撤去)見通しは如何に。併せて、集約化後の原状回復を含め、市町村と検討が進められていると思うが、検討状況と今後の見通しは如何に。

 県有地にあります応急仮設住宅の集約・撤去についてでありますが、県有地にある応急仮設住宅につきましても、その他の応急仮設住宅と同様に、各市町村において災害公営住宅の整備や面整備事業の進捗状況や見通しを踏まえて、集約化計画を策定して集約化や撤去を進めているところでございます。
 そしてその集約後や、入居者が退去した後の応急仮設住宅の撤去、原状回復についてですが、市町村からの依頼を受けて県が撤去し、原状に回復して市町村に用地を返還することとしており、個々の案件ごとに、市町村と県とで解体の時期や原状回復の方法など具体的な内容を検討して、それから、必要に応じ災害救助法の対象となるか国に相談するなどしながら対応しているところであります。今後もそのように市町村と連携し、対応していくこととしております。

(3)震災遺構の保全と活用について

 震災遺構は6市町村、11か所あり、保存に要する予算、財源は、復興交付金を活用している。ラグビーWCまでに陸前高田市に復興祈念公園が整備予定されており、県内外から多くの方が来る。被害の様子や破壊力の大きさなど津波の脅威を後世に伝えるものとして活用していくことが大事。震災遺構への来訪者の方の立ち入りについて、建築基準法等の関係法令に基づき安全確保対策を確保しつつ、遺構の具体的な保存、管理と活用のあり方について市としっかり協議し対応していただきたい。(※他の委員との質疑重複のため意見)