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県議会報告

平成27年9月定例会 決算特別委員会総括質疑 (平成27年10月22日(木))

2015.10.23

1 教育振興といじめ防止対策について

(1) 未来を担う人材育成と教育への想いについて

 平成26年度の決算審査に当たり、はじめに、教育費に関してお尋ねいたします。
平成26年度の教育費の決算額は約1,434億円で、前年度比で1.3%の増となっております。
私が県に採用された翌年の平成3年に工藤県政が誕生した。教育立県を掲げた工藤知事は、「教育は1人1人の幸せのためにも、地域づくりや社会の発展のためにも、その基本になる極めて重要なもの」と述べていた。
人口減少社会を迎え、25年後には人口が93万8千人、高齢者も約4割弱になることが見込まれる岩手の姿を想像した時、生きる力をそなえた未来の社会を担う人材育成、教育への取組が全ての政策の最も重要な施策であると私も考える。
地方教育行政制度の改革により、総合教育会議の設置や教育大綱の策定など、知事と教育委員会との連携が更に重要となる。
そこで、ふるさと岩手の未来を担う人材育成と教育に対する理念について、知事の想いを伺う。

【知事】
先般の知事選に当たりまして発表したマニフェストにおいて、本県の教育の重要性への想いを込めまして、「県勢発展の要は人。人が作る岩手、人を作る岩手」というふうに掲げたところであります。
 人材の育成に当たっては、初等中等教育から高等教育、社会人教育まで、県民個々のライフステージに応じた多様な学びの機会が確保されることが重要であります。
 特に、学校教育においては、岩手の子ども達がグローバル化や情報化の急速な進展など、変化の激しい社会を生き抜いていくために、子ども達一人ひとりが確かな学力、豊かな心、健やかな体の「知・徳・体」をバランス良く身に付けることが大切であります。
 このような考えの下に、本県の学校教育の充実に努めるとともに、大学や産業界などとの連携を一層深めながら、この岩手の地で、それぞれの地域・岩手全体、そして日本の未来を担うような人材を育んでいきたいと思います。

(2) いじめ予防のための環境整備について

次に、いじめ予防の環境整備についてお尋ねする。
県では、いじめや不登校など生徒指導上の課題解決に向けた取組みとして、平成26年度には約3百万円の予算措置をし、いじめ問題総合対策事業に取り組んでおります。
教育関係者は、「いじめは常に起こり得る」との前提に立った上で、重大事態にならない「予防対策」が何よりも重要である。
震災後、10分の10の国庫事業となった「緊急スクールカウンセラー等派遣事業」により、臨床心理士やカウンセラーが93名配置され、週一回程度生徒のカウンセリングや教職員、保護者への支援・助言を行いっているほか、6名の県警OBの方が非常勤職員のスクールサポーターとして活動されている。
早期にいじめの芽を発見し、教員や子供たちに寄り添って相談に対応できる仕組みが必要であることから、カウンセラー等の充実のほか、民生委員や福祉部門との情報共有と連携が更に重要であると考えますが、現在の課題を踏まえ、総合教育会議を主宰される知事の考えを伺います。

【知事】
矢巾町で発生した自殺事案におきましては、7月26日にまとめられた学校調査で、昨年来、当該生徒から発せられていたサインに対して、学校全体としての情報の共有と組織的な対応に、大きな課題があったということが明らかになっています。
 県といたしましては、このような痛ましい事案の再発防止に向け、総合教育会議における協議を踏まえて、できる限りの努力をしていくこととしております。
 今定例会において議決していただいた「岩手県いじめ問題対策連絡協議会条例」は、本県におけるいじめの防止等に関係する機関及び団体の連携の強化を図ることを大きな目的としておりまして、委員ご指摘の福祉部門との連携や情報共有についても、その大きな役割を担うものであります。
 児童生徒が、これまで以上に安全・安心な学校生活を送るために、スクールカウンセラー等の充実や、学校と教育委員会、関係機関等との連携の強化を図りながら、いじめ予防に力を入れてまいりたいと思います。

2 米政策について

(1) 米への想いと県産米の目指す姿について

 次に、米政策についてお尋ねします。
米は、県内農業産出額の約1/4を占める基幹作物である。
一方、売る自由、作る自由のもと、平成30年に生産調整が廃止され米政策は大きな岐路に立っている。
県では、オリジナル米新品種の早期ブランド化を図る取組みを進めており、知事は戦略実践本部長でもありますが、知事の米に対する想いと県産米の目指す姿をどう認識しているか伺う。

【知事】
 米は、古くから日本人の主食として、命と暮らしを支え、豊かな文化を育んできた重要な作物である。
また、稲作を中心とする農業は、地域の基幹産業として地域経済の振興に大きな役割を果たすとともに、その生産活動を通じて、地域コミュニティを支えている。
 近年、食の多様化等により米の消費が減少しているが、米は依然として国民の主食として重要な役割を担うものであり、米を中心とした和食文化への関心も高まり、評価が見直されてきている。
 本県では、全販売農家の約75%が米を生産し、農業産出額全体の約25%を占める基幹作物であり、稲作の振興は、農業・農村全体の振興につながることから、この考えのもと、オリジナル新品種を核とした県産米の評価向上の取組を強化するなど、全国トップクラスの米産地の形成を目指していく。

(2) オリジナル品種の検証とTPPを踏まえたコメの販売戦略について

米の販売戦略についてお伺いします。
平成7年当時もガットウルグァイラウンド交渉による外国産米の輸入、食管制度から新食糧法に制度改正するなか、オリジナル品種「ゆめさんさ・かけはし」を重点に置きながら販売戦略を展開した。
私もお米ブラザーズの一員として、当時の岩手県経済連と緊密な連携を図り、体を張って積極的なPRに取り組んできたものと自負。
しかし、「ゆめさんさ」は現在では生産されていない状況である。また、「かけはし」は、酒米を含め一部で生産されているのみとなっている。
一方、TPP交渉の大筋合意を受け、県では対策本部を設置したが、特にも米は、供給過剰な国内状況の中、市場価格への影響が懸念されるほか、全国的に特A米も増え、産地間競争が一層激化している。人口減少、消費者人口が減る中、農業を守る姿勢と海外展開を含めた攻めの姿勢も重要である。
そこで伺う。過去の県のオリジナル品種、「ゆめさんさ・かけはし」の検証結果をどのように捉え、今後の県産米の販売戦略をどう展開しようとしているのか伺う。

【齋藤企画理事】
 県では、平成5年の大冷害を契機として、翌平成6年から、冷害に強いオリジナル品種のかけはし、ゆめさんさの生産を開始し、首都圏での取引先を確保しながら、「かけはし」は平成11年に約3,800ha、「ゆめさんさ」は平成8年に約2,500haまで作付けを拡大したところ。
 その後、米の需給が緩和し、産地間競争の激化や、消費者ニーズの多様化などが進む中、「かけはし」についてはいもち病に弱い、また、「ゆめさんさ」については高温障害などの課題があったことから、それぞれ「いわてっこ」や「ひとめぼれ」などへの品種の切り替えが進んだところ。
 さらに、近年、高品質で、食味が優れた米が求められるようになってきたことから、消費者等のニーズに対応した良食味米品種の生産とブランド化への取組が重要と考え、岩手オリジナル新品種の岩手107号と岩手118号の開発を進めてきたもの。
 今後、これら新品種を核にした県産米のブランド化を推進することとしており、関係団体と連携し、食味計などの分析による美味しさの「見える化」等の情報発信やトップセールスの実施、消費者や実需者との交流を通じた結びつきの強化、さらには、県産米の消費拡大に向け、強力に取り組んでいく。